Confront_Dawn_Over

クトゥルフ神話TRPGオリジナルシナリオっス!

ステンドドレスの続編になるっス!

推奨人数:2人
プレイ時間:ボイセ7時間
時代背景:現代日本
KP難易度:★★★★☆
PL難易度:★★★★☆
システム:オープン

<説明>

「⇒」の右に書かれた内容はトリガーっス
トリガーが発生したら次の行の内容で処理するっス
処理内容の範囲はインデントで表現してるっス

 

1     あらすじ(KP向け)

四十八坂芒から探索者へ、もうすぐ黒山殊音が誕生日を迎えるので話を聞いて欲しいと話を振られます。

そこで探索者は黒山殊音は魔女に関するオカルト作家をしているため、魔術について痕跡の残る朔夜島に招待し表彰される話を聞きます。そこで良ければ探索者に同伴しないかと伺い、同意します。

黒山殊音と探索者は朔夜島に向かい、歓迎を受けます。表彰は日付が変わる深夜。それまで島で魔女(久代香々美)と呼ばれる女性が案内します。島には巨塔があり、そこでは島を一望できます。日付が変わる頃に森の中へと案内されるとそこには祭壇があります。時間になるとそこで黒山殊音が表彰されます。

すると村長が宙に浮かび、次の瞬間には握り潰されるようにして死亡ます。同様にして表彰を見に来た観客も次々と犠牲に合い、その血は黒山殊音に注がれます。そして同時に返り血によって人のような形が空間に浮かび上がります。その赤い人影は黒山殊音に対して呪文を行います。黒山殊音は徐々に意識を何かに奪われていき自意識を失っていきます。

魔女は探索者に黒山殊音に何をされたのか調査するように指示します。そして同時に村の協力が得られるよう、魔女が首から下げている黒い石版と白い石版のうち、黒い石版を手渡します。黒い石版には鏡が嵌められており、鏡にはおよそ半日前の昼間の様子が映し出されます。

村長の家で鏡を使って昼間の様子を確認すると他の魔術について研究している人物、酒部と向井の存在が明らかになります。酒部のみ住所が書かれている為、探索者は向かいます。

酒部の家に行くと既に亡くなっています。日記を見ると向井と昼間に一枚岩の前で会う約束を取り付けていたことが分かります。また、鏡を使って昼間の様子を確認すると赤い人影が《森の女神の招来》と《森の女神の退散》の呪文が書かれた覚書を持って行ったことが分かり、同時に探索者は黒山殊音に対して《森の女神の招来》が行われたことを知ります。

一枚岩の前に行き、鏡を使って昼間の様子を確認すると女性(向井桜)が待っており、待ちくたびれたのか森の方へと歩んでいく様子が見えます。探索者はそれを見ながら後を追いかける道中で、再び赤い人影が現れ、目の前に瀕死の山羊が投げ込まれます。黒山殊音は瀕死の山羊に触れると大木のような山羊の化け物へと変貌します。山羊の化け物は赤い人影を抑え込み、時間を稼ぎ、その間に探索者達は鏡の中の向井の後を追います。

向井の後を追うと入り組んだ洞窟に繋がっており、洞窟に入ると声が聞こえます。そこで《森の女神の招来》を行われた黒山殊音を助けたいことを伝えると洞窟を案内され、礼拝堂に辿り着きます。礼拝堂には数人の男がおり、奥の教壇に佇む向井が迎えます。

礼拝堂には別室があり黒山殊音はそこへ案内されます。探索者は礼拝堂で向井から招来や退散の魔術について話をします。そして向井は探索者から退散の呪文の書かれた覚書が赤い人影に奪われたことを探索者から聞くと、同じ礼拝堂にいる男達に赤い人影を探しに行かせます。

別室に行くと黒山殊音は向井の日誌、《黄衣の王の招来》と《黄衣の王の退散》が書かれた魔道書を読んでおり、探索者に読み聞かせます。

話を聞き終えると礼拝堂に赤い人影が現れ、向井と男達が戦います。一見向井達が有利に思えますが、赤い人影は赤い怪物の姿へと変貌し、戦況はひっくり返り敗戦します。

赤い怪物は魔道書と黒山殊音を探します。探索者と黒山殊音は別室の本棚が隠し部屋の入口になっており、そこに隠れます。すると礼拝堂側から向井と同じ格好をした黒山殊音が現れます。赤い怪物はその黒山殊音を連れ帰ります。

痕跡を追うと魔女の家の地下に辿り着きます。地下には先ほどの向井と同じ格好をした黒山殊音が気絶していることに気が付きます。すると地上から地下へと魔女が降りてきて、黒山殊音を魔術で気絶させ、赤い怪物に連れて行くように命じます。魔女は健忘症を患っており、過去の自分の日記を読むことで寝るまでの間は全てにして一つのものを招来する使命があることを思い出すことを話します。

魔女と戦闘になりますが、魔女は白い石版の鏡に映る少し先の未来を見ており、全ての攻撃を回避、受け流します。そして黒山殊音にしたように魔術で気絶させられます。

暫くして目が覚めると地下への入り口が閉まっています。向井と同じ格好をした黒山殊音は酷く落ち込んでおり、話すと向井は“ドッペルゲンガーと禁断の果実”で会ったドッペルゲンガーということを明かします。そして黒山殊音を一緒に助けに行こうと言うと立ち直ります。

地下では《全てにして一つのものの退散》が記された魔道書、魔女が島の巨塔で森の女神の化身となった黒山殊音を生贄に《全てにして一つのものの招来》を行おうとしていることを知ります。また、過去を見る事で《森の女神の退散》が記された魔道書を確認することができます。

探索者達は巨塔へ向かいますが道中でドッペルゲンガーは辿り着いたら自分に対して《黄衣の王の招来》を行って欲しいとお願いします。

巨塔の屋上へ辿り着くと既に全てにして一つのものの招来は完了しており、黒山殊音へ触手を伸ばします。黒山殊音は赤い怪物に抑えられて動けません。そして魔女が再び探索者の前に立ちはだかり、戦闘になります。

探索者はドッペルゲンガーに《黄衣の王の招来》を行うと、ドッペルゲンガーは黄衣の王の姿となって赤い怪物の相手をし、黒山殊音の解放に成功します。魔女は再び探索者の気絶を狙いますが、《全てにして一つのものの招来》で体力を使っており、徐々に動きが悪くなり攻撃を与えることができるようになります。途中、全てにして一つのものの攻撃が探索者を襲いますが、未来を映す鏡を盗み見ることができれば予め避けることができます。魔女から白い石版を奪うことで無力化し、同時に赤い怪物をドッペルゲンガーが倒します。

全てにして一つのものは黒山殊音を奪おうと行動が激化しますがドッペルゲンガーが身を挺して守り、退散の呪文をするまでの時間を稼ぎます。探索者は《全てにして一つのものの退散》《森の女神の退散》《黄衣の王の退散》を行おうとしますが全てを100%成功させるにはどうしてもMPが足りません。黒い石版の鏡で過去を見ると探索者が映っており、MPがもう1人分増えている感覚に気が付きます。同様に白い石版の鏡で未来を見ると探索者が映っており、MPが更に1人分増えている感覚に気が付きます。しかしそれでもまだ100%とはいきません。黒い石版の鏡と白い石版の鏡を使って合わせ鏡にすることで探索者はMPが無尽蔵に満ちる感覚を覚え100%成功させることができるようになります。

退散の呪文を全て成功させた探索者ですが、ドッペルゲンガーは《黄衣の王の招来》の影響により身体は黄衣の王の姿から元に戻りません。そこで黒山殊音が《森の女神の招来》の影響によって得た、人に変える呪いをドッペルゲンガーに施し、人間に変えます。

黒山殊音の家へと戻り、四十八坂芒を交えて黒山殊音とドッペルゲンガーの誕生日を祝います。

2     募集要項

推奨人数:2人(もしくは3人)

プレイ時間:ボイセ6時間(途中に長めの休憩を推奨)

時代背景:現代日本

シナリオ:オープン

ロストの可能性:かなり高め

必須技能:戦闘技能

推奨技能:<目星>、<回避>または<跳躍>

戦闘:あり

PLの条件:「ステンドドレス」シナリオを終えた探索者

更にその探索者の同僚、友人(ロストしていた場合)。

紹介文:四十八坂芒から黒山殊音にサプライズをしたいのでこっそり調べて欲しいとお願いされます。

補足:リアルINT要素あり

3     登場人物

3.1     四十八坂 芒(よそやさか すすき)

関係:今回の依頼者。

性別:女性 年齢:20 職業:ミュージシャン

HP:15 MP:15 SAN:75 ダメージボーナス:0

STR:8 DEX:15 INT:16 CON:15 APP:17 POW:15 SIZ:15 EDU:15

アイディア:80 幸運:40 知識:75

技能:<応急手当>65 <聞き耳>85 <芸術(音楽)>85 <信用>65 <精神分析>50 <跳躍>70 <投擲>70 <他の言語(英語)>70 <目星>70

3.2     黒山 殊音(くろやま ことね)

関係:今回の依頼者(四十八坂 芒)の友人。

性別:女性 年齢:20 職業:魔女を愛してやまないオカルト作家

HP:12 MP:8 SAN:40 ダメージボーナス:0

STR:7 DEX:5 INT:11 CON:10 APP:17 POW:8 SIZ:13 EDU:20

アイディア:55 幸運:40 知識:99

技能:<運転(自動車)>50 <オカルト>80 <芸術(文才)>83 <芸術(演技)>70 <精神分析>50 <図書館>90 <他の言語(英語)>50 <他の言語(ラテン語)>50 <目星>80

3.3     久代 香々美(くしろ かがみ)

関係:朔夜村の魔女。

性別:女性 年齢:35 職業:魔女

HP:13 MP:18 SAN:0 ダメージボーナス:0

STR:10 DEX:14 INT:18 CON:13 APP:14 POW:18 SIZ:13 EDU:20

アイディア:90 幸運:90 知識:99

技能:指定なし

呪文:《ヨグ=ソトースのこぶし P.291》

コスト:正気度1D6+任意MP。消費MP回×1D6で出た値(STR扱い)と対象の[CON+STR]対抗。対抗に負ければ意識不明に加えて、ヨグ=ソトースのこぶしSTR-対象のSIZ/3メートル飛ばされる。失敗すれば飛ばされるだけ。9メートル離れると1D6分ヨグ=ソトースのこぶしSTRが減る。

その他:MP補強用のアーティファクト(ローブ等)を纏っているため、負けイベント時のMPは遠慮なしに使える。※次の最終戦時にはMP補強用のアーティファクトのMPは空とする。

3.4     赤い人(ヨグ=ソトースの息子)

関係:朔夜村の怪物。

HP:37 MP:- SAN:- ダメージボーナス:2D6

STR:24 DEX:15 INT:18 CON:55 APP:- POW:24 SIZ:18 EDU:-

アイディア:90 幸運:- 知識:-

武器:こぶし75% 1D3+db。掴んで吸う100% 1D6(次ラウンド1D10追加)

装甲:魔力を帯びたもの以外無効。魔力を付与された武器の最小ダメージ。

技能:<図書館>75

SANチェック:不可視時1/1D8。吸血によって人の姿として可視時1/1D6。吸血によって怪物の姿として可視時1D8/3D10。

3.5     向井 桜(むかい さくら)※『ドッペルゲンガーと禁断の果実』時に付けられた名前をここでは「イエロー」として記載

関係:黒山 殊音のドッペルゲンガー。教祖によって創られた原ショゴス。現在は島の元住人である「向井 桜」に成り代わっている。

性別:女性 年齢:20 職業:なし

HP:17 MP:- SAN:- ダメージボーナス:3D6

STR:43 DEX:15 INT:16 CON:25 APP:17 POW:20 SIZ:13 EDU:10

アイディア:80 幸運:100 知識:50

武器:蝕肢50% [DB×1] ダメージ。噛み付き25% [1/2DB] ダメージ。(通常原ショゴスが持っている「押し潰し100% [DB×2]ダメージ」は人間サイズの為使わない)。タッチ85% 死or1D10→STRorSIZに加算

装甲:なし。1ラウンド毎にHP2回復。

技能:なし。

SANチェック:1/1D10。

3.6     赤い怪物※赤い人の変身(ヨグ=ソトースの息子)

HP:49 MP:- SAN:- ダメージボーナス:4D6

STR:40 DEX:21 INT:18 CON:55 APP:- POW:24 SIZ:42 EDU:-

アイディア:90 幸運:- 知識:-

武器:こぶし75% 1D3+db。掴んで吸う100% 1D6(次ラウンド1D10追加)

装甲:魔力を帯びたもの以外無効。魔力を付与された武器の最小ダメージ。

技能:<図書館>75

SANチェック:不可視時1/1D8。吸血によって人の姿として可視時1/1D6。吸血によって怪物の姿として可視時1D8/3D10。

3.7     名状し難い憑依者※向井 桜の変身

性別:女性 年齢:20 職業:なし

HP:17 MP:- SAN:- ダメージボーナス:3D6

STR:43 DEX:15 INT:16 CON:25 APP:17 POW:20 SIZ:13 EDU:10

アイディア:80 幸運:100 知識:50

武器:タッチ85% 死or1D10→STRorSIZに加算。

装甲:6(鱗とゴム状の皮膚)

技能:なし。

SANチェック:1/1D10。

4     マップ

4.1     朔夜島(プレイヤー向け)

4.2     朔夜島(KP向け)

