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元アワーレコード保持者グレアム・オブリーのカスタムスチールロードバイク

https://www.bikeradar.com/features/graeme-obree-road-bike/ 機材情報
Photo bikeradar.com
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グレハム・オブリーは2度アワーレコードの記録を更新した。1993年7月17日は51.596 km、1994年4月27日には52.713 kmを記録している。

だが、これらはUCIによって記録抹消された。グレハム・オブリーは現在、スコットランドのアパレルブランドEnduraの開発スタッフの一人。

Enduraの開発スタッフと新しく加わったマンセル・キッテルと共に走ったイベントで、グレハム・オブリーは自分で作ったカスタムメイドのスチールバイクで走っていた。そのバイクがあまりにも変わっているので紹介だ。

 

 

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グレハム・オブリーのアワーレコードの歴史

Photo Cycle Show, NEC

最初のアワーレコード更新の時には、51.596 kmを記録。その時のポジションが変わっている。

タッグ・ポジション(オブリーポジションMk-1)と呼ばれるスタイルは空気抵抗を削減するために生み出された。肘を折りたたんで、しゃがみ込みハンドルに覆いかぶさっている。

これで走れる所が凄いんだけど。

バイクも変わっている。トップチューブがなくチェーンステーの位置も独特。

フレームとハンドルも子供用自転車を元に自宅のガレージで溶接して作ったというから驚きだ。

狭いBBには、捨てられていた洗濯機のベアリングを使用している。

 

https://brotures.com/17703

スコットランド博物館に保管中

このマシンは、オールド・フェイスフルと呼ばれ、フランチェスコ・モゼール以来9年も破られる事のなかったアワーレコードの更新を果たした。

だが、記録更新から一週間もたたないうちに、クリス・ボードマンにアワーレコードを破られてしまう。

再挑戦しようとした時に、UCIがルール変更。なんと彼が考案する特殊なライディング・フォームの使用を禁止したのだ。

これには、安全性の為と当時のUCI会長の一存だったという説もある。まあ、当時のプロ選手の記録が廃品利用のアマチュア選手に記録を破られたのではねえ~。

 

2度目のアワーレコード更新

David Bradford twitter

1993年彼の兄弟が死去、彼は躁鬱に苦しむ事になる。だが、オブリーはあきらめず、肘が胴についてはいけないというルール変更を考慮し新しいフォームを編み出した。

それが、スーパーマンポジション(オブリーポジションMk-2)だ。このポジションで52.713kmの2度目のアワーレコード更新を果たす。

その後、アワーレコードはミゲル・インドゥライン、トニー・ロミンゲルに更新されたが、1996年9月7日、クリス・ボードマンは56.375kmまで記録を更新している。

 

クリス・ボードマン Photo Yuzuru Sunada

この時のクリス・ボードマンもスーパーマンスタイルで記録を出している。現在のヴィクトール・カンペナールツの記録よりも速いのだから、いかに空気抵抗が問題となっているのかがわかる。

だが、これらの記録もUCIによって、抹消されている。特殊なエアロポジションでの挑戦が過熱していったことから、1997年にUCIがルールを変更。エディ・メルクスの実施時の設定を基準とし(メルクススタイル)た。

ファニーバイク、TTヘルメット、ディスクホイール・バトンホイール、エアロバー、モノコックフレームの使用を禁止した。

ボードマンやグレハム・オブリーらの記録はすべて「UCIベストヒューマンエフォート」と位置付けられた。

だが、グレハム・オブリーの実力は本物で、1997年には英国個人TTのチャンピオン。

そして、トラック選手として1993年と1995年に世界選手権自転車競技大会の男子個人追抜競走では優勝している。どちらも自作のマシンで走っている。

 

Graeme Obree カスタムスチールロードバイク

https://www.bikeradar.com/features/graeme-obree-road-bike/

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グレハム・オブリーのロードバイクのジオメトリはとても変わっている。

イーストンカーボンフォークと9速Shimano Dura-Ace 7700ドライブトレインを備えたダイヤモンドシェイプのレイノルズ653スチール製で、とてもクラシックだ。

シートチューブとトップチューブはそれぞれ54cmと60cm。トップチューブが異常に長いのが見た目でも良くわかる。

これにより、オブリーは上半身を伸ばすことができ、高速での安定性も向上する。

一方、シート角度は約70度。これは、ライダーがボトムブラケットを乗り越えてヒップのオープンアングルを広げようとするため、座席角度が近年75度から78度に劇的にシフトしている現代のタイムトライアルバイクデザインコンセンサスとは違う設定だ。

 

これらのジオメトリは、タイムトライヤルポジションを取るためのものだ。

Obreeは、フレームの重量はわずか1,350gであると主張している。これも彼が溶接して作成した。

 

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バイクは、1996年にリリースされたShimano Dura-Ace 7700 9スピードドライブトレインを中心に構築されている。

9速ですよ~。

オブリーは、エアシャーの地元のリサイクルセンターにある古いトレックロードバイクからグループセットを回収したと述べている。またも、廃品利用(^^.)

 

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デュラエースのディレーラーだ。

 

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オブリーはShiimano Dura-Ace 7700クランクセットで55tアウターチェーンリングに乗っている。55tって、凄い脚力がないと乗れないはず。インナーは39T。

 

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Shimano Dura-Ace 7700のフロントディレイラーは、そのシンプルさが非常にエレガントで、まだ十分に機能している。流石はShimano!

 

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シートステーの内側にリアブレーキをついている。これは、ケーブルの量を減らすための方法らしい。

 

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90年代のDura-Ace PD-7410ペダルのようで、フロントが切り取られているように見える。

 

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ハンドルバーの正確なブランドやモデルを特定することはできない。

これは、Velo OrangeのPorteurハンドルバーに似ている。バーの端の内側のエクステンションはオブリーによって追加され、エアロポジションに乗るときに肘を置く場所となる。

 

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Shimano Dura-Ace 7700一体型レバーにより、エアロポジションからのシフトとブレーキングの両方を制御できる。

 

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まあ、変わってるハンドルの形だ。

 

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Selle Italia Nitroxサドルを使用。

 

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ノーブランドの120mmアロイステムを裏返して、スタックの高さを増やしている。

 

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23mmPREDAを装着。

 

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Octalink BB7700ボトムブラケット。

 

Greame Obreeのカスタムスチールロードバイクのフルスペック

  • フレーム:Graeme Obreeカスタムレイノルズ653スチール
  • フォーク: Eastonカーボン
  • フロントブレーキ: Shimano Dura-Ace 7700
  • リアブレーキ: Shimano Dura-Ace 7700
  • ブレーキ/シフトレバー: Shimano Dura-Ace 7700
  • フロントディレイラー: Shimano Dura-Ace 7700
  • リアディレイラー: Shimano Dura-Ace 7700
  • カセット: Shimano Dura-Ace 7700 11-25
  • チェーン:9スピード
  • クランクセット: Shimano Dura-Ace 7700
  • チェーンリング: 55 / 39t
  • タイヤ:フロントOnza Preda 23mm /リアコンチネンタルゲータースキン23mm
  • ハンドルバー:カスタムの変更を加えた未知の合金Porteurスタイル
  • ステム: 120mm、合金
  • ペダル: Shimano、変更されたDura-Ace PD-7410 SPD
  • サドル: Selle Italia Nitrox
  • シートポスト: 27.2mmカーボン
  • その他の付属品: Blackburn合金ボトルケージ

 

 

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