ソフトバンク(☆5対1★)ロッテ =リーグ戦19回戦(2020.10.27)・福岡PayPayドーム=
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ロッテ
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ソフトバンク
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勝利投手:和田 毅(8勝1敗0S)
敗戦投手:石川 歩(7勝5敗0S)

本塁打
【ソフトバンク】甲斐 拓也(10号・6回裏2ラン)

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◆ソフトバンクが3年ぶりのリーグ優勝を決めた。ソフトバンクは両軍無得点で迎えた5回裏、中村晃の犠飛で先制する。続く6回には甲斐の2ランが飛び出し、リードを広げた。投げては、先発・和田が6回3安打無失点の好投で今季8勝目。敗れたロッテは、打線が散発の5安打と振るわなかった。

◆3年ぶりのリーグ優勝へマジック2で迎えたこの日、ソフトバンクナインが、亡き「恩師」の特製Tシャツを着て試合前練習に臨んだ。胸には「Thank you TAKASHI KAWAMURA」の文字とともに、9月にくも膜下出血のため急逝した川村隆史3軍コンディショニング担当(享年55)の似顔絵、背中には背番号「01」ユニホーム姿の加工された写真がプリントされている。 もともとこの日に着る予定だったが、偶然にもリーグ優勝がかかる3連戦の初戦となり、選手だけでなくチームスタッフ全員が着用した。工藤監督は試合前「選手会と球団で考案して作りました。今日は川村くんとともに戦います」と話していた。

◆プロ17年目のロッテ鳥谷敬内野手(39)がまた1つ記録を作った。 ソフトバンク19回戦(ペイペイドーム)で途中出場で遊撃守備についた。遊撃手での出場が通算1767試合目となり、石井琢朗氏(元横浜など、現巨人野手総合コーチ)が持つ歴代1位記録に並んだ。 鳥谷は7回裏から遊撃守備につき、1番周東の遊飛をさっそくさばいた。3月にロッテに電撃入団し、この日で38試合目の出場。そのうち遊撃守備は6試合目になった。 ▼ロッテ鳥谷が今季6試合目の遊撃を守り、石井琢朗(横浜-広島)が持つ遊撃手の通算最多出場1767試合に並んだ。歴代3位は坂本(巨人)が1749試合で続いている。

◆ソフトバンクが、優勝マジック2で迎えた2位ロッテとの直接対決を制し、3年ぶりのリーグ優勝を地元で飾った。パ・リーグ19度目、1リーグ制時代を含め21度目の優勝。球団の福岡移転後、ダイエー3度で、ソフトバンクで6度目となった。 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた今季は、6月に栗原のサヨナラ打で4年連続の開幕白星スタート。8月は長谷川の新型コロナ感染が判明して2日の西武戦が中止になったが、同23日から首位を続けた。昨季までシーズン終盤に失速して西武に連覇を許したが、10月に入り15年ぶりの12連勝で加速した。 打線はつながりと対戦相手とのデータから編み出した日替わりオーダーが奏功した。コロナ禍でグラシアル、デスパイネのキューバコンビの来日が遅れる中、4番には中村晃、栗原、川島ら12球団最多の9人を起用。中村晃は1番から6番までこなし、主砲柳田が時に2番に入るなど工藤監督の大胆な作戦がはまった。若手では俊足の1番周東が得点源となり、好打の栗原は柳田に次いでチーム2番目の打点を挙げ、24歳の2人がレギュラーとして活躍した。 初めて開幕投手を務めた東浜が先発の軸として8勝を挙げ、防御率2・18の安定感をみせた。この日先発した和田も8勝目。故障で出遅れたエース千賀は7月復帰して本来の姿を取り戻し、石川ともに9勝をマーク。救援陣では8回モイネロ、9回森の強力コンビが安定した。「勝ちパターン」の継投で、固まらなかった7回は10月に入って岩崎が加わり厚みが出た。 9月には川村3軍コンディショニング担当が遠征先で急逝する悲しい出来事があった。この日の試合前練習では、川村さんの写真をプリントしたTシャツをチーム全員が着て臨んだ。天国の恩人にもプレゼントを届けた。 すでに7年連続のクライマックスシリーズ進出を決めており、次は4年連続の日本一に挑む。【浦田由紀夫】

◆ソフトバンクが27日、3年ぶり19度目のリーグ優勝を果たした。 ▼ソフトバンクが3年ぶりパ・リーグ19度目、1リーグ時代から通算21度目のリーグ優勝を決めた。就任6年目の工藤監督は15、17年に次いで3度目のV。ソフトバンクの監督では鶴岡監督11度に次ぎ、王監督、秋山監督に並び2番目に多い優勝回数となった。鶴岡監督と秋山監督も就任6年間で3度優勝したが、工藤監督は優勝3度、2位3度。監督1年目から6シーズン連続2位以内は藤本監督(巨人)上田監督(阪急)に次いで3人目だ。上田監督は74~78、81年で途中にユニホームを脱いだ期間を挟んでのもの。ユニホームを着続けたケースでは1リーグ時代の藤本監督以来となり、2リーグ制後は初めて。就任6年間で5度Vの森監督(西武)も4年目が3位だった。

◆ソフトバンクが27日、3年ぶり19度目のリーグ優勝を果たした。 V奪回を誰よりも待ち焦がれていたのはソフトバンク王貞治球団会長(80)だった。「勝つことが特別なことじゃなくなった」。ダイエー時代から監督としてチームに勝利への執念を植え付け、フロント業となってさらに常勝の道を歩んだ。手応えを感じる一方、故障禍などで2年連続のV逸。ユニホーム組以上に歯ぎしりした2年間だった。 古巣巨人を倒して3年連続日本一に輝いた。だが、雪辱の気持ちがまさった。昨秋の宮崎キャンプ。「工藤監督が決めたことだから。これはいいことだよ。監督指示だから」。18年に王会長が招いた金星根(キム・ソングン)コーチングアドバイザー(77)が今季から1軍に帯同することになった。2年間はファームで若手育成を担ったが「勝負のシーズン」に向けて工藤監督が呼び寄せた。「やっぱり選手は練習だと思う。その点で言えば金さんは適任。1軍でもしっかりやらせないとね」。秋の日差しに、王会長の顔も少しばかり紅潮して見えた。 金氏は韓国プロ野球のSK、サムソン、LGなどで1200勝以上を挙げた名将。韓国では「野神(ヤシン)」と呼ばれ、妥協なき練習でチームを鍛え上げてきた。工藤監督の依頼で今季は打撃部門を中心に助言を送り続けた。終盤戦は不調のバレンティンにも練習後の素振り室でティー打撃を行っていた。 今季ペイペイドームではネット裏の部屋で王会長と金氏がチーム状況など意見交換しながらほぼ全試合を見守った。工藤監督はグラウンドのみならず遠征の移動中も金氏に「監督業」について助言を求めた。金氏は「ミーティングは長くやらないように。怒るときは簡単明瞭に」などやんわりと進言したりもした。 王会長も望んだ「老将の知」はV奪回の縁の下の力となった。【佐竹英治】

◆ソフトバンクが27日、3年ぶり19度目のリーグ優勝を果たした。球団史は以下の通り。 1938年に南海電鉄を経営母体として創設。44年に近畿日本、46年に近畿グレートリングと改称。47年から南海ホークス。59年には杉浦の4連投4連勝で巨人を破り初の日本一。88年秋にダイエーが買収して本拠地を大阪から福岡に移した。93年に福岡ドーム(現ペイペイドーム)が完成。球団買収により05年からソフトバンクとして参戦。1リーグ時代に2度優勝。パ・リーグ優勝は今回で19度目(南海10度、ダイエー3度、ソフトバンク6度)。日本シリーズ優勝10度。オーナーは孫正義氏。

◆ソフトバンクが27日、3年ぶり19度目のリーグ優勝を果たした。 リーグVに貢献した若鷹コンビが特別対談した。育成出身で3年目の周東佑京内野手(24)と6年目の栗原陵矢捕手(24)。周東はシーズン後半から1番に定着し、盗塁王へまい進中。初めて主力に定着した栗原は本職以外の内外野で活躍し、チーム2番目の打点を稼ぐ。1学年違いの2人が野球からプライベートまで、オンラインで語り合った。【取材・構成=山本大地】-今季を振り返って 栗原 ここまで自分ができるとは思っていませんでした。あらためて、優勝争いの中でいろんな経験させてもらえました。 周東 スタメンでここまで出られると思っていなかったので、1年間戦う苦しさとか、優勝争いをする中でもいい経験ができました。 -同世代で試合に出ていて良かったことは 栗原 試合中にいろんな話をしやすいですし、試合が終わってからも、なんでも気軽に話せる先輩なので。自分の中では楽だなと思いました。 周東 いろいろ話せるので、クリが一緒に試合に出ていれば気持ちも楽になっていたなと思います。 -プライベートでの関係は 周東 いつも遠征先に行くときとか、クリがタクシーで迎えに来てくれます。一緒にお昼ご飯食べて行ってます。 栗原 人畜無害ですし、しゃべりやすいです。 周東 一緒にいて楽ですね。同じ野手ですし。 -野球以外の話もする 周東 結構しますよ。でも何の話してるかな。ネットフリックスであれが面白いから今度見てみろよ、とか。そんな話じゃない? 栗原 そうですね。たわいもないというか、覚えてないような話ですね。 周東 普通の大学生とかがしゃべってるような話をしていますね。 -あえて嫌なところ、直してほしいところは 周東 クリはまじで時間にルーズなんですよ。 栗原 佑京さんは何を言っているか分からないときがあるので、はっきりしゃべってほしいです。しゃべるスピードが速いんですよ。 -お互いのすごいところは 栗原 言うまでもなく、足。というか、三盗行ったり、ちょっとはじいたら次の塁に行ったり。隙を狙う瞬発力がすごいなと思います。打率もいいですしね。 周東 バッティングもそうですが、野球に対する向き合い方がすごいな、と一番感じますね。打てなかったら「どうしてだろう」とか、みんな考えるとは思うんですけど、考えてすぐ練習でやったりする姿も見ていましたので。 -苦しい時期もあった 栗原 山あり谷ありというか、いいときも悪いときもありました。ぼく自身そういう経験が初めてだった。どうしようかああしようか考えながらやっていた。乗り越えたというか、やるしかない立場なので。必死に練習してやっただけですね。佑京さんはありました? 周東 あんまりないですね(笑い)。自分がどんどんどんどん考えていただけなので。自分で考えてしまってダメになって、というのが多かったです。いかに気持ちを切り替えていくのが大事かというのが分かりました。 -CS、日本シリーズに向けて 栗原 ここまできたので、後は楽しんでやるだけというか、思い切ってやるだけというか。結果はもちろん大事ですけど、結果を求める中で、伸び伸びしながらやれたらなと思います。 周東 シーズン中と同じように目の前の1戦1戦をしっかりやっていくということだけですかね。あと日本シリーズにはいい思い出がないので、出たらやり返してやろうと思っています。