5     アイテム

5.1     黒山殊音のお呪い

歪な円に切り取られた古木に五芒星のようなマークが描かれています。
※マークは下の画像になります。

5.2     黒い石版

およそ半日前の過去を映し出す鏡が嵌め込まれている。

5.3     白い石版

ほんの少し先の未来を映し出す鏡が嵌め込まれている。

6     導入

探索者の元に四十八坂芒から電話が入ります。

四十八坂芒「もうすぐ黒山殊音の誕生日なんだけどさ、折角だからサプライズしたいな~と思ってて。良かったら私の代わりに殊音に何か良い事とか最近ハマってることとかあるか聞いてくれない?サプライズだから誕生日の為にっていうのはバレないようにこっそりと!探偵なんだしそういうの得意でしょ?」

※KP向け:探索者は黒山殊音の家に様子を見に行ってもらう。

探索者が黒山殊音の家に辿り着くと同時に後ろから声を掛けられる。

黒山殊音「あれ?探索者さんではないですか?調度良かった。実はファンの方から大量に食べ物を頂いてしまって。良ろしかったら家で食べて行きませんか?」

黒山殊音はリビングへ誘います。

椅子に促すと中に白い液体の入ったコップをテーブルの上に置きます。

黒山殊音「飲み物はこれでも良いかしら?好き嫌いあると思うので苦手だったら残しても構いませんよ。」

そう言って置かれたのはミルクです。

⇒飲んだ場合

雑味が多く濃厚な味が舌を刺激します。そしてすぐに若干の独特の青臭さが鼻を通り、牛乳ではないことが分かります。

黒山殊音「山羊から取ったお乳なんですって。私も初めはビックリしましたけど慣れると癖になりますよ。」

黒山殊音は次々と料理を持ってきてはテーブルの上に並べていきます。

黒山殊音「こちらが骨付きラム肉の香草焼きで、これは山羊味噌煮込みです。箸休めに山羊汁、あと先ほどのミルクが好きでしたらこちらの山羊のお刺身もきっと好きだと思います。これは山羊のお乳から作られた最古のチーズと言われるシェーブルチーズ(セル・シュール・セル)といってそのまま食べても良いですし、パンに乗せても美味しいですよ。」

と黒山殊音は矢継ぎ早に説明しながら次々とテーブルに並べ、見事な山羊料理尽くしパーティ状態になります。

黒山殊音「まだまだ沢山あるので、おかわりが欲しかったら言ってくださいね。」

⇒山羊が好きなのか、何故こんなに山羊尽くしなのか聞かれた場合

黒山殊音「私も初めて食べた時はあまり好きではなかったんですけどね、段々癖になってきてしまって、最近は山羊にハマってますって取材で話したら、とある島の村長さんが沢山送ってくれるようになったんですよ。」

⇒良いことがあったか、村について聞かれた場合

黒山殊音「これを送って頂いた村長さんの村に魔女っていうお仕事をしている人が居るらしくて、村ぐるみで私のファンが占めてるって言って頂けてるんですよ。
そうそう、実は今度、その村で私を魔女に最も貢献した人として表彰したいからってお誘いを頂いてるんですよ~。」

⇒魔女について

黒山殊音「会ったことはありませんが、海外でもサンタさんってお仕事してる方がいますし、同じように魔女という仕事をしてるのだと思います。私は小さいときから魔女になりたいって願望があるので羨ましいなって思います。」

⇒一通り話終えた

黒山殊音「もし興味があるなら同行しますか?」

すると探索者の電話が鳴り、四十八坂芒からの着信だということが分かります。

四十八坂芒「ねえ、何か分かった?」

⇒山羊にハマってることを話す

四十八坂芒「へえ~、山羊が好きなんだ!山羊ってモコモコしてて可愛いよね!」

⇒羊とツッコミいれられたら

四十八坂芒「山羊と羊って違うの!?」

四十八坂芒「他には何かない?」

⇒今度表彰されることを話す

四十八坂芒「それはめでたい!」

四十八坂芒「良い話聞けたよ!お陰で良いサプライズが思いつきそうだよ、ありがとう!」

⇒黒山殊音に同行させて貰う

黒山殊音「本当ですか!実は一緒に祝ってくれる知人がいないのちょっぴり寂しかったんですよね。」

⇒四十八坂芒を誘わないのか聞かれた場合

黒山殊音「芒ちゃんは歌で忙しいみたいだし、それに今が頑張り時だと思うから邪魔したくないしね。」

黒山殊音が「そうだ!」と言って紙を取り出し“呪い”と書きだします。

黒山殊音「探索者はこれをなんて読みますか?」

⇒“のろい“と読む

黒山殊音「普通はそう読みますよね」

⇒“まじない”と読む

黒山殊音「あ!私と同じタイプですね!」

黒山殊音「“のろい“は見えない何かを使って害を与えようとすること。」

黒山殊音「“まじない“は見えない何かを使って災いを取り除こうとすること。」

黒山殊音「私はこれを“まじない”と呼べる魔女になりたいなって思ってるの。」

黒山殊音は書斎に一度入るとガサゴソと何かを漁る音がし、手を後ろにしたまま出てきます。

黒山殊音「それでね、私なりにおまじないを掛けたお守りを作ってみたんです。良かったら、貰ってくれませんか?」

探索者の前に差し出されたそれは、歪な円に切り取られた古木に五芒星のようなマークが描かれています。

⇒貰う場合

黒山殊音「この人を護ってあげてね」

黒山殊音はおまもりに向けて一言添えると嬉しそうに微笑み手渡します。

⇒貰わない場合

黒山殊音は悲しそうな表情を見せ、書斎の部屋へと置きにいきます。

雑談を交えての話を終えて後日また会う約束をします。

⇒準備しておきたいことがあれば申請してもらう。

KP判断で問題なければ受入れる。

⇒行先の島について調べる場合

『昔は大きな島が3つと小さな島が6つからなる諸島であったが、火山活動によってそれらが繋がり現在の1つの島になったと言われている。その火山活動によって多くは失ったものの、島に伝わる古い伝承や文献、人工遺物(オーパーツ)といった歴史的価値のあるものが見られ、特に魔術について盛んであった痕跡が残っている。』ということが分かります。

7     朔夜島

後日のお昼くらいに黒山殊音と連絡を取り合って決めたフェリー乗り場で黒山殊音と再開します。

黒山殊音「皆さんこちらです!この船に乗って島まで行きますよ!到着は夕方頃になりますからゆっくり船旅を楽しみましょう。」

空は微かに夕日色に染まり始め、朔夜島のフェリー乗り場に到着します。

下船すると『黒山殊音さんいらっしゃい』と大きく書かれた大弾幕が張られ、老若男女島民が集まっており、その中心に老人と魔女らしい格好をした女性が立っているのが見えます。黒山殊音は迷わずにその団体の方へ歩いて行きます。

黒山殊音「こんばんわ、お迎えして頂いてありがとうございます。」

魔女「こんばんわ、黒山殊音様、お会いできて嬉しいわ。私は魔女を務めさせてもらっている久代 香々美(くしろ かがみ)よ。こちらが村長よ。」

老人「おお!黒山殊音様、お会いできて光栄ですじゃ!儂が朔夜村の村長じゃ!」

魔女「私がこの村の案内を務めさせてもらうわね。」

子供達が一斉に「黒山先生サインくださいー!」と群がります。

黒山殊音はそれに応えながら「魔女さんって魔術とか使えるんですか?」

魔女「ふふふ、魔術は秘術だから使えるかどうかも教えられないわ。」

魔女「表彰式は深夜24時になってからの予定よ。黒山さんには準備もあるから少し早めに会場へ向かって頂くことになるわね。」

魔女「まだ表彰式には早いですし、この島全体が見渡せる塔があるのだけど、宜しければ登ってみないかしら?そこから見る景色は絶景よ。」

そう言われて見渡してみると高くそびえ立つ白い巨塔があるのに気が付きます。

⇒断られた場合

※黒山殊音を使って「行ってみましょうよ」と引っ張っていく。

7.1     巨塔(銀の黄昏)

魔女「太陽が沈んだ後の黄昏時になるとこの巨塔が際立つようになるのよ。皆はその瞬間を『銀の黄昏』と呼んでいるわ。」

等と説明を受けながら、魔女に連れられて巨塔の麓まで来ると鉄骨鉄筋コンクリート製に銀色の塗装が使われた近代的な建造物だということが分かります。

魔女「これは最近になって観光用に造られたものなのよ。エレベータもついているし気軽に楽しめるようになっているわ。」

中に入ると島の地図の書かれたパンフレットが置かれており、魔女が手渡します。

エレベータに乗るとあっという間に最上階へ上り辿り着きます。最上階のフロアには更に上へ続く階段とドアがあり、魔女は「こちらへ」と招きます。

ドアを抜けると屋根のない空間が広がり、そこは塔の屋上でした。

屋上の周りには手すりだけが付いており、時折風が探索者達の横を通り抜けます。そこからみる景色は自然に満ちた緑の島、そして太陽が調度海の向こうへと沈む瞬間に立ち会います。

魔女「この島の色、匂い、音、空気を余すことなく感じられないかしら?ガラス越しでは味わえないわ。」

※KP向け:RPタイミング

五感を研ぎ澄ますように景色を楽しんでいると、探索者は何処からか分かりませんが強い視線を感じます。

周りを見回してもそれぞれが景色を楽しんでおり、視線がこちらに向いているといったことはありません。

※KP向け:未来世の自分が覗き込んでいるという描写

それにも関わらず、まるですぐそこに誰かがいるような感覚を覚えますがやはり誰も見ているような人はいません。気のせいと思いたくても無視できず不安感が募り襲い掛かります。SANチェック(0/1)とMPが-1されます。

魔女「そろそろ村の方へ向かいましょうか。そろそろ夜の露店が始まる頃ね。」

魔女を筆頭に一行は下まで降ります。

外に出て振り返ると巨塔は赤い黄昏を背景に怪しげに銀に光っているように見えます。

魔女は村へと歩いて案内します。

8     朔夜村

村に辿り着く頃には空はすっかり暗くなっています。空を見上げると今夜は新月で、一層に暗さを増しているのだということが分かります。村の至る所に張り巡らされた架線に連なるランプの明かりだけが辺りを照らします。

村の中心部へ進むと広場があり、祭り騒ぎで露店等が立ち並び、賑やかな光景が広がります。そして広場の奥には暗い森へと続く道が見えます。

魔女「時間までは色々見て回っては如何かしら、黒山さんも同伴の方も遠慮しないで楽しんで貰えたら島民の皆も喜ぶわ。」

黒山殊音「え!?本当ですか!?是非見てまわりたいです!!」

魔女「私は後を着いていくから自由に行動していいわよ。」

黒山殊音「わー!楽しみです!」

露店を見てみると乾燥マンドラゴラの野菜スープ、ユニコーンの角を煎じた薬、妖精の涙を集めた聖水といった如何にも怪しげな商品ばかりの素晴らしい品揃えに黒山殊音は目が輝き、はしゃぎ出します。

黒山殊音「すごいすごい!わー!あっちのお店でイモリの黒焼き作って販売してるよ!!」

黒山殊音「あそこにあるのフェニックスの羽根で作った羽ペンだって!!」

黒山殊音「『黒猫でも分かる。はじめての魔女入門』って本がある!これ私も買ったなぁ~!」

⇒魔女と話す機会がない場合

軽い休憩スペースの置かれた露店があり、店主の老人が話しかけてきます。

老人「折角じゃからお茶でも飲んでいかんかの。」

老人「これは魔女の御茶と書いて魔っ茶(抹茶)っちゅう村の名産品なんじゃよ。」

粉末を大き目の器に入れるとお湯を注ぎ軽快な音を立てながら混ぜて前に差し出します。

老人「遠慮せずにどうぞじゃよ」

見た目は真緑で良くかき混ぜられているのか、抹茶は沈むことがなく、とても濃度の高い抹茶に見えます。

⇒飲んだ場合

エグ味が強くとても飲めるような代物ではないことが分かります。

黒山殊音は迷わずに飲み干します。

黒山殊音「この禍々しい色合い!そしてこの毒々しいまでのエグ味!これは…魔女釜を再現されていますね!!?抹茶でこれ程再現してみせるとは、まさに名産と言わざるを得ません!!」

老人はその感想を聞くと大きく頷きそうじゃろそうじゃろ!と喜びながら御代わりを勧めます。

※黒山殊音から魔女へ質問する

⇒魔女について聞かれた場合

魔女「この島に伝わる伝承では『厚く深い霧に包まれ光も届かぬ闇のなかに浮かぶ島に魔女が現れ、霧を払い豊穣をもたらした』と言われているわ。
その魔女が現れた日が新月と云われていてね、それに因んでこの島ではこの時期の新月に合わせて豊穣を感謝するお祭りがあるのよ。そこで特別ゲストとして黒山殊音さんを是非招待したいわね、となったのよ。」

⇒他にないか、名物について聞かれた

魔女「実はこの島は元々大きな島が3つと小さな島が6つだったとされているのだけど、『霧を払った魔女は再び霧に飲まれぬように、9つの島にそれぞれ魔術を施した大きな岩を並べて結び、9つの島の力を使って結界を施した。』と云われているわ。実際にこの島には9つの巨大な一枚岩が置かれているのよ。昔の技術ではどうやったのか考えられない、所謂オーパーツってやつね。」

⇒名物(山羊)について

魔女「この島の名物とも言える山羊についても逸話があってね、『魔女が連れてきた最初の生物が樹木のような山羊だった』と伝承が残っていて、崖ばかりだったであろうこの島で生き残れたのが山羊だったから後付けで加えられたと考える人もいれば、昔の人は山羊の角が樹に見えたのではないかと推測する人もいるわ。」

