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fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

オージー悲観材料

新型コロナウイルスの発生源をめぐる独立調査を要求したオーストラリアに対する中国の報復が続いている。既に中国への主要輸出品である牛肉や大麦、ワインの生産業者に揺さぶりをかけており、対中依存世界一の経済を抱える豪州は、自国の商品セクターへのさらなる圧力に身構える。

オーストラリア・西オーストラリア州港湾都市ポートヘッドランド付近を走る連結トラック。豪中関係悪化で豪州の輸出に大きな影響が出ている(ブルームバーグ
 一般炭で4分の1弱
ブルームバーグ・エコノミクスによれば、中国は豪州にとって主要なモノの輸出先で、直近の年度では全出荷の約39%を占めた。中国が自前で供給できたり、代替できたりする石炭や乳製品などはリスクにさらされる。
中国を中心に調査しているJキャピタル・リサーチのマネジングパートナー、ティム・マレー氏は「中国は豪州の政治的立場への報復で非常に明確な戦略を持っている」と指摘する。
 豪州は新型コロナの発生源に関する独立調査を中国に要求したほか、華為技術(ファーウェイ)による第5世代(5G)移動通信網への参加も禁じた。
中国の報復対象になるとみられているのは、石炭、乳製品、液化天然ガス(LNG)などだ。
石炭は両国の貿易対立で一貫して標的となっており、2019年には港湾で出荷が滞りがちとなった。石炭は中国がほぼ自給できる数少ない商品の一つで、国内の発電所が使う燃料のうち、輸入が占めるのはわずかにとどまる。中国による今年の一般炭輸入の約4分の1弱を豪州が占めている。
一方、より質の高い原料炭では様相が異なる。中国の鉄鋼大手は輸入になお頼っており、豪州はこの市場で主要サプライヤー。今年は全体の60%超を占める。
関係者が、乳製品が貿易制限の対象になり得ると示唆したことを受け、豪州の酪農業界は警戒を強めている。中国の蒙牛乳業は先月、キリンホールディングス(HD)の豪飲料事業の取得計画について豪当局の承認が得られない見通しとなって断念しており、緊張を示す兆候は既に出ている。

 鉄鉱石は可能性低く

中国は世界最大の乳製品輸入国で、5年で倍増した後の18~19年は豪州にとって最大の輸出市場だった。今年は新型コロナの都市封鎖で外食が制限され、需要が鈍化している。
中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は今年に入り、豪州産鉄鉱石が標的になる可能性を指摘したが、その可能性は小さいとみられる。豪州は中国の鉄鉱石供給で大きな役割を担っており、中国の輸入の60%超を占めている。2番手のブラジルは年初来で20%弱だ。
豪州は中国の今年の液化天然ガス(LNG)輸入の半分弱を占める。豪国内では中国の石油大手がパートナーとなっているクイーンズランド州の2カ所を含む新たなプロジェクトが稼働を始めており、近年は豪州が占める割合が高まっている。(ブルームバーグ David Stringer、Dan Murtaugh)