【妊娠中期】妊娠中のマイナートラブルの症状と対策方法

【妊娠中期】妊娠中のマイナートラブルの症状と対策方法

無事妊娠16週を迎えると胎盤ができあがり、「安定期」と呼ばれる時期に入ります。この頃になるとつわりの症状が和らぎ、普通に食事をとれるようになり、胎児の成長に伴いお腹がふくらみはじめます。そのため、子宮が大きくなることで妊娠中期は初期とは別のマイナートラブルがでてきます。

この記事では妊娠中期に起こりやすいマイナートラブルの症状と対策法をご紹介します。

下腹部の痛み、お腹の張り

stomachache妊娠中期に入ると、子宮が急に大きくなることにより、子宮が引き伸ばされることや、子宮を支える靭帯がひっぱられることで、太ももの付け根から下腹部にかけてしくしく痛んだり、つれる感じが多くなることがあります。お腹の片側だけチクチク痛んだり、内側から引っ張られるように痛むこともあります。

この時、腹筋が一時的に硬くなるような「張り」を伴う腹痛がある場合は注意しましょう。妊娠中期になり、軽い運動を勧められて始めたり、妊娠出産に向けて準備のため外出が増えたり、夫婦生活をすることもあると思います。活動時に多少の張りを感じても、安静にすることで張りが落ち着けば問題ないことがほとんどです。しかし、注意した方が良い場合もあります。

対策方法は?

心配がいらない場合がほとんどですが、下記のようなお腹の張りがある場合は流産や早産の危険があるのですぐに診療を受けてください。

  • 出血がある
  • 身体を休めても痛みが取れない
  • 15分間隔など、規則的に痛みがくる
  • 激しい痛み

継続する腹部痛は場合によっては、流産(妊娠22週以前)や早産(妊娠22週以降37週未満)の危険性が高くなります。医師が治療が必要とした場合には胎児をお腹にとどめておくための内服薬の処方や、症状が重ければ入院して安静し、薬剤の点滴を行い続ける必要がある場合もあります。そのほか、継続する腹部痛は、正常な分娩時期前に胎盤が剥がれてしまう常位胎盤早期剥離という重症な場合があります。この場合母子共に重篤な状態を引き起こすことがありますので、注意してほしい症状です。

安定期ということで旅行などの計画をたてる方がいますが、旅行に行く際は必ずかかりつけ医に相談をしてからにしましょう。妊娠16週に入ると一般的には安定期と言われますが、過度に安心しすぎないようにしましょう。

足のけいれん

legs妊娠中期から後期にかけて、足がけいれんする、いわゆる「こむら返り」という症状が多くみられるようになります。ふくらはぎが引き連れて激しく痛むことで、寝ていたり何もしていないときに起こることもあれば、運動時に起こることもあります。原因としては、子宮の増大による重心の変化によってふくらはぎの筋肉疲労が起こることや下大静脈のうっ滞が考えられますが、そのほか血中のカルシウム不足、血液中の水分が増えることによる体液バランス(pH)が崩れることなどが関係していると言われています。

対策方法は?

足がけいれんし、こむら返りを起こした場合は、起こした足を出来るだけ伸ばして、足首を曲げてつま先を頭の方に押し上げるか、またはひっぱる運動を行うと治ります。

カルシウム不足が原因のことがあるので、カルシウムを多く含む乳製品や豆腐、小魚、小松菜、菜の花を摂取することをお勧めします。近年、マグネシウムを一緒に摂取することでカルシウムの吸収率があがることがわかったことから、一緒にマグネシウムを多く含む昆布、玄米、胚芽米、五穀米、そばなども摂取しましょう。また、下大静脈のうっ滞の原因が冷えにある場合もあるので、足のマッサージをしたり下半身をよく温めるなどして血行をよくすることも大切です。

ふくらはぎの過度な筋緊張を予防するため、ヒールが高すぎる靴は避けましょう。これは、お腹が大きくなってきて歩く時にバランスを崩し易いので、転ばないためにも重要なことですね。

妊娠中は子宮が大きくなることで、直腸や肛門周囲の静脈が膨れて、いぼ痔や脱肛になったり、もともとあったものが悪化しやすくなります。妊婦は便秘になりやすいので、排便時に硬い便をしようとしていきみすぎて、脱肛を起こすこともあります。

対策方法は?

