さて、厳しい暑さもそろそろ峠を超えかけています。
私もどうにか超初心者段階の混乱の峠を越えて、次のステップに進む感じになって来たような気がする今日この頃。

ブログ記事の書き方をちょっと変更。個人レッスンについては「◯月のレッスンまとめ」という形式ではなく、レッスンの中から「多くの曲に共通する普遍的な部分」を抽出して、教本の内容などもまとめて、ネタごとに個別の記事にしようと思います。
具体的には、コード進行、スケール、アドリブなどについて。
レッスン以外のネタとレッスン由来ネタが 2:1  ぐらいになるかもしれません。



で、今回の記事はレッスン以外のネタです。

先日、学生時代の友人と20年ぶりにSNSで連絡がついて再会したら、なんと彼女は最近まで音楽教室関連の仕事をしていたという。私と共通の音楽関係の知人がいることにびっくり。世の中って狭い、というか音楽業界が特に狭いのか?こりゃ悪いことは出来んな〜。

ジャズピアノやポピュラーピアノの教室について、いろいろ興味深い話をしてくれた。差し支えない範囲でネタにする許可を得たので、情報を補足して記事にさせていただきます。




☆ 大人の音楽教室

音楽教室業界は、昔のように子供だけを相手にしていたら、少子化でどんどん右肩下がりになってしまう。だから大手の教室は、かなり前から大人を取り込む戦略を立てていたらしい。個人の教室も、子供だけでなく大人も対象にするところが増えたという。
たしかに昔は「大人初心者のための楽器のレッスン」なんてあまりなかったけど、今は本当に増えましたね。

ピアノ教室では、クラシックだけでなくポピュラーピアノやジャズピアノも教えるところがかなり増えたようで、習う立場の大人にとってはありがたい。
でも、ごく一部には問題が無きにしもあらず、らしい。

クラシックピアノ専門の先生がジャズピアノを学び (そのこと自体はもちろん良いのだが)、まだ先生自身がジャズについては少ない知識しかないうちに生徒に教える、という「早すぎるケース」が、ごく一部にあるとか。

先生ご本人も頑張って新しいジャンルに取り組むんだから大変だろうけど、生徒に教えるとなると相当の知識が必要。
生徒が聴く側として長年の経験があって、ジャズに関して耳が肥えてたり詳しかったりすると、そこで食い違いが発生しちゃうこともあるとか。

ジャズは先達に対するリスペクトが非常に大きい音楽ジャンルで、しかも演奏する個人によって表現の差が大きく、無数のスタイルが存在するので、それらを知るためには過去の膨大な曲を聴く必要がある。
少なくとも、人に教えるためには演奏技術や音楽理論だけでなくミュージシャンや曲についての相当の知識がないと、生徒の多様な要望に対応できないらしいです。

たしかに、「教える側は教える内容の10倍ぐらい知っておかないとダメだ」とか言われるもんね……




☆ ジャズピアノは5年

クラシックピアノの先生向けのある講座では、ジャズピアノを生徒に教えられるレベルになるまでには「5年」と設定されてるとか。
クラシックピアノの先生レベルでもジャズには5年かかるのか、と驚いたけど、それは「教えるレベル」になるまでの話。ジャズとして人前で多少は弾けるレベルなら「3年」というのが、そこの標準設定だとか。

いや、それでも3年……クラシックピアノの先生ならほとんどの場合は音大を出てるわけで、ピアノの演奏技術もあるし、音楽理論の基本的な知識はあるわけだよね。それでも3年かかるのか……

クラシック出身者にとっては一番のネックが「アドリブ」で、一度楽譜にしないと弾けないという楽譜依存状態になりやすいらしい。これはあちこちで聞く話なので、ありがちなのだろう。
(ちなみに二番目のネックは「ブルース」らしい)

アドリブに関しては、クラシックの経験は上達の早さとはあまり関係なく、むしろピアノ初心者であっても、今までジャズを大量に聴いてジャズのフレーズに慣れているマニアな人が早く上達するケースもあるとか。

