昔はお灸といえばお年寄りの健康法というイメージがありましたが、今ではそんな年寄りくさいイメージは払拭されて、若い女性の間でも話題の健康法になっています。
「お灸女子」という単語がネットでよく目にされる。
お灸は中国から伝わった伝統医学。
奈良、平安時代には、すでに公家の間で用いられていたそうです。
灸に使用されるもぐさは、ヨモギの葉の裏にある繊毛を精製したもの。
ヨモギにはさまざまな効果があり、古くから人々の暮らしの中に取り入れられてきました。
ヨモギの葉には
食物繊維、
クロロフィル(葉緑素)、
ビタミン、ミネラルが豊富で、
シオネール(別名ユーカリプトール。天然に存在する有機化合物で消毒・殺菌・鎮静・鎮痛作用などあり)、
α-ピネン(ヒノキなど針葉樹の香り成分。浄血、増血作用、止血作用、癒し効果などあり)
などの多くの有効成分を含んでいる。
こんな万能植物ヨモギの繊毛から作った「もぐさ」に火をつけて、ツボを刺激するのがお灸です。
体に温熱刺激を与えると、皮膚の下にある筋肉・血管・リンパ節などが刺激され、細胞が活性化される。
恒常性の維持(ホメオスタシス)という言葉があります。
生物や鉱物において、その内部環境を一定の状態に保ち続けようとする傾向のこと。
たとえば体温が上がれば発汗させ、体温を下げようとする機能。
人間の体はさまざまな刺激が与えられると、健康を維持しようとホルモンや神経が活動し、巧みな調整が行なわれます。
よって「適当な刺激を意識的に与えれば、体にとって有利な反応を引き出せる」ということがわかる。
お灸による熱刺激や、鍼による痛みの刺激。
鍼灸は恒常性の維持(ホメオスタシス)を利用した健康法なのです。
ツボから経絡を刺激して、その経絡に関連する臓腑や気血水の変調を調整し、正常な状態に戻す――そういう治療法です。
お灸について、火を使うタイプは火傷に注意。
火を使わないタイプは、低温火傷に注意が必要です。
一回分の灸が燃え尽きるまでを一壮(いっそう)という。
◇ツボが熱さを感じるとき⇒すごく熱いときは途中でやめること。
血行もよく気の流れもいいため、お灸の必要はありません。
◇ツボが熱さを感じないとき⇒血行不順です。
気が停滞している。
熱さを感じるまで2~3壮すえてもいい。