樫の木の下の宴会

小さい頃婆さんの家系の墓参りに行った。
広い墓地で、わが家で決めた目印は「樫の木を曲がって三番目の墓」だった。

その年も樫の木を曲がって三番目の墓に行ったんだが、樫の木の下で数人のオヤジ達が茣蓙を広げて宴会をしていた。
当時幼かった私は不思議に思わなかったんだが、「どっから来たの?ジュース飲むかい?」とオヤジに話し掛けられ、そのまま樫の木の下に突っ立っていた。

しばらくして墓参りを終えた家族が戻り、樫の木の下にいた私に「そんなところでなにをしているのか?」と聞いた。
振り返るとオヤジたちはそこにいなくて、オヤジに貰った飴玉だけが手に残っていた。

墓のど真ん中で宴会なんて、成長した今で考えれば有り得ないんだが、もしあれが墓で眠っている人々ならば、あの時呑んでいた酒やツマミはお供え物なんでしょうね。

その後、私はその墓に参拝に行くときは樫の木の下にも供え物をしている。

不可解な体験、謎な話~enigma~ 28

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