うめだファティリティークリニック

培養士の山本です

 

 

 

ここ最近、胚移送のお問い合わせをよくいただきます

 

胚の移送は転勤によるケースが多く

入ってくることもあれば、もちろん出られることもあります

移送はお一人お一人に様々なケースがありますので

当院ではいずれの際も培養士が担当につき

可能な限りご対応させていただいております

 

 

移送となれば様々な注意点があります

まずは移送する際の容器です

 

 

凍結胚は空気中に出してしまうと

数秒で死滅してしまいます

クリニックからクリニックへ運ぶには

液体窒素を充填できる特殊な容器が必要です

当院では1日であれば無料でお貸出し

複数日であれば個別にご相談です

 

容器の貸し出しには事前の打ち合わせと予約が必要です

基本的に自身でケースごと持ち運んでいただくことになりますが

細胞移送の専門業者を個人で手配される方もいらっしゃいます

(当院で斡旋は行っておりません)

 

 

 

次に凍結方法です

 

ほぼ全てのクリニックが超急速ガラス化凍結法という凍結法を採用しており

凍結デバイス(凍結に必要な商品、凍結液や凍結容器)も

ほとんどのクリニックが共通のものを使用しています

 

しかしごく稀に、珍しい凍結方法や

非常に古い凍結方法で凍結されたものの移送希望があります

移送元の凍結方法で当院で対応可能か

移送元のクリニックに確認してから移送する必要があります

 

 

当院の場合 

珍しい凍結方法(正確には「採用している施設が少ないデバイス」)に関しては

移送元や製造元に確認して融解方法の資料や融解液を取り寄せ、購入できれば

移送後、当院にて解かすことができる可能性が高いです

上記のような場合は

融解液などの費用を追加で頂かなければならないケースもあります

胚を解かすにあたり、特殊な装置が必要などでなければ

たいていの場合は対応可能と思われます

 

 

古い凍結方法(15年以上前に主流だった凍結方法など)のケースは

最近はほとんど見なくなりました

あまりに古い方法ですと融解する液が廃盤になってしまっていて

適切な手順で解かせないということがあります

この場合は個別にご相談となりますが

どうにか解かせたとしても生存率は低くなると思われます

(もともと古い凍結法は現在の凍結法に比べ生存率が低い)

 

 

胚凍結・融解の歴史は長く

海外製品なども含めるとデバイスは色々あります

当院でもほとんどは把握しておるつもりですが

いまだに移送時に初めて聞くデバイスもあるので

我々も移送の際は注意して受け入れを行っています

 

 

最後に、融解後の胚の生存率です

当院の融解後の胚生存率はほぼ100パーセントですが

それは当院で凍結・融解した胚の話なので

移送胚に関しては移送元の成績にもある程度左右されます

 

ほとんどの場合が大丈夫ですが

移送元(凍結した施設)の成績も重要であることをご理解いただければと思います