DayDreamNote by星玉

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drop5.無数

2020年08月04日 | 星玉帳-Deep Drops
【無数】


池のほとりで大きな籠を背負ったキツネに出会った


籠の中には細かく千切られた紙切れが入っている


重そうですねと声をかけると


これらはすべてさよならを書いた手紙ですよ


と言いながら


キツネは籠の中身を池に撒いた


紙吹雪は束の間宙を舞い水に沈んだ


底は深く濃く


別れの無数が眠る




drop5.『無数』



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