下北沢駅から歩いて3分の碁会所、下北沢囲碁会館では月曜日の午前中にも囲碁教室をやっています。
級位者~三段くらいの気力の方が対象の らくらく上級講座 です。
講師は席亭の 江澤俊彦先生 です。
江澤さんは日本棋院や代々木の囲碁学苑でも囲碁講師をなさっていたベテラン指導者です。
機会があればぜひ江澤さんの教室を参観させてほしいなと思っていたところ、
ちょうどお盆休みで町屋の囲碁教室がお休みになりましたので ( 同じ月曜日で重なってた )
さっそくお邪魔して参りました
開始の時間は、水曜日や金曜日の下北沢囲碁教室よりも遅いですよ、と言われていたのに
すっかりうっかりして1時間前に下北沢に着いてしましたので、
お店を開けているミスドやダイソーで遊んでました
ホットカフェオレをお代わりしすぎてがぶがぶになりました
開場は10時30分、講義の開始は11時です。
同じ会場、同じ設備を使って行っている水曜、金曜日の教室の参考になるように
じっくりと見て行ってください、と江澤さんが言ってくださいました。
集まった生徒さんの人数は20名くらい。
お盆なのでいつもよりも大分少な目、ということで驚きました。
大変な人気、と思います。
講義の様子です。
パキラ ( 観葉植物 ) の鉢のポジッションが水曜金曜とちがいます。
なるほど、こちらの方が講師の動きの邪魔になりません。
生徒さんたちは大盤が見易く、後ろの方の邪魔にならない位置をよくご存じのようです。
講義開始前には江澤さんが 教室講師 → 席亭 に早変わりしてカウンターに熱いお茶を用意します。
お茶が欲しい人は各自取ってくる仕組みです。
お茶の支度が済むと江澤さんは 席亭 → 教室講師 に早戻りします。
教室の後ろの通路にはこのように教材と赤青鉛筆、クリップボードが用意されています。
詰碁手筋の問題プリントと、本日のマニュアルプリントは1枚ずつ、
変化図を書き込む用のプリントはひとり数枚取ります。
りくのらは勉強のためにできるだけいろいろな囲碁教室を参観したいなと思っております。
で、いくつかの囲碁教室を体験しておりますが、
ここの講義の進め方にはほかにはない特色がいくつもありました。
まず、最初に詰碁をやらない。
これは珍しい。
講義が本題に入る前に軽く詰碁や手筋の問題をやって、
その間にちょっと遅刻してきた人も出そろって、
生徒さんたちのアタマも日常から囲碁モードに切り替わる、というのが
囲碁教室の定石かと思っていましたが、必ずしもそうではないんですね。
講義のプリントは穴埋め式のマニュアルタイプです。
↑
これが講義のマニュアルです。
例によって余白あらば書き込みするりくのらのプリントですからこんな風になっちゃってますけど…
この日の講義テーマ 「 厚み活用作戦 」 に沿って、
厚みの定義 とか、厚みのうまい使い方 とか 厚みのいけない使い方 とかが書いてあり、
重要なキーワードの部分が下線空白になっています。
講義の中で江澤先生が生徒さんたちに質問を投げかけ、
正解が出たところで各自自分で言葉を書き込んでマニュアルを完成させるやり方です。
毎週出席してこのプリントを集めていくと、りっぱな囲碁のテキストができあがります。
教科書を棒読みするだけじゃなくて、
言葉の解説をしながら江澤先生が参考図や変化図を大盤に並べていってくれますので
非常にわかりやすい ( と言うか、わかったような気持ちになりやすい )
この日のマニュアルが完成したところで、
すなわち厚みの活用作戦についての解説が一通り済んだところで、問題図が並べられます。
左上隅三々に黒が入って地を持って生き、代償として白が上辺に向かって厚みを得た。
向かい合う右上隅には黒が星に布石している。
上辺中央には三線に黒がひとつ打ってある。
ここで白番、左上の厚みを活用するためにどういう作戦を立てますか?という問題です。
おもしろいのは、この局面図をプリントしたものが各自数枚ずつ配られていることです。
( 必要と思う枚数を自分で取っててくる仕組み )
厚みを活かす白の着点の候補がいろいろ上がりますと、
講師の江澤さんがひとつひとつ石を並べながら検討していって、
ここがよろしいでしょう、という点を示してくれます。
その後、その着手に対する黒の応手を、また教室全体で考えます。
黒の応手は一通りではなく、どれが一番良いということも決められません。
