郷土教育全国協議会(郷土全協)

“土着の思想と行動を!”をキャッチフレーズにした「郷土教育」の今を伝えます。

ヒットラーと闘った子どもたち

2019年12月08日 | 機関誌

 「子どもたちと戦争展」が終わった。

 

 絵本・絵雑誌(35点)・教科書(8点)・双六(11点)・カルタ(2点)・肉弾三勇士文鎮(6点)・慰問手紙ハガキ類(多数)・射的人形(13点)・レコード(4点)・節句絵幟(3点)・映画ポスター(1点)・地図(2点)・うちわ(6点)、それに自作の研究冊子(9点)などを展示したが残念ながら来会者は少なかった・・・。

 

 しかし振り返えってみると、私にとってはとても成果の多い企画だった・・・。

 何よりも、これまでの研究成果を紹介しまとめることができたとともに、その後に多くの「関連資料」を読む機会が有ったからである・・・。

 

 先ず「満蒙開拓青少年義勇軍」関連図書としては、解説書として、「満蒙開拓青少年義勇軍・上笙一郎著・昭和48年刊」・「満蒙開拓青少年義勇軍・桜本富雄著・1987年刊」、体験談としては、「夕やけの地平線・東海林正志著・平成8年刊」・「土と戦ふ・菅野正男著・昭和14年刊」を読んだが、いずれも貴重な文献で有った。

 

 特に「土と戦ふ」は、青少年義勇軍の初期段階の参加者の体験談であり大変優れた著作であった・・・。

 

 この他いくつかの「少国民体験談」も読んだが、いずれも日本の子どもたちのあくまでも「被害体験談」であった・・・。

 

 ところが同じ枢軸国のドイツにおける文献を読んでみると、日本とは全く異なる体験談が残されていたのである・・・。

 

 先ず「白バラ・関楠生著・1995年刊」には、「学生たち」が、ヒットラーの独裁体制に抵抗して闘う姿が紹介されていて感動させられたのである・・・。

 

 また、「エーデルワイズ海賊団・竹中暉雄著・1998年刊」には、「青年労働者たち」が、ヒットラーユーゲントに対して「楽しみと自由を奪うこと」に抵抗し闘うようすが記録されているのである。

 

 特に後者には若者たちの様々な闘い方、例えば「ヒットラーユーゲント」の集会に集団で参加して、幹部の演説が始まると「シーハイル・シーハイル・・・」と大声で連呼して演説を妨害するというようなことも行ったと紹介され、「白バラ」の学生達が実施して逮捕・処刑されてしまっているのとは異なる極めて柔軟な闘いを展開していたことが語られている・・・。

 

 この「日本とドイツの子どもたちの違い」はいったいどこから来るものだろうか、これが私にとっての今後の研究課題である・・・。

(禁止されているチェック柄のシャツを着たエーデルワイズ海賊団の少年たち)

 

 <「月刊・郷土教育725号」より抜粋>

 

-中村 光夫-


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