庭に紫陽花が咲いていた頃
 
線維筋痛症という病名が分からず
寝たきり、ひきこもりの生活だった
 
 
毎年、庭の紫陽花を見ては
孤独と孤立の生活の中で
また今年も精神病とだけ診断されたと
愕然とした気持ちになっていた
 
 
こんなに痛いのに
詐病だの気のせいだの言われて
心身ともに傷つく年月が流れていた
 
 
紫陽花を見ると
綺麗な分、悲しくなってしまっていた
 
 
その頃からすると
私は随分と調子が良くなっている。
 
 
庭に紫陽花が咲かなくなり
何年かが過ぎた
 
 
紫陽花が咲いていた場所には
今、ドクダミの花が咲いている
 
純白の白、とても可愛らしい
 
 
 
 
 
 
 
 
 
今の私はまた紫陽花を育ててみたいと思う
 
園芸店に行っては紫陽花を眺める
 
色んな品種や色もあるから
いつも迷ってしまい購入まで至らない
 
 
それほどまでに
紫陽花に見とれてしまうのだ
 
 
庭に紫陽花が咲いていた頃の
自分と今の自分とでは随分と違う
 
孤独と孤立から脱出出来たのだから
随分と明るさを取り戻せつつある
 
 
将来、『庭に紫陽花が咲いていた頃』
の私の中での歴史を塗り替えたい
 
 
庭に紫陽花が咲いていた頃は
幸せな気分で眺めていたと
 
 
梅雨が来たから紫陽花の季節
 
今度園芸店に行ったら
迷うことなく買う紫陽花が待っていてくれそうだ
 
 
紫陽花を選ぶ楽しみが私には出来た
こんな日が来るとは過去の自分は思わなかった
 
 
紫陽花を庭に招こうと今の私は思っている
それだけで
私は幸せなんだろうなと思う