対局者の棋風や性格によっても変わります。
代表的な応手に対して、その後の白の 「 厚みを活かした 」 対応を考えます。
モデルケースとなる白黒の応対が一段落するところまで解説したら、
各自が手元のプリントに白1、黒2、白3、黒4… と手順を記入して教科書を完成させます。
こういうやり方の教室は初めて体験しました。
生徒参加型の教室です。
とてもおもしろいし、わかりやすいと思いました。
しかしながらこのやり方がしっかりと成立して機能するためには
充分な講師の棋力と教室の雰囲気作りが必須であるなと思いました。
なによりもまず、ここでどう打ちますか? と質問を投げかけた時に
生徒さんから次々に意見が出てくることが大事です。
生徒さんというものは大抵、
こんなことを言ったら笑われちゃうんじゃないか、
まちがってるんじゃないか、と意見を言うのを控えるものです。
そこをぐぐっと引き出して、例えまちがった答えでも全否定せずに評価して、
打ち手そのものじゃなくても考え方や進歩を評価して、という江澤さんの積み重ねが
この教室の打ち解けて意見を言いやすい雰囲気を作ってきたのだと思いました。
そうなると、生徒さんたちからはどんな手が飛び出してくるか、
どんな質問が来るかわからないわけですから、
講師はどんな意見質問にも応対できる棋力が必要になるわけです。
やり方だけ真似しようとしても簡単にはできないなと思いました。
思いましたが、それを目指していきたいなとも強く思いました
囲碁教室の定石みたいなものとして、
前半に講義をして、後半は生徒同士の対局や先生との指導碁、というのが多いです。
下北沢囲碁会館のらくらく上達講座は講義のみです。
対局の時間はありません。
だから開始の時間が11時、と午前ゆっくりなんですね。
じゃあ対局はしないのか、と申しますとそうじゃなくて、
なにしろここは碁会所なわけですのでね。
生徒の皆さんは休憩ソファエリアでお弁当をつかったり、
外へお食事に出て戻ってきたリして、そのまま会場に残り、
午後は碁会所で生徒さん同士、また、碁会所のお客さんと
組合せ対局を楽しむ仕組みになっているのです。
下北沢囲碁会館 らくらく上級講座 は、1回ごとのチケット制で
いきなり飛び入りでも受講できます。
大変良い教室、特に10~5級近辺の棋力の方には強くお薦めと思います。
生徒さん同士の懇親はとてもあるようですが、
初めて参加したりくのらにも、プリントの持ってきかたとか、お茶の持ってきかたとか
いろいろ親切にしてくださって交わりやすい雰囲気でした。
....... りくのら朝学習プリント .......
今までのりくのら朝学習プリントをダウンロードできます。
No.50 息の音をきいてみよう ( 通勤電車で行楽気分 )
No.51 四色問題 ( 今年もいのししはウロウロしてるのか? )
No.54 かっこいい字をかこう ( ちびっ子の姪っ子 )
No.60 いくつあるといいの? ( タコスの衝撃 )
No.61 記号を考えよう ( H ってヘリコプター? )
No.62 夢を思い出す ( 鉄錆色がかった血の色だってさ )
No.63 いくらぐらい? ( まちがえたって大丈夫だよ! )
No.64 はんこの文字 ( 鏡文字でもほめてくれた先生 )
No.65 なにで包みますか? ( ぼえむはいいからさあ )
No.68 はかる道具 ( はかれないものも考えよう )
No.69 筆記体に挑戦 ( 実はあんまり使われてない? )
No.70 間取りを書こう ( 不動産広告っておもしろいですね )
No.71 行きたい所 ( あなた降る夢の奥さんが素敵 )
No.73 恐ろしい妖怪 (宇宙最強にしてやることはそれ? )
No.76 どんなものを入れる? ( 本棚の上の桐箱の中には)
No.77 気持ちを想像する ( 黙って見ていてあげる能力 )
No.78 星座の記号 ( 日本人は占いが好き? )
No.79 早口言葉 ( 彼女が海岸で掘ったのは )
No.80 今までで一番 ( 忘れられないもぎたてライチ )
No.82 あなたが知っている… ( おかんアートができたわけ )
No.85 ふたをしめる ( マヨネーズのふたは二段式 )
No.86 本の綴じ方 ( 教科書の向きが揃いません )
No.88 ふえていくしりとり ( 先生、それ前からあるやつ )