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【nhk news web】 (重要記事、保管) 12月6日20:42分、""「首都直下地震 ; これは、日本の“地獄絵図”に近い」""

2019-12-07 08:50:48 | 保存版 ; 防災重要データー、被害状況、地震、南海トラフ、台風、火山、各種支援…

 ※ (重要記事、保管)

 

「これは、日本の“地獄絵図”に近い」

 

 

2019年12月6日 20時42分

首都直下地震 考えられる被害をすべて

     首都直下地震 考えられる被害をすべて    
10月上旬、6人の専門家が、NHK放送センターに集まりました。首都直下地震の“被災ツリー”を作るためです。復興、経営システム、医療、被災者支援、心理学、それに都市防災。異なる分野の専門家たちが集まり、首都直下地震で考えられる被害を、すべて書き出してみようという、これまでにない試みです。
 
    
書き出したのは、「過去の災害」と「最新の研究」から、専門家が起こりうると考える被害。それぞれが考えた被害を付箋に書き出し、壁に張っていきます。7時間にわたる検討の結果、壁は、被害の付箋で埋め尽くされました。首都直下地震が起きると、これだけのことが起きるのか…。取材班は、ぼう然となりました。

首都直下地震 被災後の“3つの危機”とは

     首都直下地震 被災後の“3つの危機”とは         
書き出した付箋を、関連する事象ごとに結びつけて時系列に並べたのが、この“被災ツリー”です。取材を重ねた結果、被害の数は、のべ2100余り。起きる被害が多すぎて、1つの画面にしても、事象ごとの文字は見えません。これから、その分析を紹介します。
首都直下地震の直後に発生した、住宅やインフラ、経済・産業などの被害。そこから枝分かれして、被災の状況が、次々と連鎖していきます。地震発生から1週間、1か月、1年と、時間が経つにつれて、被害が連なり、深刻化していくことがわかりました。被災ツリーの細かい項目を分析して見えてきたのは、生き延びたあとに待ち受ける3つの危機。「命の危機」「暮らしの危機」、そして「社会の危機」です。

「命の危機」ライフラインの途絶で

     「命の危機」ライフラインの途絶で    
被災ツリーを、詳しく分析します。
地震発生直後から、次々と「命の危機」に関わる項目が増えていきます。
専門家たちが注目したのは、住宅の倒壊や火災といった、これまで想定された「死」に加え、生き延びた人たちにも、膨大な「死」のリスクがあることです。
地震発生から1週間ごろ、「被災の連鎖」の大きな原因となるのは、停電や断水などライフラインの途絶です。
 
  期間:1週間~1か月 「避難生活の困難」から派生  
 
 上図の拡大   
例えば、避難所での「水不足」。最長1か月以上にわたって続くと想定されます。
そこから連なるのは、「脱水症」に加えて「トイレの使用困難」など。さまざまな病気のリスクにつながります。
多くの行き着く先は、「震災関連死」。「死」のリスクが、さまざまな原因からくることがわかります。

「未治療死」かつてない規模で

    
また、生き延びた命を救う最後の砦・病院も、停電などで深刻な事態に陥ります。
 
 
  期間:地震発生~1週間 「病院被害」から派生       
停電が発生し、燃料が不足して非常電源が停止すると…。「呼吸器」や「検査機器」などあらゆる機器が使えなくなり、「未治療死」へつながります。
この「未治療死」は、どれほどの規模で起きるのか。今回の議論も参考に、ツリー作成に参加した日本医科大学の布施明教授(救急医学)の協力で、シミュレーションしました。
医療スタッフの不足に加えて、停電や断水といった要因を積み重ねると、「未治療死」は、地震発生から8日で7400人余りにのぼるおそれがあることがわかりました。
 
    
この「未治療死」。首都直下地震の国の被害想定にある、死者およそ2万3000人には含まれていません。
地震から生き延びたあとも、多くの人が亡くなるおそれがあることがわかったのです。
布施教授は、「“関連死”といわれる状況はかなり多く起きるということは否めない。これまで経験したことのない状況が起きることは、もう覚悟しておかなければいけない」と話していました。

「暮らしの危機」特に深刻な住宅不足

    
地震発生から1か月後。しだいに、ライフラインの復旧が進んでいく時期です。
被災ツリーの分析から、「命の危機」に次いで見えたのは、「暮らしの危機」。特に深刻なのが、「住宅不足」です。
国の想定では、首都直下地震で全半壊する住宅は、314万戸にのぼります。自宅の被害を受けた人は、その後、どうなるのか。被災ツリーで分析します。
 
