それでも雨が降るときは

ホリスティックに発達障害とつきあう

鉄分はとにかく摂ればよい?

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鉄とタンパク質をとにかく摂りましょうという考えが

最近広まってきているようですね。

それで良くなる人も多いと思いますが、

そんなに簡単にいかないことも少なくないようです。

 

サプリメントで摂れば鉄不足はだいぶ解消されるみたいですが、

それでも貯蔵鉄を示すフェリチン値がなかなか上がらない人もいるようです。

 

鉄の吸収が上手くいかない原因にはいくつかあります。

 

ひとつには、炎症。

体内に炎症があると、肝臓でヘプシジンというタンパク質が作られて

鉄の吸収と放出を止めてしまいます。

腸上皮細胞やマクロファージから鉄を血液中に排出する

フェロポーチンというタンパク質があって、

ヘプシジンはフェロポーチンの発現を低下させるのだそうです。

 

だから、この場合は、血清鉄の数値が低くなります。

フェリチン値は炎症でも上昇するので、

一見、フェリチン値だけ見ると鉄不足はないように思えますが、

血清鉄の数値が低ければ、鉄不足があるのに炎症のせいで

フェリチン値が正常になっている可能性があるということになります。

この状態では、炎症を治してからでないと、

鉄サプリを入れても吸収されません。

 

ほかには、乳製品はヘム鉄と非ヘム鉄の両方の吸収を阻害しますし、

お茶に含まれるタンニンも鉄の吸収を阻害します。

 

あとは、腸のカンジダ菌。

カンジダ菌は常在菌ですが、増殖すると悪玉化して腸を荒らします。

鉄はカンジダ菌の栄養となって増殖させてしまうのです。

 

鉄は酸素の運搬やミトコンドリアの電子伝達系でのエネルギー産生

にも関わるので重要なミネラルですが、

腸内環境を悪化させたり、活性酸素を発生させたりするという

危険性も同時に存在します。

 

なので、フェリチン値がひと桁というほど極度の鉄不足でない限り、

まずは腸内環境を整え、体内の炎症(腸の炎症や上咽頭炎なども含めて)

を抑えることが優先。

 

かくいう私も、かつて鉄サプリを飲んで、

真っ黒な便が出てびっくりしたことがあるのですが、

なるほど、炎症があったから吸収されずに出てしまったんだと

仕組みを知って納得。

 

だいぶよくなったものの、今でもまだ炎症はあるだろうと思うので

鉄はハーブ(ネトルやマテ)や鉄鍋で少しずつ摂っています。

 

世の中、わかりやすい情報が好まれますが、

それに飛びつくだけじゃなくて、

きちんと分子栄養学を勉強して、仕組みを理解すると、

どこでつまずいているのかがわかってきて面白い今日この頃です。

 

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 こちらもよろしく。

ガイド 壮年期のアスペルガー症候群:大人になってからの診断は人生をどう変えるか

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こちらのブログでもたまに発達障害ネタや栄養療法ネタを書いています。