著:古勝 信子

 

1992年4月発行

株式会社光人社

東大阪市図書館譲渡会にて入手

 

再読しました。

前は大学院留学前に読んだっきりでした。

著者は神戸に住んでいた女性で

夫、初孫、さらに実父との連続した死別で

悲しみにくれていた時に、

スペイン在住のかっての幼馴染に誘われ、

スペインを訪れます。

初の海外旅行中に

ロンドンに留学している女性と出会い、

そこからロンドンでの語学留学に惹かれます。

そしてとうとうロンドンで語学留学を決断します。

本書はそんな経緯で著者の

1984年から1986年の三年間に渡る

ロンドン滞在記となっております。

80年代のイギリスの暮らしや

ロンドンの様子を知れる本です。

 

時代のこともあり、著者は海外で暮らすこと、

老年になってから語学を学ぶことへの

心理的なハードルがかなりあります。

また現在よりずっと保守的な

当時の夫婦、家族の形が読み取れます。

そんな中で、今までは妻であり母であったが

一人の個人としてロンドンでの生活を楽しみ、

悲しみから立ち直っていく著者の姿は

読者に勇気と励ましを与えます。

 

留学における苦労や慣れない異国での暮らしを

率直に語る著者の語り口から

著者の素直な人柄の良さを表しています。

著者が下宿していたイギリス人のlandladies、

バイとケイ姉妹との交流は

本書の中でも格別に心をうたれました。