ソニーα7 IIIやα7R IIIで親指AFを使用している人はいらっしゃると思いますが、意外と知られていないのが『フォーカススタンダード』です。
移動したAFポイントを中央に戻す機能以外にも、意外と知らない機能が隠されています。
そもそも親指AFとは
α7 IIIやα7R IIIのデフォルト設定では、シャッター半押しAF機能が『入』になっているため、シャッターを半押しして、ピント合わせと露出補正を行います。
シャッターボタンはシャッターを切るボタン専用にして、ピント合わせと露出補正を別のボタンに割り当てている方も多いと思います。それを通称、親指AFと言います。なぜ親指かと言うと、比較的押しやすい親指に届くボタンに割り当てる方が多いからです。
カスタムキー設定で、AF-ONボタンにAFオン機能を割り当てる方が多いはずです。(シャッター半押しAF機能を『切』にすることをお忘れなく)
さらに、親指AFはAF-C(コンティニュアスAF)と相性が良く、さらにフォーカスエリアをワイドに設定すると、動きものもそれ以外も親指AFひとつで対応できる万能ボタンになります。
動体撮影
不規則に動き回る動物や子供などを撮影する際には、親指AFボタンを押しっぱなしにします。AF-C+フォーカスエリア:ワイドのため、ボタンを押している限り、画面全体に渡ってオートフォーカスしてくれます。
シャッターボタンは親指AFボタンと切り離されているため、任意のタイミングでシャッターを切れます。
シャッター半押しAFのように、ずっとシャッターボタンを半押し続ける必要はありません。
静体撮影
ブツ撮りなどの際には、親指AFボタンを押せば、AFオン+露出補正してくれますし、親指AFボタンを離せば、AFオン+露出補正が停止します。つまり、親指AFボタンを離す=フォーカスホールド(AFロック+AEロック)ということです。
あとはシャッターボタンを押して、シャッターを切るだけです。もちろん、親指AFボタンを押しっぱなしでも問題ありません。
親指AFでは、このように動体撮影と静体撮影の両シチュエーションに対応できるため、親指AFボタンを活用して撮影を楽しんでいる方も多いと思います。
ワイドと中央一点を使い分けたい
しかしながら、この便利な親指AFですが、ひとつ欠点があります。
動体撮影にも対応するため、フォーカスエリアをワイドにしたいところですが、静体撮影ではフォーカスエリアは中央一点で十分な事が多いのです。
むしろ、ワイドにしていると、中央以外にもオートフォーカスしてしまって、なかなかうまく行かないなと思う方も多いと思います。
フォーカススタンダードの登場
そこで登場するのが、フォーカススタンダードです。
α7 IIIやα7R IIIのデフォルト設定では、ジョイスティック(ソニーではマルチセレクターという)に割り当てられています。ジョイスティックを押すと動作します。
フォーカススタンダードは文字通り、ゾーンやフレキシブルスポットで移動したAFポイントを元に戻す、という機能です。
ですが、フォーカススタンダード=移動したAFを元に戻す機能、とだけしか知らない方、損していますよ。
フォーカススタンダードは中央一点+AFオンも出来る
フォーカスエリアをワイドにしていると、フォーカススタンダードは中央一点+AFオン、として動作します。
実はこれ取扱説明書にも記載されていることです。
- [フォーカスエリア]が[ゾーン]、[フレキシブルスポット]、[拡張フレキシブルスポット]のとき:
- キーを押すと、フォーカス枠が中央に戻る。
- [フォーカスエリア]が[ワイド]または[中央]のとき:
- [中央ボタン押しロックオンAF]が[入]のときは、キーを押すと[中央ボタン押しロックオンAF]が起動する。[中央ボタン押しロックオンAF]中にコントロールホイールの中央を押すと、画面中央の被写体を検出して追尾が開始される。
- [中央ボタン押しロックオンAF]が[切]のときは、中央でピントを合わせる。
説明書の下のほうに書いてありますし、非常に分かりにくい表現なので、気付かなかったという方も多いのではないでしょうか。
確かに、ゾーンやフレキシブルスポットのときにしかフォーカススタンダード機能が使えないのだとすると勿体ないので、ワイドや中央のときに別の機能を持たせようとしたのは理にかなっています。
フォーカススタンダードボタンを押すだけで、中央一点+AFオンが出来るので、先ほどのフォーカスエリア:ワイドでうまく行かなかった場合でも対応が可能です。
まとめると次のような使い分けになります。
全てひとつの動作でAFまで出来るので、シャッターチャンスを逃す可能性が低くなりますね。
動体撮影
ワイドの時は親指AF、あるいは中央一点の時はフォーカススタンダード
静体撮影
ワイドの時は親指AF、あるいは中央一点の時はフォーカススタンダード
押す間カスタム設定呼出はちょっと微妙?
押す間カスタム設定呼出に、AFオンとAF-C(コンティニュアスAF)を登録して、親指AF風の押す間カスタム設定をされている方もいらっしゃるようです。
僕も実際にやってみましたが、通常の親指AFと先のフォーカススタンダードの組み合わせと比べて、ふたつのデメリットがあると感じました。
タイムラグがある
押す間カスタム設定呼出ボタンを押してから、実際にAFするまでタイムラグがあるように感じます。押す間カスタム設定呼出→AF-C呼び出し+AFオン呼び出し、となるため内部処理に時間が掛かっているような気がしました。
押す間カスタム設定にカスタム設定ボタンをひとつ占有される
フォーカススタンダードであれば、移動したAFポイントを元に戻す機能と中央一点+AF-ON機能の兼用なので新たにカスタム設定ボタンを割り当てる必要はありません。
ただし、押す間カスタム設定は他にも設定が出来そうなので、色々と試してみる価値はありそうです。
親指AFを使用している人はフォーカススタンダードを知らないと損まとめ
親指AFを使用している人はある程度、α7 IIIやα7R IIIを使いこなしている方だと思いますが、そのような方でも意外と知られていないフォーカススタンダードについて書いてみました。
ちなみに、僕も取扱説明書を一通り読んだつもりでしたが、最初はフォーカススタンダードの中央一点+AFオン機能は見落としていました。
α7 IIIやα7R IIIは様々なカスタマイズが出来るカメラなので、自分なりのカスタマイズをして、ぜひ使いこなしてみてください。