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韓国大法院が、徴用工賠償判決を下したのは昨年10月30日である。あれからちょうど1年が経った。すでに日本企業の資産(株式)が担保で差し押さえられており、遅くも来年には売却が行なわれると見られている。その場合、日韓関係は破綻する。

 

もともと、韓国司法が国際慣例を破った判決をしたことが間違いの元である。国際的に、「司法の自制」として認められているように、条約に関する裁判を回避するのが普通である。韓国ではこういう慣例を破って、司法が条約に干渉するという特異の行動を見せている。日本が、国際法違反という主張は当然である。韓国がローカル過ぎるのだ。

 

『中央日報』(10月30日付)は、「安倍政権、日本企業の資産を現金化なら同じ金額で韓国に報復検討」と題する記事を掲載した。

 

(1)「徴用裁判の原告側が韓国で差し押さえた日本企業の資産が現金化される場合、同じ金額の損害を韓国側に負わせる「報復措置」を日本政府が検討していると、朝日新聞が30日報じた。同紙が韓国の徴用判決1周年(30日)を迎えて報道した記事の内容だ。同紙は「現金化する場合、日本政府は国際司法裁判所(ICJ)への提訴と韓国政府への賠償請求も共に検討している」とし、このように伝えた」

日本企業の資産が売却されれば国際法上、日本の対抗措置が認められている。その根拠は、日韓基本条約で処理された問題が、韓国の一方的な判断で蒸し返され、日本企業が損害を被ったので、日本政府が損害賠償を求めるという法的な根拠だ。文在寅「弁護士」の見誤りが、国交断絶に近い状態をもたらすとすれば、文氏は大統領失格である、

 

(2)「早ければ来年1月ごろと予想される「差し押さえ資産の現金化」が実際に実行される場合、日本政府が本格的な報復を始めて両国関係は取り返しがつかない状況になるというのが両国の主な見方だ。茂木敏充外相も29日の記者会見で資産現金化について「あってはならない」「そのようなことが発生する場合、韓日関係はよりいっそう深刻な状態になる」と述べた。30日付の朝日新聞には「現金化はルビコン川渡ってしまう」「現金化される場合、両国関係はアウト」という日本外務省幹部の発言が掲載された」

差し押さえられている株式が現金化されれば、もはや日本も遠慮は要らない。韓国の急所を突くことも可能である。だが、落ち目の韓国経済は、日本の一撃で堰を切ったように流されてしまうリスクも抱えている。

 

米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(10月30日付)は、「韓国に迫る経済危機、日本が教訓に」と題する記事を掲載している。その中で、「韓国と日本の政府は現在、関係が良好ではない。韓国にとって今、とりわけ重要な経済的教訓を日本から得られる機会なのに残念だ」とし、民間債務の急増で景気後退とデフレ懸念が強いと警告している。ここまで追い詰められてきた韓国が、「司法の自制の原則」を無視した行動で自国経済を沈没させるとは、なんとも愚かに見えるのだ。

 

(3)「水面下では賠償金の準備に韓国と日本の企業(1+1)のほか韓国政府が「アルファ」として参加する案、韓国企業と韓国政府(1+1)に日本企業が「アルファ」として参加する案などが議論されている。しかし「日本側は一銭も出せない」(毎日新聞が引用した首相官邸幹部の発言)とうのが日本の基本的立場であり、急進展を期待するのは難しい状況だ。日本高官は読売新聞に「問題は単純だ。国際約束(請求権協定)を守るか守らないかだ。ボールは韓国にある」と述べた」

 

韓国が、「司法の自制の原理」を破った科を受けるだけである。

(4)「一方、読売新聞は「日本政府は11月初めにバンコクで開催される東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議、同月中旬にチリで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議では韓日首脳会談を見送る方針を固めた」と報じた。同紙は「両首脳が接触しても短時間の立ち話程度にとどまる見通し」と伝えた」。

 

下線部分にあるAPEC首脳会議は、チリ政府が国内混乱を理由に返上したので当面、開催不能である。日韓首脳会談は立ち話も不可能になった。韓国にとっては不運だろう。