◆ソフトバンクが27日、3年ぶり19度目のリーグ優勝を果たした。 ソフトバンク東浜巨投手(30)が日刊スポーツに手記を寄せた。初めて開幕投手を務めた今季は8勝1敗、防御率2・18の安定感。コロナ禍による開幕延期、打球が当たるアクシデントを乗り越え、先発の柱として優勝に貢献した。 家族が医療従事者で、周囲に感謝する気持ちを強くし、耐え切ったシーズンを記した。コロナの影響もあり、なかなか特殊な形のシーズンでした。優勝に少しなりとも貢献できたこともですが、最後まで試合をできたことが一番うれしいです。安心したというか、まずはそんな気持ちです。 今年は初めて開幕投手をさせてもらいました。当初の3月から6月へ、開幕が延期となり間が空いたのが一番しんどかった。最悪、シーズンがないかもと思いました。仮に開幕できても一から体を作り直して、また開幕投手へアピールしないといけない。そのしんどさもありました。昨年は右肘を手術して1軍でほぼ投げていないですし、今年への思いが強かっただけにモヤモヤしました。でも去年投げられなかった分、今年は投げられているし、いつかは開幕するだろうと言い聞かせていました。 16勝で最多勝をとった17年よりも今年の方が良かったです。17年は勢いだけでしたから。自粛期間にちゃんと勉強したいと思い、ダルビッシュさんや千賀もやってるようですが、月額を払えばネットでいろんな人のコーチングが受けられる野球のオンラインサロンに会員登録しました。配球はもちろんのこと、フォームを分析して細かく数字化したものがあったりとか、参考になりました。 今年は打球が2度当たり、なんで運がないんだろうと自虐的にもなりました。開幕1週間前の6月12日は広島との練習試合で左太もも、7月17日のオリックス戦では右足甲。みんなから「もっとるなあ」って言われましたが、そんなの要らないよって感じです。実は右足甲は痛みがしばらくひかなかったんです。右足で踏ん張れずにフォームを崩しました。打撲と言われましたが、骨に響いていたし、骨折してるんじゃないかと半信半疑になるくらい。期待に応えたい気持ちで我慢していました。 周囲に感謝の思いが芽生えた年でもありました。母といとこが看護師をしていることもあり、感謝の気持ちを込めて、開幕前に沖縄の故郷、うるま市や小中高の母校にマスクを寄付させてもらいました。恩師や地元の方、疎遠だった人からも連絡が来て、やって良かったと思いました。 この1年、コロナもありましたがプラスに考えられています。「家時間」が圧倒的に増えて生活力も間違いなく上がりました。掃除をしてみて主婦の大変さも感じましたし、野球以外の気付きが多かったです。 チームに影響を与えられる投手になりたいと思っているので、最多勝の17年と開幕投手だった今年で優勝できたのはうれしいです。これから4年連続日本一に向けて、シーズンと同じ気持ちでマウンドに上がりたいと思います。(ソフトバンク投手)

◆ソフトバンク和田毅投手(39)が「優勝決定試合」で勝利投手に輝いた。2位ロッテとの直接対決を6回3安打無失点にまとめ、今季8勝目。1980年度生まれの「松坂世代」では阪神藤川、楽天渡辺直が今季限りでの引退を表明する中、健在ぶりを示すピッチングだった。 1回の初球143キロ。39歳和田のストレートに、先頭打者、20歳藤原のバットが空を切った。ベテラン左腕のボールからこの試合に懸ける鬼気迫る思いがあふれ出た。「実は初めてなんです」。優勝マジック2で迎え、勝てば優勝が決まる一戦。プロ18年目のチーム最年長、経験豊富な男でも初めてのマウンドで躍動した。 藤原の空振り三振から初回は3者凡退。この日最速146キロの直球とスライダー、チェンジアップ、打者2巡目からはカーブも織り交ぜ、ロッテ打線を手玉に取った。5回2死二、三塁のピンチもしのぎ、6回は1番からを3人斬り。6回無失点で盤石のリリーフ陣にバトンを託した。 前回優勝の17年は左肘手術による長期離脱があり登板は8試合。16年に米大リーグから復帰して以降、初めてシーズンを通してリーグ制覇に貢献した。「戻ってきてから初めて開幕から投げさせてもらい、ようやくこうやって優勝という場に携わって投げさせてもらえる」。18年は1試合も投げられなかった左肩痛を克服し、若き日のような輝きを放っている。 投げるだけではなく、存在そのものがチームの宝だ。一回り年の違う千賀が思い悩んだ時期は、自身の経験を伝えた。17年から自主トレに同行させている後輩左腕の笠谷は今年、谷間の先発などで頭角を現し、プロ初勝利を挙げるなど欠かせない存在に育った。 くしくも1年目の03年、阪神との日本シリーズ第7戦で日本一に導く完投勝利を挙げた10月27日。17年後の同じ日に、まだダイエーだった頃から投げ続ける「レジェンド」が新たな栄光をもたらした。【山本大地】

◆ソフトバンクが27日、3年ぶり19度目のリーグ優勝を果たした。 将来性を見込んだソフトバンクの編成力が花開いた年だった。大型補強による優勝という印象は薄い。攻撃陣では栗原、周東ら若手が台頭。栗原は打力を高めて本来の捕手ではなく外野と一塁のレギュラーをつかんだ。14年ドラフト2位の入団で、この年の1位は松本、4位が笠谷。いずれもプロ6年目。成長した高卒トリオは優勝に貢献した。 昨年までドラフトは3年連続で大型野手を1位指名してクジに敗れたが、その前に獲得した「金の卵」たちが血肉を付け、戦力に育った。永井智浩編成育成本部長は「将来性を考える補強と埋めないといけない部分を埋める補強がある」という。気付けば、エース千賀と正捕手の甲斐に加え、二塁手を勝ち取った周東、オールラウンドに守る牧原は育成出身。1軍定着までもう少しの右腕尾形、強打のリチャードと育成上がりの「卵」はまだまだいる。 球界屈指のファーム施設を新設して5年。指導体制も骨太になり「雁の巣産」から「筑後産」となって養成の速度と密度はアップ。勝利と育成を同時に求めた投資で、両得できている。選手の発掘では、今年から球団会長付特別アドバイザーに就任した城島健司氏が、GM的な観点でアマ野球も視察している。王球団会長を含めた幅広い目があるのもまた、ホークスの強みになっている。

◆ソフトバンクは初回2死一、三塁としたが5番明石が二ゴロに倒れ無得点。先発和田は3回まで5三振を奪い1安打無失点投球。 ソフトバンクは5回に中村晃の犠飛で1点を先制。6回には甲斐が10号2ランを放ち加点。ロッテは6回まで3安打無得点。 ソフトバンクは8回にも2点を加え完勝。3年ぶりのリーグVを決めた。先発和田は8勝目。ロッテ石川は5敗目。

◆ソフトバンクが、優勝マジック2で迎えた2位ロッテとの直接対決を制し、3年ぶりのリーグ優勝を地元で飾った。パ・リーグ19度目、1リーグ制時代を含め21度目の優勝。球団の福岡移転後、ダイエー3度で、ソフトバンクで6度目となった。 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた今季は、異例づくめのシーズン。ソフトバンク優勝の喜びでも異例の光景が見られた。 監督の胴上げは行われなかった。ベンチから飛び出した選手らがタッチを行った後、マウンドを中心に大きな輪を作った。金色のテープが舞い、王会長、孫オーナー、工藤監督らも加わりスタンドの観客らとともに万歳三唱を行った。

◆「ハマの豆苗」DeNA大貫晋一投手が6回5安打2失点で自身初の10勝をマークした。 6回に丸に2ランを浴びるも打線の援護にも恵まれ、チームトップの勝ち星を積み上げた。登板前日の勝負メシを問われ「豆苗と言いたいところですが、昨日は食べていない。豆苗は今育てています」と自家栽培? の豆苗に負けじとぐんぐん成長する。

◆ソフトバンク中村晃外野手のバットが先制点をたたき出した。0行進が続いた緊迫戦。5回に先頭川瀬が二塁打で出塁。続く1番周東の犠打で1死三塁とし、石川の高めの直球を捉え中堅へ犠飛をきっちり打ち上げた。初回には外角へ沈む球に好反応。左前に運ぶ技ありの一打も放った。「とにかく勝てたのでよかった」。V決定後は9月に急逝した川村3軍コンディショニング担当の背番号「01」のユニホームを手にグラウンドで喜びを分かち合った。

◆ソフトバンクが、優勝マジック2で迎えた2位ロッテとの直接対決を制し、3年ぶりにリーグ優勝を奪回した。パ・リーグ19度目、1リーグ制時代を含め21度目の優勝。球団の福岡移転後、ダイエー3度で、ソフトバンクで6度目となった。激闘の今季を写真で振り返る。

◆ソフトバンク柳田悠岐外野手(32)は完全復活での優勝に喜びひとしおだった。昨季は故障で38試合出場だったが、今季ここまで欠場は首の張りによる1試合だけ。「柳田が元気ならば強い」と言える活躍で打線を引っ張った。 昨年は4月に左膝裏を痛め長期離脱。日本シリーズ後に右肘手術を受け、オフは再びリハビリに取り組んだ。その中、球団と新たに7年契約を結び、メジャー挑戦を封印。「一からレギュラー取るつもりで。レギュラー取ります。まじで」。強い思いを懸けた今季、レギュラーにふさわしい結果を見せた。7月はプロ野球タイ記録の月間32得点で、月間MVPを獲得。ここまで離脱はなく、打撃6部門のうち打率、本塁打、出塁率の3つでタイトルを狙える位置に付ける。 新型コロナの影響で3月末から約2カ月間、自宅待機で自主練習。開幕後も自由に外出できない期間が続いた。ただ、パワフルなスイングから受ける印象と違って、元々はマンガやゲームが好きな「インドア派」。自宅では4歳の長女や2月に生まれた長男と過ごす時間が増え、他の人がストレスをためるような状況をプラスに変えられた。 自身が1軍に定着して初めて優勝した14年は、リーグ戦とポストシーズン全試合に出場して日本一まで駆け抜けた。しかし、その後は毎年故障による離脱があった。今年はグラウンドに立てなかったのは1試合のみ。日本一まで「準全試合」を戦力として全うする。【山本大地】

