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SUZUKA Sound of ENGINE 2018 観戦記 vol.1  〜 もう一つのF1グランプリがやってきた! 〜

今回は国内最大のヒストリックレーシングカーイベント、SUZUKA Sound of ENGINE 2018の観戦記を書いていきます。

鈴鹿へ向かう 2000GTとともに・・・

先月のF1日本グランプリにつづき、今年2度目の鈴鹿遠征は遠足の小学生の如く明朝4時30分に起床してしまった。

それもそのはずSUZUKA Sound of ENGINEは私が一年のうちで最も楽しみなイベントの一つだからだ。

新東名を飛ばし伊勢湾岸道のみえ川越インターを降りるとオーラを放った赤いクラシックカーが目につく。

あっ! あの伝説の名車、トヨタ2000GT・・・ おそらく同じく鈴鹿サーキットへ向かうのであろう。

公道を走るこの名車を初めて拝見し、今日は何かいいことがありそうな予感がした。

鈴鹿到着 2コーナー激感エリアへ

8時40分、予定どおり鈴鹿サーキットに到着し、1500円でパドックプラスを購入し2コーナー激感エリアへ。

ちなみに、SUZUKA Sound of ENGINEはパドックまでは観戦チケットで入場できるが、パドックプラスを購入することにより2コーナー・最終コーナーの激感エリアの入場とピットウォークへの参加が許される。

綺麗に整備されたパドックトンネルを抜け2コーナーへ向けて坂道を駆け下りる。

Legend of Formula1 フリー走行

さあ、レジェンドF1マシンの走行、お目当は近代F1フェラーリのF2005とF10だ。

それではLegend of Formula1に出走するF1マシンを、古い時代のマシンから順に現代F1への成り立ちとともに紹介していく。

クーパー T86 (1967)

今回登場するF1マシンの中で唯一の葉巻型で、独特の存在感を醸し出していた。

この頃のF1は、空力でマシンを抑えつけるという概念がまだ考えられていなく非常にシンプルな作りだった。

ロータス 72C (1970)

今回のSUZUKA Sound of ENGINEには6台ものロータスレジェンドF1マシンが登場するが、このロータスは唯一John Player SpecialカラーではなくゴールドリーフカラーでF1にスポンサーカラーをもたらした。(登場は1968年)

この頃よりF1は前後ウイングを装着し空力でマシンを抑えつけてコーナーリングスピードを稼ぐようになり、フロントにあったラジエターはサイドポンツーンに移動し、現代F1のカタチに随分と近づいていった。

アルファロメオ 179C (1981)

マクラーレンの偽物といった感があるマルボロカラーのアルファロメオは、日本人のドライブでSUZUKA Sound of ENGINEに毎回登場するマシンで、おそらく個人所有のものであろう。

F1カーボン素材が持ち込まれる直前の時代で、アルミハニカムをリベットで止めて作られる。

この頃のマシンはウイングカーと呼ばれ、マシン底面を飛行機の主翼を逆にしたようなデザインにし、シャシーを路面に吸い付かせ、強力なダウンフォースを生み出す。

ウィングカーでは不利な、バカでかいV型12気筒エンジンを搭載したむくんだF1マシンアルファロメオ179Cはグランプリで活躍できなかった。

AGS JH23 (1988)

第二次F1ブーム世代の私にとってこの時代のF1マシンを見られることは格別であるが、日本に縁のあるマクラーレンのホンダエンジン搭載車や中嶋悟のティレルやロータス、亜久里・右京のラルースなどはイベントでよく見ることができる中、今年の日本グランプリで初めてこの日本に全く縁のないマイナーマシンが走る姿を見られた時には本当に感動した。

私はこのなんの特徴もなかったAGSがなぜか好きだった。

なぜだろう・・・ 特に意味はないと思う。

この頃のマシンはすでに現代マシンと共通するフルカーボンシャシーで、ローノーズ以外は現代マシンに近い。

フェラーリ F2005 (2005)

私が今回のSUZUKA Sound of ENGINEで楽しみにしていたことの一つが、このフェラーリF2005のエンジンを楽しむこと。

日本グランプリに毎年行っていた頃に聞いていたサウンドで、2コーナーにいる私は遠く最終コーナーから向かってくるこの甲高い本当にシビれた。

余談だが、今年久々に日本グランプリを観戦した時にはターボハイブリッドの音に正直幻滅した。

この頃のサウンドに戻って欲しいと思うのは、世界のF1ファン共通の望みだ。

一気に時代が飛んでほぼ現代のマシンと共通のカタチだが、マシン幅は1,800mmと200mm狭い。

しかし現代マシンとの一番の違いは、エンジンだ。

各自動車メーカーがこぞってF1に参戦し、エンジン性能が凄まじく進化し3,000cc V10は毎分20,000回転に迫っていた。

フェラーリ F60 (2010)

F1グランプリでは見ることができない、別年代マシンの共演が、SUZUKA Sound of ENGINEでは見るのとができる。

今回このフェラーリF60は終始F2005とランデブー走行をしてくれたため、V10とV8を聴き比べる貴重な機会に恵まれた。

こちらF60は2,400cc V8、F2005は3,000cc V10、音はF2005の勝ち速さもF2005、マシンの格好良さはマルボロ蛍光レッドから昔の深紅に戻ったF60に軍配か。