⇒会話終了

そうこう堪能していると時間はあっという間に過ぎ、約束の時間が近づいてきました。

魔女「そろそろ時間なので向かって良いかしら?」

黒山殊音「ああ!もうこんな時間~!もっと見て回りたかったなぁ~。」

魔女「楽しんで頂けたみたいで嬉しいわ」

そういうと魔女は広場の奥の森へと続く道へ案内します。

9     森の祭壇

魔女の案内で森の中へと続く道を進んでいきます。辺りは先程とはうって変わって暗く静まり返っています。

暫く歩いていくと松明で照らされた、大きなピラミッド状の祭壇のような建築物が見えます。祭壇の上には様々な野菜や果物、ブロック状のお肉が祀られているのが分かります。

魔女「村長さん、黒山さんを連れてきましたよ。」

村長「おお!黒山殊音様、お会いできて光栄ですじゃ!ワシが村長じゃ!初めて会った気がせんのう!」

魔女「村長さん、先ほど船着き場で会いましたよ。」

村長「おお、そうじゃったそうじゃった!」

魔女「ごめんなさいね。お年で少々ボケてきているところがあるのよ。」

村長「黒山殊音様、ではまずは全体のスケジュール確認からしましょうかのう!」

黒山殊音は返事をして村長に着いていきます。

魔女「黒山さんの同伴者の方は観覧席に案内するわ。」

階段上に詰まれた木製の観覧席に案内されます。ピラミッド状の祭壇に合わせて広くスペースが取られていて300人は座れそうです。

魔女「貴方達は黒山殊音さんとはどういった仲なのかしら?」

※RPポイント

⇒もし再度魔術について聞かれた場合

魔女「私は魔術に関わる伝承をしたためたり、貴重な物品の管理や調査といった活動をしていてね、魔術研究家と言えばいいのかしら。黒山さんの前では夢を壊してしまうから濁した言い方になってしまったわ。」

話しているうちに観覧席にぞろぞろと人が集まってあっという間に満席になります。

魔女「私も村長のところへ行くわね。」

10        祭典

観覧席に着いて暫くすると日付が変わり、祭壇の上に村長と魔女が登り挨拶をします。

村長「魔女様のお陰で豊作に恵まれ喜ばしい一年を越すことができましたのじゃ!」

そういって肉や魚、野菜が盛られた器を手渡します。

村長「来年もお恵みくださいですじゃ!」

村の伝統行事らしいやり取りを終えると

村長「今日は特別ゲストとして魔女を愛してやまないオカルト作家、黒山殊音さんが来てくださっているのじゃ!では黒山殊音さんどうぞですじゃ!」

黒山殊音は手をヒラヒラと振りながら登っていきます。

黒山殊音「日付が変わって今、誕生日を迎えました!私にとって念願の魔女さんと一緒にこの日この瞬間を迎えられたことが凄く嬉しいです!これも私を応援してくださる皆さんのお陰です!ありがとうございます!」

魔女「黒山殊音さんは魔女に関する本を多数出版されて、私自身もファンとして楽しませて貰ってるわ。これからもご活躍期待しているわ。」

黒山殊音と魔女が握手をし、温かな歓声に包まれます。

すると、その後ろで村長がふわりと空へと浮き初めます。

観覧席からは「村長が浮いてるー!今回のお祭りは凝ってるなー!」といった様々な反応の声が沸き上がります。

村長の身体がみるみる細く引き伸ばされていき、村長の顔が苦痛の色に染まっていくのが見え、観覧席からの声は段々と不安の色へと変わります。

そして村長から赤い何かが噴き出ます。村長の肉体が潰れるのは一瞬だった。まるでトマトを握り潰すかのように赤い血が辺り一面を塗らし、内臓が身体の外へ無造作に散らばり、肉はミンチ状にぶちまけられ、宙に浮く肉体は皮と骨の混ざりあった絞りカスの肉塊となっていた。SANチェック(1/1D3)

すぐ側にいた黒山殊音はへたり込み、肉塊は尚も宙を飛び勢いを増して魔女にぶつかります。ぶつかった魔女は肉塊ごと祭壇の外へと吹き飛ばされ、観覧席へと落ちて動かなくなります。

すると魔女が吹き飛ばされた先にいた大勢の観覧席の人間が次々と宙に浮き、寄せ集められた状態で祭壇の方へ飛んでいくのが見えます。

気が付けばそこかしこで人間が浮いては祭壇へ飛んでいき、探索者の周りの人達も浮いて次々と祭壇へと飛んで行きます。直ぐに会場の半数(200人)を優に越える人間がひとまとめとなって宙を浮く異様な光景と耳をつんざく阿鼻叫喚があがります。

それらは一斉に弾けるように潰れ、静寂と酷い鉄の臭いが探索者を襲います。SANチェック(1/1D4)

降り注ぐ血の中に人影のような輪郭が見え、姿は見えないが確かにそこに存在する。異様な存在がいることを知ってしまった探索者はSANチェック(1/1D8)

赤く血の滴る祭壇、その上で血に塗れた黒山殊音。黒山殊音の前に立つ赤い人影。

⇒声を掛ける場合

黒山殊音「腰が…抜けて立てません…。」

⇒向かう場合

大量の血に足を取られ、滑って上手く登ることができません。

赤い人影は黒山殊音の首を掴み掲げると静寂の中、酷くくぐもった声が赤い人影から聞こえます。その声は過去の経験から何かしらの呪文であることに気が付きます。

酷い不快感を覚えると同時に黒山殊音が胸を抑えて苦しみ出します。すると黒山殊音が全身に浴びた血が消えていきます。周囲の血液も重力を無視して黒山殊音の足元へ集まり、足元から胸の方へ這うように血が登ると消えていきます。

黒山殊音の周りに黒いモヤが発生します。それは松明から出た黒煙なのか、何かの影なのか。その黒いモヤは黒山殊音の胸の中へ吸い込まれるようにして消えていきます。

周囲の血がなくなると赤い人影の血も黒山殊音の胸の中へと吸い込まれ、人影の姿が見えなくなります。

黒山殊音の手は胸を抑える力がなくなり、だらりと垂れさがるとそのまま祭壇の床に倒れこみます。

11        黒山殊音の安否確認

⇒魔女の元へ行く

村人に肩を借りて起き上がります。

魔女「まずは黒山さんの容態を確認しましょう。」

ふらついた状態で祭壇の方へと歩いて行きます。

⇒黒山殊音の元へ行く

滑らないようにピラミッド状の祭壇を登って行くと倒れた黒山殊音が倒れています。呼吸をしており気を失っているということが分かります。

魔女「良かった。生きてるみたいね。」

⇒誰も起こそうとしなければ

魔女が黒山殊音をゆすり起こします。

黒山殊音「ひ…っ!?あ、ごめんなさい…。私、血に染まった誰かに捕まれて…それから…胸が苦しくって気を失っちゃったみたい…。」

⇒赤い人影について

魔女「あれは…ここ最近になって村に現れるようになった正体不明の怪物よ。誰も実体として姿を見たことはないわ。」

魔女「貴方達を怖がらせたくなくて、気分良く終わって帰って欲しくて伏せていたのだけど。こんなことになってしまってごめんなさいね。」

⇒黒山殊音について

魔女「私も見ていたけれど何が起きたのか分からないわ。」

魔女「途中から聞こえていた声は呪文のようにも聞こえたわ。もしかしたら魔術的なことをされた可能性が高いわね。」

魔女「残念ながら私は今回の事象について思い当たることはないわ」

魔女「この島で魔術について研究している人は多いから、もしかしたら今回の事象を知っている人がいるかもしれないわ」

魔女「貴方達は黒山殊音さんに何が起きたのかを調べて貰えないかしら?」

そういうと魔女は首から下げていた掌ほどのサイズの黒い石版と白い石版を取り出し、黒い方を手渡してきます。

魔女「貴方達に代々魔女が受け継いできた鏡を渡しておくわね。これは身分証明のようなもので、これがあれば村人は喜んで協力してくれるはずよ。」

魔女「私は怪物を探しに行くわね。他に被害が起こらないとも言えないし。」

そういって森の中へと入っていき、すぐに森で姿が見えなくなります。

⇒黒い石版を確認した場合

意匠の施された黒い石版に鏡らしきものが嵌められています。石版や鏡らしき部分には欠け落ちた部分とひび割れが目立ち、粗末に扱えばすぐに砕けてしまいそうだということが分かります。

鏡らしきものを覗き込んでみると探索者の姿が見えず、今いる場所の昼間の景色が映り込みます。

⇒村人に話しかける

村人「魔術について研究ですか。村長がその辺詳しいかったと思います。魔女をこの島の売りにしていましたから、魔女や魔術に関わる研究をしていた人とは特に親しくしていたみたいですから…。」

村人「村長の家ならそこの2階建ての家だよ。」

12        村長の家

村長の家に辿り着きます。二階建ての建物で、二階にあるベランダの窓辺からカーテンがはためいているのが見えます。

⇒普通に入ろうとした場合

玄関のドアや窓にはしっかり鍵が掛かっています。

⇒一階に侵入した場合

一般的な家具が置いてあり、特に変わったところはなく、二階の部屋へと続く階段があります。

⇒二階に侵入した場合

次の『二階の部屋』へ続く

12.1  二階の部屋

二階の部屋に入ると壁に飾られていたであろう賞状や写真は床に落ちてガラス片が散乱しています。更に本棚と作業机が見え、そこから抜け落ちた本や書類も床に散らばっています。作業机は引き出しが開けっ放しになっています。

⇒作業机

帳簿が見付かります。

⇒帳簿を調べる(<経理>か<法律>を振ってもらう)

※クトゥルフにちょっと詳しい人へ向けて、シナリオ背景的な意味でのフレーバー用。

⇒<経理>か<法律>に失敗した場合はここのみ

塔の建設費用を計算すると総計1000億円掛かっているのが分かります。更に東京タワーは当時の30億円(現代の300億円)、スカイツリーは650億円掛かっていることを思い出します。

⇒<経理>か<法律>に成功した場合は下記も追加情報

その1000億円もの出資元や委託先となっている『銀の〇〇商事』や『〇〇の黄昏建設工業』といった名前が多く見え、調べるとペーパーカンパニーであり、恐らく資金洗浄に使われたのではないかと思い当たることでしょう。

⇒引き出しに鏡を使う

部屋が荒れる前の状態で村長が手帳を取り出すところが写し出されます。鏡に映る村長はそのまま机の上に置くと魔術研究者と書かれたページを広げて確認している様子が写し出されます。

⇒鏡の中の手帳を見る

手帳には下記の内容が書かれています。

・久代 香々美(くしろ かがみ) 女性 住所×××
・酒部 太郎(さかべ たろう) 男性 住所×××
・向井 桜(むかい さくら) 女性 ←行方不明(6年前の日付)←発見(最近の日付)

探索者が確認した後のタイミングで村長は再び引出しに仕舞います。

⇒本棚に鏡を使う

鏡を覗くと荒らされる前の状態が写し出される。

⇒全ての本を本棚に戻す。

本一冊分のスペースが空いている。

⇒鏡の様子(全部揃っている状態)と比較すると何の本が抜けているか分かります。

本のタイトルには『研究日誌 久代 香々美』と書かれています。

⇒写真と賞状を調べる

村長と魔女の二人で写った写真や子供達に囲われた写真等、多くの写真があります。賞状も様々で特に一貫性のようなものはないように感じます。

⇒村長と魔女と男性と女性で写った写真を探す

写真に村長と魔女と他2人が一緒に写った写真が見付かります。

男性は老人で茶色いローブを纏っており、女性は眼鏡を掛けて黄色いローブを纏った若い女性です。

⇒祭典に居たかどうか

記憶を手繰る限りではこのような格好をした人物は思い当たりません。

13        酒部の家

玄関にドアがありますがドアノブがへし折れており、押せばドアが開きそうに見えます。

⇒中に入る

開けると酷く臭い空気が流れ出てきます。物音1つ聞こえず明かりもありません。

歩みを進めていくとギシギシと床が軋む音だけが部屋中に響きます。

⇒明かりを付ける

奥に机があり、傍らで老人が布団を掛けて寝ているのを見つけます。

⇒聞き耳成功

中に入ると微かに鉄と肉が腐った臭いがします。

⇒布団が掛かった状態で調べる場合

呼吸音や脈はなく冷たいことから亡くなっているのが分かります。

⇒机を調べる

机を調べると引き出しの中から日が飛び飛びになっている雑な日記が見つかります。

『×月×日(二年前)

魔術の痕跡の残るこの島で何があったのか。探求心だけで行っているこの研究は大した金にならない。研究費がもう底を着きそうだ。

×月△日

村長が研究を支援する団体が見つかったと言って大量の研究費が入った。

△月×日(一年半前)

村長は更なる資金を得る為に研究成果をくれないかと懇願してきたが、その時の村長の様子は金に目が眩んでいるようだった。ワシの研究は金の為の研究ではない。

△月△日

村長は別の研究者に依頼したようで、女性が研究成果を提出しに村長と島外へ向かったと聞いた。しかしその後、村長だけが戻り、この島を見回すことができる塔の建設が唐突に始まった。

女性は戻ってきていないらしい。

□月×日(半年前)

研究成果を提出しに行った女性が身籠って帰って来たらしい。既に産気づいており、すぐ病院へ運ばれたらしい。

しかし娘の出産中、何者かに襲われ、立ち会っていた医者達は殺されたと聞いた。幸い娘に危害はなかったものの意識は朦朧としており、子供の姿はなく誘拐を疑われたが行方が掴めていない。

□月△日

例の女性に会った。話してみると島を出たことも帰ってからのことも覚えていないようだ。記憶が抜け落ち、出産も含め、過去について何も思い出せないらしい。

女性の過去を思い出させるのに役立ちそうな研究日誌もなく、過去を意図的に奪われたようにも思える。他人と接することを拒んできたワシには、この女性に対して何もできることはない。

□月□日(一昨日日付)

呪文の存在は唐突過ぎてワシには理解が追いつけない。そういえばあの女性がその筋の呪文を熱心に研究をしていた。そう思い立ち、間者を通じて明日の昼過ぎに一枚岩の前で会う約束を取り付けた。』

