オンライン観劇 | 明日もシアター日和

明日もシアター日和

観たもの読んだものについて、心に感じたことや考えたことなど、感想を綴ってみます。

 予定していた4月上旬の観劇(新橋演舞場の歌舞伎パルコ「ピサロ」)がなくなり😭家でおとなしくしていますが、昼は家族のことで夜はオンライン観るので結構忙しい。その一部ですが感想を少し。またバレエばかりですが、そろそろストプレも観たいです。

 

マリインスキー・バレエ「青銅の騎士」(2016年収録)

振付 ユーリ・スメカロフ(原振付 ロスティスラフ・ザハーロフ)

出演 ウラジーミル・シクリャローフ/ヴィクトリア・テリョーシキナ/ダニーラ・コルスンツェフ/エカテリーナ・コンダウーロワ

 サンクトペテルブルクのネヴァ河畔に立つピョートル大帝の騎馬像に題材をとったプーシキンの叙事詩に基づくバレエです。大帝(コルスンツェフ)が河畔に都市を築く→エフゲニー(シクリャローフ)とパラーシャ(テリョーシキナ)が像の前でラブラブ→嵐で洪水が起こりパラーシャ溺死→エフゲニーは精神を病み、大帝の像を呪う→像の幻影に追われて彼も溺死😱

 スペクタクルな舞台セットとプロジェクションマッピングを駆使した演出で、本物の馬❗️を登場させたり実際の合唱隊や演奏者を登場させたりと超豪華。群舞のダンスはロシア風味たっぷりで、サンクトペテルブルク賛歌みたいな印象を受けました。特に1幕は、お祝いという設定でディベルティスマン風に次から次へとダンスが繰り広げられて、ちょっと疲れた〜😓  舞踏会の女王という役のコンダウーロワが大輪の花のようなダンスを披露。ところで、音楽が終わっても無音の中で踊り続けるの、ザハーロフの好みなのかな?🙄 かなり違和感ありましたけど😔

 テリョーシキナはあまり純真な乙女には見えないけど🙇‍♀️  上半身と腕の動きが柔らかくて、エフゲニーを思って踊る姿が美しい。シクリャローフとのPDDには幸福感があふれていて(時々不吉な気持ちを見せる表情も含めて)良かったです。リフトはアクロバティックに偏らず、とてもロマティックでした。シクリャローフは特に終盤、狂気に陥って見えない敵(大帝の騎馬像)に立ち向かっていく演技とダンスが真に迫っていて大熱演でした〜👏

 

●ベジャール・バレエ・ローザンヌ「Béjart fête Maurice」(2016年収録)

 どの作品も抜粋だけどベジャール・ワールドにどっぷり浸かることができ、懐かし〜い気分になりました😊  バーレッスン風景から始まり、最後に再びバーが持ち込まれてそこでレッスンする姿で終わる構成。演目は次の通り。「1789…そして私たち」「ヘリオガバル」「わが夢の都ウィーン」「パトリス・シェローが三島とエヴァ・ペロンの出会いを演出する」「ハムレット」「ディブク」「バクチ」「ロッシニアーナ」

 ジュリアンエリザベットは2作品を踊りました💓「わが夢の都ウィーン」は芸術の都の名にふさわしいとても美しい作品で、交差する2人の心の揺れが伝わってきます。「ハムレット」は母親とのシーンで、お互いの相手に対する愛情と憎悪が入り混じり、苛立ちや悲しみをぶつけ合う2人のダンスに魅せられました。

 シャルキナガララーグの「バクチ」はすごかった〜✨ この作品自体が好きというのもあるけど、何と言ってもシャルキナの弾力のある身体が見せる動き。神聖かつ神々しくて魅せられた。ガララーグも力強く威厳のある踊り。2人の身体がクネクネと絡みつく様子は神秘的で魔力すら感じました。ローレンス・リグウィンテン・ギリアムズが踊った「ロッシニアーナ」も楽しかったな👍