◆ソフトバンク周東佑京内野手がリーグ優勝を決めた記念すべき試合で、ダブル球団記録更新の「勲章」を手にした。 3回1死走者なしから四球を選んだ。次打者の中村晃の初球だった。迷うことなく二盗を決めた。リーグトップの46盗塁をマークするとともに、10試合連続試合&月間20盗塁の球団新記録を達成した。「どこまで(数字は)行くか分からないが、とにかく塁に出たら思い切り走って行きたい」。正念場の10月に入って、打撃とともに快足を飛ばした。周東が1番打者に定着してからはチームも快進撃。工藤政権初となる12連勝をけん引した。 5点リードで迎えた9回表。守護神森が1点を失ってなおも2死満塁のピンチを迎えたが、最後の打者・福田秀の二塁ベース上に飛んだ打球を快足を飛ばして好捕。二塁ベースに走り込み最後のアウトを取った。急成長のリードオフマンが「走攻守」に輝きを見せた。

◆ソフトバンクが、優勝マジック2で迎えた2位ロッテとの直接対決を制し、3年ぶりのリーグ優勝を地元で飾った。パ・リーグ19度目、1リーグ制時代を含め21度目の優勝。球団の福岡移転後、ダイエー3度で、ソフトバンクで6度目となった。オリックス中嶋監督代行 (ソフトバンクとは)対戦成績(5勝17敗2分け)、数字から見て分かる通り、かないませんでした。終盤まで粘って、一気に突き放されるというゲームが多かったように思います。この差をどうやって埋めていくかが大事になってきますが、投打ともに全ての部分を相当レベルアップしなければいけないと思います。

◆ソフトバンク甲斐拓也捕手が初めて「優勝捕手」として試合終了までマスクをかぶった。 6回には2年連続2桁となる10号2ランを放ち「チームにとっても自分にとっても大きな追加点」。9回2死満塁のピンチをしのぎ、守護神森と抱き合った。前回Vの17年は優勝決定の9月16日西武戦で終盤に交代していた。今季前半もベテラン高谷らに先発を譲ることが多かったが、高谷が左膝痛で出場を減らした10月以降はほぼ1人でマスクをかぶり続け、リーグ防御率1位の投手陣を引っ張った。

◆ソフトバンクナインが亡き「恩師」とともに喜びを分かち合った。 9月に3軍コンディショニング担当の川村隆史さんが遠征先で55歳で急逝。ベンチに掲げられていた背番号「01」のユニホームを中村晃が持って歓喜の輪に加わった。92年の入団から明るい性格で知られ、頭に白星を願うクリームを塗って試合前の声出しを務めるなどムードメーカーだった。試合前は似顔絵と写真をプリントしたTシャツを着て練習。工藤監督も「みんなTシャツの思いを背負って勝つぞという気持ちで臨んだ結果です。川村さんに感謝します」と天国に優勝を報告した。

◆ロッテは2年続けて優勝の瞬間を見せつけられた。井口資仁監督は「我々も悔しいし、選手たちも悔しいと思います」と唇をかんだ。 課題の打線は清田ら右打者の5安打のみ。「つなぐ野球をしていかないと、うちは勝てないと思う。全員が本当に1つにならないと」。 3位西武が2ゲーム差に迫る中、残り11試合にCS出場がかかる。「もう1回、ホークスを倒すチャンスを」と力を込めた。

◆ソフトバンクが、優勝マジック2で迎えた2位ロッテとの直接対決を制し、3年ぶりのリーグ優勝を地元で飾った。パ・リーグ19度目、1リーグ制時代を含め21度目の優勝。球団の福岡移転後、ダイエー3度で、ソフトバンクで6度目となった。日本野球機構(NPB)の斉藤惇コミッショナーが新型コロナウイルスの感染拡大防止策を取った上で例年通り、優勝ペナントなどを授与した。 コロナ禍での異例となったシーズンの優勝セレモニー。事前に検査を受けるなど、万全を期して行った。

◆優勝マジック2のパ・リーグ首位ソフトバンクが、同2位のロッテと直接対決。 ソフトバンクは5回に中村晃の犠飛で先制。6回には、甲斐が10号2ランを放ち追加点。8回には甲斐の二塁打と捕逸で2点を追加。9回に1点を返されるが、逃げ切り勝利。3年ぶりのリーグ優勝を地元で飾った。ロッテは投手陣が踏ん張れず敗れた。 ソフトバンクはパ・リーグ19度目、1リーグ制時代を含め21度目の優勝。球団の福岡移転後、ダイエー3度で、ソフトバンクで6度目となった。 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた今季は、異例づくめのシーズン。ソフトバンク優勝の喜びでも異例の光景が見られた。監督の胴上げは行われなかった。ベンチから飛び出した選手らがタッチを行った後、マウンドを中心に大きな輪を作った。金色のテープが舞い、王会長、孫オーナー、工藤監督らも加わりスタンドの観客らとともに万歳三唱を行った。

◆ソフトバンク岩崎翔投手が3-0の7回に2番手で登板し、1回を無失点で抑えた。 1死一、二塁のピンチも気迫で切り抜けた。「絶対に0で抑えるつもりでした」。2度の手術を乗り越えた今季、序盤こそ逆転弾を浴びるなどで2軍調整を味わったが、勝負の10月から1軍復帰。「上からたたけるように」とフォームを改善して5ホールド。チームの課題であった「7回の男」として「最後のピース」を埋めた。17年最優秀中継ぎ賞の右腕が復活を印象づけた。

◆9回は不動のソフトバンク守護神森唯斗投手が1点を失いながら、最後は2死満塁で元チームメートの福田秀を打ち取った。 11日に史上6人目の「100ホールド&100セーブ」を達成。「意識は変わらない。1年1年が勝負だと思っている。止まったらマグロと一緒のように死んでしまう」。新人から6年連続50試合以上登板をマークし、今季はここまで47試合登板で28セーブ。ただ9回は今季最多47球を要し、優勝インタビュー中の工藤監督に「投げすぎ」と言われ、グラウンドに正座して照れ笑いした。

◆8回はソフトバンクのセットアッパー、リバン・モイネロ投手が1回を完全に抑え、リーグ最多のホールド数を37に伸ばした。 49試合に登板し、47回を投げて75三振。奪三振率は驚異の14・36を誇っている。3敗しているが、首脳陣から信頼は厚くストッパー森へのリレーは盤石。「自分の投球をしっかりすることだけです」。平常心を心掛ける左腕がブルペン陣を支えた。

◆ソフトバンクが3年ぶりにリーグ優勝を奪回した。パ・リーグの他の5球団の監督が、ソフトバンクの優勝を受けてコメントした。 ▽ロッテ井口監督 (ソフトバンクは)選手層は厚いですし、そういう中でも最後に連勝したりしているところは、経験値も含めて我々よりはるかに上だなというところですね。ここを倒さないと上にはいけないので、しっかり準備をやっていきたい。 ▽西武辻監督 対戦していて五分五分(9勝10敗1分け)というところだけど、内容を見ると押されていた感じはしますね。そこはやっぱり投手陣。先発投手陣が強い、後ろも強い。あとは野手も投手陣も、層の厚さは今年も感じました。 ▽楽天三木監督 各選手が試合の中で求められたことに徹してやろうとする姿、数字的にもそうですが、投手力が強かった。ピッチャーだけでなく、バッテリーを含めた各選手の守備力というところに、高いものがあるのかなと感じます。 ▽日本ハム栗山監督 ソフトバンクはあれだけケガ人が出ても頑張った。皆でつかんだ。我々は、それができなかった。チームが勝てなかったことは、全てはオレの不徳のいたすところ。それは間違いない。 ▽オリックス中嶋監督代行 (ソフトバンクとは)対戦成績、数字から見て分かる通り、かないませんでした。終盤まで粘って、一気に突き放されるというゲームが多かったように思います。この差をどうやって埋めていくかが大事になってきますが、投打ともに全ての部分を相当レベルアップしなければいけないと思います。

◆ソフトバンクが3年ぶりにリーグ優勝を奪回した。マジック2で迎えた2位ロッテとの直接対決を制し、1リーグ時代を含めて21度目の優勝。昨季まで終盤の失速で西武に連覇を許したが、10月に入り15年ぶりの12連勝で加速した。新型コロナウイルスの影響を受けたシーズン。6年目の工藤公康監督(57)はコンディション、データ重視の采配で雪辱した。次はクライマックスシリーズを勝ち抜き、4年連続の日本一に挑む。力強い抱擁や胴上げはない。マスク姿の選手がグラウンドになだれ込む。工藤監督は選手たちとグータッチし、マスク越しに笑顔を確かめ合った。胴上げの代わりに全員で大きな輪をつくり、選手会長の中村晃の音頭でファンと万歳三唱。1934年に始まった日本プロ野球史上、全く新しい様式で喜びをかみしめた。 「絶対に勝ちたいという思いだった。今年は調整が難しい中、選手はよく自分で調整してくれた。選手が勝つために最善を尽くしてくれたからだと思う」 コロナ禍で十分な調整ができずに開幕。コンディションを重視しないと故障を招くと判断し、メンバーを「日替わり」にした。「本来は固定したいが、今年に限っては難しい」。選手の状態に相手とのデータを掛け合わせ、「初回に3、4点を奪える打順」を求めた。同一オーダーは5度だけ。試合後に翌日の打順を最大6パターン考えた。4番には川島、上林、栗原ら12球団最多の9人を起用し、2番柳田も含め「打順破壊」を貫いた。「ミスはつきもの。使う監督が悪いと思って、思い切ってやってほしい」。イニング別得点で初回の72、同得失点差20はともにリーグ最多。投手陣は故障歴のある先発は出場選手登録をあえて外して休ませ、守護神森の3連投は昨年5度から2度に。故障禍を頻発させず、最終盤の10月に12連勝した。 決断を重ねた。現役最多2171安打の内川を1度も1軍に呼ばなかった。春季キャンプで結果重視を掲げ、工藤監督は「オープン戦で結果が出なかった」として開幕2軍を命じた。2軍で数字を示しても「ファームからコーチの報告を聞く中、タイミングが合わなかった」と時には非情に映るほどまで若手を選択。競争意識を発生させた。 自らも指導者として成長を求めた。昨オフのV旅行後に渡米。メジャーで監督通算1278勝のジョー・マドン氏(66=現エンゼルス監督)に知人を介して面会を申し入れ、実現した。「話をする中、選手と話をしないといけないと感じた」。気付きを行動に移し、コロナ禍で約3カ月間あった自主練習中、1軍野手全員と「電話面談」した。不慣れなパソコンで表ソフトを使い、投手陣のため調整シミュレーションを作って助言し、離脱者を出さず開幕を迎えた。また「今年は何を決めるのもコーチと話をした上で決めた」と首脳陣の連携も大切にした。 就任6年目で3度目、リーグ優勝回数では王、秋山の両監督に肩を並べた。今季繰り返した言葉がある。「日々新たに。今日が終われば明日です」。次はV9巨人しか経験のない偉業、4年連続日本一が待っている。「CSは1つも落とさないつもりで勝ち、日本シリーズでしっかり勝てるようにしたい」。本当のラストスパートはこれからだ。【浦田由紀夫】