⇒布団を取り払う

血色を失った紫色の身体から腹が無くなり大きな空洞ができています。内臓を失い御腹から見える背骨はそれが脳髄まで続いていると予感がする。背骨に光が当たった瞬間、カサカサと黒く素早い虫が骨を伝い奥から走り出ていくのが見え、布団の影へと消えていきます。SANチェック(0/1)

⇒鏡を使う

老人がドアを開けて辺りを見回しますが誰もいません。そのままドアを閉めようとすると老人の腹にまるで歯形のような穴が空き、血が噴き出てきます。その血は床に流れず何もないはずの空間へと伸びて行きます。

そのまま老人はベッドまで飛んで行き倒れると、腹の皮と肉が引き剥がれ、内臓が露出します。肉はぐちゃぐちゃに磨り潰され、血で流し込まれるように宙を移動します。血液が宙を巡回し人影のように見えます。

人影の頭とおぼしき部分は内臓をひとつひとつ丁寧に噛み千切って食べていく、肝臓…脾臓…腎臓…。老人は自分の内臓が引き抜かれていく様を見ながら弱々しく抵抗を続ける。そして最後に人影は心臓に齧りつくと老人は力を失い、そこでやっと生き絶えた。

脱力した肉塊は糞尿を撒き散らすのを見届けて、残り臓器の食道から大腸まで引きずり出すとそのまま麺を啜るようにして飲み込んだ。

老人は心臓を食われる瞬間まで抵抗し、生きていた。そこに少しでも生き長らえさせて新鮮な状態で召し上がろうとする理性を垣間見ることができるでしょう。SANチェック(1/1D6)

その後食事を終えた人影は部屋中の本棚や引き出しを漁り、一冊の黒塗りの手帳を持ち出し、ページをめくります。

手帳には『森の女神覚書』とタイトルが書かれています。

ページには次のような内容が書かれていた。

『研究の為に旅行先で森の女神を信仰している民族と出会った。私のところでは魔女が有名だと話をすると、彼らは森の女神と通じるところがあると言い、貴重な資料を読ませてくれた。

森の女神は豊穣の女神とされており、新月の日に闇の中から現れ、信者に恵みを与えたと云われている。大樹のような身体に山羊の蹄をもつ生物を使役していたようだ。

研究のために写本させてもらうことを許してくれた。』

更に人影がページをめくると『森の女神の招来と退散』という見出しが書かれており、《森の女神の招来》について文章と絵柄で記述されたページが続きます。要約すると次の内容が書かれています。

『《森の女神の招来》新月の暗い森の中で200人分の血液で祭壇を清め、依り代に呪文を唱える。依り代は血を吸い、血を力として森の女神を呼び寄せ定着させる。

依り代は力が足りず森の女神の定着に耐えられなければ死んでしまう。』

そこで人影は読むのを止めて本を閉じて持ち去ってしまいます。

14        魔女の家

木造とレンガが使われた和洋折衷(わようせっちゅう)の平屋が見えてきます。表には大きな切り株状のウッドプレートが立て掛けられてあり、そこには魔女の家と書かれています。

⇒家に入る

家に入ると魔女はおらず、生活用品の他に書物の積み上げられた作業机、様々な鉱石や書物が厳重に保管された棚があります。

⇒作業机を調べる

『研究日誌 久代 香々美』と書かれた本が見つかります。

⇒本を読む

『霧について地質学的にも火山活動が長期に渡って行われていたことが分かっており、火山ガスのことではないかと推測。しかし気象力学的に風に晒される位置に存在する為、ガスが島を囲うほど留まり続けることは難しい状況。もし太陽すら通さない程の濃霧が続き、空気が冷やされ島全体が極度の高気圧状態になったとすれば留まり続けることが可能かもしれない。(至って普通で魔術という言葉が見つからない真っ当な研究が続いている。)

 

≪△月×日(一年半前) ≫

支援団体に研究発表すると、支援団体から霧から現れた神の話を教えてくれた。

その神の名前は全てにして一つのものと言って全ての時間と全ての空間が交わる場所に存在するらしい。

支援団体では不老不死や時間渡航の研究しているとか、全てにして一つのものの研究を進めることで時間を克服する方法がないか探しているらしい。

私にも是非研究に参加して欲しいと言われ、私はもう少し霧から生まれたという神について知りたいと思い快諾した。

明日から参加、楽しみ。

※次のページを開くと、見開きいっぱいに乾いた血で言葉が殴り書きされています。

≪次のページ≫

閉じ込めるなんて聞いてない!

≪次のページ≫

この泡状の物は何なの!?

≪次のページ≫

出して!

≪次のページ≫

助けて!!

≪次のページ≫

泡状の物は何処に行ったの!?

≪次のページ≫

痛い痛い痛い痛い痛い痛い

いたいいたいいたいいたいいたいいたい

≪次のページ≫

なにをされたの?

≪次のページ≫

わたしはどうなるの?

≪次のページ≫

おしえて

≪次のページ≫

ひとりにしないで

≪次のページ≫

こわいこわいこわいこわいこわいこわい

たすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけて

こわいこわいこわいこわいこわいこわい

たすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけて

≪次のページ≫

しにたくないしにたくないしにたくないしにたくない

なんでもしますなんでもしますなんでもしますなんでもします

不安と焦燥に駆られた文字が最後のページまで続いています。
異常な心理状態を表す血文字のページを見た探索者はSANチェック(0/1)

⇒鏡の中の作業机を調べる

作業机に『研究日誌 久代 香々美』がなかったことが分かります。

15        一枚岩(モノリス)

そこには身長の倍はある大きな岩が置いてあります。岩は真ん中に亀裂が入っていて、山羊の蹄のようにも見えます。(一枚岩『牛の爪』参照)

⇒岩の表面を調べる

一見ただの岩に見えます。しかし長い年月が経っているはずなのに劣化は見えません。

⇒<地質学>に成功

岩の表面は何かでコーティングされているものと気が付きます。

⇒傷つけてみる

傷一つつけることができません。

⇒鏡を使う

眼鏡を掛けた黄色いローブを纏った女性が岩の前に立っています。

黄色いローブには不思議なマークが描かれています。そのマークはねじれ、渦を巻き、身悶えしているように見えます。

⇒黒山殊音のお守りを持っている場合

お守りが熱くなり、その熱で途中でハッと我に返ります。SANチェック(0/1D3)

⇒黒山殊音のお守りを持っていない場合

SANチェック(0/1D6)

⇒SANチェックで1以上減少した場合

※KP向け:眠る度にSANチェックを行い失敗したら1減少します。SANチェックに成功するまでこれは繰り返されます。

⇒酒部の家を調べ終わった場合

ため息を一つし、その後、そこから離れて森の方へ向かって行くのが見えます。

⇒着いていく場合

※次の「洞窟」に続く

16        洞窟

16.1  酒部とモノリスを調べ終わって洞窟へ向かっている最中にイベント発生

突然、探索者の後ろから何かが飛んできて目の前にドサッという音と同時に赤く染まった山羊が転がり込んできます。山羊はヒューヒューと喉笛を鳴らしています。

⇒後ろを振り向く場合

赤い人影が遠くからこちらに近付いてきているのがわかります。

(振り向いている間に)黒山殊音は目の前の山羊に駆け寄り「酷い…。」といって山羊に触れます。

山羊に黒山殊音が触れると、山羊の皮膚は鱗のような樹皮へと変わっていき、山羊の硬い角は蔓のようにしなやかに伸びていきます。山羊の首から頭にかけて、細い木が太い大木へと成長するのを早送りで見るかのように顔を巻き込んで高く高く成長していき、中央部には頭の面影のように大きな口が広がっています。SANチェック(1D3/1D10)

黒山殊音「何が起きたの!?」

大木の化物は「メエエー!」と鳴きながら黒山殊音に擦り寄り、礼をするかのように屈むと、赤い人影の方へと走っていきます。

大木の化物は赤い人影に蔓を巻き付けて動きを封じようとします。しかし赤い人影に蔓を巻き付けたにも関わらず少しずつ、ゆっくりと着実に探索者の方へと歩みを進めます。大木の化け物は赤い人影に押される形で少しずつ体勢が崩され、時折倒れそうになります。その度に大木の化物は山羊の形をした足の位置を直して踏ん張りますが、何度も倒れ掛けており、そう長くないうちに体勢が崩れて倒れこみそうであることが分かります。

探索者が離れていくと一際大きく「メエエー!」という鳴き声が聞こえます。

※以降は黒山殊音の意識はなくなり、森の女神としての意識に入れ替わります。

16.2  洞窟の中

洞窟の中は暗く先が見えません。

鏡に映る黄色いローブの女性は洞窟の中に入っていきますが、写っている洞窟も今と変わらず真っ暗で、入った後の姿を確認することはできません。

中に入ると分かれ道がいくつもあります。

⇒無理やり進む場合

三方向への分かれ道があります。(無限に分岐が続きます。)

洞窟に入ると女性の声が聞こえます。声は洞窟内を反響し何処から声がするのかわかりません。

向井桜「何をしにここに来たんです?」

向井桜「質問を変えます。どうしてここに居るんです?その黒山殊音さんに見える人は…何です?」

⇒説明不足

向井桜「私には黒山殊音さんの姿をした全く別の何かに感じます。」

向井桜「納得の行く理由がない限り、会うことはできません。」

⇒召喚の依り代にされたことを説明

向井桜「召喚の依り代に…それでは、本当に黒山殊音さんなのですね。」

向井桜「ご案内します。」

そういうと洞窟の中からランプを持った黄色いローブを着た男性が来ます。男性は洞窟を進んでいき無言で着いてくるのを確認すると歩いて行きます。着いていくと道の途中に土壁に見える扉があり、そこで立ち止まります。

※礼拝堂へ続く

17        礼拝堂

扉を開くとそこは礼拝堂のような部屋に出ます。部屋には長椅子があり数人の黄色のローブを纏った人間が座っています。奥にある教壇の前には黄色のローブを纏った刺青のある眼鏡の女性が立っており、入ってくるのに気付くと歩み寄ってくることに気が付きます。

向井桜「どうも、向井 桜(むかい さくら)です。」

向井桜「黒山殊音さんを別室に案内してください。この人達と話があります。」

先程案内していた男が無感情に歩き、黒山殊音の前に来ると手を引いてドアの向こうへと歩いて行きます。

⇒一人で行かせたくない場合

向井桜「心配でしたら一緒に行っても良いですよ。ただ1人は残って貰います。」

黒山殊音がドアの向こうへ入っていくと案内していた男が扉を閉め、扉の前に立ちます。

17.1  向井と話

⇒招来について

向井桜「招来は呼び掛けに対して神様の意思で来るので、まだ難しくはない方です。」

向井桜「招来には依り代といって神様の身体に当たる入れ物を用意して、神様の魂だけを呼び入れる方法があります。」

⇒退散について

向井桜「身体に宿った神様の魂を引き離して元の場所へ返します。神様が招来に喜んで応じていれば、相応の抵抗をしますから難しいです。」

向井桜「退散の呪文が成功したとしても、その身体に何らかの後遺症が残る可能性もあります。」

⇒依り代について

向井桜「依り代は何でも良いわけではありません。呼び出す神様によって相性があります。水の神様なら水を選ぶと相性が良く、無関係な岩を選べば相性が悪いです。」

⇒他の招来方法

向井桜「依り代を使わない…神様そのものを招来する方法です。」

向井桜「その方法は場合によっては招来の代償(コスト)がこの星のエネルギーだけでは賄えないかもしれません。」

向井桜「同格の神様をエネルギーと捉えて代償(コスト)に差し出すことができるのであれば、もしかしたら…。」

⇒黒山殊音の状態

向井桜「かなり危険な状態に感じます。」

向井桜「神様の魂は依り代の身体に定着しようとします。その時に黒山殊音さんの魂は身体から引き剥がされていきます。」

向井桜「神様の魂が定着し、黒山殊音さんの魂が身体から完全に引き剥がされてしまったら、身体は戻っても意識を取り戻すことはないです。」

⇒一枚岩の前に居た理由

向井桜「そういえばお昼過ぎに魔女に着いて調べてる酒部という名前のおじいさんと一枚岩の前で待ち合わせしてたんです。だけど来なかったです。良いものを手に入れたから見せてくれるっていってたんですけど…。」

⇒一通り聞き終わった

向井桜「今度は私から質問させてください。何で招来の依り代にされたと分かったんです?」

向井桜「物によってはもしかしたら退散の方法も書いてあるかもしれないです。」

⇒赤い人が魔導書を持っていったことを言う

向井桜「赤い人ですか。私の仲間も何人かやられてるので知ってます。」

向井桜「そういうことなら、私達に任せてください。」

そういうと礼拝堂に居た他の黄色いローブを被った人たちが立ち上がりぞろぞろと扉を出て行きます。

向井桜「見つかるまではここでゆっくりしていてください。」

向井桜「他に聞きたいことが見つかったらまた別室に私を呼んでください。」

⇒日誌について

向井桜「それを読んだんですね。どう思いましたか?」

⇒向井が本物の向井と思い込んでいる場合

向井桜「私は…何でもありません。そうですか。」

⇒目の前の向井は作られた人間orイエローと分かっている場合は次の17.1.1を参照

17.1.1    黄色いコートの女性(イエロー)と指摘された場合

イエロー(向井桜)「探索者さん、お久しぶりです。」

イエロー(向井桜)「蓮田市でお世話になったイエローです。良く分かりましたね。」

イエロー(向井桜)「探索者さんはあのプレッシャーの中で平然といられるなんて流石です!」

イエロー(向井桜)「黒山殊音さんから発せられるプレッシャーですよ!ヤバヤバってやつです!凄くお腹がきゅーってなるし胸もバクバクです!」

イエロー(向井桜)「黒山殊音さんの中にいる何かに聞かれたら警戒されるかも。だから絶対、あの黒山殊音さんにはこの事は話さないようにしてください。」

⇒日誌について

イエロー(向井桜)「私達は目的があって道具として生み出されたんです。」

イエロー(向井桜)「容姿は人を真似られるけれど。私は…私達は人として生きたくても、結局人にはなれないんです。折角手にした自由も、道具として生まれた私達にはそれ以外の生き方が見つかりませんでした。」

