幼い頃

いつも不思議に思っていた

 

 

母は

 

よその人にとても丁寧で

優しい言葉をかけるし

話をちゃんと聴いている

 

 

それなのに

 

 

私の話や家族の話は

最後まで聞かないで怒り出したり

勝手に決めつけたりする

 

 

けなされたり からかわれたり

することはあっても

褒めてくれることはなかった

 

 

 

 

こういう人にはなりたくないと

ずっと思っていた

 

 

 

 

きっと母には 家族に対する

厚い信頼があって

 

他人にするようなことはしなくても

愛情は伝わるはずだと

信じていたのだろう

 

 

自分のことは後回しにして

家族の食事を

せっせと作っていたし

 

自分のための買い物も

最低限に抑えていた

 

 

世間的には

「いいお母さん」そのものだ

 

 

 

 

 

自分が母親になった時

 

 

子どもの気持ちを尊重し

彼らの生き方を応援するように

生きていたいと思った

 

それでも

 

子どもの期待通りに

生きられるわけではない

 

 

 

そもそも

 

親と子の価値観なんて

ズレているのだから

 

 

親は子どもの期待には

応えられない存在なのだ

 

 

 

 

善い妻になる気も

善い嫁になるつもりも

なかったけれど

 

 

善い母親には

なろうとしてしまった

 

 

母も私も同じ穴のムジナ

 

 

 

そんな自分を赦したい

 

 

 

善き母親になろうとして

子どもを苦しめてしまう

 

 

そんな存在を赦したい

 

 

 

 

 

 

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いすみの海でお待ちしています

 

 

 

 

                          photo by のり

 

 

 

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手塚 ひろ

 

 

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