◆ソフトバンクが、優勝マジック2で迎えた2位ロッテとの直接対決を制し、3年ぶりのリーグ優勝を地元で飾った。パ・リーグ19度目、1リーグ制時代を含め21度目の優勝。球団の福岡移転後、ダイエー3度で、ソフトバンクで6度目となった。 以下は一問一答 -3年ぶり優勝の心境は 勝った瞬間は何とも言えないふわふわした気持ちでしたが、みんなと顔を合わせた時に勝ったんだなという自覚と、ホッとしています。 -胴上げではなくタッチや万歳三唱になった 今年は新型コロナウイルスで開幕も延びましたが、関係者の皆さまが尽力していただいたおかげで開幕できた。医療従事者の皆さまの献身的な行いがなければ、開幕できなかったかもしれません。 -最後は森が踏ん張った 投げすぎですね。優勝の瞬間は緊張するところだと思いますし、やっぱり緊張するんだなと思ったが、最後はさすがだなと、締めるところは締めるなと。良く投げたよ。 -序盤は混戦 とにかく一喜一憂しないで、今日だめでも明日また新しい1日が来る。日々新たに今日も始まるという思いで1年やってきた。いろんなことがあったが自分で反省し準備し、しっかりホークスらしい野球ができたと思う。 -4年連続日本一へまずはCS まずは残り試合、勝つことしか考えてません。CSへしっかり準備して1つも落とさないつもりで勝ち、日本シリーズに行ってしっかり勝てるようにしたい。 -ファンへ 応援ありがとうございます。声に出せませんでしたが、拍手が何よりも選手の力になりました。

◆ソフトバンクが、優勝マジック2で迎えた2位ロッテとの直接対決を制し、3年ぶりのリーグ優勝を地元で飾った。パ・リーグ19度目、1リーグ制時代を含め21度目の優勝。球団の福岡移転後、ダイエー3度で、ソフトバンクで6度目となった。ソフトバンク孫正義球団オーナー「3年ぶりにリーグ優勝できたのはすごくうれしい。日本、世界中の人々が新型コロナで大変な年で、年明けにまさかこんな世の中になるとは想像できなかった。我々にとって明るいニュース。本当に素晴らしい球団になった。ファン、球団の皆さんに感謝したい。工藤監督は2軍、3軍、育成まで含めて隅々まで気を配り、選手の健康状態や相手球団といかに戦って勝つか、心血注いで頑張っている。大変うれしく思うし、感謝したい」

◆ソフトバンクが、優勝マジック2で迎えた2位ロッテとの直接対決を制し、3年ぶりのリーグ優勝を地元で飾った。パ・リーグ19度目、1リーグ制時代を含め21度目の優勝。球団の福岡移転後、ダイエー3度で、ソフトバンクで6度目となった。王貞治球団会長は2年連続で巨人を倒しての日本一を期待した。3年ぶりのリーグ優勝に「まずは1つの目標は達成したが、まだ大きな仕事が待っている」とキッパリ。 昨年は古巣巨人との日本シリーズを4連勝と圧勝した。「今年もぜひやりたいね。CSは大きな山だが、選手には自信はあると思う。もう1回ホークスの強さを見せつけたい」と言葉に力をこめた。孫オーナーからV10を命題にされているが、まずは過去、巨人しかしていない4年連続日本一を狙う。工藤監督は来季が2年契約の最終年で、その手腕を問われ「チームにとって不可欠だと思います」と述べた。

◆ソフトバンクが、優勝マジック2で迎えた2位ロッテとの直接対決を制し、3年ぶりのリーグ優勝を地元で飾った。パ・リーグ19度目、1リーグ制時代を含め21度目の優勝。球団の福岡移転後、ダイエー3度で、ソフトバンクで6度目となった。 祝勝会は恒例のビールかけを行わない新しい様式で実施した。今季スローガン「S15(サァイコー!)」にかけて、中村晃選手会長が「4年連続日本一に向けてサァイコー」と音頭を取ってくす玉を割り、選手たちは手に持ったクラッカーを一斉に鳴らした。新型コロナ感染拡大の防止を意識し3密回避に努めて優勝を祝った。

◆ソフトバンクが、優勝マジック2で迎えた2位ロッテとの直接対決を制し、3年ぶりのリーグ優勝を地元で飾った。パ・リーグ19度目、1リーグ制時代を含め21度目の優勝。球団の福岡移転後、ダイエー3度で、ソフトバンクで6度目となった。◆主なV決定日の胴上げ、ビールかけなし 81年9月23日、ともに試合がない巨人のセ・リーグ優勝と日本ハムのパ・リーグ後期優勝が同日決定。両チームとも後楽園球場に集合も、胴上げは「ファイターズ初V」の日本ハム大沢監督だけだった。88年セ優勝の中日、パ優勝の西武は、天皇陛下のご容体に配慮し、ビールかけを自粛。01年は米中枢同時多発テロの影響でコミッショナーからビールかけの自粛要請があり、セVのヤクルトは鏡開きとシャンパンの乾杯、近鉄は「缶ビール垂らし」で控えめに喜んだ。10年中日は試合がない日にリーグVが決まり、翌日の試合後に胴上げ。

◆ソフトバンクが3年ぶりにリーグ優勝を奪回した。マジック2で迎えた2位ロッテとの直接対決を制し、1リーグ時代を含めて21度目の優勝。昨季まで終盤の失速で西武に連覇を許したが、10月に入り15年ぶりの12連勝で加速した。 工藤公康監督(57)は試合後、優勝会見に臨んだ。-3年ぶりにリーグ優勝した気持ちは 非常に選手たちがよくやってくれたという思いと、勝った瞬間は自分でもガッツポーズするくらい、3年ぶりのリーグ優勝、何が何でも勝ちたいという思いがあったので、うれしい気持ちとホッとした気持ちがありました。 -2年間、悔しさがあった 首位に立ちながら逆転で負けたというところが頭から離れることはなかった。千葉ロッテさんとゲーム差なしとなったところから、選手たちが100%の力を出して一気に引き離してくれて、頼もしく見えました。今年のコロナ禍の状況の中で最後の最後に死力を尽くして戦ってくれた選手に感謝の思いでいっぱいです。 -一番気をつけたところは 一番考えたのは、そこに入るまでにしっかり準備ということを選手にも伝えてきた。なかなか100で開幕を迎えるのは難しいだろうと思いました。トレーナーさん、コーチの皆さんとミーティングをしながら選手の状態、コンディショニング、既往歴を含めて常に話しながら、どうすればいいかとやってきて、大きなけが人も少なくこの難しいシーズンを乗り切ることができたのかなと思います。 -難しいシーズンだった すべてが初体験という中ではあったんですけど、なるべくコーチの皆さんと話をして、グラウンドでは選手の状態を聞いたりしながら、少しでもけが人が出ないよう、なるべくいいコンディションで試合に臨んでもらえるように考えながらやってきたと思います。 -チームに手応えを感じたのは 追いつかれてゲーム差がなくなって、その時でもしっかりとみんながベンチで元気で声を出してやっている姿を見て、安心する部分と、頼もしくなったなと。追いつかれた中で、気持ちや気合が入っていたとしても、平常心の中で自分たちの野球してくれているのを見て、これでやっていけるなと思いました。 -今季の強さは 一番はチームとして1つになって、勝つことを目指してやっていくぞというのが本当に強かったと思いますし、2年連続リーグ優勝していない中で選手たちも自然と気合が入っていた。絶対に勝つぞという思いを心に秘めた中でやってくれた。その思いが12連勝という形で一気に出たと思いますし、僕らが何か言わなくても、選手自身が自分たちのやるべきことをしっかりやってくれたシーズンだと思います。 -投手陣について 本当にもっと褒めていただきたいくらい、投手陣は先発も中継ぎ陣もよくやってくれたと思います。やはりピッチャーがしっかり抑えるということが何よりゲームの中では勝利に近づくなというのを今年はつくづく感じているシーズンです。 -開幕投手の東浜が活躍 本当に野球にかける情熱というか、上を求め続ける探究心というか、そういうものが、コロナの状況の中、まだ自主トレの段階でも上を目指すんだという思いでしっかり調整してくれた。その姿を見て開幕に指名したいと思いましたし、責任を果たしてくれた。開幕投手をしたという責任感を優勝するまで保ち続け、高いモチベーションの中でシーズンを過ごしてくれたと思います。 -打線は工夫しながら 打撃コーチの皆さんと、トレーナーの皆さんと選手の状況を把握した中で打順を組んだりということはやってきました。みんなで話をして総合的に意見をもらいながら打順を決めていきました。選手たちが自分たちの仕事をしっかりやってくれたと思います。 -周東の活躍には 彼の足というのがチームの勢いになったことは間違いないと思いますし、隣にいる2番の中村君が周東君が走るまで我慢してくれたり、タイムリーや、次につなぐ仕事をしてくれたことが大きかったと思います。 -ファンへ 3年ぶりリーグ優勝を成し遂げることができました。ここまで応援ありがとうございます。我々はあくまで日本一を目指して戦っているチームです。CS、日本シリーズといい報告ができるように戦っていきます。

