懐かしの旅行記。切符を手掛かりに思いだそう! 初めての夜行列車。その2

昭和59年8月14日。中学2年生。私は、初めて一人で夜行列車に乗った。その列車は東京発の「さくら」でもなく、新大阪発の「明星」でもない。天王寺発の愛称なき夜行普通列車新宮行に乗ったのだ。その半年前まで「はやたま」という愛称があったのだが寝台車が廃止され愛称をつける必要がなくなった列車である。列車番号も1列車とかそういうかっこよさげな番号じゃなくて単に921列車というごくありきたりな番号。編成もB寝台とかじゃなく夜行の癖に12系という普通のBOXの座席車。

ずいぶん見劣りがするが私には十分嬉しかった。食堂車のハンバーグ定食(?)が駅弁を通過して具が全くない230円位の駅蕎麦になろうと、相撲でいうとふんどし担ぎであろうとプロレスでいうと前座の第一試合であろうと、宿に例えるとドヤ宿になろうと(オイ!)、とにかく私は嬉しかった。中学生の私にとって何であろうと自分の世界が広がることは何よりも嬉しいのだ。

さて、中学生の私が旅に出るのはやはり親の許可が必要だ。しかし中学生の私に親が許可を出すわけがない。心配症の親父が中学生1人で泊りがけの旅行なんて絶対に無理。しかも何の自慢にもならないがとんでもなく出来が悪い。どのくらい出来が悪いかというと勉強が全くできないし、運動神経が全くないし、かと言って生活力があるわけでもなし・・・。

ここで私は一計を案じた。そう最初から外泊するという予定ではなく、やむを得ず外泊するのということにしたのだ。つまり日帰りの旅行で電車が遅れるというアクシデントが起き家に帰れなくなりやむを得ず夜行列車に乗るというシナリオなのだ。中学生だからお金もないし、宿にも泊まれない。持っているのは青春18きっぷ。経路は自由に選べる・・・。 (続)

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