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浅草寺  裏手

浅草寺裏手にあった「宮戸座」は

首都随一の芝居小屋だった





↓こちらにレビューを書いてみました。


志賀直哉と里見弴―――
―――同性の愛慾と葛藤(6)




里見弴と4歳年上の志賀直哉との同性愛


1910年2月、の次兄壬生馬が

7年間の絵画修行から帰国、

ところが直哉らに世話を託していた情婦とは

もう結婚する気はないと言う。

婚約破棄の話を進めながら

華族の娘との縁談を急ぐ壬生馬

 

直哉『白樺』同人らは

壬生馬の持ち帰ったロダンはじめとする

美術展の開催、錚々たる名士を集めての

結婚披露パーティーの準備に奔走しつつ

内心は深い疑問を抱く。

 

直哉は大学に行かなくなり、

昼夜わかたず東京の街を彷徨する

遊蕩の日々

ある日、府のゴミ焼き場で一人の乞食が

わけのわからない異様な踊りを踊っている

のを見て感動する。

野次馬の揶揄も批評も無視して

ひたすら踊りつづける乞食に

自己の内部にのみ向おうとする

痛快なものを感じたのだ。

 

漱石『それから』が人々の心を奪っていた。

 

大逆事件朝鮮併合の年

帝国主義列強として繁栄しようとする社会

性欲も食欲も物欲も、領土慾も

すべての欲望を満足させられ

何ひとつ満たされず追い立てられるように

走りつづける焦燥の人びと

 

「成長」、「教養」、地位、学歴に背を向けて

《同性》の結合と精神的「化学作用」

形にならないものを求めて反発しあう二人

分裂する『白樺』同人たち

 

《文学》はかれらに破滅をもたらすのか

破滅でないとすれば

どんなものをもたらすのか

 

 


    パリの街灯