◆ソフトバンクが3年ぶりにリーグ優勝を奪回した。マジック2で迎えた2位ロッテとの直接対決を制し、1リーグ時代を含めて21度目の優勝。昨季まで終盤の失速で西武に連覇を許したが、10月に入り15年ぶりの12連勝で加速した。新型コロナウイルスの影響を受けたシーズン。6年目の工藤公康監督(57)はコンディション、データ重視の采配で雪辱した。次はクライマックスシリーズを勝ち抜き、4年連続の日本一に挑む。

◆ソフトバンクが3年ぶりにリーグ優勝を奪回した。マジック2で迎えた2位ロッテとの直接対決を制し、1リーグ時代を含めて21度目の優勝。昨季まで終盤の失速で西武に連覇を許したが、10月に入り15年ぶりの12連勝で加速した。新型コロナウイルスの影響を受けたシーズン。6年目の工藤公康監督(57)はコンディション、データ重視の采配で雪辱した。次はクライマックスシリーズを勝ち抜き、4年連続の日本一に挑む。ソフトバンクが投手力でペナントを奪回した。チーム防御率がリーグトップの2.96。現在、リーグ2位のロッテに0.94の大差をつけている。先発投手の防御率は昨年もリーグ1位だったが、数字は昨年の3.87から3.17へ上昇。10試合以上先発したのは7人いたが、16試合千賀が2.49、17試合東浜が2.18、16試合石川が2.54、11試合ムーアが2.69、16試合和田2.94と、5人が防御率2点台。10試合以上で先発防御率4点台は二保しかいなかった。 これだけ先発が安定していれば前半の失点は少なくなり、1~5回の防御率は2.98で、5回まで無失点が34試合、1失点が28試合。5回終了時に1失点以下がリーグ最多の62試合あり、その試合は46勝13敗3分け、勝率7割8分だった。先発がしっかり試合をつくり、モイネロ、森ら防御率2点台の救援投手が後半を抑えて白星を重ねた。 過去、2位に最も差をつけた防御率1位チームは90年巨人で0.74差。パ・リーグでは工藤監督が防御率のタイトルを獲得した87年西武の0.71差で、今年のソフトバンクは90年巨人を抜く新記録をつくりそうだ。ただし、現時点で規定投球回到達者はおらず、「規定投球回到達者0」でVは打撃で圧倒した昨年の西武に次いで史上2度目。傑出した成績を残した投手はいなくても、レベルの高い投手をそろえて優勝した。

◆「敗者」でありながら「勝者」となった何とも複雑な2年間の思いにようやくピリオドを打った。工藤ホークスが3年ぶりのリーグ制覇を成し遂げた。西武に2年連続して戴冠を許し、クライマックスシリーズで撃破。2度の下克上で3年連続の日本一まで上り詰めたが、喜びと同時に澱(おり)のように心にいつもむなしさは残っていた。 人類が経験したことのない「コロナ禍」はプロ野球界も襲った。春季キャンプを終え、心も体もボルテージが高まりつつある中で不気味な新型ウイルスの猛威にさらされた。3月の開幕が6月にずれ込み、観客のいないスタンドから球音は戻った。調整の難しさもあったろう。それでもホークスは下馬評通りペナントレースを制した。 苦境を力に変えた。象徴的だったのは今季から選手会長としてチームのまとめ役となった中村晃の存在だ。昨年から悩まされている自律神経失調症に加え、両膝の痛みも襲った。5月には体調不良による倦怠(けんたい)感もあった。6月開幕どころか、心も折れかけた。リハビリと2軍調整を終え、何とか7月11日に1軍昇格した。対応力の高い打撃は波に乗れずにいたチームを救った。体調は万全ではない。納得いくプレーができている確信もない。それでもバットを振り、ボールを追った。7月17日のオリックス戦(京セラドーム大阪)から20試合連続で「4番」に座った。プロ初体験の打順も中村晃のバットがチーム浮上の大きなきっかけとなった。20試合で12勝8敗。それまで貯金「1」だったチームが、4番中村晃で首位に立った。先発4番で打率3割2分。その後は1日だけ3位に落ちた以外、トップの座を明け渡すことなくゴールテープを切った。 仕事は多岐にわたった。先発打順は1番、2番、3番、4番、5番、6番で起用。守備も一塁、左翼、右翼、そしてDHとめまぐるしかったが、すべてにおいて適応した。シーズンを振り返って中村晃は言った。 「今年は膝をケガしたときに、体調も悪いこともあって野球を辞めようかと考えました」 体調はシーズン中も万全ではない。眠れない夜も続き、肉体的な疲労は蓄積した。入団時から世話になった川村隆史コンディショニング担当の急逝は、悲しみとともに、自らの奮起とした。「これからは川村さんの分もしっかり生きていきます」。寡黙な男の決意通り、バットでも背中でもチームを引っ張った。個人的にはこの男にMVPを贈りたい。【佐竹英治】

◆ソフトバンクが3年ぶりにリーグ優勝を奪回した。マジック2で迎えた2位ロッテとの直接対決を制し、1リーグ時代を含めて21度目の優勝。昨季まで終盤の失速で西武に連覇を許したが、10月に入り15年ぶりの12連勝で加速した。新型コロナウイルスの影響を受けたシーズン。6年目の工藤公康監督(57)はコンディション、データ重視の采配で雪辱した。次はクライマックスシリーズを勝ち抜き、4年連続の日本一に挑む。キューバ勢の合流遅れや故障、不振のため工藤監督は思うような打線を組めずに苦労した。ここまで111試合を消化してオーダーが104通り。最も多いのが1番周東、2番中村晃、3番柳田、4番グラシアル、5番栗原、6番明石、7番松田宣、8番甲斐、9番川瀬の4試合。2試合連続で同じ打順は7月19、21日と8月28、29日しかなく、10人以上起用した打順が7つもある日替わり打線だった。 バレンティンでスタートした先発4番には球団史上最多の9人が座り、最多出場はグラシアルの31試合。プロ入り初4番が6月28日上林、7月17日中村晃、8月11日栗原、10月2日川島と4人もいた。4番打者の本塁打はデスパイネが113試合務めた昨年の36本から17本に半減したが、打率は昨年の2割5分5厘から3割2厘にアップ。4番もつなぎに徹していた。 昨年までの優勝チームの先発4番起用人数を調べると、延べ155チームのうち122チームが4人以下。最多は78年阪急の9人で、今年のソフトバンクは最多タイ。阪急の9人目は優勝を決めた後の試合で起用され、V決定前に9人は初めてだ。1リーグ時代を含め100試合以上行われたシーズンで、優勝チームの最多4番出場が40試合以下も過去になかった。【伊藤友一】

◆ソフトバンクが3年ぶりにリーグ優勝を奪回した。マジック2で迎えた2位ロッテとの直接対決を制し、1リーグ時代を含めて21度目の優勝。昨季まで終盤の失速で西武に連覇を許したが、10月に入り15年ぶりの12連勝で加速した。新型コロナウイルスの影響を受けたシーズン。6年目の工藤公康監督(57)はコンディション、データ重視の采配で雪辱した。次はクライマックスシリーズを勝ち抜き、4年連続の日本一に挑む。

◆ソフトバンクが3年ぶりにリーグ優勝を奪回した。マジック2で迎えた2位ロッテとの直接対決を制し、1リーグ時代を含めて21度目の優勝。昨季まで終盤の失速で西武に連覇を許したが、10月に入り15年ぶりの12連勝で加速した。次はクライマックスシリーズを勝ち抜き、4年連続の日本一に挑む。ソフトバンクの背番号「01」も歓喜の輪の中にいた。9月に川村隆史3軍コンディショニング担当がくも膜下出血のため遠征先で急逝。55歳だった。明るい性格で、選手の良き相談相手でもあった。川村さんのユニホームはその後の試合で「ベンチ入り」し続け、リーグ優勝も見届けた。 川村さんは92年に入団。その年に現役引退し「弟子入り」したのが山川周一2軍コンディショニング担当(56)だった。イロハをたたき込まれ、功績の大きさを知る1人。毎年新人が合同自主トレの最初に指導を受けるのが、川村さんだった。「走ることが主流だったが、体の各パーツを鍛えるトレーニングも必要だと選手に分からせて、故障が減っていったと感じてます」。理論や技術に加え、雰囲気作りにたけ、選手に慕われた。「若い選手が次から次へと声を掛けられている光景を見るとすごいと思いました。常に選手のことを考え、時間を惜しまず準備されていましたから」。 2軍の試合でもベンチには「01」のユニホームが掲げられ、リチャードは「川村さん、力をもらいます」と触って打席に向かった。「選手はみんなお世話になっている。メンタル面のフォローでも多くの選手が助けられているはずです」。天国でナインの喜ぶ姿を笑顔で見ていたに違いない。

◆ソフトバンクが3年ぶりにリーグ優勝を奪回した。マジック2で迎えた2位ロッテとの直接対決を制し、1リーグ時代を含めて21度目の優勝。昨季まで終盤の失速で西武に連覇を許したが、10月に入り15年ぶりの12連勝で加速した。次はクライマックスシリーズを勝ち抜き、4年連続の日本一に挑む。南海からダイエーとなって16年、ダイエーからソフトバンクになって16年。本拠地を大阪から移して32シーズン、2つの親会社が福岡でホークス文化を継承して同じ歳月がたった。リーグ優勝はダイエーで3度、ソフトバンクで6度。選手への投資で常勝軍団を築き、ファンを増やして大型補強を可能にしてきた。 そのスパイラルの中、3年連続日本一に輝いた昨年、球団は創立15年目で最高となる約325億円の売り上げを記録した。「何でも一番がいい」という孫正義オーナーの号令もあり戦績と比例するように経営日本一の球団に向け士気も上がった。しかし、開幕前の5月には本社ソフトバンクグループが投資失敗による1兆3600億円余りに及ぶ20年3月期の赤字決算を公表。球団スポンサーからは不安の声も上がった。さらにコロナ禍で、入場料など営業収益は大幅減。国内のエンターテインメント業界と同じく経営的に苦しいシーズンを余儀なくされた。ただ、チームは順調にペナントレースを戦い、3年ぶりVの上げ潮ムードに乗って、年間予約席など集客回復の見込みは大きい。常勝を続けるチームのコンテンツ力は厳しい環境に置かれた球団経営もしっかり下支えした。 昨年はドームを4万人収容へ改修、今夏は外周デッキでつながる娯楽施設「BOSS E・ZO FUKUOKA」を開業。2事業で100億円を投じた。野球以外でも楽しめる「ボールパーク化」を進める中、ソフトバンクならではの工夫もあった。無観客試合の中で、グループ子会社のノウハウを導入。人型の「ペッパー」、4足歩行型の「スポット」と呼ばれるロボット導入でエンタメ性を高めた。スタンドで応援パフォーマンスを繰り広げるロボットの動きには孫オーナーから「もっと奇抜な動きをするように」と毎試合のように指示が飛んだ。ネットを通じて世界にも発信。独自のカラーを打ち出した。今後、人工知能(AI)や仮想現実(VR)を取り入れることも想定。「ウィズコロナ時代」に向け、いち早く対応する機敏さも見せた。

