月に一度は溺れたい

不真面目に真面目なブログです。感情豊かにセックスしたい。

錯乱

職場が変わる理由は色々あるのだけれども、人権を守るため、という言い方をここではしておく。
今回自分が動くことで、自分を守り、自分を心配する多くの人を守ることが出来るのならと、決意した。


心配してもらえるありがたみを、様々な場面で受け取ることが出来た1年になった。
私は私を守ることが出来ず、自分を安く売ってしまう羽目になった。



先日、送別でもなんでもないお酒の会に誘われ、派手に飲んでしまった。
酒を飲まないとやってられない相手というものが、いるのだということを身をもって感じた1年の現れだったように思う。
間違っていたのは、そうやって酒を飲むことで自分を守ることになると思い込んでいたところだ。
私は、自分が飲んだお酒のせいで自分を危険に晒していた。



その日は派手に飲んだせいで、まず、道端でくたばった。
人の手を借りて何とか家までたどり着くも、代行から降りる際に歩けずに転んだ。
更に人の手を借りて家まで帰り、布団まで連れていってもらった。



そうして気づいたら、彼がいた。
記憶が無いのだが、私が自分で電話をかけて呼び出したらしい。

どこにいるの?

「いえ〜」
というやりとりだけで、彼は車を出して家まで来てくれたという。



代行で帰る時から、私は号泣していたらしい。
帰宅後、彼の前で
「1月○日、××(出張先)から帰ってきた時。
行くぞって言われて、車に乗せられて、汚されました。
汚くてごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」
そんなふうに口走った記憶だけがうっすらあって、翌朝彼に確認をとった。
家で倒れる私を介抱した彼の話によると、もう錯乱状態だったという。

『苦しいよ!たすけて!』
何回もそう言ってた。
大きな声で泣いてた。

「記憶が蘇ってきた部分があって……。
私、すごいこと言いましたよね」

うん……全部聞いちゃった

「すみません」
色々な意味を含む「すみません」になった。
職場では触れ合わないようにしようと約束した彼が、誰が来るかも分からない場所で私の肩を抱いた。

貴方は悪くない。
なんにも悪くない。
悪いのは全部あいつ。

ぐっと、私の肩を掴む指に力が入る。

私が最後に言った「大好き」は、全て聞いた上での私の気持ちです。

彼のこの一言に、この1年のすべてが救われるようだった。
そして、その「大好き」の記憶が、酒に消されることなく残っていて、本当によかったと思った。



いくつか残っている記憶の中。
震える手で、嘔吐と涙と鼻水にまみれる私の肩を抱いて、

許せない……あいつ、ぶっ殺してやる

と呟いた彼の記憶も、かろうじて残っていた。
その手が怒りで震えていたことも。



泣き叫んでヒリヒリと痛む喉。
彼に支えられて乗り越えられた部分はかなりある。
だから今度は私が、彼を支えられたらと思う。