 それにしてもジュリアンとエリザベットに続く世代の層が薄くて、BBLの先行きが心配😢  私はバレエの入り口がベジャールだったんで、思い入れが強いのです。

 

●英国ロイヤル・オペラ・ハウス「エイシスとガラテア」(2009年収録)

振付/演出 ウェイン・マクレガー

出演 エドワード・ワトソン/ローレン・カスバートソン/エリック・アンダーウッド/スティーヴン・マクレイ/メリッサ・ハミルトン/ポール・ケイ

 オペラのことは全く分からないのでバレエについてのみの感想です。各登場人物をオペラ歌手とダンサーが演じ、ダンサーはその人物の心情、精神世界を踊りで表現するという作りでした。ダンスシーンは思った以上に多くオペラと同等の扱い。マクレガーだからね。

 10年前の舞台だからダンサーが若いわ😄  エイシスのワトソンはメイクのせいもあるけど美しくすらある😆  そして神々しさを感じさせる力強いダンス。ちょっとした関節の動きや手脚の角度などマクレガーの振付の特徴を体得していて、このときすでにマクレガー・ダンサーですね。ローレンはとても愛らしいガラテアでした。自分の実在する肉体を見つめる目が優しく、恋人を殺された後の虚無感と悲壮感が痛ましかった。

 冒頭、デーモン役のマクレイメリッサがバンバン(というかクネクネ😬)踊ります。マクレイの小気味好いダンスはもちろんだけど、メリッサも無機質なダンスを早くも得手としてますね。そのあと登場する群舞もデーモンということなのかな。その中にリアム・スカーレットがいて、この頃はダンサーだったんだ。ついこの間ロイヤルから追放されてしまい、彼の10年間のアップダウンを思うとシミジミします😔

 最後、ワトソンがガラテア役のオペラ歌手と踊るんだけど、ワトソンの筋肉質的ボディをもってしても、ボリュームあるオペラ歌手の身体を支えるのはかなりいっぱいいっぱいに見えてしまいました💦

 

●ウィーン国立バレエ「ペール・ギュント」(2018年)

振付 エドワード・クルーグ

出演 ヤコブ・フェイフェルリック/アリーチェ・フィレンツェ/エノ・ペシ/ジョルト・トロク/ニキーシャ・フォゴ

 すごく面白かった🎊「ペール・ギュント」は奇想天外な物語(イプセンの戯曲)だけに、ストプレよりバレエの方がその面白さが伝わるかも。物語のエッセンスを抽出し象徴的な踊りや動きに転化して身体で表現したクルーグの振付、その世界観が面白いです。寓話性がありグロテスクで可笑しくて美しい。以前ボリショイinシネマで観た「ペトルーシュカ」も好きだったんですよね。

 戯曲内の登場人物のほか、死神と鹿が出てきます。死神はペールを弄びながら死へと導く役なのは分かるけど、鹿はペールを見守る「運命」なのかな🤔  舞台に置かれた円環を描くスロープは、ペールが魂の遍歴を終えて戻ってきたとき運命が閉じることを表している。振付もとてもユニークです。ダンスの振付とストプレ風動きがシームレスに行き来する感じで、演劇を見ているようでもありました。

 ペールは出ずっぱりで、演じたヤコブは破天荒な主人公を見事に演じ踊っていたし、恋人ソルヴェイとのPDDは甘やかで美しい。死神のエノ・ペシは存在感十分で不気味でした。群舞の造形も面白く、特にトロル。体中にコブがあり頭に角を生やしたコスチューム姿は気味悪く宇宙人のようにも見えるけど、どこか愛嬌があった😬

 戯曲と違って、どのようにも解釈できる最後の演出は秀逸で、鹿が役割を終えたように、角と前足を外して眠りにつくラストが何かすごくよかったなー🎉

 

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