◆ソフトバンク・千賀滉大投手(27)がキャッチボールなどで調整。28日のロッテ戦(ペイペイドーム)での先発登板に向けて「自分の役割というところだけを(意識したい)」と力を込めた。  今季のロッテ戦は1試合登板で0勝1敗、防御率8・53。CS以降も対戦の可能性があるチームだが「まずは自分のやるべきことをちゃんと、相手どうこうは関係ない」と強調した。チームが現在負け越している相手なだけに、力強い投球で印象を残したい。  現在チームトップタイの9勝。10勝目となれば5年連続の2桁勝利となり、2011年から5年間記録した摂津正以来となる。右腕は「そこに関わらず自分の投球をしっかりしたい。そこは変わらない」と繰り返していた。

◆ソフトバンクの周東が四球を選んだ三回、続く中村晃の初球で二盗を決め、月間20盗塁に到達。1964年5月の広瀬(南海)の球団記録を塗り替えた。さらに連続試合盗塁を10に伸ばして95年の緒方(広島)に並び、プロ野球記録の福本(阪急)にあと1試合と迫った。「走り方は意識しない。思うがままに走っている」と無我夢中で数字を積み上げた。  0-0の五回無死二塁では送りバントに成功し、中村晃の先制犠飛を呼んだ。急成長を遂げるリードオフマンが走って、つないで存在感を示した。

◆優勝へのマジックナンバーを「2」としていたソフトバンクは2位ロッテを下し、3年ぶり19度目(ソフトバンクとしては6度目)のリーグ優勝を決めた。1リーグ時代を含めると21度目。  先発の和田が6回を3安打無失点の好投。打線は五回に中村晃の犠飛、六回に甲斐の2ランが飛び出した。昨シーズンから今シーズンにかけて苦手にしてきたロッテを直接叩き、歓喜の瞬間を迎えた。  約3カ月遅れの6月19日に始まったシーズン。デスパイネ、グラシアルの主力助っ人が新型コロナウイルスの影響で、母国キューバから出国できない状態が続き、来日は7月下旬だった。投手陣もエース千賀が右上腕部の張りで出遅れ、高橋礼が中継ぎに配置転換されるなど、順風満帆とはいかなかった。  2位ロッテには8月中旬に一時首位を明け渡し、10月9日には「0差」と迫られたが、同10日のロッテ戦から12連勝するなど勝負どころで一気に突き放した。  チームは日本シリーズ進出を目指し、11月14日に始まるクライマックスシリーズ(優勝アドバンテージ1勝、4試合制)に出場する。

◆パ・リーグは27日、優勝へのマジックナンバーを「2」としていた首位ソフトバンクが本拠地ペイペイドームで2位ロッテを5-1で下し、3年ぶり19度目(南海、ダイエー時代を含む)、1リーグ時代を含めると21度目の優勝を果たした。  工藤監督が就任6年目を迎えた今季は、柳田が3試合連続本塁打を放った8月23日に単独首位に浮上。そこから千賀、東浜ら先発投手陣の活躍もあってトップを維持した。10月21日にマジックナンバーを「8」で初点灯させ、23日には15年ぶりの12連勝を飾って独走態勢を築いた。  新型コロナウイルス感染拡大で開幕が遅れた影響により、日本シリーズ進出を争うクライマックスシリーズは上位2チームによる縮小した形式での開催となり、11月14日からペイペイドームで始まる。 ロッテ・井口監督 「選手層が厚いし、最後に連勝するところは、経験値も含めてわれわれよりもはるかに上だなと思う。残り試合を一つ一つ勝ってクライマックスシリーズ(CS)で、もう一度ホークスを倒すチャンスを得ないといけない」 西武・辻監督 「ソフトバンクとは対戦成績ではほぼ五分だが、内容では押されていた。先発も後ろも強い。投手陣が素晴らしかったので、先に点を取られたら苦しかった」 「楽天・三木監督「試合の中で自分が求められていることに徹して、みんなやろうとしている姿がある。数字的にもそうだが、投手力が強かったと思う。ただ投手だけでなく、バッテリーを含めた各選手の守備力が高いものがあると感じた」 「日本ハム・栗山監督「ホークスもけが人が出る中で、我慢しながら最後まで行き切ったというのは見事だと思う。(大差をつけられ)もちろん受け止めないといけない。本当に責任を感じる」 「オリックス・中嶋監督代行「対戦成績、数字から見て分かる通り、かなわなかった。終盤まで粘って一気に突き放されるというゲームが多かったように思う。この差をどうやって埋めていくかが大事になる」

◆ソフトバンクが2位ロッテとの直接対決に快勝。南海時代の10度、ダイエー時代の3度と合わせ19度目、1リーグ時代を含めると21度目の優勝を決めた。白球がみるみる小さくなり、外野手が懸命に背走する。距離は十分-。三走が本塁へとスタートする前から、打ったソフトバンク・中村晃はもう手をたたいていた。  この試合で決めたい、この1点は絶対に欲しいという思いが、寡黙な打撃職人からあふれ出ていた。0-0の五回、値千金の先制犠飛だ。  先発の和田が、左腕がちぎれんばかりの熱投を見せていた。「初回から全力で、スタミナが切れるまで投げました。野手のみんなが1点を先に取ってくれたので、必死で1点を守りにいった」。プロ18年目。この日まで日米通算142勝を積み上げてきた39歳が、序盤から最速146キロを投げ込み、見る者すべての胸を熱くさせた。  0-0の五回に先頭の9番・川瀬が右越え二塁打で突破口を開くと、ベンチも動いた。工藤監督は、前の打席で四球を選びシーズン46盗塁目となる二盗を決めていた周東に犠打を命じた。ともに球団新記録となる月間20盗塁と10試合連続盗塁を達成した韋駄天も、鮮やかな捕犠打で応える。  あとはもう、中村晃が決めるだけだった。カウント1-1から外角真っすぐを逆らわずに左中間へ運んだ。三走・川瀬は滑り込まずに先制のホームを踏む。この1点に和田はまた奮い立ち、チーム全員がベンチで両手を突き上げていた。  優勝へのマジックナンバー「2」で迎えた2位・ロッテとの直接対決。和田は新人だった2003年には、勝った方が日本一という阪神との日本シリーズ第7戦で先発し完投で胴上げ投手となった経験も。だが、リーグVをかけたゲームでの登板は自身初だった。  ロッテはただ2位というだけでなく、今季この試合まで6勝11敗1分と5球団で唯一負け越している相手。9月4-6日には同じペイペイドームで同一カード3連敗も喫した。Vには王手をかけたとはいえ、とにかくここで強烈にたたいておく必要があった。  日本一への道のりにクライマックスシリーズ(CS)があることも考えれば、この試合の重要さは増した。そんな状況下で、和田は6回3安打無失点とゼロを並べて帰ってきた。  六回には甲斐の10号2ランも出て3-0に突き放した。女房役も大仕事を果たし「チームにとっても自分にとっても大きな追加点になってくれました」と語った。3年ぶりのリーグ優勝。世界中が新型コロナウイルスの感染拡大に襲われた特別な1年。常勝の鷹がついに復活した。

◆パ・リーグは27日、優勝へのマジックナンバーを「2」としていた首位ソフトバンクが本拠地ペイペイドームで2位ロッテを5-1で下し、3年ぶり19度目(南海、ダイエー時代を含む)、1リーグ時代を含めると21度目の優勝を果たした。  工藤監督が就任6年目を迎えた今季は、柳田が3試合連続本塁打を放った8月23日に単独首位に浮上。そこから千賀、東浜ら先発投手陣の活躍もあってトップを維持した。10月21日にマジックナンバーを「8」で初点灯させ、23日には15年ぶりの12連勝を飾って独走態勢を築いた。  新型コロナウイルス感染拡大で開幕が遅れた影響により、日本シリーズ進出を争うクライマックスシリーズは上位2チームによる縮小した形式での開催となり、11月14日からペイペイドームで始まる。 ソフトバンク・工藤監督 「勝った瞬間はふわふわした気持ちで、みんなと顔を合わせた時に勝った自覚をした。和田君がさすが、素晴らしいという投球をしてくれた。ベンチにいる選手誰もがその投球に勇気をもらって、打つことができた」

◆ロッテは目の前で優勝を決められ、15年ぶりのリーグ制覇を逃した。10月9日にゲーム差なしの2位に迫ったが、それ以降の14試合は3勝11敗と失速し、ソフトバンクに独走を許した。チーム内で新型コロナウイルスの感染者が続出し、井口監督は「選手が抜ける形になって、結果的にホークスを走らせてしまったかな」と残念がった。  3位西武と2ゲーム差の2位で、4年ぶりのクライマックスシリーズ(CS)進出の可能性は残している。残りは11試合。井口監督は「しっかりと切り替えて、次の目標に向けて戦っていきたい」と言葉に力を込めた。