まず、便秘予防として下記のことを気をつけましょう。

  • 規則正しく、バランスの取れた食事にする。
  • 根菜類や豆腐・寒天・海藻類など繊維質の多い食事を心がける。
  • 適度な運動をする。
  • 規則正しい排便習慣を心がける。
  • 早朝に冷水や牛乳をコップ1杯飲む。
  • 便秘のツボを刺激する。

痔の発症予防として、身体を締め付けるガードルやジーンズなどは履かず、鼠径部や足、胴回りを圧迫しない下着やゆったりした衣服を着るようにしましょう。そろそろお腹がどんどん大きくなるときなのでゆったりした衣服をそろえていきましょう。

そのほか、毎日入浴して身体を温めることで肛門括約筋の緊張をとり、静脈叢うっ血を改善できるので痔の予防になるだけでなく、できてしまった痔の症状を和らげることができます。

もし、タバコをまだ止められていない人がいたら、禁煙に努めましょう。喫煙はタバコが含むニコチンが血圧をあげるホルモンを分泌し、交感神経を興奮させるため血圧が上昇し静脈瘤を悪化させる原因となります。自分でやめられない人は禁煙外来を利用することも手です。

静脈瘤

静脈瘤は、静脈の壁の一部が何らかの要因で薄くなり、その血管が膨らむことで発症します。妊娠すると腹部の大静脈が大きくなった子宮に圧迫されて、下半身の血液が大静脈に戻りにくくなります。その結果、太ももの付け根やふくらはぎの血管が膨らんで、青あざのようになることがあります。

対策方法は?

締め付けの良い弾性ストッキングを履くことで、下半身の静脈血の心臓への戻りを助ける働きがあるので、静脈瘤ができるのを防いでくれます。弾性ストッキングとは、足裏や足首部分に大きな圧縮力を加え、ふくらはぎから太ももに上がるにつれて圧縮力が徐々に弱くなるように作られたストッキングです。ドラッグストアなどで手に入るので、少しでも症状のある方はぜひ利用しましょう。

適度な運動は循環動態を良くし、足の筋力を高め、静脈瘤を予防してくれます。激しいエアロビクスや長距離のサイクリングなどは下肢の静脈圧を高め、静脈瘤の悪化に繋がるので散歩や水泳などの有酸素運動が効果的です。

また足がだるく重いと感じる時は、下から上へあげるようにマッサージすると足全体の血流が良くなり足のむくみをとり、静脈瘤を防ぐ効果があります。その際、静脈瘤がすでにある場合は、その膨らんでいる部分は出来るだけ避け、主に静脈瘤の下方の部分を上にあげるように行いましょう。リンパの血流の流れを良くするアロマオイルを使用したマッサージも効果的です。リンパうっ滞に作用するとされるグレープフルーツやサイプレスはおすすめですよ。

尿失禁・頻尿

妊娠中から産後1ヶ月までの間に尿失禁や頻尿を訴える女性はとても多いです。尿失禁とは無意識に尿が漏れ出る状態のことで、頻尿は排尿回数が1日に10回以上の場合をさします。

妊娠中は増大した子宮により尿管が圧迫されて尿の滞留が起こることで、腎盂腎炎になりやすかったり、帯下(おりもの)が増えることから膀胱炎にもなりやすいです。膀胱炎となると抗生物質を服用しないと治らないので、妊娠中でも飲める薬を処方してもらうためかかりつけ医などを必ず受診しましょう。

もし頻尿が膀胱炎によるものでなければ、子宮が大きくなることに伴う妊娠中のマイナートラブルと考えてよいでしょう。妊娠中期から後期にかけては、胎児の成長に伴い、増大した子宮により暴行および尿道が圧迫されて、膀胱容積が小さくなることが関係しています。特に妊娠32週頃からは少しずつ児頭が下降し、膀胱への圧迫が顕著になります。そのため、尿意はあっても一回尿量が少なく頻尿となりがちになります。またちょっと腹圧をかけただけで尿失禁をしてしまうので、くしゃみや咳をしたタイミングや、大声で笑うことで尿もれを起こすことがあります。

対策方法は?

