「神の棘」須賀しのぶ 著
とうとう読みました。
文庫は読んでいたのですが、今回はハードカバーです
以前ネットで瀧井朝世さんが聞き手のインタビューで、文庫にする際すごい加筆修正をしたというのを知ってハードカバーを買ってあったのです
でも読むと非常に感情を揺さぶられる話なのでなかなか手が付けられず・・・
もしどちらかを読んだ方はこちらのインタビューをご覧ください
きっともう片方を読みたくなりますから
革命前夜の民衆の言葉が勝利をおさめた高揚感を描きたかった――須賀しのぶ(1) | 文春オンライン
そしてまだ未読の方は、二次大戦とドイツに興味がおありならぜひ
元ラノベ作家ということで読者を選ぶかもしれませんが、歴史、戦争、世界情勢など非常に重厚に書かれており、キャラクターは少しラノベというかアニメっぽいかもしれませんが、だからといってこの重厚さを損なうものではありません
ナチスの描き方も丁寧で容赦がなく圧巻ですが、これに加え今回はキリスト教を深く描いています。
それがとても新鮮でしたね
エンタメとしてもすんごく面白いので超お薦めです
さて、ここからは読んだ方だけお進みください
「ハードカバーと文庫」
ハードカバーを読んだ後、続けて文庫も再読しました。
ハードと文庫を比べて読んだのは始めてで面白い体験でした
見比べるとセリフをちょっと直してたりするのを見つけてにやにやしたり
が、インタビューでハードはラノベの書き方を脱していなくて歴史に触れる地の文とキャラクターが乖離していた、と言っているのですが、私はむしろ文庫の方がラノベっぽいなと感じました。
なので結論は、どちらも読め、です(笑)
大きな違いはハードはアルベルトを主人公に、文庫はマティアスが主人公となっています。
なので片方では数行で終わったエピソードが一方では詳しく語られていたりするのが、どちらも読むとお得です
でも一番ラノベっぽく感じさせるのは、文庫ではアルベルトとマティアスを学生時代の親友としたところかな
もうこれがすべてをドラマチックにしていて、それがいいのか悪いのか
アルベルトの、兄デオドールへの鬱屈はハードのほうが納得できるな、とか
マティアスがハードの方が思慮深くて好きだな、とか
アルベルトの心情は主人公として書かれてるハードでも出さないようにされてるけど、それでもある一点については文庫の方が理解できるかな、とか
まあなんにせよ、これを書ききる作者に脱帽です
ぜひただのキャラクター小説のようには読まないでもらいたい
すみません、ばかみたいに長くなりました
「また、桜の国で」は文庫になってないので未読です
楽しみ~