相続税の申告にあたっては、被相続人の財産内容を調査することが必要です。
その中でも、預貯金はほぼ全員の人が持っている財産です(預貯金が全くない人は、いないと思いますし、少なくとも私は見たことがありません)。
そんな預貯金は、税務調査の際にも指摘の多い項目です。
今回は、相続税申告の際に出てくる預貯金について、具体的なテクニカル論点を2つ紹介します。
生活圏内の銀行に口座があるか?
多くの人は、自身の生活圏内で使いやすい銀行口座を開設しています。
例えば、関西に住んでいる人が北海道や九州の地方銀行の銀行口座を持っていることは少ないでしょう(出身地などの特殊な理由を除いて)。なぜなら使い勝手が悪いからです。
裏を返せば、自身の生活圏内にある銀行口座を開設しているかどうか?は、財産調査や税務調査の際のポイントとなります。
ゆうちょ銀行の口座を持っているか?
日本人の多くは、ゆうちょ銀行に口座を持っています。特に相続が絡むような高齢者の方はその傾向が高いです。
その証拠に、全国銀行協会(全銀協)が公表している銀行利用実態調査では、ゆうちょ銀行の口座を保有している人は全体の78.3%に及びます(参考URL:https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/news/news211130_4.pdf)。
また、ゆうちょ銀行の公式ホームページによれば、同行の通常貯金口座の数は約1億2,000万もあります。
このように考えると、被相続人の財産調査をする際には、ゆうちょ銀行の口座があるかどうか?は1つのチェックポイントになります。
もちろん、解約したことにより持っていないケースもありますが、多くの人はゆうちょ銀行に口座があるという常識のもと、税務署も調査を行います。
私自身も、財産調査の際には、ゆうちょ銀行があるかどうか?を確認するようにしています。
他にも預貯金に関しては数多くの論点がありますが、今回はその中から多くの人が理解しやすいと思われる論点を2つ紹介しました。
相続税申告は、税目の中でも特殊な項目です。そのため、専門的な知識や経験が必要になり、専門家である税理士であっても取り扱える人は少数派です。
相続税に関するお悩みは、相続税の実務経験がある税理士へ依頼することをオススメします。