◆3年ぶりのリーグ優勝を飾ったソフトバンク・王貞治球団会長(80)が、新型コロナウイルスが直撃した特別なシーズンを制したチームを振り返った。主な一問一答は以下の通り。--率直にどんな思い  「3年続けて日本一になっても、リーグ優勝がない、リーグ優勝がないと言われましたので。今年こそ意地でもリーグ優勝と日本一だということで。まずひとつ、ほっとしているところですね」  --調整が難しい1年でもあった  「キャンプからオープン戦のうちはよかったんですが、開幕が延期になって、いつ開幕になるのかわからないので。選手たちも調整が難しかったと思う。例年に比べたら、万全の状態で開幕を迎えられたわけではないので。戦いながら調子を上げていった感じだったので。そういう中で、出遅れていたチームも多かったと思うんですね」  --やりくりで乗り切った  「このメンバーで戦い慣れているのもあったと思いますけど、本当にチャンスを与えて、若い選手が本当に活躍してくれましたよね。他のチームが30人で戦っているところをうちは40人で戦っているような。そんな幅の広い戦いができたと思います。それが最後に秀でた要因じゃないですかね」  --印象に残った試合や選手は  「たくさんありますけど、今年は何と言っても周東選手ですね。彼の足といっても、チームにとっても頼りになる選手ですし、相手からしたらあんなに嫌な選手はいないです。彼が打席に立ったとき、バッテリーの雰囲気も違っていましたしね。塁に出られればすぐ二塁打になっちゃうわけですから。攻撃する側からすれば、ものすごくチャンスが広がるわけですから。彼が前半から常時出るようになってから打撃もよくなった。彼が12連勝を含めてチームをけん引してくれた。彼の成長、活躍が大きかったですね」  --プロ野球の力  「戦後もプロ野球が復活したことで日本のみなさんの気持ちも明るくなったといわれていますし。戦うことで少しでもファンのみなさんに野球の楽しみというか、『野球をやっているのを見るのはいいな』と思ってもらえたと思います。お客さんがいないときはお客さんがいないなりでしたけど、少しずつお客さんが増えるようになってきてだんだん本来の形に近い形で試合ができましたので。やっぱりお客さんの力は大きいなと感じています」  --最後にファンにメッセージを  「こういう特別な年でしたけど、本当にご声援をありがとうございました。おかげさまでみなさんと一緒にゴール、リーグ優勝することができました。まだ大きな仕事がふたつ、残っていますので。そのふたつをぜひ、みなさんと一緒に乗り越えて、最後の美酒をみなさんと分けられるように頑張っていきたい。選手たちもその気になっていますから。躍動感あふれるプレーを見ていただきたい、応援していただきたいと思います」

◆ソフトバンクが3年ぶりのリーグ優勝。優勝会見での工藤公康監督(57)の一問一答は以下の通り。--工藤監督、3年ぶりのリーグ優勝。まず今のお気持ちは  「勝った瞬間はすごくこう、自分でもガッツポーズをするくらい、本当に3年ぶりの優勝というところで。今年は何が何でも勝ちたいという気持ちもありましたので。すごくうれしい気持ちと、そしてホッとした気持ちがありました」  --やはりこの2年のリーグVを逃した悔しさがこみ上げた  「首位に立ちながら逆転で負けた、というところがやっぱり頭からなかなか離れることがなかった。千葉ロッテさんとゲーム差なしとなったところから、選手たちが100%の力を出してくれて一気に引き離してくれたところは、選手がすごく頼もしく見えました。死力を尽くして戦った、戦ってくれた選手に、本当に感謝の気持ちでいっぱいです」  --この難しいシーズンの中で何に一番気をつかったか  「なかなか『100』で開幕を迎えるのは難しいだろうというふうにも思いました。トレーナーさんとしっかりとミーティングをしながら、そしてコーチのみなさんとしっかりとミーティングをしながら。大きなけが人もなく、また少なく、この難しいシーズンを乗り切ることができたのではないかなと思います」  --同一カード6連戦もあった。日程もハードだった  「すべてのことが初体験というかですね。なるべくコーチの皆さんと話をし、グラウンドでは選手の状態を聞いたりしながら、少しでもけが人が出ないように、そしてなるべくいいコンディションで試合に臨んでもらうようにということは常に考えてやってきたと思います」  --今シーズンの戦い方の手応えはどのあたりで感じたか  「追いつかれてゲーム差がなくなって。そのときでもみんながベンチで声を出してやっている姿を見てですね。すごく安心する部分と、頼もしくなったなと。平常心の中で自分たちの野球をやってくれていたのを見て、これでいけるんじゃないかなと」  --今シーズンのチームの強さはどこに感じたか  「やはり2年連続リーグ優勝していない、という中で、選手たちも自然に気合も入っていたというふうに思います。その中で絶対に勝つぞ! というところもみんな心に秘めた中でやってくれたので。12連勝という形で一気に出たというふうに思います。僕らが何か言わなくても、選手自身が自分たちのやるべきことをしっかりやってくれたシーズンではないかなと思います」  --投手陣は防御率2点台  「もっと褒めていただきたいくらい、投手陣はですね、先発も中継ぎ陣もですね、よくやってくれたと思います。やはりピッチャーがしっかり抑えるということが、勝利に近づくなというところを今年はつくづく感じているシーズンです」  --その中でも開幕投手も務めた東浜の活躍は素晴らしかった  「野球にかける情熱というか、上を求め続ける探求心というか。コロナの中で、まだ自主トレの段階でもですね、『さらに上を目指すんだ』という思いのなかでしっかり調整をしてくれて。何よりも自分自身の責任感をですね、開幕(投手)をしたという責任感を、優勝するまで保ち続け、そして高いモチベーションの中でシーズンを過ごしてくれたと思います」  --打撃では打順も100通り以上試し、工夫をしながら戦った  「打撃コーチの皆さんと、当然トレーナーの皆さんと、選手の状況を把握した中で打順を組んだりということをやってきましたので。みんなから意見をもらいながら打順は決めていきました。一定した打順ではなかったですけど」  --その中でも後半戦には周東が1番に定着  「彼の足がチームの勢いになったというのは間違いないと。隣にいる2番の中村(晃)くんが周東くんが走るまで我慢してくれたり、タイムリーやヒットを打ってくれたり、次につないでくれたりという仕事が非常に大きかった」  --まだ大きな仕事は残っているが、ファンへメッセージを  「3年ぶりのリーグ優勝を成し遂げることができました。ここまで本当に応援をしていただきましてありがとうございます。われわれはあくまで日本一を目指してやっているので、これからクライマックス、日本シリーズ、しっかりと勝てるように、残りのシーズンもしっかりと戦い、そして皆さまにまたいい報告ができるよう、これからも頑張っていきます」

◆3年ぶりのリーグ優勝を決めたソフトバンクの選手会長・中村晃外野手(30)が優勝会見を行った。一問一答は以下の通り。--率直な感想は  「本当に途中はね、ロッテとゲーム差なしまでいきましたし、本当にどのチームも強かったので。とりあえずホッとしました」  --特別な難しいシーズンの中で選手会長として  「選手個々が自分の役割をしっかりやってくれていましたので。僕はやりやすい環境をなるべく作れればなと思って、話はいろいろ聞いたりはしていました」  --選手会長から見た今年の強さは  「素晴らしいピッチャーがたくさんいますので。守りからリズムを作る、そういう野球がやっぱり良かったんじゃないかなと思います」  --若い選手もどんどん出てきて刺激を受けたのでは  「周東もそうですし、まあ栗原とは一緒に自主トレをやっていますし。彼の活躍が僕に刺激を与えてくれてここまで来られたと思います」  --個人としては、少し調整が遅れて7月からのスタートだった  「開幕に間に合わなかったというのは自分でも反省しています。それでも1軍に復帰できて、またプレーができたというのでね。本当にリハビリのトレーナーさんであったりとか、2軍、3軍のスタッフの方たちのおかげで、また1軍に復帰することができたので。本当に皆さんに感謝しています」  --4番で20試合ほどプレーした時期もあったが、プロ初の「4番・中村晃」は  「高校以来の4番バッターだったので、えーっ...最初はちょっと大丈夫かなと思いましたけど、なんとかこなせたのかなと思うので」  --通算1000安打という節目の記録も  「順調に来た部分とそうでない部分があったんですけど、本当にこれからもですね、チームのために、チームの勝利に貢献できるようなヒットをたくさん打っていければなと思います」  --まだCS、日本シリーズもある。ファンへ意気込みを  「まだまだ戦いは続きますので。4年連続日本一になれるように、またチーム一丸となってやっていきたいと思いますので、また応援よろしくお願いします」

◆ソフトバンクはペイペイドームで祝勝会を実施した。新型コロナウイルス感染防止のため、恒例のビールかけは自粛。中村晃選手会長の「4年連続日本一へ向けて」というかけ声に選手らが「さあ行こう」と応えると、くす玉が割られ、クラッカーを鳴らして喜びを分かち合った。 東浜 「序盤、中盤うまくいかなかったけど、耐えてきた経験が最後に来て生きている。特別な1年になった」 栗原 「うれしかったのが一番。ここまでできたのは自分の中では少し自信になった」 柳田 「ほっとしたというか、決まって良かった。今年は自分の力を証明するという気持ちでシーズンに入った。十分やっているかなとは思う」 石川 「目の前の試合を必死に投げるだけだった。充実したシーズンだったんじゃないか。まだ投げる試合もあるし、ここで一度気を引き締め直したい」 松田宣 「今年ほど、チームが勝てば良いとか、チームの結果が全てと思ったことはない。10月に関しては、強いなと思いながらプレーしていた」

◆ソフトバンクが3年ぶりのリーグ優勝。開幕投手を務めた東浜巨投手(30)が優勝会見を行った。一問一答は以下の通り。--改めて今の気持ちは  「いつ開幕するのか分からないという今シーズン。どうなるんだろうという思いを常に持ちながら過ごしてきて。こうやって優勝できて、ホッとしていますし、うれしく思います」  --自身初の開幕投手も務めた  「本来なら3月に開幕というところで、一度そこに向けて作っていったんですけど。そこで延期になって6月に開幕になって、でも、その3月に開幕投手を言い渡されたことでモチベーションがさらに上がって、その自粛期間中も同じように高いモチベーションの中で過ごすことができた。自分の中では特別な1年になったと思います」  --9月に入ってからここまで6連勝中  「本当に開幕してから毎試合毎試合しっかり集中して、チームが勝つことを最優先に考えて同じように投げてきて。なかなか序盤、中盤とうまくいかないことの方が多かったんですけど、そこでなんとか耐えて、投げてきたその経験が、最後に来ていきているのかなと思います」  --後ろには鉄壁のリリーフ陣  「リリーフの方たちには助けてもらいっぱなしで。自分では情けない思いと、頼もしいリリーフ陣だなという信頼感と、両方持ちながら今年はずっと過ごしてきた。最後の最後に少しでもリリーフを楽にしてあげられるように。そういう思いで投げてきたのが良かったと思います」  --援護してくれた野手陣の存在は  「僕のときにもよく点を取ってくださいましたし。それ以上に本当に、記録に残らないいいプレーだったり、守備の方でもすごく助けられているので。本当に頼もしいです」  --残る戦いへ、ホークスファンにメッセージを  「CS、日本シリーズとまだまだ続くので。最後まで頑張っていきたいと思いますし、4年連続日本一になれるように頑張っていきます」

