映画「アイリッシュマン」(2019) | 明日もシアター日和

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観たもの読んだものについて、心に感じたことや考えたことなど、感想を綴ってみます。

監督 マーティン・スコセッシ

出演 ロバート・デ・ニーロ/アル・パチーノ/ジョー・ペシ/スティーヴン・グレアム/ハーヴェイ・カイテル/アンナ・パキン

 

 海外の批評家の多くが絶賛らしいけど、個人的には、なんだかな〜という……💦  観終わった翌日あたりからじわじわと、ピンポイント的に良さは感じてくるものの、観終わった直後は、裏社会を描いた作品はもういいかな〜と、そこでした😑  観た理由は、スコセッシの世界観や美学が好きだし、久々にアル・パチーノを見られるし〜😍  でも、もう自分の感性が変わっていることを実感しました😔  パチーノはずっと好き💕

 

 主役は実在したアイルランド系アメリカ人のフランク・シーラン(デ・ニーロ)。トラック運転手だった彼が小さな悪事からマフィアのボスたちと関わっていき、殺人の請負はじめ裏稼業によってのし上がっていく半生の物語。それを通して、裏社会で生きる男たちの友情、信頼、裏切り、対立、利己、家族愛などを描いています。

 物語の主軸はシーランとジミー・ホッファ(アル・パチーノ)との関係で、シーランがホッファを殺害するあたりがクライマックスかな。

 ホッファは全米トラック運転手組合の委員長を務めたカリスマ的人物で、民主党、共和党に対抗する第3の政治勢力を形成するほどの力を掌握したらしい。裏でマフィアと手を組み数々の悪さをしていて、1975年にデトロイト近郊で行方不明、真相が分からないまま死亡宣告が出されたそうです😮

 そのシーランから話を聞いた弁護士が、シーランの死後にノンフィクション本を書いた。その中で、シーランがホッファを殺害したと告白した、と伝えています(証拠も遺体も見つかってないので真相は闇の中)。この映画はその著作を元にしているのね。

 

 デ・ニーロの得体の知れなさ。感情をおもてに出さず、余計なことは口にせず、状況を素早く判断して自分にとって最良の道を選び取る感の鋭さが、デ・ニーロの表情の繊細な演技からにじみ出ます。年を重ね次第に貫禄をつけていくところに目を見張る👏

 一方パチーノは、短気で暴力的で冷血で、時間に恐ろしく几帳面で甘いものが好きという、エキセントリックな男を、尖ったナイフのような演技で魅せる。「Solidarity!Solidarity!Solidarity!」と演説するときの狂気じみた目、終盤で見せるかすかな不安を帯びた視線🎉  ちなみに、若い頃のシーンでは、最新技術を使って俳優たちを若返らせているんだけど、若きパチーノは色っぽかったな😊

 シーランは自分の表彰式で賞の贈呈役をホッファに頼みます。2人が屈託のない笑顔を見せ抱き合うシーンは美しく、終盤、再会を喜んでハグするところもジンときた。その直後シーランは、自分を信頼しきっているそのホッファを背後から撃つんだけどね😱

 

 3時間半という長尺だけど破綻することのない手堅い作り。まず(おそらく2000年代?)の老人養護施設でシーランが過去を回想して語りはじめる。それは1975年フィラデルフィアからデトロイトへ車で旅したときの回想(その終着点がホッファの殺害)。さらにその中で、シーランの1950年代からの生い立ちが回想されるという、3つが入れ子構造になっていて、それぞれの話が絡み合いながら展開するのでメリハリがあります。一方、殺しや脅しなどのシーンは淡々と描かれていて、そのストレートで鋭い描写は生々しい💥  観ているうちに戦後アメリカの裏の歴史が浮き彫りにされていきます。

 

 でも、マフィアの世界のことって想像もつかないから、そこでの権力闘争、お金の動き(買収云々)など、細かいプロット部分に関する基本的な知識&想像力不足が個人的にはネックだった。いま何が問題になっているのか、彼らは何でもめているのか、誰が何をしようとしているのか、なぜそうしたのか、あのセリフの意味は……? 説明的なセリフがないから、会話の裏の裏の裏まで読み取らなくてはならず、不明点が残った😓

 そもそも、裏社会で生きる人間のドラマ、マフィアが表社会と結びつきコントロール(大統領選まで裏工作!)しているといった話に、もはや面白さを感じなくなっていたな😔  アル・パチーノが見れて良かったけど〜😄

 

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