⇒他の仲間、人には成れない理由について

イエロー(向井桜)「多くの仲間は突然自壊し、私達には届かない遠くへと旅立っていきました。私たちは…普通ではない方法で生まれたのですから、他の生物のように緩やかに命を終えることができないと知りました。」

イエロー(向井桜)「ここに残っているのは、ある程度自らの意思を持ち、私を支えることを選んでくれた仲間達です。」

17.2  別室

別室の窓には内側の別室側から見ることができる覗き穴が付いています。部屋の中央に小さなテーブル、奥に本棚が置かれています。

⇒黒山殊音と一緒に別室に入る場合

黒山殊音「何の話なんでしょうね?」

と言いながら本棚の方へ迷わず進んで行き適当に本(ハスターの研究内容)を取るとテーブルに着いて読み始めます。

⇒本棚に近づいた場合

本棚が微妙に斜めになっていることに気が付きます。

⇒本棚そのものを調べる場合

本棚はドアの様に手前に開き、何もない部屋があることが分かります。

⇒探索者も本を選ぶ場合

古い日誌らしきものが見つかります。

※下記の黒山殊音が見つける古い日誌を代わりに見つける

黒山殊音はテーブルに着いて本を読んでいます。

⇒黒山殊音と一緒に入らなかった場合

黒山殊音「古い日誌みたいなのを見つけたわ。これってあの人のかしら?」

≪7年前≫

≪◯月◯日≫

9つのモノリスはV字に設置された状態を確認、今夜は天気も晴れ。黄衣の王をお迎えするのに最高のロケーションね。

≪◯月△日≫

昨夜は私の信頼する信者を黄衣の王の依り代としてお迎えの儀式を行ったわ。身体が膨張を始め、期待も高まったのだけど、途中で信者の方が耐えられずに死んでしまって失敗したわ。

いつになれば黄衣の王をお迎えできるのかしら。

≪△月〇日(日にちは飛んで)≫

そうだわ!魂のない身体なら黄衣の王の魂がすんなり入って耐えられるかもしれないわ。

そう、これは黄衣の王をお迎えするための試練なのよ。これから忙しくなるわ。

イア!イア!ハスター!

≪6年前(日にちは飛んで)≫

≪△月〇日≫

色々試行錯誤して、黄衣の王と誓約を結ぶための呪文を組み込むことで魔術がやっと形になったわ。早速魔術を行使すると私とそっくりの肉体ができあがったわ。成功したわ!

≪△月×日≫

早速黄衣の王をお迎えするもすぐに破裂して失敗。

入れ物の身体を用意するだけではダメなのね。

黄衣の王の魂が定着するまで保てる強い心が必要なんだわ。

≪□月×日(日にちは飛んで)≫

そうだわ。今までの信者共は黄衣の王に対する忠誠心が足りていなかったんだわ!

こうなったら私が、私自信が黄衣の王への捧げ物になるのよ!

私ほど信心深い強い魂の持ち主はいないわ!

黄衣の王をお迎えする儀式をあの邪教徒の神父野郎になんか邪魔させない!

日誌を読み終えると黒山殊音が別の本を見せて読み上げます。

黒山殊音「こっちは黄衣の王についての研究内容みたい。内容はまるで魔導書ね。私が読み取って分かりやすく説明するね。」

黒山殊音「ん~と、主に黄衣の王の招来と退散について書かれているわ。」

変わった文字と図形ばかりが書かれており、一見読み解くのに何が書いてあるのか分かりません。

黒山殊音「聞きたいことがあれば教えるわ。」

⇒黄衣の王の招来

黒山殊音「黄衣の王の招来にはV字に並べられた9つのモノリス(一枚岩)とアルデバラン星が見えていることが必須みたい。その条件が揃った上で黄衣の王が入る依り代に招来の儀式を行うみたい。」

黒山殊音「儀式自体は色々研究されているみたいでかなり簡略化されてるみたい。」

黒山殊音「依り代に予め魔方陣を刻むことでこの島に配置されたモノリスとの繋がりを強化して、呪文の詠唱の簡略化を計っているのね。」

黒山殊音「黄衣の王を招来する時は依り代に手を振れて『ハ・フヴー ハスター』と唱える。唱えた人のMPが2減り、依り代に刻まれた魔法陣にMPが流れて《黄衣の王の招来》の呪文が発動する。」

黒山殊音「黄衣の王を招来すると依り代の身体は膨張し、骨は粉々に砕け、体組織が異質なものに変化する。」

黒山殊音「黄衣の王が依り代に存在している間は(アルデバラン星が見えている)夜間しか活動できず、太陽の光に当たると肉体は消滅する。…って書いてあるわ。」

⇒《黄衣の王の退散》について

黒山殊音「《黄衣の王の退散》の方は何も手を着けていないみたいね。」

黒山殊音「特別な星形の印(古い印)が描かれた媒体に『クヴル リラ クヴル』と唱えながらMPを注ぐ。MPを注ぐのに1ターン掛かる。その後はいつでも『リヴズク』と詠唱すれば発動し、同時に媒体は壊れる。」

黒山殊音「こんな感じの印みたい」

と言って特別な星形の印の図を見せてくれます。

探索者達はその特別な星形の印に見覚えがあります。その印は黒山殊音が探索者におまじないと言って渡してくれたお守りに描かれたものと同じであることが分かります。

黒山殊音「黄衣の王を退散させるには最低MP7を注ぐ必要があり、その場合5%の確率で退散させられる。以降MP1加える毎に5%成功率が上がり、100%退散させるにはMP26必要。…と書いてあるわ。」

黒山殊音「ただ、黄衣の王を退散したとしても異質なものに変わった体組織は戻らない。…って書いてあるわ。」

⇒誓約について

黒山殊音「あったあった。これは…詩…かしら?読み上げるね…。」

※《名状し難い契約》p288の呪文として扱う

岸辺に沿いて 雲間が切れる

双子の太陽が湖の向こうに沈み

長き影が落ちる

カルコサの地に

 

黒き星の上る奇妙な夜

 

天空をめぐる奇妙な月たち

それよりもさらに奇妙なるは

失われしカルコサの地

 

ヒアデスたちの歌う歌は

キングの蔽衣がはためくなかで

誰に聞かれることもなく消えてゆく

薄暗きカルコサの地で

 

我が声は枯れ果てて

歌われることなく消える我が魂の歌

涙は流されることなく乾く

かのカルコサの地で

⇒黒山殊音のお守りを持っている場合

この詩を聞き終えると同時にお守りが熱くなります。しかしその熱は徐々に失われていきます。

⇒黒山殊音のお守りを持っていなかった場合

探索者の中に何かが入ってきたかのような感覚があります。
※探索者は《名状し難い誓約》の対象となります。
1D100を振ります。

⇒2以下が出た場合

今は何ともありません。
※KPはエピローグ後、探索者がハスターの憑依者(マレウス・モンストロルムのP113)となりロストとして処理します。

⇒その他の場合

POWが3(MPも3)上がります。

⇒黒山殊音にお守りを見せた場合

黒山殊音「さっきのと同じ印じゃない!」

黒山殊音「へぇ~、なかなか良くできてるわね。誰が作ったのかしら?」

⇒黒山殊音が作ったと指摘があった場合

黒山殊音「あ、そうだったわ!忘れてたわ!」

黒山殊音「だけどあともう一画加えた方がおまじないとしては効果がかなり上がるわ。貸して貰えるかしら?」

⇒退散に使えなくなるのではないか心配された場合

黒山殊音「消す訳ではなく、一画加えるだけだから大丈夫。それは保障するわ。」

⇒手渡した場合

探索者からおまじないを受け取ると黒山殊音は自分の指の先を噛むと、血でおまじないの中心に炎のような模様を描き足していきます。

黒山殊音「これは強い精神、燃える魂を意味しているの。」

※アーティファクトが強化されます。

黒山殊音「ついでにこのお守りに込められたおまじないがどんなものか教えてあげましょうか?」

⇒聞きたい場合

黒山殊音「そうね。貴方達に分かりやすく説明すると…『正気度が0の相手を正気度1にして狂気を取り払う』効果があるわ。更に私が『一画加えたことで更に正気度が5回復する』わ。その『効果が発揮されると粉々になって使い物にならなくなる』わね。

⇒本棚に近づいた場合

本棚が微妙に壁から離れて手前に寄っていることに気が付きます。

⇒本棚そのものを調べる場合

本棚はドアの様に手前に開き、何もない部屋があることが分かります。

17.3  襲撃イベント

礼拝堂の方でドン!バキバキといった騒がしい音が聞こえます。すると黄色いコートを着た男が別室に入ってきます。

向井「何事ですか!?」

男「赤い人が礼拝堂に現れました。既に何人もの仲間がやられています。」

向井「まさかここを見つけ出すだなんて!」

向井「ちなみに本の様なものは持っていたかしら?」

男「いいえ、そのようなものは持っていません。」

向井「そう…。」

向井「皆さんは隠れていてください。」

そういうと別室を出て礼拝堂の方へ向井は出て行きます。

⇒別室ドアの覗き穴や直接礼拝堂の様子を覗いた場合

次の『礼拝堂の様子』が分かります。

17.3.1    礼拝堂の様子

赤い人を黄色いローブの男達が武器を構えながら囲っています。

黄色いローブの男達が襲いかかり、武器を振り下ろします。赤い人は武器を受けながら殴り、噛みついては引きちぎります。

乱戦は続き、数の暴力が目の前で行われ、次第に赤い人の動きが鈍くなっていき、勝利まで後少しに思えます。

止めとばかりに勢い良く飛び出した黄色いローブの男はそのまま浮かび上がり、何かに捕まれたかのようにジタバタすると腹が潰れ、口から血が滝のように流れ出てきます。

立て続けに他の黄色いローブの男達も腹や頭が潰れ、吹き出す血は部屋をあっという間に赤く染まっていきます。すると部屋の中央に大きな形が血に塗れて浮かび上がります。

赤く染まった人の形をした皮のようなものがずるりと剥け落ち、中から出てきたそれは手足が分岐したかと思うと両腕はそれぞれ5本の触手、そして身体は泡で出来ているかのように幾つもの気泡のようなものが見えます。泡と触手はブクブクと泡立つように広がり、その身体は倍以上となった巨大な怪物の姿が現れます。

向井「そんな…!?これが…赤い人の正体…!!」

赤い怪物「ウオオオオオ!!」

巨大な怪物が腕の触手をそれぞれ鞭のように伸ばし、次々と黄色いローブの男達を掴んでは潰していきます。そして怪物は向井に対して大振りに触手を突き出すと胸に突き刺さります。そのまま大きく振り払うと、向井は壁まで飛ばされ、胸の風穴と口から血が吹き出て倒れます。

17.3.2    礼拝堂戦闘後

化け物は礼拝堂の椅子を持ち上げたり教壇を持ち上げて何かを探し回っている様子です。そして化け物は別室へと向かってきます。

(黒山殊音を隠したり本を隠したりするならこのタイミングまで)

化け物は別室へと入っていきます。

⇒魔道書を隠していない場合

化け物は探索者に目もくれずテーブルの上の魔導書を見つけると手に取り本の中身を確認し持ち出します。

赤い人「これで邪魔の入る可能性は消えた。」

⇒黒山殊音を隠していた場合

赤い人「黒山殊音は何処だ…。」

⇒本棚裏の部屋に隠れていた場合

本棚に手を掛けると声が聞こえます。

黒山(向井)「私なら…ここにいます!」

その声は黒山殊音ですが横の黒山殊音の方を見ると喋っていないというジェスチャーをしています。

すると大量の血が付着した黄色いローブを纏った黒山殊音がふらつきながら礼拝堂の方から別室に入ってきます。怪物は黄色いローブの黒山殊音の方を振り返る。

赤い人「…もうその身体にも馴染んだか?そろそろ頃合いと思って迎えにきた。」

怪物が黄色いローブの黒山殊音の鳩尾を強打すると、そのままもたれ掛かるように倒れ、動かなくなります。

赤い人「やっと、敬重する父へ贈る捧げ物もできた」

怪物は黒山殊音を連れて外へと出ていきます。

⇒黒山殊音を隠していない場合

赤い人「黒山殊音、やはりここにいたか。…もうその身体にも馴染んだか?そろそろ頃合いと思って迎えにきた。」

そういうと黒山殊音を捕まえようとしてきますが、黒山殊音は本棚の本を投げ、僅かな隙をついて別室から出て行きます。

礼拝堂へ逃げた先には黄色いローブを纏った黒山殊音がいます。

赤い人「逃がさない。」

怪物が黄色いローブの黒山殊音の鳩尾を強打すると、そのままもたれ掛かるように倒れ、動かなくなります。

赤い人「やっと、敬重する父へ贈る捧げ物もできた」

怪物は黒山殊音を連れて外へと出ていきます。

怪物が外へ出て行くと物陰から元の服装の黒山殊音が顔を出します。

黒山殊音「向井さんが私をここに隠してくれて…何がどうなっているの…?」

状況が呑み込めていない様子です。

⇒怪物の後を追いかける場合

赤い血が所々続いているのが分かります。

※『魔女の家(地下あり)』へ続く

18        魔女の家(地下あり)