◆ソフトバンクが、2位ロッテとの直接対決で快勝し、3年ぶり19度目(ソフトバンクとしては6度目)のリーグ優勝を達成した。10月9日にはロッテにゲーム差なしまで迫られたが、12連勝し、突き放した。世界中が新型コロナウイルスの感染拡大に苦心した一年。工藤公康監督(57)にとって弔いのVでもあった。チームは日本シリーズ進出を目指し、11月14日に始まるクライマックスシリーズ(4試合制)に出場する。  戦う人たちを思えば、胴上げは必要ない。密になることなく、マスク越しに選手と拳を交わした。ソフトバンクが3年ぶり19度目の優勝。工藤監督の目が光っていた。万感の万歳三唱。新型コロナウイルスが直撃した特別な一年を制した。  「NPB(日本野球機構)の方々や医療従事者の支えがなければプロ野球が開幕できなかったかもしれない。野球を通して元気になってもらおうと頑張った結果が優勝につながりました」  優勝マジック2で迎えた2位ロッテとの直接対決。39歳の和田が6回無失点と期待に応えた。甲斐が中押しの今季10号2ランを放ち、最後は岩崎-モイネロ-森のリレーで逃げ切った。10月9日にロッテにゲーム差なしにまで迫られてから、15年ぶりの12連勝を含む、15戦14勝。就任6年目で3度目の頂点に導いた。  命と向き合った一年だった。9月15日、鷹一筋29年の川村隆史3軍コンディショニング担当が、くも膜下出血で急逝。55歳だった。訃報が選手に伝えられたのは札幌で行われた16日の日本ハム戦後。指揮官は涙ながらに、声をかけた。  「川村君が勝たせてくれた1勝。川村君のためにも頑張ろう」  現役時代の1995年から5年間、同じユニホームを着た。ランニングを回避したいときは「キャンプに"ワイルドカード"1枚出しておきます。やらなくていい日を作っておきます!」と柔軟な考えで選手を理解し、信じてくれた。2015年に監督就任し再会すると「お互い、年を取ったね」と笑い合った。  17日のヒーローインタビュー。選手会長の中村晃は「川村さんの分も生きていきたい」と誓った。球団はこの映像を日本ハム側に頼んで入手し、川村さんの実家に送る。この日の試合前には川村さんの写真が入った特製Tシャツを全員が着用した。16日以降、チームは23勝11敗2分け。"ベンチ入り"している背番号01のユニホームが、栄冠を見守ってくれた。  新型コロナウイルスが世界を襲った特別なシーズンでもあった。約3カ月遅れの6月19日に開幕したが工藤監督は「投手なら最低1カ月はかかる」と想定。エクセルで「4、5通り」の開幕日を逆算して球数など調整過程を管理した。規定投球回に到達した投手はいないが、チーム防御率2・96は12球団ダントツ。遠征先で部屋から出ることもなく向き合ったチーム作りが報われた。  今季から球団とは2年契約を結び、今後、続投要請を受ける。「日本一になって、川村君のところにいきたい」。11月14日から始まるクライマックスシリーズを勝ち、日本シリーズ、そして、4年連続の頂点へ-。恩人に最高の報告をしたい。  「一つも落とさないつもりで。みんなで力を合わせて明るく元気に頑張っていきます」  生前、川村さんは「また、いい思いしましょうね」とつぶやいていた。その願いをかなえ、工藤監督がホークスの強さを証明した。(竹村岳)

◆これほど芯が1本通った球団も、他にはない。孫オーナー→王球団会長→現場。初志貫徹、意思統一。組織づくりに全くブレがない。  秋山前監督が語っていた。孫オーナーに「毎年、日本一になってください」と言われ、実はプレッシャーを感じていたそうだ。もちろん、孫さんは"金は出すが、口は出さない"タイプ。それ以上は言わず、潤沢な資金でバックアップ。かつて、「ジーター(ヤンキース)を取れ」という指示まで出したそうだ。  3軍制の構築も、球界でトップ。しかも、2軍へ、1軍へと昇格するごとに、待遇も目に見えてアップ。選手は昇格に躍起になり、2度と降格しないよう必死になる。競争原理のシステムも確立されている。加えて伝統的に、猛練習する主力が多い。競争プラス練習量。個々のレベルがさらに上がるのは、必然だ。  この先もますます、強固な体制は続くはず。かつて巨人が成し遂げた9年連続日本一...、いや、「V10」を、本気で狙っていると思う。 (本紙専属評論家)

◆1点リードの六回に優勝を決定づける10号2ランを放ったソフトバンク・甲斐拓也捕手(27)が本紙に独占手記を寄せた。今季から故野村克也さん(享年84)が南海時代に背負った19番に変更。スタメンを外れる時期もあったが、ホークスの歴史に残る名捕手の番号を背負う重圧を乗り越え、歓喜の瞬間を迎えた。  優勝がかかった大事な試合で勝ててよかった。本当に精神的にきつかった。自分がチームを勝たせるんだという思いで入った一年だったので。報われた思いです。  シーズン序盤の同一カード6連戦は想像以上に大変でした。1カード3試合で考えていたのが、また3試合ある。勢いに乗らせないためにどうするか。相手の勢いをマスク越しにすごく感じましたね。7月の札幌遠征はきつかったな。高谷さんが2試合、1試合は九鬼が出たのか。あの3日間は毎日泣きました。ホテルで夜遅くまで。いろんな感情がありました。  今年一年は特にたたかれることが多かったです。僕はSNSはやらないし、見もしない。それでも、いろいろな声が聞こえてきました。チームが首位にいて、防御率が1位でも、負ければ「捕手が...」と言われて。ドーム宛てに「お前の配球が...」という手紙がきたこともありました。  このままじゃ絶対だめだ! と。結果が全てというのはわかっているんですが、きつかったです。嫁もいろいろ感じてくれて、ぼそっと「なんでこんなにたたかれるの?」って。家族が支えだったし、勝つことが一番でした。  終盤の12連勝も、本当に投手が一生懸命やってくれた結果です。みんなの助けがあって頑張れました。ただ本音で言うなら、見返してやりたいという気持ちが強かった。そういうポジションではあるんですけど、悪いときには言われて、連勝中には誰も何も言ってこなかった。目指すのはもちろんチームの勝利ですけど、勝つことでしか見返すことはできなかったので。12連勝できて本当にうれしかった。優勝したときに言えたらと思って頑張ってこれました。  今年から球団会長付特別アドバイザーに就任した城島健司さんの存在も大きかったです。シーズン中、苦しかったとき、話をする場をつくってもらった。グラウンドの中じゃなくて、ブルペンで2人で。経験はもちろん、一歩引いたところからも言ってくれる。何より、捕手をすごく理解して、捕手にしかわからない気持ちを理解してくださっている方なので。話をしてくれてうれしかったし、やらないといけないという思いも強くなった。配球の新しい引き出しも増えました。  今年から背番号が野村克也さんもつけられた「19」になりました。最後にお会いしたのは19年の3月。この番号を付けている姿を見せたかったですけど、優勝できてよかった。ホークスは勝ち続けないといけません。野村さんも城島さんも勝たせるような存在であったことは間違いないので。僕も少しでも近づいていけるように努力したいです。(福岡ソフトバンクホークス捕手)

◆巨人・菅野や中日・大野雄のような絶対的なエースがいるわけではない。打線も柳田、甲斐以外はほぼ日替わり。終盤に12連勝した強さが目立つが、工藤監督はやりくりにかなり苦労したんだろうな、という印象だ。  強さを実感したのは10月13日のオリックス戦(京セラ)。2-0の九回2死一、二塁で吉田正を迎えたときだ。当時吉田正は打率・350をマークしていた。長打を許せば同点、一発ならサヨナラ負け。通常ならば外角低めに集めるところを森-甲斐のバッテリーは内角攻めを選択。カットボールで一ゴロに仕留めて試合終了。直前に投手コーチはマウンドに向かっており、ベンチの指示、甲斐のリード、森の精度、スコアラー陣のデータ分析などすべてがかみ合った勝利だった。  これで負けたら仕方がない、と工藤監督は常に腹を括って戦っていた。野手の起用も同じ。新加入のバレンティンが不調になれば2軍に降格させ、川島を4番に据えるなど、次々と刺激を与えた。外国人に振り回されない。それが競争をあおることにつながった。  2年連続でリーグ優勝を逃し、絶対に勝たないといけないという気持ちをチーム全体で体現した。総合力でロッテに競り勝ち、頂点に立った。 (本紙専属評論家)

DAZN

<パ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ソフトバンク
66405 0.623
(↑0.004)
優勝
(-)
9496
(+5)
367
(+1)
119
(+1)
93
(+1)
0.251
(-)
2.960
(↑0.03)
2
(-)
ロッテ
56512 0.523
(↓0.005)
10.5
(↓1)
11423
(+1)
446
(+5)
82
(-)
79
(-)
0.237
(↓0.001)
3.900
(-)
3
(-)
西武
53523 0.505
(↑0.005)
12.5
(-)
12431
(+4)
480
(+3)
99
(+1)
72
(+2)
0.237
(-)
4.240
(↑0.01)
4
(-)
楽天
51536 0.490
(↓0.005)
14
(↓1)
10509
(+3)
479
(+4)
106
(-)
62
(-)
0.259
(↓0.001)
4.190
(-)
5
(-)
日本ハム
48575 0.457
(↑0.005)
17.5
(-)
10456
(+5)
493
(+3)
86
(-)
70
(+1)
0.249
(-)
4.080
(↑0.01)
6
(-)
ORIX
41627 0.398
(↓0.004)
23.5
(↓1)
10411
(+3)
461
(+5)
83
(+1)
85
(+3)
0.250
(↑0.001)
4.000
(-)