【柔道整復師・理学療法士】今更聞けない物理療法機器の効果。TENS・干渉波・EMS・超音波の違い。よく聞くマイクロカレントとは?
物理療法はセラピストにとって、ごく一般的な治療手段の一つです。
しかし、その効果を有効に使えていないこともよく見受けられます。
今回は物理療法機器の中でもよく使われるものを中心にまとめます。
- 物理療法機器の効果って?
- 主に慢性期に適している
- マイクロカレント(微弱電流)とは
- EMS(電気的筋肉刺激)とは
- 周波数とは
- 強度とは
- 低周波が一般的
- 超音波とは
- 金属挿入で禁忌となる機器は?
- まとめ
物理療法機器の効果って?
物理療法機器の効果は大まかに分けると、「鎮痛」「機能改善」「組織再生促進」の3つになります。
このうち機能改善とは、筋力強化や関節可動域改善を指しています。
しかし、これらの効果を適切に発揮するには、状態に合わせた機器を選択する必要があります。
機器ごとに供給できるエネルギーが違い、それを適切に選択しなければ効果は得られません。
主に慢性期に適している
物理療法機器の多くは慢性期の症状に対して使われます。
疼痛緩和にはTENS(低周波)、干渉波(低周波)が適しており、可動域改善には超音波、筋力強化にはEMS(低周波〜高周波)などが用いられます。
ちなみに物理療法機器は炎症がある急性期には適しておらず、炎症が落ち着いた亜急性期であれば超音波や極超短波(マイクロ)による組織再生の促進が期待できます。
急性期はやはりRICE処置が一般的です。(※RICE:安静、冷却、圧迫、挙上)
しかし、最近この急性期に使える機器が現れ注目されています。それが、マイクロカレントと言われるものです。
マイクロカレント(微弱電流)とは
マイクロカレントは微弱な電流で無感覚であり、急性期でも使えるものとして注目されています。
効果は主に治癒促進で、鎮痛作用もあります。
また急性期特有の炎症や腫脹の軽減にも作用します。
最近注目されていますが、無感覚のためやや扱いにくいのと、文献による効果の裏付けがまだまだこれからという点が課題であると言われています。
やはり機器での急性期治療はまだ一般的でないのが現状です。
商品化されているものでは、お顔のコロコロローラーのRefaもこの作用を利用しています。
EMS(電気的筋肉刺激)とは
筋力強化に使われるEMSとはなんでしょうか?最近話題のシックスパッドもこれに含まれます。
要はTENSや干渉波と同じように電流刺激の一種です。
電流刺激は強度や周波数を調節することにより筋収縮を得ることができ、それを利用したものです。
メリットは関節運動を伴わずに安全に筋収縮を起こせることで、廃用性の筋萎縮予防に適しています。
強度を上げればそのまま筋力トレーニングとなるので、幅広く一般向きのシックスパッドのような商品もでてきています。
ちょっと前でいえば、アブトロニックとかも話題になりました。
筋ポンプ作用も起こせるため、循環改善も期待できます。
周波数とは
周波数とは、よく見るパルスの波の図を思い浮かべてほしいのですが、あの波が一秒間に何回あるかというものです。
単位はHz(ヘルツ)です。
実際に機器で、このHzを上げていくと1〜5〜10と上がるごとに、トン…トントン…トントントンと刺激の感覚が短くなり、20を超えるとトトトトと刺激がつながり、いわゆる強縮になります。
強縮とは、神経の活動電位による1つの刺激が重なり、ピクッとした一回の筋収縮がピクピクピクとつながって、関節を曲げるような持続的な筋収縮になることです。(擬音語ばっかりですいません笑)
約1〜30Hzでは慢性期の鎮痛効果があり、20〜80Hzでは筋肉刺激が起こせると言われています。
強度とは
これは先程のパルスの波1つ1つの高さです。
活動電位が閾値を超えたら、筋収縮が起こるのと一緒で、パルスの強さを調節して閾値を超えると筋収縮が得られます。
この強度と周波数を調節して、敵刺激を作っていくことになります。
例えば、麻痺がある人は閾値が高い場合が多く、強度を上げて筋収縮が起きるか確認する必要があります。
ただし、強度を上げすぎると火傷リスクがあることと、筋疲労により過用症候群を起こさないよう注意する必要があります。
強度の強さを弱いもの順に比較すると、マイクロカレント(微弱電流)→TENS・干渉波(低周波)→EMS(電気的筋肉刺激)となります。
低周波が一般的
低周波は電流刺激の中でも汎用性が高く、最も一般的な機器となります。
種類としては、疼痛軽減目的のTENS、干渉波が有名です。
他にも、TESと言われる痙性麻痺の拮抗筋に対する刺激により随意運動回復を目的とするものや、FESという麻痺筋をかわりに筋収縮させて使うための電気刺激など、様々な種類があります。
しかし、基本は電流による神経刺激であり、感覚神経に作用すれば鎮痛、運動神経に作用すれば筋収縮を起こします。
感覚、運動両方にアプローチできるため幅広く使えるメリットがあります。
超音波とは
超音波も低周波の次によく使われる印象があります。
この超音波は強度を調節することで、非温熱効果と温熱効果の使い分けができます。
0.5〜1.0w/c㎡では非温熱効果となり、組織再生の促進に有効です。
1.1〜2.0w/c㎡では温熱効果となり、鎮痛や組織の弛緩、筋緊張緩和などが期待できます。
またメリットとして、金属挿入されている患者さんにも使えるというポイントがあります。
金属挿入で禁忌となる機器は?
金属挿入といえば、人工関節や骨頭をはじめ脊椎や骨折部の固定など臨床ではよく出会うケースです。
しかし、じつは低周波や極超短波(マイクロ)は金属挿入部への使用は禁忌となります。
これはかなり重要であるため、必ず知っておかなければいけません。
効果も大切ですが、禁忌の理解は物理療法機器を扱う上で必須になります。
まとめ
物理療法機器についてまとめてみました。
国家試験でもよく問われますが、臨床で有効につかうには更に勉強が必要だと感じました。
他にもレーザーなどの機器や、パラフィン浴、ホットパックなど様々な物理療法があるため今後も勉強していきます。