生き物を食べるということ | 虫ガールと恐竜ボーイ

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虫をこよなく愛する娘と恐竜を愛する息子の日常を綴った日記です。
だんだん虫に慣れてきた母の写真・絵付き。

すいません今回はちょっとマジメな話です。

台湾でのこと。
日本よりいい意味で遅れたところの残っている台湾では、
市場でまるごとの鶏とか、その場でさっき解体したような豚肉をよく売っている。
鳥は羽を毟っただけの姿で首に鉤をさして釣ってあるし、
豚も頭を切ってそのまま置いてあるし、
内臓も別々に出して鉤で引っ掛けて売っている。

こんな感じ。

これは豚。

左の方に豚足が釣ってあって、右側には謎の内臓。

 


こっちは鶏。まるのまま鼻の穴に鉤を掛けて釣ってある。

めっちゃ生々しいけど、
見ているうちに慣れてきて、
フツウに指差しで肉が買えるようになってくる。


娘が1年生だったときのそんなある日、
絵本の鳥の丸焼きの絵に触発されたか何かで
「鶏の丸焼きを食べたい!」
と言っていた。

そこで誕生日か何かのとき、市場で丸のままを買ってみた。

家で調理するのは難しいと判断したので、
血と内臓を抜いただけで丸ごと燻製にしたやつを一羽買った。


市場で遠目にはよく見ていたけど、
買ってみて近くで見ると予想以上の生々しさ。

首も足も全部ついてるし、
目は虚ろに開いたまま。

とりあえずレンジで温めて、お皿に乗せて出した。
「いただきます!」
と食べるとき。


「とりさーん!!」

泣いた。


だから、母もちょっとセンチな気分になって、
「いつも食べてる鶏肉もこれなんだよ。
 頭とか足とかは切って捨てちゃって、食べやすくしているだけなんだよ。
 頭も足も全部が気持ちよく天国に行けるように、きれいに食べてあげようね」

と言った。

そうしたら、
「ウン」
と言って、泣きながら
「おいしい」
と食べた。

骨には実が全く残らないぐらいきれいに食べて、
その日食べ切れなかった分は翌日食べて、
最後の残りはスープにして、きれいに食べきった。


娘にとってはとてもいい経験ができたと思う。
彼女はもともとキレイに食べる方だったけど、
その後肉を食べるときには、
「ハイエナが食ったのか!!」
ぐらいピッカピカの骨しか残さなくなった。
 ※ホンモノのハイエナは骨も食べちゃうそうですが


これが本来の「肉を食べる」ということなのだと思う。

私達が日ごろ見ているスーパーの肉は「食べにくいから」と
いらないものはみんなとってしまっていて、
それが元々どんな形だったのかさえも分からなくなっている。

その状態に慣れすぎてしまっている私達は、
それが生き物であることを実感できていない。

だから「作りすぎちゃったー」と捨て、
「食べ切れなかったー」と捨て、
「料理失敗しておいしくなかったー」と簡単に捨てる。
自分で育てて絞めたほどではなくても、

ちゃんと生きていたことを実感したものに対して

罪悪感もなくそんなことができるだろうか。

子供たちには、
安易に菜食主義になるとかよりも、
今の自分が一つ一つの命の上で成り立っていることをしっかり感じながら
大事にものを食べられる人になってほしいなと思う。