尿失禁や頻尿に対する対策方法としては、こまめにトイレにいくしかないのですが、尿失禁をするようであれば、生理用ナプキンだと皮膚がかぶれ、細菌が繁殖する可能性があるので、尿もれ専用のパッドを使用するとよいでしょう。膀胱炎になることもあるので、こまめにパッドを交換し、陰部の清潔保持に努めましょう。

また、私の経験上としては、トイレで排尿し終わったと思っても、子宮に圧迫されて溜まっている尿が全量排泄されず、膀胱に尿が残っている場合があります。そのため、少し前かがみになって、膀胱への圧迫を少しといてあげることで残尿が排泄されるときもあるので、ぜひ体勢を変えて最後まで排尿できるようにしてみてください。

女性は陰部に3つの穴を持ちます。尿を排泄する尿道口、膣、そして便を排泄する肛門です。そしてそれらの開け閉めに関わり、子宮や膀胱、腸などの臓器を支えている筋肉を総称して「骨盤底筋群」と言います。この骨盤底筋群を鍛えることで、尿失禁を予防することができます。ここで尿失禁を予防する体操を二つ紹介します。

骨盤底筋群体操①キーゲル体操

膝を立てて仰向けの状態や椅子に座った状態、四つ這い、または立ったままの状態で実施できます。自分がやりやすく、リラックスできる体勢で行いましょう。

  1. 息を吐き、お腹の力を抜いて肛門と膣を緩めます。
  2. 3〜5秒間肛門を閉めます。
  3. 息を吐きながら肛門を緩め、力を抜きます。
  4. 1〜3の手順を1セットとして、6回繰り返します。

※1日最低60回行うことで効果がでると言われていますので、テレビを見ながらなど、ながら体操でいいので数をこなし、習慣にしましょう。

骨盤底筋群体操②ガスケアプローチ

ガスケアプローチはフランス人のド・ガスケ医師が提唱する理論で、姿勢と呼吸を正すことが大切とされています。正しい腹式呼吸を行えるようにすることで、重力による腹腔内臓器の下降を軽減し、骨盤底筋を支持するとともに、組織の柔軟性を保持・強化することを目的としています。

  1. 背筋を伸ばしあぐらをかいて座ります。この時、細長いビーズクッションなどを用いてその上に座り、さらに膝が浮かないようにクッションをUの字に調整してその上に膝を乗せます。両手を軽く膝の上に乗せます。
  2. お腹の力を抜いたまま、排尿をこらえる時のように骨盤底筋群をぎゅっと収縮させます。
  3. 息をゆっくりはーっと吐きながらお腹の下の方の筋肉から順に上に向かって引き締めます。この時、歯磨き粉のチューブを下からロールアップさせるような感じをイメージしてみましょう。
  4. 息を十分吐ききったら、ふっと息を吸い(口からでも鼻からでもよい)腹部の筋肉を緩めます。
  5. 1〜4の手順を繰り返す。

※ガスケアプローチは姿勢がとても大切なので、常に頭が天井から吊るされているつもりで背筋をまっすぐに保ったままの状態で行うことを意識してください。

骨盤底筋群は妊娠出産を機にとても影響を受けやすく、年齢を重ねるごとに緩んでいくと言われています。尿もれを防ぐだけでなく、高齢になると発症しやすい子宮脱を予防することもできるので、産前産後に限らずに長く行っていくことをお勧めします。

あかめ
気軽にできる骨盤底筋群の体操としては、排尿する際に途中で止めたり、開始したりを繰り返すというやり方もあります。

妊娠中期は安定期と過度に安心しないようにしましょう

今回は妊娠中期に起こりやすいマイナートラブルの症状と対策法ついてまとめました。中期に入ると一気に安心モードになり、無理をしがちですが、どんどんお腹が大きくなっていくことで注意することもたくさんあります。

安心して妊娠を継続できるように気を抜かずにいきましょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

30代の助産師ブロガー。 高校を卒業するまで海外で過ごし、20代で丸の内OLや海外でボランティアを経験。海外ボランティア先で出会った助産師に衝撃を受け、30歳から助産師を目指すことに。現在は助産師として働き始め、妊娠中のママや赤ちゃんと向き合っています。 「女性が笑顔になれる社会を目指す!」を目標に、これまでの女子活や助産師の経験を活かし、お役に立てる情報をブログで発信しています。