TV視聴 パリ・オペラ座「鷹の井戸」@パリ・オペラ座ガルニエ | 明日もシアター日和

明日もシアター日和

観たもの読んだものについて、心に感じたことや考えたことなど、感想を綴ってみます。

原作 ウィリアム・バトラー・イェイツ

演出/舞台セット/照明 杉本博司

振付 アレッシオ・シルベストリン

リュドミラ・パリエロ/ユーゴ・マルシャン/アレッシオ・カルボーネ

 

 引き続き、録画したバレエ番組の感想です。これはユーゴ💕が踊ったというので観ました。1年にわたって開催されるパリ・オペラ座350周年を祝う記念公演のトップを飾った(といっても、フォーサイスの作品と組まれたダブルビルだけど💦)作品。予想した通り、私の守備範囲ではない類のダンスだった😔

 

 本編の前に、この新作舞踏の制作までのドキュメンタリー「瑠璃の舞台~杉本博司オペラ座への挑戦~」も観ましたよ。杉本氏は「光のスペクトルでは、瑠璃色は人間が見ることのできる限界の色で、生と死の境を象徴する色」と捉えているようです。

 作品のテーマは「死から逃れられない人間の宿命」だそうです。永遠の生命を持ちたいという願望がいかに無謀なものであるか、生死感についての人間の古い記憶に帰っていく作品なのだと(自分でも、書いていてよく分からないんだけど😅)。でもさ、永遠の命を欲しいと思う人っているの?🙄 私はいらない。クイーンの「Who Wants to Live Forever」だよね。

 杉本氏は演出・舞台美術・照明を手がけたけど、振付はアレッシオ・シルベストリン。コンテ界の人なので全く知らない人なのですが、彼はBBL、リヨンオペラ座バレエ団、フォーサイスのフランクフルト・バレエ団などで活躍した経歴らしい。私はこの制作ドキュメンタリーで、杉本氏のコンセプトを彼がどのようにビジュアル化していったのか、その過程を知りたかったんだけど、それについては取材してなかった😑

 

 作品は、アイルランドの詩人イェイツが能に触発されて1917年に書いた戯曲「At the Hawk’s Well」を舞踏にしたもの。アイルランド神話の英雄クーフリンが出てくるなど、物語は私好みですごく面白いです👍

 何十年かに1度不老不死の水が湧くという井戸のある絶海の孤島。井戸は鷹の精霊に守られているので人間は飲むことができない。1人の老人(カルボーネ)がもう50年も待ち続けている。そこに、やはり永遠の命を求めて青年クーフリン(ユーゴ)がやってきて、2人が争っていると鷹の精霊(リュドミラ)が現れる。すると井戸から水が湧き出すんだけど、老人は眠りに落ちたまま死んでしまう。クーフリンも鷹に邪魔されて水に近づけないいまま、生き絶えてしまう。クーフリンは先に亡くなった老人の霊?に導かれて霊界に向かう……みたいな終わり方。

 

 振付が観念的すぎて心に響いてこなかったのですが😬  ユーゴの美しい肉体としなやかなダンスを堪能したから良しとします😊  彼は身長があってダンサーとしての体型も完璧。動きはダイナミックで空間を支配し、神話の英雄クーフリンにぴったりというより、むしろ彼こそ神であるみたいな神々しさがあった😍  カルボーネはプルミエで、いま42歳。あと数カ月でパリオペを引退するのだそうです。その自分が老人を踊るということに想いを馳せているのがちょっと切なかった😿

 群舞は鷹の井戸の精霊たちという設定で、アイルランド神話の精霊たちを飛天に置き換えたのだそうです。飛天はあの世とこの世を行き来しながら、死者を迎えにくるのだと。複雑な手の動きは雲をつかんだり抱えたりする様子を表しているらしい。この群舞の見せ方も面白かったんですけど、作品の良さを掴めないまま終わってしまった😆

 

にほんブログ村 演劇・ダンスブログ バレエへ
にほんブログ村


バレエランキング