「ヒロ田さん、今日からシャワー浴びれま
すけどどうします？」
お尻のところに入ってたドレーンが抜け、
シャワーOKになったため、看護師さんが聞
いてきた。
ヒロ田「入りたいですねー」
「でも抜いたその日に入るって少し気になり
ますけどね…（苦笑）」
看護師「ゼンゼン大丈夫ですよ！湯船に浸か
るのは厳しいけどシャワーなら問題ないです」
ヒロ田「じゃあ午後から入ります」
看護師「わかりました。時間決まったら教え
てくださいね！点滴の針のところを保護しに
来ますから」
「それと、ヒロ田さん今日レントゲンあって、
午前中に予約入ってるので行ってきてもらっ
ていいですか？」
「10時～12時の間で行ってきてもらえれば
いいですので」
ヒロ田「わかりました」
2016年5月6日、ゴールデンウィーク明けの朝。
いろいろなものが身体から無くなり、一気に身
軽になった。
連休中、あれだけ静かだった病院内も、医療従
事者が多くなったからか、慌ただしく感じる。
そんな連休明け、ボクも退院に向けて準備を進
めなければいけない。
とは言っても、いつ退院となるかは決まってい
ないが…。
にしてもだ、退院後スムーズにいろんな手続き
を終わらせていきたいと思っていたボクは、手
順や必要書類等の確認だけでも入院中にしてお
きたかった。
陸運局に電話をして自動車税の減免について話
を聞いてみる。
役所に電話をして障害者手帳を作るために必要
な書類等の確認をする。
ドレーンやモニター心電図などが無くなり、身
軽になったボクは、すぐに各所へ電話をした。
諸々終わらせたボクは、10時過ぎにレントゲ
ン室へ行き、11時前には病室へと戻ってくる。
身軽になったからか、ストーマにしたことで
体調が良くなってきたのか、なぜだか気分も
良い。
入院中はたくさん読書しようと思って、予め
10冊くらいkindleにダウンロードしてきたけ
れど、今まではまったく読めなかった。
いや、読もうとしたけれど二行だけ読んだら
もう読めない。
それくらい集中力がなかったのだ。
けれど、この日は違った。
気づけば11時から14時過ぎまで本を読んでい
た。
「ヒロ田さん、今日ストーマ交換の日ですね」
そう言ってWOCナースの林田さんが病室に来た。
ヒロ田「そうですね、もう始めますか？」
WOC「始めようかなと思ったんですけど、抜
糸もしたいみたいなんですよね」
ヒロ田「えっ？抜糸ですか？」
WOC「そうなんです。ストーマのところを
縫ってるので、その抜糸もしたいみたいなん
です」
「装具交換する時に一緒にやっちゃったほう
が一回で終わるので」
ヒロ田「確かにそうですね」
「ストーマもやっぱり縫うもんなんですね。
不思議な感じだなー（笑）」
WOC「一応ね、固定しておかないと中に引
っ込んでしまっても困るのでね」
ヒロ田「まぁそうですよね」
「抜糸してるときに便が出てくるんじゃない
かってちょっと気になりますけど…（苦笑）
交換するだけの時も思いますけどね…」
WOC「大丈夫ですよ！」
「いまご飯て食べてるんでしたっけ？」
ヒロ田「いえ、点滴とエレンタールだけです」
WOC「じゃあ大丈夫だと思いますよ。出て
きても問題ないようにしますし」
「先生には伝えてるのでもう少ししたら来る
と思いますから、交換の準備だけしておきま
すか」
ヒロ田「そうですね、わかりました」
「お待たせしてごめんなさいねー」
しばらくすると、そう言って外科の医師が入
ってきた。
外科医「じゃあストーマのとこ確認して抜糸
していこうと思います」
ヒロ田「寝ていればいいですか？」
外科医「そうですね、寝てもらったほうが
良いです」
ボクはストーマ装具のパウチ（面板）を剥離
剤を使って剥がし、ベッドへと横になった。
外科医「うん、いい感じですね」
「じゃあ抜糸します」
そう言って、ハサミなのか何を使っているか
わからないがパチパチと糸を切り、ピンセッ
トなのか何かで糸を抜いているようだ。
一応、痛くても大丈夫なように構えてはいた
が全く痛くない。
外科医「はい、これで終わりました」
ヒロ田「ありがとうございます」
時間にして1分かかったかかかってないか…
くらいの時間だ。
WOC「じゃあヒロ田さん、ストーマ周りを
綺麗にしてパウチ（面板）つけましょうか」
ヒロ田「案外早く終わるもんなんですね（笑）」
WOC「そうですね、糸抜くだけですから（笑）」
ボクはストーマ周りを綺麗にして、ストーマの
大きさをWOCナースの林田さんに測ってもらい、
そのサイズに面板をカットする。
ヒロ田「ストーマのサイズ測るノギスみたいな
やつは買ったほうがいいですね」
WOC「いや、買わなくても大丈夫ですよ」
ヒロ田「でも交換する時に毎回測らないとダメ
ですよね？」
WOC「手術終わってから1ヶ月くらいはストー
マが浮腫んでるというか少し大きいんです」
「でも徐々に落ち着いてきて2ヶ月もしたら
だいたいストーマの大きさって決まってくるん
ですよね」
「なので毎回測る必要もないし、退院する時に
ヒロ田さんのストーマの大きさにあった型紙を
お渡しするので、それを使って印をつけて面板
を切ってもらえれば大丈夫ですよ！」
ヒロ田「そうなんですね、買う予定でいました
（笑）」
WOC「まぁ、あってもいいんですけどね（笑）」
「でもそんなに使わないと思いますよ（笑）」
そんな話をしながらストーマ装具の交換が終わっ
ていったのである。
ーつづくー
ヒロ田