赤い血を辿っていくと木造とレンガが使われた和洋折衷(わようせっちゅう)の平屋が見えてきます。表には大きな切り株状のウッドプレートが立て掛けられてあり、そこには魔女の家と書かれています。

魔女の家に入ると床から鉄板が持ち上がっており、地下へ続く階段があるのが見えます。

※地上階は他に何も変更ありません。

※黒山殊音を置いていく場合は置いていけます。

⇒階段を降りる

階段を下りると様々な古い本が雑多に置かれた机や本棚、部屋の奥には黄色いローブ姿の黒山殊音が倒れています。

⇒机の上を調べる

机の上を調べると使い込まれた書物があることに気が付きます。

⇒書物を読む場合

読むと『全てにして一つのもの』(ヨグ=ソトースのこと)について書かれているのがわかります。

『全てにして一つのものは全ての時間と空間が交わる場所に縛り付けられている。全てにして一つのものを解放するためにはその仔の頭脳が不可欠だ。何故なら仔は魔術への理解力が高く、優秀な逸材だからだ。私は崇高なる目的の為に選ばれ、そして仔を身籠った。素晴らしいことであり、名誉に思う。

――息子が全てにして一つのものを解放する方法を示した。それは全てにして一つのものと同等に強力な神である森の女神を呼び出し、その森の女神を生け贄に捧げることで完全復活させることができるのではないかと。』

書物にはまだ続きがありますがそこで階段から声が聞こえます。

※次の「魔女の登場」に進みます。

⇒黄色いローブの黒山殊音を調べる場合

呼吸をしており生きていることがわかります。

⇒声を掛けたり、身体を揺すったりした場合

目が覚めず、今は気絶している様子なのが分かります。

⇒階段から降りずに待機している探索者がいた場合

突然後ろから強い衝撃が走ります。不意討ちとも言えるそれに抗うこともできずに気を失います。

18.1  魔女の登場

魔女「人間の生命などというものには何の価値もない。では、我々人間がこの世界に存在する理由は何であろうか。

今この世界が黄昏であることを知ること。黄昏とは仮初めの時であり、次の世が来る前兆に過ぎない。

人間が存在する意味は真実に則し大いなるもの達を束縛から解放し、地球上で当然占めて然るべき座に復帰させることにある。それが我々ちっぽけな生命の、最も崇高な使い道だ。」

魔女が階段を降りてきます。しかしその目には生気がないように見えます。

⇒外に黒山殊音を置いていった場合は既に気を失った状態で連れてくる

魔女「こっちが森の女神よ。さっさと連れていきなさい。」

⇒黒山殊音を連れて入った場合

魔女は手を銃の形を作り「バン」というと黒山殊音が吹き飛び気を失います。

魔女「そっちが森の女神よ。さっさと連れていきなさい。」

階段の上から血塗られた触手が伸び、黒山殊音を掴むと階段の上へと運ばれていきます。

魔女「馬鹿な息子を持つと苦労するわ。」

魔女「私ったら島の外であった事をすぐに忘れてしまうのよ。あの時に書いた日誌を読むと、私には大切な使命があることを思い出すのよね。」

魔女は手を銃の形にして探索者の方へ向け、首から掲げた鏡を反対の手で持ちます。

魔女「全てが終わるまで貴方達にはここで大人しく待ってて貰いたいのだけど…。」

鏡をチラと見ると

魔女「無駄なお願いのようね。私が相手をしてあげる。」

『魔女と戦闘(負けイベント)』になります。

18.2  魔女と戦闘(負けイベント)

魔女は様子を伺っています。

⇒打撃攻撃してきた場合

<組み付き>2回(自動成功)で受け流しします。

⇒打撃攻撃以外で攻撃してきた場合

<回避>(自動成功)します。

⇒様子を伺った場合または攻撃時にクリティカルが出た場合

魔女は手の中の鏡にずっと視線を向けているのがわかります。

⇒<回避>を振らずに魔女のターンがきた場合
⇒2人以上気絶せずに残っている場合

魔女は鏡の上に銃の形を作った手を乗せ、探索者に向けて「バン」というと頭に強い衝撃が走ります。※MP10使って《ヨグ=ソトースのこぶし P.291》を使います。

⇒最後の一人の場合

魔女は鏡の上に銃の形を作った手を乗せ、探索者に向けて「私には未来が見えるわ。貴方が無様に倒れる様がね。」というと頭に強い衝撃が走ります。※MP10使って《ヨグ=ソトースのこぶし P.291》を使います。

⇒探索者が気絶した場合

探索者は車に追突されたかのように、何か強い力で頭を打たれた感覚を受けると同時に目の前は暗転し意識が途切れます。

18.2.1    戦闘補足

《ヨグ=ソトースのこぶし P.291》

コスト:正気度1D6+任意MP。
効果:消費MP×1D6と対象の[CON+STR]対抗。対抗に負ければ意識不明になる。成否に関係なく、消費MP回×1D6-対象のSIZ/3メートル飛ばされる。

18.3  戦闘終了後

目が覚めると先ほどと同じ地下室にいることが分かります。

階段の出口は塞がれているようです。黄色いローブの黒山殊音がまるで放心状態で壁に寄りかかって、小さくうずくまるように座り込んでいるのが見えます。

⇒黄色いローブの黒山殊音に話しかける場合

イエロー「人の代わりにしかなれない道具なのに、黒山殊音さんの身代りにすらなれないなんて、私は何のために生まれたのか分からない…。分からない…です。」

イエロー「道具にもなりきれない。人間にもなれない。私が生まれた意味を教えてください…。」

⇒不良品とかその通りとかネガティブなことを言われた場合

(例)「助けたかったのに、私は失敗したんです。私には誰かを助けるなんて無理だったんです」

(例)「ごめんなさい。ごめんなさい。」と繰り返し呟き、塞ぎ込んでしまう。

⇒意味は要らない、自分で探す、助けに行く等ポジティブなことを言われた場合

(例)「意味なんてない?どういうことですか?」

(例)「探索者さんもそうなんですか?」

⇒立ち直ったとき用

イエロー「私、もう少し頑張ってみます。黒山殊音さんを、助けたいです。」

⇒イエローであることを明かしていなかった場合

イエロー「黙っていたんですけど、私、イエローです。」

⇒黄色いローブの黒山殊音に<目星>、もしくは立ち直らせた時

黄色いローブの黒山殊音の手の中には煤で焦げた本らしきものを手に持っていることが分かります。

イエロー「これ…酒部さんが持ってた本に見覚えがあって…。」

⇒過去を見る鏡を使った場合

机の上で本がひとりでに捲られているのが見えます。

本のタイトルは『森の女神覚書』。開かれたページは《森の女神の退散》について文章と絵柄で記述されています。要約すると次の内容が書かれていることが分かります。

『古い木を媒体に『ヘラヴクシュ ハブヒル』と唱えながらMPを注ぐ。MPを注ぐのに1ターン掛かる。その後はいつでも『リヴズク』と詠唱すれば発動し、同時に媒体は壊れる。森の女神を退散させるには最低MP14を注ぐ必要があり、その場合5%の確率で退散させられる。以降MP1加える毎に5%成功率が上がり、100%退散させるにはMP33必要。』

本が最後のページまで開かれると液体の入った容器が本に近づき、蓋が開くと液体が本に撒かれます。次はライターが近づき火花が飛んで火が付くと液体が燃え上がり、本は黒く萎れていきます。

⇒机の上を調べる

机の上を調べると使い込まれた書物があることに気が付きます。

⇒書物を初めて読む場合

読むと『全てにして一つのもの』(ヨグ=ソトースのこと)について書かれているのがわかります。

『全てにして一つのものは全ての時間と空間が交わる場所に縛り付けられている。全てにして一つのものを解放するためにはその仔の頭脳が不可欠だ。何故なら仔は魔術への理解力が高く、優秀な逸材だからだ。私は崇高なる目的の為に選ばれ、そして仔を身籠った。素晴らしいことであり、名誉に思う。

――息子が全てにして一つのものを解放する方法を示した。それは全てにして一つのものと同等に強力な神である森の女神を呼び出し、その森の女神を生け贄に捧げることで完全復活させることができるのではないかと。』

⇒書物の続きを読む場合

『準備ができ次第、銀の黄昏にて全てにして一つのものの招来の儀式を行う。』

更に読み込んでいくと全てにして一つのものの退散方法が書かれているのに気が付きます。

『2つの古い鏡を媒体に『マクイーヴ アダム クケム』と唱えながら均等になるようにMPを注ぐ。1つの古い鏡にMPを注ぐのに1ターン掛かる。その後はいつでも『リヴズク』と詠唱すれば発動し、同時に媒体は壊れる。全てにして一つのものを退散させるには最低合計MP20を注ぐ必要があり、その場合5%の確率で退散させられる。以降MP1加える毎に5%成功率が上がり、100%退散させるにはMP39必要。』

⇒なぜ貫かれて生きていたのか聞いた場合

イエロー「私は顔だけではなく内側の器官の位置も変えられるんです。だから急所を狙ってくると思って予め動かして置いたんです。」

イエロー「それでもダメージが重く、回復にかなり時間が掛かってしまいました。」

⇒階段の出口を調べる

階段の出口の扉は鉄板で出来ており鍵が掛かっている様子はありません。

⇒出口の扉を持ち上げる場合
⇒黄色いコートの黒山殊音が立ち直っている場合

イエロー「私も手伝います!」

イエローが扉に手を掛け、持ち上げようとします。

扉のCON(43)とSTR対抗します。

⇒STR対抗に失敗

上に重りがあるのか、微かに持ちあがる感覚はありますが、扉を開けるには力が足りません。

⇒STR対抗に成功

鉄板は上にある重りごと持ちあがり、ガラガラと音を立てながら開きます。

⇒巨塔へ向かう場合

次の章「巨塔(銀の黄昏)の屋上へ向かう」へ

19        巨塔(銀の黄昏)の屋上へ向かう

魔女の家から出ると空色は夜の黒色から濃い青色へと代わっており、夜が終わろうとしていることが分かります。

巨塔へ向かい、巨塔が見えてくると頂上の部分に黒い霧が立ち込めているのが見えます。

その様子を見て、イエローが真剣な面持ちで探索者に向かって話しかけてきます。

イエロー「探索者さんにお願いしたいことがあるんです。」

イエロー「あの化け物は…私に任せてくれませんか?」

イエロー「あいつに私の大切な仲間達がやられました。私は仲間達の仇が討ちたいです!」

イエロー「そしてもう1つお願いしたいことがあるんです。」

イエロー「あの魔女は言っていました、『この世界に存在する理由は何であろうか』『ちっぽけな生命の、最も崇高な使い道』って…。奪われた黒山殊音さんを取り戻して、今度こそ守りたいんです。屋上に着いたら…私を依り代に《黄衣の王の招来》をしてくれないですか!?私は…黒山殊音さんを助ける為にこの生命を使いたい!それが、私が導き出した答え、『命の使い方』なんです!」

⇒死ぬことや元には戻れないことを伝えた場合

イエロー「全部分かってます。あの化け物との力の差も分かってます。だから今のままじゃ何も取り戻せないです。だから力が欲しいんです。だから私は、私にしかできないことをしたいんです!自分の命を賭してでも!」

⇒自分でできないのか聞かれた

イエロー「本に書かれてた魔方陣は既に身体に巡らせてあります。でも私には魔力を使うという感覚が分かりません。なので探索者さんの力が必要なんです!」

イエロー「よろしくお願いしますね!」

19.1  フロア

巨塔に辿り着くと空は水色に染まり始めてます。

巨塔に入ると、中の様子は夕方頃に来た時と様子は変わっておらず、エレベータも起動しています。

エレベータに乗るとあっという間に最上階へ上り辿り着きます。最上階のフロアには更に上へ続く階段とドアがあります。

※準備するならここが最後のタイミングになります。

19.2  屋上

ドアを抜けると屋根のない空間が広がっていますが頭上には黒い霧が立ち込めています。

屋上に辿り着くと魔女が中央に立ち、その後ろで赤く染まった化け物が黒山殊音を床に抑えつけ、黒山殊音は苦しそうな表情を浮かべています。

魔女「残念ながら遅かったわね」

黒い霧のなかから玉虫色に光る泡が現れます。泡が破裂すると内側から幾つかの小さな泡が露わになり、小さな泡がまた膨らむとまた破裂しては小さな泡が露わになります。一見、軽い泡のようにも思えたそれは生々しく爛れ沸騰する皮膚のようにも見えます。玉虫色の球体の集塊が肉体を流動させ無気味な恐ろしい怪物を形作っていた。SANチェック(1D10/1D100)

⇒SANが0になった場合

パキンと乾いた音が聞こえます。黒山殊音から貰っていた古い木製のまじないが半分に割れています。割れたところからボロボロと崩れていき、細かな木屑になると風に煽られてなくなります。

不思議と心は落ち着きを取り戻し、正気を保つことができます。

※まじないの効果が発動します。メタ的に効果を説明。SAN0になった相手に渡すことで発狂を治しSAN1にするアーティファクト。ただし改良されていた場合は更にSAN5上がる。

20        最終決戦

魔女「あれこそ、全てにして一つのものよ。後は森の女神を生贄として魂ごと受け取って頂くだけ。」

上空の霧から全てにして一つのものの泡が屋上の黒山殊音へと身体が伸びていっているのが見えます。何もしなければ次のターン開始時には黒山殊音に届いてしまうと分かります。

魔女は鏡をチラと見ると

魔女「手遅れと言っているのだから諦めて欲しいのだけど無駄なお願いのようね。また私が相手をしてあげる。」

魔女達と戦闘になります。

空は赤くなり始め、日の出まで残り30ターンで迎えそうだということが分かります。

※戦闘に掛かったターン数を使うので忘れないように。

20.1  魔女との再戦

魔女は様子を伺っています。

⇒攻撃してきた場合に成功率が残ってる場合
⇒打撃攻撃してきた場合

※<組み付き>2回(初期成功率90%、90%)で受け流しします。

※次から成功率が10%ずつ減っていきます。(この時の成功率は<回避>と共有)