 
  期間:1か月~1年 「住宅被害」から派
 
生       
ここで見えるのは、大量の「住宅難民」の発生。聞き慣れない言葉だと思いますが、住む場所を確保できず行き場を失う人を、今回、この言葉で表現しました。
その要因も、多岐にわたります。大きなものの1つは、仮設住宅の不足。「プレハブ仮設の生産停止」や賃貸住宅を利用する「みなし仮設不足」などから派生します。
 
    
「住宅難民」は、その後、どうなるのか。
ツリーを見ると、「避難所生活の長期化」などに加え、大量の「首都圏外への疎開」も。「家族の離散」にもつながるおそれがあります。
人口が集中する東京の被害は、かつてない「暮らしの危機」を生み出すのです。
専修大学 佐藤慶一教授(都市防災) 「東京があまりにも過密な状態で、災害のリスクが高い場所に、人が密集して住んでいるという、首都直下地震特有の課題だ。多くの住宅難民は行き場がなく、壊れたままの家に住み続けるような事態になる」

「日本社会の危機」生活困窮、格差拡大、国家の衰退…

    
首都直下地震から1年後以降。ここまで起きてきた「被災の連鎖」は、「日本社会の危機」につながっていきます。首都機能が被害を受けることの影響が、全国へと波及していくのです。
被災ツリーでは、「経済・産業被害」から派生する「被害」が目立つようになります。その一部です。
 
 
 期間:1年~10年 「経済・産業被害」から派
 
生       
「赤字国債の増発」から「財政破綻」。「復興増税の実施」「社会保障費の削減」などによる「生活困窮の拡大」「格差の拡大」など、私たちの身近な財布にも影響が及ぶおそれがあります。
ほかにも、1年後~10年後の「被災」を見ると、「失業者の増加」「人口減少」「日本製品離れ」など、目を覆いたくなるような予測が続きます。

「被災ツリー」には防災考えるヒントが

    
ここまで“被災ツリー”分析の一端を見てきましたが、どのような意味があるのか。
当初、取材班にツリーの作成を提案してくれた名古屋工業大学の渡辺研司教授(経営システム)は、次のように話しました。
 
   
名古屋工業大学 渡辺研司教授 「まず『被災の要素』を書き出し、その『連鎖』を分析することによって、どの時点まで戻れば、その被害を防げるかがわかる。“被災ツリー”には、被害を防ぐための『ヒント』が多く含まれているはずです」
検討の最後、長年、国内外の災害を研究してきた兵庫県立大学の室崎益輝教授(災害復興)の言葉が印象的でした。
   
兵庫県立大学 室崎益輝教授 「“被災ツリー”の10年後を見ると、日本の『地獄絵図』に近いと思う。この地獄に落ちたくないのであれば、今からスタートするしかない。危機感や緊迫感を持たないと、次の首都直下地震には向き合えないということだと思います」

「被災ツリー」を現実のものとしないために

     「被災ツリー」を現実のものとしないために    
“被災ツリー”作成で見えてきた「最悪のシナリオ」ですが、少しでも被害を減らすために、できることは多いと思います。
個人ができることとして、「災害関連死」や「住宅難民」については、建物の耐震化や家具の固定、水や食料の備蓄をしておくことで、避けることのできる可能性が高まります。
長期的な「社会の危機」は、個人では変えられない問題ですが、政治が主導して、一極集中した東京のあり方を変えていくことが、必要かもしれません。
この“被災ツリー”を現実のものとしないために。今できることを考え続けていくことが大切だと思います。
そして、そのためのヒントを、私たちも伝えていきます。
    この“被災ツリー”の分析。12月7日(土)午後9時から放送のNHKスペシャル「終わりの見えない被災」で、各地の現場への取材と合わせ、詳しくお伝えします。
 
    
▼「被災ツリー」監修 兵庫県立大学 室崎益輝 教授(復興・火災) 名古屋工業大学 渡辺研司 教授(経営システム) 日本医科大学 布施明 教授(救急医学) 危機管理教育研究所 国崎信江 代表(被災者支援) 東北大学 阿部恒之 教授(心理学) 専修大学 佐藤慶一 教授(都市防災)
▼NHKスペシャル「終わりの見えない被災」取材班 ・社会番組部 土田正太 ・社会部 森野周 清木まりあ ・首都圏放送センター 宣英理 藤井佑太

 

 

 


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