電源(Independent Voltage Source)の設定方法

LTspice

LTspiceで使用する電源には幾つか種類がありますが、設定は共通の「Independent Voltage Source」を使用することができます。

この「Independent Voltage Source」では、直流PULSESINEEXPSFFMPWLの出力設定ができますので、今回は、それぞれの設定方法について解説をしていきたいと思います。

今回の投稿は、YouTubeにもUPしていますのでご覧ください。

PULSEの設定方法

PULSE波形を出力させたい場合は、次のように設定します。

Vinitial [V] : Loレベルの電圧値
Von [V] : Hiレベルの電圧値
Tdelay [s] : 0時間から動作開始までの遅延時間
Trise [s] : LoからHiになるまでの立ち上がり時間
Tfall [s] : Hi からLoになるまでの立下り時間
Ton [s] : Hiレベルになっている時間
Tperiod [s] : 一周期の時間(LoレベルとHiレベルの中間電圧を基準とします)
Ncycles : 繰り返し数(未記入の場合は、連続して出力されます)

上記の設定でシミュレーションした結果は、次のようになります。

このように、設定通りのシミュレーション波形が出力されました。

SINEの設定方法

SINE波形を出力させたい場合は、次のように設定します。

DC offset [V] : オフセット電圧値(設定しない場合は0を入力)
Amplitude [V] : 振幅電圧値
Freq [Hz] : 発振周波数
Tdelay [s] : 0時間から動作開始までの遅延時間
Theta [1/s] : ダンピング係数(正弦波を時間とともに減衰させる速度を入力)
Phi [deg] : 位相差(90度を指定すればCOS波となります)
Ncycles : 繰り返し数(未記入の場合は、連続して出力されます)

上記の設定でシミュレーションした結果は、次のようになります。
このように、設定通りのシミュレーション波形が出力されました。

SINE(Theta)の設定方法

SINEの設定で、Theta(1/s)を設定する箇所がありますが、これは減衰係数のことです。SINE波形を指数関数的に減衰させていく場合に設定をします。

減衰値は、経過時間(Te)と減衰係数(Theta)の乗算結果が1になると次の式より0.368倍となります。

$$e^{-((Te-Tdelay)*Theta)}=e^{-1}=0.368$$

例としてThetaを20に設定してシミュレーションしてみます。

このようにTheta=20に設定すると、50ms後に0.368倍となる減衰波形になりました。

EXP(exponential)の設定方法

EXP波形は、ある時定数をもって電圧を立ち上げたり、立ち下げたりする波形を出力させる場合に設定します。

Vinitial [V] : Loレベルの電圧値
Vpulsed [V] : Hiレベルの最大値
Rise Delay [V]:波形が立ち上がるまでの遅延時間
Rise Tau [s] : 波形の立ち上がり時定数
Fall Delay [s] : 波形が立下がるまでの遅延時間
Fall Tau [s] : 波形の立下り時定数

上記の設定でシミュレーションした結果は、次のようになります。

このように、設定した時定数による立ち上がり、立下り波形の出力電圧が設定できます。

SFFM(Signal Frequency・Frequency Modulation)の設定方法

SFFMとはFM変調のことで、SFFM波形を出力させたい場合は、次のように設定します。

DC offset [V] (Voff): 搬送波のオフセット電圧値
Amplitude [V] (Vamp) : 搬送波のSINE波形の振幅
Carrier Freq [Hz] (Fcar) : 搬送波の周波数
Modulation Index (MDI) : 変調度
Signal Freq [Hz] (Fsig) : 信号周波数

出力電圧は次の式で求めることができます。

$$V_{out}=V_{off}+V_{amp}\times\sin(2\pi\times F_{car}\times Time)+MDI\times\sin(2\pi\times F_{sig}\times Time)$$

上記の設定でシミュレーションした結果は、次のようになります。

青線は、信号周波数1kHzを別で重ねたものですが、FM変調は、この信号周波数と搬送周波数を足した波形になり、赤線がその結果の出力波形となっています。

PWL(Piece-Wise Linear)の設定方法

PWL波形は、任意の時間と電圧を組み合わせることにより、自由に出力波形のパターンを作ることができます。

time(n) [s] : n時点の時間
value(n) [V] : n時点の電圧値

ポイントが足りない場合は「Additional PWL Points」ボタンをクリックすることで、追加することが出できます。

上記の設定でシミュレーションした結果は、次のようになります。

このように、任意の時間と電圧を設定することで、自由に電圧パターンを作成することが出来るようになります。