魔女の呼吸が(先ほどより)荒くなっているのが聞こえます。

⇒受け流し不可な攻撃をしてきた場合

<回避>(初期成功率90%)します。

※次から成功率が10%ずつ減っていきます。(この時の成功率は<組み付き>と共有)

魔女の呼吸が(先ほどより)荒くなっているのが聞こえます。

⇒魔女の様子を伺った場合

魔女は手の中の鏡をじっと見ているのがわかります。更に、《全てにして一つのものの招来》で疲労しているのか、身体がフラついて思うように動けていないように見えます。

⇒<回避>を振らずに魔女のターンが着た場合

魔女は鏡の上に銃の形を作った手を乗せ、手を探索者に向けて「バン!」というと頭に強い衝撃が走ります。

※MP1を使って《ヨグ=ソトースのこぶし P.291》を使います。

⇒探索者が気絶した場合

探索者は何か強い力で頭を打たれたような感覚を受けると同時に目の前は暗転し意識が途切れます。

※揺すって起こすことは可能。

⇒過去の鏡を確認する

屋上に自分達の姿が写っており、回りを不審に見回している様子が伺えます。

自分が写った状態で鏡に手を触れているとMPが自分一人分増えている感覚があります。

⇒魔女を倒すか、鏡を奪うことに成功

次の章『残された時間』へ続く

20.1.1    戦闘補足

⇒《ヨグ=ソトースのこぶし P.291》

コスト:正気度1D6+任意MP。
効果:消費MP×1D6と対象の[CON+STR]対抗。対抗に負ければ意識不明になる。成否に関係なく、消費MP回×1D6-対象のSIZ/3メートル飛ばされる。

⇒魔女に黒山殊音のお呪いを使った(触れさせた)場合について

※魔女は正気を取り戻し、戦闘終了になります。

魔女「鏡に映っている自分の姿の分だけMPが増えるのよ。私はもうMPが残っていないから、貴方達にこれを託すわ。」

そういって白い石版の鏡を探索者に手渡して気を失います。

20.2  1ターン目に《黄衣の王の招来》の有無

⇒1ターン目で《黄衣の王の招来》の呪文を使わなかった場合

全てにして一つのものが伸ばした泡の先が黒山殊音に辿り着くと泡が黒山殊音の全身を包み込み、人の身体を包む大きな泡となり、伸ばされた泡を伝って黒い霧の中へと吸い込まれていきます。

※「退散呪文発動後」の全て残存時の処理を行います。

⇒1ターン目で《黄衣の王の招来》の呪文を使った場合

エメラルドに光を当てたような優しい緑色の光が腕をなぞり文様を浮かび上がらせ、黄色いローブの下へ光が伸びていき、黄緑色の明かりが漏れでます。

イエロー「探索者さん、ありがとう。殊音さん、今助けますから!」

腕を振り上げ、腕を黒山殊音の上へ拳を突き出すと、腕が倍近くに膨らんで伸びていき、ドンと重量感のある音が響きます。すると床に倒されていた黒山殊音が苦しそうに咳をしながら起き上り、全てにして一つのものから伸びていた泡を間一髪で避けます。

イエローの皮膚には薄いウロコが浮かび上がり、皮膚は弛んで分厚いゴムのように変わります。

イエローは魔女の横を抜けて化け物の元へと距離を詰めます。その時、黄色のローブがはためき、ローブの下からはズルリズルリと床を撫でるように蠢いているまるでタコの足のようにも思える触手が覗かせます。SANチェック(1/1D6)

※次のターン開始時に『2ターン目』の処理を加えます

20.2.1    黄衣の王の補足

名状し難い憑依者(マレウス・モンストロルムP.113)になる。

20.3  2ターン目以降

黒山殊音を解放したイエローは赤く染まった化け物に向かって幾つもの触手を振り回しているのが見えます。

そして黒山殊音が泡から逃げる様子を確認すると探索者の後ろからドン!と轟音がします。振り向くと最上階と屋上を繋ぐドアと階段が崩壊し、直径5メートル近くの銀の球体状の泡が塞いでいます。

上空の全てにして一つのものから幾つも触手のように泡が連なって伸びていきます。その泡の触手が解放された黒山殊音に向かって伸びて襲い掛かりますが、黒山殊音は捕まらないように逃げ回っている様子が見えます。

20.3.1    全てにして一つのものの攻撃(繰り返し)

⇒2ターン目開始(再装填)

全てにして一つのものからは泡の触手の他に銀色の泡が膨らみ始めているのが見えます。

⇒3ターン開始(再装填2)

先程の銀色の泡は膨らみ、先ほど放たれた銀色の泡と比べると半分のサイズになっているのが見えます。

⇒4ターン開始(チャージ)

銀の球体状の泡は更に大きく、先ほど落ちてきたサイズと同じ5メートルに達します。

⇒5ターン開始(攻撃)

銀の球体状の泡が探索者に向けて5メートルもの1つの銀の球体が発射されます。探索者は<回避>か<跳躍>で避けることができます。

※魔女が持つ未来を映す鏡を持っている、または鏡に向かって<目星>の半分に成功で、銀色の球体状の泡の軌道が見え自動成功します。

⇒避けるのに失敗した場合

魔女の家で受けたような衝撃と感覚が似ていますが、それとは比べ物にならない程に強烈な衝撃が探索者に襲い掛かり、意識が途切れます。※強制的に気絶します。

⇒5ターン以降

※再装填を行い、次ターンでチャージ、さらに次ターンで攻撃を繰り返します。

21        残された時間

⇒魔女を倒さずに鏡を奪った場合

魔女「それを…返しなさ…い…。」

魔女は気を失います。※MPの供給源を失う、または体力を使い切り気絶します

同時に黄衣の王を招来した姿となったイエローの方からドン!と床を撃ち抜くような轟音が響きます。黄色いローブから伸びた複数の触手で赤く染まった怪物の身体を貫いています。イエローの身体からは血のように青い液体が流れており、それは赤く染まった怪物を上から青に塗りつぶしています。

イエローの触手はそのまま怪物の肉体を引き裂こうとし、怪物は触手を堪らず掴み抑え込みます。

イエロー「うわああああ!」

怪物「うおおおおお!」

と男女の二つの咆哮が上がると咆哮は女性の声だけを残して、怪物の肉体は引き千切られていき、最後を散らします。

全てにして一つのものの泡が連なり、黒山殊音を追い立てます。黒山殊音は体力の限界を迎えたのか足がおぼつかず、足を縺れさせて倒れます。

泡は5つに枝分かれして掌のようになり、黒山殊音を掴みかかろうとします。

そこに黄色いローブから伸びる触手が壁を築きます。

ジュウジュウと酸で焼けるような音と煙、そして悪臭が辺りに広がります。イエローの皮膚とウロコが溶けて混ざり合い、まるでウロコが突き刺さっているようで酷く痛々しく見えます。

イエロー「黒山殊音さんを助ける為にこの命を使うと決めたんです!だからこんなもの何てことありません!ここは命に代えてでも守り通します!」

イエロー「それに探索者さんならこの状況を打破できるって、私は信じてます!」

黒山殊音は疲れた様子でその場に倒れ込み、呼吸を整えながら黙って様子を見ています。

外はすっかり赤色に染まり、いよいよあと数分もすれば日の出を迎えるでしょう。ここからリアルタイムに合わせて結果が変わります。

日の出まで残り(30-先ほどの戦闘ターン数)ターンとなります。1ターンにつきリアルタイム1分とします。1ターン使う行動をすると残り時間が1分減ります。

※描写中の時間はカウントしない。

※温情用に59.99秒まではセーフとしても良い。

21.1  タイマー開始

⇒過去の鏡を確認する

屋上に自分達の姿が写っており、回りを不審に見回している様子が伺えます。

自分が写った状態で鏡に手を触れているとMPが自分一人分増えている感覚があります。

⇒魔女の持っていた鏡を確認

屋上に自分達の姿が写っていますが、空が今より明るくなっています。

鏡に手を触れているとMPが自分一人分増えている感覚があります。

※過去の鏡と未来の鏡にただ触れているだけではMPが最大3倍にしかならない。

⇒合わせ鏡にする

自分が映り込むように合わせ鏡にすると過去を映す鏡は今と過去をけたたましい速度で映し、未来を映す鏡は今と未来をけたたましい速度で映し出しています。そこに映る自分を見ているとまるで別次元の自分と繋がったかのような奇妙な感覚と共に、MPが無限に使える感覚があります。

⇒媒体にMPを注ぐ

呪文を唱えると身体からMPが流れて行く感覚があります。

⇒《黄衣の王の退散》だった場合

MPを注がれた媒体は緑色に薄らと光り、溶け込んでいきます。

⇒《森の女神の退散》だった場合

MPを注がれた媒体は黒色に薄らと光り、溶け込んでいきます。

⇒《全てにして一つのものの退散》だった場合

MPを注がれた媒体は白色に薄らと光り、溶け込んでいきます。

⇒発動呪文を詠唱

次の章『退散呪文の発動』へ進む

21.1.1    経過時間描写

⇒日の出(制限時間)まで残り10ターンになったら描写

黄色いローブから伸びる触手を溶かしながら全てにして一つのものの攻撃を捌いていきます。

イエロー「まだ、私は大丈夫です!」

⇒日の出(制限時間)まで残り5ターンになったら描写

黄色いローブから伸びる触手は爛れて細くなり、床に癒着し思うように動かすこともできなくなっています。止めどなく続く全てにして一つのものの攻撃を身体で受けます。

イエロー「何がなんでも!ここから先は行かせない!」

⇒日の出を迎えた(制限時間超過した)ら描写

攻撃を受け続けた身体は元の姿の面影はなく、爛れた肉は別の肉と癒着し、幾つもの網を引いた液状にも見える肉の塊と化しています。

遂に太陽が地平線から顔を出し、朝日が射し込みます。身体は黒く焼かれ、黒炭のように変色していきます。

イエロー「私ができるのはここまでです…。」

イエロー「私の願いを聞き入れてくれてありがとう…。」

ジリジリと焼かれた身体は砂のように崩れ散っていき、黄色いローブだけがその場に残ります。

21.1.2    退散に必要な情報

必要な情報を一覧表にします。

呪文名 5% 100% 媒体 MPを注ぐ呪文 発動呪文
《黄衣の王の退散》 7 26 特別な星形の印(古い印)が描かれた物 クヴル リラ クヴル リヴズク
《森の女神の退散》 14 33 古い木 ヘラヴクシュ ハブヒル リヴズク
《全てにして一つのものの退散》 20 39 2つの古い鏡 マクイーヴ アダム クケム リヴズク

22        退散呪文の発動

※退散呪文を発動させた時点で処理を行います。

22.1  《全てにして一つのものの退散》の発動

2つの鑑から白い光が空へ立ちのぼります。全てにして一つのものが現れている空に立ち込めていた黒い霧はその白い光を受けて白色の霧へと変わっていきます。全てにして一つのものの身体は白い霧の中へと吸い込まれ、霧は大きくなり全てにして一つのものを飲み込もうとしています。

注いだMPによって呪文の成否を判定します。

2つの鏡はひび割れ、粉々になって散っていきます。

⇒退散に成功

最後の抵抗とばかりに細く小さな泡を繋ぎ合わせた腕を黒山殊音に伸ばしてきますが…。

⇒2つの鏡のMPが一致している場合

腕の先が黒山殊音の前髪をかすめ、一気に腕は霧の中へと吸い込まれ、白い霧が晴れます。

⇒2つの鏡のMPが揃っていない場合

全てにして一つのものの腕は白い霧の部分でブツリと切れます。泡状の腕は黒山殊音の上に落下し、黒山殊音に降りかかります。それはただの粘状の液体のようで簡単に除けることができ、ベトつかせながら中から黒山殊音が出てきます。

※エピローグで描写を加えるので覚えておく。

⇒退散に失敗

しかし吸い寄せる力が足りず全てにして一つのものの身体は再び現れ、大きくなった白い霧は再び黒色に染まり、より大きな黒い霧を残します。

22.2  《黄衣の王の退散》の発動

⇒日の出を迎え(制限時間超過し)てから発動した場合

何も起こりません。

⇒《森の女神の退散》と異なる媒体を使っていた場合

黒山殊音が古木で作ったおまじないは割れ、粉々になって散っていきます。

※《森の女神の退散》と同じ媒体を使っていた場合は、《森の女神の退散》の時に処理する

⇒日の出前(制限時間内)に発動した場合

イエローの身体が内側から緑色の光を発し、揺れながら優しく怪しく輝きます。

注いだMPによって呪文の成否を判定します。

⇒退散に成功

イエローの身体から緑色の光がオーロラのようにはためきながら出ていくと太陽とは反対側、夜空を目指すように伸びて消えていきます。

すると姿はそのままにイエローの身体は力なく倒れます。

⇒退散に失敗

緑色の光はまた身体に馴染むように消えてなくなります。

22.3  《森の女神の退散》の発動

黒山殊音の身体から黒い靄が溢れ出て渦巻きます。

黒山殊音が古木で作ったおまじないは割れ、粉々になって散っていきます。

注いだMPによって呪文の成否を判定します。

⇒森の女神の退散に成功

黒い靄が空中で集まり、まるで山羊のような形を作ると空へ翔るように走り去ると霧散します。

すると黒山殊音は力なく倒れます。

⇒シュブ=ニグラスの退散に失敗

その靄はもう一度黒山殊音を包み込むと身体に馴染むように消えてなくなります。

23        退散呪文の発動後

※一覧で処理方法を確認

退散成功 退散失敗 処理方法
全てにして一つのもの 黄衣の王
森の女神
B:森の女神残存
黄衣の王 全てにして一つのもの
森の女神
A:全てにして一つのもの残存
森の女神 全てにして一つのもの
黄衣の王
A:全てにして一つのもの残存
全てにして一つのもの

