外交・国際関係 社会・政治

平和主義とは何か:平和主義とは何か:冷静に平和主義を考えるために

投稿日:2020年2月14日

平和主義とは何か - 政治哲学で考える戦争と平和 松元 雅和

平和主義の入門書の決定版

本書は平和主義に同調する人、もしくはその主張に必ずしも同意しない人にも進められる、平和主義の入門書の決定版といえるのではないでしょうか。

本書の主な内容は以下のとおりです。

  • 第1章で、平和主義とは何かという基本的な解説から始まります。ここで、平和主義はいかなる場合にも暴力を否定する「絶対的平和主義」と、場合によっては例外も認める「平和優先主義」の2つに分類されることなどが解説されています。
  • 第2章~第6章は、平和主義とは異なる思想ー例えば正戦論や現実主義などーと平和主義の主張をそれぞれ比較し、それぞれの主張にどのような利点及び欠点があるかを考察していきます。
  • 結論部分では、様々な思想と比較したうえで、「平和優先主義」は国際政治における魅力的な手段の一つになりうるという筆者の主張がまとめられています。

総じて平易に書かれており読みやすく、かつ、この手の議論にありがちな、自分と異なる主張を一方的に非難するというスタイルではないため、幅広い読者におススメできます。特に、平和主義に敵対する思想だけでなく、平和主義自身が持つ限界等も認めるなど客観的な議論が展開されており、とても勉強になります。こうした感じで日本のとるべき外交・防衛政策についての議論がもっと盛り上がればいいなあと感じさせてくれる1冊です。


 

平和主義とは何か - 政治哲学で考える戦争と平和 松元 雅和

平和主義とは何か – 政治哲学で考える戦争と平和
松元 雅和

Amazonで見る 楽天で見る
The following two tabs change content below.

国際関係、政治、哲学、古典に関する本が大好物。読書は絶対紙派(電子はちょっと苦手なのです…)。アコースティックギターが趣味で夜な夜な練習にいそしんでいる。ツンツンヘアがトレードマークで、ヘアカットをするときのお決まりの注文は「横と後ろはバリカンでトップは短く」。
▼ブログランキング参加中。クリック応援お願いします♪
にほんブログ村 本ブログへ にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ にほんブログ村 本ブログ おすすめ本へ

-外交・国際関係, 社会・政治
-


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

安保論争-細谷 雄一-idobon.com

安保論争:どのように平和を保っていくべきか考えさせられる一冊

安全保障を冷静に考えるためにおススメしたい本 本当に中身の詰まった、勉強になる本だなあというのが、読み終わったときの率直な感想です。本書は、2015年に安保関連法が成立した約1年後に出版された本ですが …

剣の刃-シャルル ド・ゴール-idobon.com

剣の刃:これからの日本に必要な本

政治と軍事の関係を考える上でとても参考になる 「剣の刃(つるぎのやいば)」、かっこいいタイトルですね。何を隠そう、私が本書を購入したきっかけは、もちろん優れた本であると聞いたからというのもありますが、 …

The Hundred-Year Marathon: China's Secret Strategy to Replace America As the Global Superpower Michael Pillsbury-idobon.com

The Hundred-Year Marathon(邦題:China 2049): 日本にとって本当の脅威は何かを教えてくれる本

北朝鮮よりも恐ろしい中国 中国という国は本当に恐ろしい…というのが、率直な読後感でした。いえ、別に中国の人が個人的に恐ろしいというわけではないのですが(^^;)、国家としてのビジョンの大きさ、そして、 …

実践・私の中国分析―「毛沢東」と「核」で読み解く国家戦略-平松茂雄-idobon.com

実践・私の中国分析―「毛沢東」と「核」で読み解く国家戦略:中国の政治・軍 事に興味のある方は必読の研究論

読むと勉強したい気持ちが湧いてくる 著者である平松茂雄氏は、多くの中国の軍事関係の専門書を出されていますが、本書は一般向けに書かれており、専門知識がなくてもストレスなく読むことができます。 本書は、著 …

The China Challenge: Shaping the Choices of a Rising Powe Thomas-J. Christensen-idobon.com

The China Challenge: Shaping the Choices of a Rising Power:日本語訳がないのが惜しいくらい良書

The China Challenge: Shaping the Choices of a Rising Power 学問と実践に裏打ちされた冷静な中国論 ここ10年くらい、中国に関する本は巷にあふれ …