クラシックピアノの先生でもなく、ジャズマニアでもない普通の初心者 (私はこれ) の場合は、ソナチネレベルの基礎があれば「レッスン100回ぐらいやれば、ある程度は形になる」らしい。
レッスン100回というと、月3回のレッスンとすると約2年半〜3年。これは何となく納得できる。私は約7ヶ月めなので、あと2年間やれば「ある程度は形になる」……ような気はする。

ただし、自分に合った先生につくことが大事で、合わないレッスンを受けていると、何年たっても足踏み状態になってしまうとか。




☆ 先生もいろいろ

……で、初心者はどういう先生に習うのが良いのか?という話。

ジャズピアノは、幼児〜子供のクラシックピアノのような「入門時の平均的なカリキュラム」というものがない。
大手の教室は一応カリキュラムがあるが、それが唯一の方法というわけでもない。
個人の先生の場合は、指導の方針は千差万別。

先生のタイプもクラシックよりずっと幅が広く、現役ミュージシャンで演奏活動が主で教えるのは従の人もいれば教えることに特化したティーチングプロもいるし、ダンモのズージャ ※1 時代からの叩き上げジャズ野郎タイプもいれば大学ジャズ研出身もアメリカ音大留学組もいるしクラシックプラスアルファで教える先生もいる。

(※1  昔のバンドマンは隠語の一種として逆さ言葉を好んだそうな)


感覚重視、理論は後からという教え方もあるし、最初から理論をやる場合も。
テンション入りのコードヴォイシングや、スケールをいつから教えるかなども、すごく差がある。
たとえば半年めでスケールを教えたとして、それが早いか遅いかは、生徒の元々の知識量によるからなんとも言えないそうだ。

ついでに聞いてみたら、「リードシートなし、アドリブは書き譜なし、耳だけでトランスクライブして弾く」という私が教わってる方法は、大人のアマチュア初心者対象のレッスンとしては、わりとハードな部類だそうで。
そうだったのか、大変なのは私がおバカだからと思っていたら、レッスンのほうがハードだったのか……なんか安心した。いや、ウチの師匠って結構スパルタ式?と薄々思ってたのが実証されたわけで、安心してる場合じゃないけどさ……




☆ 生徒もいろいろ

特に大人の場合、生徒の状況も一人ずつ違う。
技術面から見ると、ピアノをやったことがない人もいれば、クラシックの基礎がある人もいる。
センスや感覚の面では、ポピュラーやロックにどっぷり浸ってきた人もいれば、そういう音楽にあまり縁がなかった人もいる。
ジャズの基礎知識についても、ジャズ喫茶に入り浸っていたような人もいれば、ほぼ白紙状態の人もいる。

生徒の希望することもさまざまで、「ちょっとだけジャズっぽいソロピアノを昼下がりに軽く弾きたいオシャレなマダム」もいれば、「バリバリセッションやりたい理論派ジャズ研大学生」もいるだろうし。


こういうすべての人に誰にでもぴったりと合う、統一された唯一のカリキュラムって、そりゃなかなか難しいというか、無理だろうな。

たとえばアドリブにしても……ロック好きの生徒にジャズのブルースで好きなようにアドリブさせると、長年聴いてきた曲の記憶の蓄積で、意外に出来てしまったりするらしい。
同じ原理で、ジャズを長年聴いてきた人は、コードの基礎さえわかればジャズのアドリブが出来る場合もあるかもしれない。
でも、そのやり方をジャズやロックにあまり馴染みがない人に当てはめて、いきなり「さあ好きなように自由にアドリブして」と言ったら……それはなかなか上手くいかないようだ。