黄衣の王

森の女神 B:森の女神残存
全てにして一つのもの

森の女神

黄衣の王 C:外なる神不在
黄衣の王

森の女神

全てにして一つのもの A:全てにして一つのもの残存
全てにして一つのもの

黄衣の王

森の女神

なし C:外なる神不在
なし 全てにして一つのもの
黄衣の王
森の女神
A:全てにして一つのもの残存

23.1  A:全てにして一つのもの残存

全てにして一つのものは黒い霧すら覆いつくす勢いで空一面に泡が広がっていきます。泡の中には先程の5メートルある銀の球体の他に5メートル燃える火球をも生産しています。

そのうちの一つ、銀の球体がイエローに対して射出されたと思うと、巨塔の床に5メートル以上の穴が空き、底が見えません。今までと速度が異なり、これまでは慎重に手加減していただけのようで、今となっては表情こそないがその行動から憤りを感じ取ることができるでしょう。

そして、今の攻撃に当たっていれば何も考える間もなく即死するだろうと容易く理解することができます。

広がり続ける泡は銀の玉と火球をも生産し、探索者へ向かって1D100の球体が一斉に射出されます。

探索者は避ける暇もなく、当てられた実感もなく、思うこともない完全なる無を迎えたのでした。

※探索者ロスト

23.2  B:森の女神残存

黒山殊音は起き上がり探索者の元へ歩きます。

黒山殊音「助かったわ!ありがとう!」

黒山殊音は探索者に抱きつきます。

そして囁くように、しかしハッキリと聞こえます。

黒山殊音「これで脅威はなくなったわ」

⇒アーティファクトを強化していた場合

黒山殊音「その呪文の依り代には私の血が含まれているのを忘れたかしら?」

そういうと黒山殊音から貰ったまじないは突然、太い大木へと成長するのを早送りで見るかのように大きく成長していき、中央部には大きな口、頂上部からは蔓がしなやかに伸びる化け物へと変貌し、蔓が探索者を抑えつけます。

黒山殊音「私を追い出す呪文を知っているという意味では貴方達も脅威に違いないのよね…。」

黒山殊音「だけど、今回の功績に免じて見逃してあげる。」

⇒まだイエローが生きている

黒山殊音「あの子はまだまだ私のために働いてくれそうだし、駒として私がたっぷり使い込んであげる。」

そういうと黒山殊音はイエローの元へ行くと身体をなぞります。

※《精神的従属 基本P.266》を発動させます。

イエローに抵抗する様子はなく、まるでイエローに自分の意思がないようにも感じます。

黒山殊音は床に向かって指でくるんと円を描くとそこに扉が現れ開きます。それは阿波井の地下室で見たものと同じものということがわかります。

そして床に開いた扉の上に蔓は伸びて、貴方達を持っていきます。それは底なし沼のようで、どこまで落ちるのか予測もつきません。

黒山殊音「今回は本当に感謝してるわ。そしてさようなら。二度と会うことがないことを願っているわ。」

黒山殊音は笑顔で手をひらひらと振ります。

触手は緩み、貴方達は光の穴の中へと落ちて行きます。

貴方達の視界は数秒と経たず、すぐに気が付きます。そこは巨塔の1階です。

⇒屋上へ戻る場合

屋上へ戻ってきた貴方達ですがそこに残っていたのは気を失った魔女だけしかいません。

何処へ行ったのか、それを知る術は見つからないでしょう。

23.3  C:外なる神不在

朝日の明かりを受けて黒山殊音は目を覚まします。

黒山殊音「探索者さん、ありがとうございます。途中から身体が全然言うこと聞かなくて、ずっと中で見てました。」

黒山殊音「あの子は…?」

黄色いローブの黒山殊音の方へ駆けていきます。

⇒《黄衣の王の退散》に失敗、またはしなかった場合

『イエロー消滅』に進む

⇒《黄衣の王の退散》に成功した場合

『イエロー残存』に進む

23.3.1    イエロー消滅

黄色いローブを抱えると強く抱きしめます。

黒山殊音「そんな…ごめんなさい…。私が不甲斐ないばかりに…。」

黒山殊音「守ってくれて…ありがとう。」

黒山殊音はそこから動かず、何度も後悔の言葉を繰り返していた。

23.3.2    イエロー残存

変わり果てた姿の黄色いローブの黒山殊音を抱き寄せます。

イエロー「良かった。元に…戻ったんですね。」

黒山殊音「貴女が守ってくれたからだよ!」

イエロー「黒山殊音さん…泣いてるんですか?」

イエロー「その涙を拭ってあげたいけれど、身体の構造が変わりすぎて、自分ではもう何も動かせないんです。」

黒山殊音「そんな…。」

黒山殊音は少し黙ると強い口調で

黒山殊音「貴女を助けたい!もしかしたら失敗するかもしれない…。だけど、これに賭けたいの!」

黒山殊音「これからするのは秘密のおまじないだから、少しの間、目を閉じてくれませんか?」

黒山殊音「探索者さんも…」

⇒目を開いた場合

突然、目の前が立ち眩みのように暗闇が広がりで何も見えなくなります。

⇒目を閉じる場合

黒山殊音「少し苦しいかもしれないけれど我慢して。」

そういう黒山殊音の声が聞こえると、イエローからゴホッゴホッと咳き込む声が聞こえます。

黒山殊音「貴女は立派に自分の意思で戦ってくれたわ。ありがとう。」

黒山殊音「これからは人としての幸せを願うわ。」

暫くの沈黙のあと、黒山殊音が「もう、目を開けてもいいですよ」と言います。

⇒目を開いていた場合

まばたきすると元に戻ります。

するとイエローから流れていた青い血は赤色へと変わっていきます。

分厚く弛んだ皮膚は薄くなり、触手も元の手足の形へと戻っていきます。

イエロー「身体が戻ってる…?」

イエローは腕を上げ、手を広げたり閉じたりして感覚を確かめています。

イエロー「これは、何をしたんですか?」

イエロー「それと…何か変です!」

黒山殊音はその質問を予期していたようで頷いて答えます。

イエロー「腕を伸ばしたり、顔を変えたりできません!これは…《黄衣の王の招来》の後遺症なんでしょうか…!?神様を招来しておいて後遺症が残らない訳ないですもんね…。」

黒山殊音「さっきの秘密のおまじないは…人に生まれ変わるおまじないなのよ。だからそれで良いのよ。もしかして…嫌だったかしら…?」

イエロー「私が…人に?そんなの、嫌な訳ないじゃないですか!私…嬉しいです!」

そういって黒山殊音の手を握ってはしゃぎます。

黒山殊音はその返答を聞いて安堵した表情を浮かべます。

その様子を傍らに、黒山殊音が探索者に話しかけてきます。

黒山殊音「命を使う…か。この世に生まれて、たった一つしかない自分の命を何に使うか、それが生きるって事の答えの一つなのかも知れないわね。」

黒山殊音「出会ったときは何も知らなかったあの子が、私達から教わる側から私達に教える側になるなんて、世の中分からないですね。」

黒山殊音「子供の成長を見届ける母親ってこんな気持ちなんでしょうか。」

黒山殊音「さ、帰りましょう。」

⇒どこでそのまじないを覚えたのか聞かれた場合

黒山殊音「森の女神が残してくれたのよ。」

それ以上ははぐらかされます。

24        エピローグ

船で休みながら、黒山殊音の家まで帰り、くつろいでいるとピンポーンとチャイムが鳴ります。

四十八坂芒「殊音~!誕生日おめでとう~~!って殊音が二人いるー!?」

イエロー「あ、初めまして。私はイエローです。」

四十八坂芒「え!?あ、殊音が言ってた子?本当にそっくり。私は芒っていうの、よろしくね!」

黒山殊音「そっか、イエローも今日が誕生日ってことになるわね」

四十八坂芒「そうなんだ!イエローも誕生日おめでとう!」

イエローは照れながらも嬉しそうに「あ、ありがとうございます!」と返します。

四十八坂芒「誕生日プレゼント用意したんだ!魔女に表彰されたって聞いたから、魔女らしく魔導書っぽい本だよ!」

まるでどこかの基本ルールブックのように分厚い本を取り出します。

四十八坂芒「これ売ってくれた人が言うには、森の女神から出る何かが非常に優れた特性をもっていて、とにかく凄いって言ってたよ!何かが何かはわかんないけど!確かP216の4行目あたりに詳しく書いてあるとか何とか?」

と言いながら魔道書を黒山殊音に手渡します。黒山殊音は慌てた様子で

黒山殊音「ありがとう~!すっごく大事にするね!他の人に取られないように厳重に扱うから!!」

四十八坂芒は頭にハテナマークを浮かべながらも「ま、喜んでくれて良かったよ!」と嬉しそうにします。

イエロー「そうだ!私、もし人間になったらやってみたかった事があります!当ててみてください!」

黒山殊音も四十八坂芒も考えている様子です。

イエロー「探索者さんは分かりますか?」

※RPで探索者に解答してもらう。分からなければ分からないでもOK。

イエロー「答えは恋愛です!」

黒山殊音「ちょっ、そ、それは、ちょっと早いんじゃないかしら!?」

⇒探索者がノってきた場合

黒山殊音「うぶなうちの子をたぶらかさないで欲しいんですけど!?」

と黒山殊音がイエローを抱いて守る素振りをします。

イエロー「殊音さん恋愛を知ってるんですか?どうしたら良いか教えて欲しいです!」

四十八坂芒「へえ~!殊音の恋愛は私も興味あるな~!教えてあげたら良いんじゃないの~?」

黒山殊音は戸惑い、大きな声で断ち切ります。

黒山殊音「そ、そんなことより~~!!」

黒山殊音「イエローはこれ飲んだことあるかしら?」

そういって出されたのは見覚えのあるミルクです。

イエローは迷わずそのミルクを飲みます

イエロー「あっ!この味覚えてます!!」

黒山殊音「山羊のミルク飲んだことあるのね、確かにあの島は山羊が名産だものね」

イエロー「山羊のミルク?それは飲んだことないです」

黒山殊音「へ?それじゃ何かしら?」

イエロー「それは『秘密』です~!」

黒山殊音の顔も耳も一瞬にして真っ赤になります。

⇒《全てにして一つのものの退散》の発動時に2つの鏡のMPが揃っていなかった場合

それから半年ほど経って黒山殊音から葉書がきます。

葉書にはお腹の膨らんだ黒山殊音の写真、挨拶の文に加えて『双子を授かりました。』と一文書かれています。

25        クリアボーナス

全てにして一つのもの(ヨグ=ソトース)を退散させた。(SAN回復1D10)

森の女神(シュブ=ニグラス)を退散させた。(SAN回復1D10)

黄衣の王(ハスター)を退散させた。(SAN回復1D6)

魔女が正気を取り戻した。(SAN回復1D2)

黒山殊音を元の日常に帰った。(SAN回復 1D3)

イエローが新たに人生を始めた。(SAN回復1D10)

クトゥルフ神話+4

26        補足

26.1  黒い石版の鏡と白い石版の鏡

黒い石版の鏡には半日前の時間の状態を映し出し、白い石版の鏡には少し先の時間の状態を映し出します。この2つの石版の鏡は2つで1つのアーティファクトです。

この2つの鏡を合わせ鏡にした場合を単純に考えたら、黒い石版の鏡には変わらず自分が映し出され、白い石版の鏡には半日より少し前の過去が映し出されることになります。

しかしこのアーティファクトは通常の鏡として映る目の前の時間の光景を読み込んでから、過去・未来の状態を映し出すという効果があります。また、少し先の未来を映すための力と半日前の過去を映すための力は同率になります。

その為、黒い石版の鏡に白い石版の鏡の光景を映すと今を映そうと働きます。白い石版の鏡に黒い石版の鏡の光景を映すと今を映そうと働きます。そうなると次のタイミングでは鏡の中の今の光景に対して黒い石版は過去を映し出そうと働き、白い石版は未来を映し出そうと働きます。これが無限に繰り返されていきます。

少し哲学的な感じではありますが、今の自分の未来と白い石版の鏡に映る少し先の未来の自分は同一人物ではありません。そこに映っているのは少し先を行く未来の世界の自分になります。それに見えてしまっている未来を変えるほど容易い行為はないでしょう。同じように黒い石版の鏡に映るのは半日前の過去の世界の自分となります。

石版の鏡のアーティファクトには別の時間軸の自分、同じ時間軸だけど別次元の自分を繋ぐ力があります。

※礼拝堂で黒山殊音から石版の鏡について話を振って説明することで、難易度は調整できると思います。

1.1     ドッペルゲンガーの正体

《名状し難い契約》p288の呪文を組み込まれたドッペルゲンガー達は、名付けられしものから良い物を与えられます。ドッペルゲンガーを創る呪文により既に名付けられしものと契約を取り交わした状態となり、ヒトとして生まれる為の言語などが与えられます。イエローの場合はある時に心を与えられ自立します。

1.1     招来と退散の呪文について

今回登場した《全てにして一つのものの招来》、《全てにして一つのものの退散》、《森の女神の招来》、《森の女神の退散》、《黄衣の王の招来》、《黄衣の王の退散》は他のシナリオでは使用できません。地産地消の呪文になります。

飽くまでこのシナリオで姿を見せた「全てにして一つのもの」「森の女神」「黄衣の王」が対象の呪文になります。別シナリオで出会ったとしても、同一名称の別物と扱います。

 

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One Reply to “Confront_Dawn_Over”

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