中衝 ~現役鍼灸師によるツボの解説~

こんにちは、鍼灸やまと治療院です。
今回も手にあるツボシリーズとして「中衝」という経穴けいけつについて記述します。

経穴の説明

「中衝」は「ちゅうしょう」と読みます。「中冲」と書くこともあります。
手の厥陰心包経の9番目の経穴で、手の厥陰心包経の五行穴井木穴せいもくけつになります。WHOのコードは”PC9″です。
この経穴は、手掌熱感、手指関節炎、夜驚症、心痛、胸苦しさ、などに使われます。

経穴の場所

中衝

中指の先端の真ん中になります。なお、私の学生時代には、中指の爪の橈側(親指側)の下縁から少しだけずれたところ(上記写真の別説)として習っていました。現在これは別説となっているようです。一応、どちらでも可です。

なお、正式な部位の定義は以下の通りとなります。

中指、中指先端中央。
【別説】中指、末節骨橈側、爪甲角から近位外方0.1寸(指寸)、爪甲橈側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点。

引用:WHO西太平洋地域事務局著,第二次日本経穴委員会訳『WHO/WPRO標準経穴部位-日本語公式版-』医道の日本社,2009年,p.156

古典における記載例

なお、古典では以下のように記されています。

【原文】在手中指端去爪甲如韭葉陥中

【書き下し文】手の中指の端、爪甲を去ること韭葉の如き陥中に在り。

引用:滑寿著『十四経発揮』1341年

中衝
二穴。手中指の内側、爪の生際を去ること一分陥の中。針一分留ること三呼、灸一壮。
熱病、いきれもだえ、汗出でず、掌の中熱し、身火の如く、心痛、舌強るを治す、心包絡の虚はこれを補す。

引用:本郷正豊著『鍼灸重宝記』1718年
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