☆ 自分に合う先生を探す

とにかくピアノと言ってもクラシックの幼児教育とはまったく違い、生徒も先生もじつに多様だから、Aさんに合う先生が、Bさんに合うとは限らない。
たとえば、現在私が習っている師匠のレッスンは、人によっては合わないと感じるかもしれない。細かく決まったカリキュラムを順にこなして行く「小中学校の通常の授業」的な方式じゃなく、「夏休みの自由研究」みたいに生徒が自分でやったことに基づいて、それを掘り下げて行く方式になって来ているし。
子供のクラシックピアノなら「良い先生」はほとんどの子供にとって良い先生だろうが、大人のジャズピアノは事情が違う。


先生を探すことはいわば「学習の初期段階のリサーチ」で、子供には無理だが大人であれば可能だし、むしろそこで手間を惜しむと、後で自分が損をする可能性もある、ということでした。
体験レッスンは最低でも2ヶ所、出来れば3〜4ヶ所ぐらいは行ってみるほうがいいとか。

時間や場所の制約がある人でも、ネットを使ったオンラインレッスンという便利なものを使う手もある。YouTubeのさまざまなジャンルのレッスン動画に慣れた人が増えて、オンライン学習全般への抵抗感が薄れ、今後はオンラインレッスンの数は増えていくだろうという。
私は出来れば直接のほうが良いとは思うけれど、お互いの運指をカメラでちゃんと撮影できればオンラインでも大丈夫そうな気はします。


で、普通のレッスンであれオンラインであれ何ヶ所かで体験レッスンして、どの先生に習うか迷った場合は。

先生の人柄や自分との性格的な相性ももちろん大事だけれど、音楽的な相性も大事。
それを知るために、自分が演奏してみたい有名な「歌モノ」※2 のスタンダード曲を、体験レッスンの時に先生に弾いてもらう方法もあるそうです。最初からジャズとして書かれた曲「ジャズ・チューン」じゃなく、演奏者の個性がはっきりと出る「歌モノ」がいいとか。

(※2  ミュージカルやポピュラーの曲だったものを、ジャズで演奏するようになったナンバー。歌モノの簡単な見分け方は「検索してエラ・フィッツジェラルドやフランク・シナトラのバージョンがあるかどうか」らしい)


同じ曲でも先生によって雰囲気はかなり違うはず。その弾き方の個性をどう感じるかで、自分と先生の音楽的な相性が分かる。
これは体験レッスンの申し込みの時にあらかじめ伝えておく方が良さそうだけど、超有名曲ならその場でほんのさわりだけ弾いてもらうことが出来るかもしれません。




☆ まずは半年、独学してみても良い

習う側は、自分の希望、自分のレベル、何をどこまでやりたいかを出来るだけ明確にしたほうが、まわり道をしないで済む。

まずは独学で半年〜1年ぐらい色々やってみて、自分がやりたいこと (セッション、アレンジ、作曲) や好きなジャズのジャンル、目標とするミュージシャンなどをある程度イメージする。それから何ヶ所か体験レッスンに行って、先生に自分のやりたいことを話してみて、自分に一番合うところを見つけるのが最善であろう、というのが結論。
やりたいことや目指す方向、好きなミュージシャンなどがなかなかハッキリしてこない場合、とりあえずきちんとカリキュラムが決まった大手の教室で1年ぐらいやってみる手もある。

「人によって違いはあるが、最初のうちは無理してセッションに行かなくても、まずは教室で楽しく弾くのでもいい。それでは物足りないと思ったら、その時に改めてセッションに行くことを目指せば良いのではないか」……というのが、音楽教室の仕事をしてきた友人の意見でした。

私もほぼ同意見。セッションはたしかに大事だけれど、あまりそれだけにこだわり過ぎず、まず最初は「楽しく演奏できるようになる」のが大事な気がする。
ただ、「自分は当分セッションには行かない」と超初心者段階で早々と決め込んでしまうのも、ちょっとどうかな?それはもったいないと思う。講習会とか勉強会とか、機会をとらえて何かの形で少しだけ経験しておいたほうがいいんじゃないか。うーん、難しいな、このへんは。


レッスンについては過去記事のレッスンカテゴリーを参照。


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