振付 ドゥルー・マコニー
出演 ダニエル・コリンズ/ティム・ホッジズ/レイチェル・マルドゥーン
https://www.youtube.com/watch?v=QPRP-ijwWP4
ロンドンOld Vic劇場で上演された、振付家ドゥルー・マコニー率いるダンスカンパニーの公演。マコニーはマシュー・ボーンのカンパニーでダンスのキャリアを積んだそうで、ミュージカル「オクラホマ」「シカゴ」など多数のイギリス版の振付を手がけ、「イン・ザ・ハイツ」ではオリヴィエ賞を受賞という🎊売れっ子振付家らしい。
本作品は二重人格を題材にしたスティーヴンソン「ジキル博士とハイド氏」(1886年)の翻案モノ。ここではダンス・スリラーとなっていて、完全にダンス作品だけど芝居要素も多いです。設定は1950年代。
(長いあらすじ💦)花屋を営むジキルは枯れ草に花を咲かせる薬品を考案中。うっかり自分の指を傷つけてしまい、試しにその血を混ぜたところ秘薬が完成㊗️ それを散布すると色鮮やかな花が次々と咲き、お店は大繁盛。でもそれを吸ってしまった彼は、自分の中の野獣性=性と暴力への欲望が解き放たれ、不器用な好青年ジキルがマッチョでセクシーなハイドにヘンシ〜ン😎
ジキル本人は、一目惚れしたダリアとの交際が少しずつ進展するも、夜になると禁断症状が出て秘薬を飲み、ハイドになって夜の街へ。ハイドに変わると別の女性を求めちゃうし😆 ダリアに横恋慕する男を殺したのをきっかけに、殺人に快感を覚えてしまう😓 やがて制御が効かなくなって勝手にハイドになるわ、次々と人を手にかけるわ……😩 ジキルは次第にハイドに支配されていき、真実を知ったダリアを(ハイドに変身していないのに)思わず殺してしまう💥 我に返ったジキルの幻影の中にハイドが現れ、ジキルはハイド刺し殺すんだけど、もちろん自分自身を刺したのであって、最後はダリアの遺体に寄り添って死にます😞
舞台は中央からパーテーションで3つほどのスペースに分けられ、パーテーションを回してシーン転換。19世紀末感のある暗く重いセットデザインです。ダンスパートの音楽は50年代のジャズやロック風で楽しく、アンサンブルのダンスはなかなか良かった👍 ナラティヴの見せ方や振付がボーンっぽい時があるかも😊
ジキルを踊ったダニエル・コリンズは、ダリアに求愛するシャイな動きやぎこちないガニ股風踊りなど、気が弱そうなジキルのコミカルな表現がうまい一方、一人になって幸福感を表すときはキレッキレのダンスを見せます✨ ジキルとダリアがジャズに乗って踊る最後のPDDはロマンティックで美しかった。ジキルのオルターエゴである邪悪なハイドを演じたのはティム・ホッジズ。筋肉質のボディで荒々しく踊る姿はパワフルで力強い👏
初めてジキルがハイドに変わるのは、ジキルがシャワーを浴びている時。ガラス張りのシャワーキューブの中にいるジキルの背後からハイドが現れて絡み合い、ハイドがシャワーキューブからすっ裸(タオルで前を隠している)で出てくる😳という「ターミネーター」1作目のシュワちゃんみたいで、とてもエロティックでした〜😍
ただ、ジキルとハイドの絡みダンスは少なくて、それが残念⤵️ 最後にジキルがハイドを排除しようとする心理的葛藤シーンも、ダンスは控えめで主として演劇表現だったな。
作品の方も、翻案モノとしては面白いけど展開は割と表面的。ストーリーを追っていく感じで、登場人物の心理描写は少ないのね🌀 ジキルとハイドの対決(抽象描写)とか、ジキルの深い苦悩とか、増していくジキルの悪への渇望とか、ダリアがジキルとハイドの間で葛藤するとか、その辺りがもう少し丁寧に描かれていると感動を味わえたかも。