この時代の特徴としては、幅の広くなったフロントウイングと狭く高くなったリヤウイングで、写真で見るとイマイチだが実車はなかなか良かった。

Group C フリー走行

フェラーリF2005サウンドに興奮冷めやらぬ中、間髪入れずにグループCフリーの走行が始まる。

ちなみに、昨年は日本のレジェンドドライバーがCカーに乗って気合の走行を行なったが、今年乗っているのは星野一義さんだけが乗っている。

実は今回のイベントと同日に富士スピードウェイでレジェンドドライバーのレースが行われているため、日本のレジェンドドライバーで鈴鹿サーキットに来ているのは星野一義さん・長谷見昌弘さん・片山右京さん・寺田陽次郎さんなどで、みなさん今年は大人しくトークショーなどを行うだけだ。

それではGroup Cマシンの出走マシンを、古いマシンから順に紹介する。

マーチ 83G (1983)

MCS グッピー (1984)

日産 R86V (1986)

ポルシェ 962C (1988)

マツダ 787B JSPC モデル (1991)

日産 R91CP (1992)

プジョー 905 (1993)

Masters Historic Formula1 公式予選

SUZUKA Sound of ENGINEは各カテゴリーのイベントが盛りだくさんで、休憩時間もなくイベントが繰り広げられる。

続いては午前中のハイライト、Masters Historic Formula1の予選、公式戦としては日本初開催のレースだ。

このカテゴリーを簡単に説明すると、1966年から1985年までに作られたホンモノのF1マシンで本気でレースをやってしまおう! というF1好き大金持ちたちの究極の道楽レースだ。

年代ごとに1972年までの『ジャッキースチュワートクラス』・1973年以降のノングランドエフェクトの『エマーソンフィッティパルディクラス』・1973年以降のグランドエフェクト機能が付いた『パトリックヘッドクラス』・1973年以降のフラットボトムマシンの『ニキラウダクラス』の4クラスで争われる。

エンジンメーカーは特に決まりはないが、世に出回っている数が圧倒的に多いベストセラーエンジン、コスワースDFVを全車が搭載し、エンジンライフを考慮し1万回転でレブリミットが作動する。

大富豪ドライバーが、非常に貴重なオールドF1マシンを時にカウンターを当てながら操る、見ているこちらが手に汗握る、もう一つのF1グランプリに出走するマシンを紹介する。

マーチ 721G (1972)

1972年とMasters Historic Formula1出走マシンの中では一番設計の古く、メカメカしい造形が私は非常に好きだ。

ロータス 76 (1974)

昨年のデモンストレーションレースにも出走してくれたロータス76はF1初のセミオートマ搭載車らしい。(私は1989年のフェラーリ640が初のセミオートマ搭載マシンだと思っていた)

ロータスの代名詞と言えるJohn Player Specialのカラーリングに、ロニーピーターソンと同じヘルメットを被ってくれていて、本当にカッコよく映った。

マーチ 741 (1974)

高原敬武氏が、日本人として初めてF1に出場し完走を果たしたマシンとして有名。

マーチ 761 (1976)

第二次F1ブーム世代の私にとって、この時代のF1は有名どころ以外は正直よく知らない。

のちにレイトンハウスに買収されたこのマーチというチームは、もちろん知っているのだが・・・。

マクラーレン M23 (1976)

1974年・1976年のチャンピオンマシンであるM23だが、このマシンは個人が購入し1977年・1978年にプライベーターとしてF1に出走したマシンらしい。

できれば昨年同様マルボロカラーのマシンが見たかった。

ペンスキー PC4 (1976)

アメリカのモータースポーツでは超名門チームとして知られるペンスキーは、1974年から4年間F1にも参戦していた。

このシャシーナンバー001のPC4は、チーム唯一の優勝を果たしたマシンそのものらしい。

ヘスケス 308E (1977)

女性が横たわる絵が描かれたこのカラーリング、今の時代なら一発で大問題でしょう。

この時代のF1グランプリはまだ大らかな時代だったらしい・・・。

レック CRP1 (1977)

ワタクシかなりF1に詳しいと自負しているが、このレックというチーム、全く知らなかった・・・。

ウルフ WR1 (1977)

1977年のデビューレースで優勝を飾った伝説のウルフWR1は、日本人所有のマシン。

フィッティパルディ F5A (1978)

2度のF1チャンピオンである、エマーソン・フィッティパルディと、エマーソンの兄であり自身もF1ドライバーであったウィルソン・フィッティパルディが起こしたチームであるフィッティパルディが、1978年のF1を戦ったマシン。

ロータス 79/2 (1978)

ロータスのチャンピオンマシン79/2を、シャッタースピード1/20のスローシャッターで捉えた。

エンサイン MN179 (1979)

エンサイン・・・ F1日本人メカニックの草分け的存在である津川哲夫氏が所属していたチーム、という印象しか・・・ 無い・・・。

シャドウ DN9 (1979)

このマシン、サイドポンツーンの塗装が剥がれまくっていたのが印象的だった。

貴重なF1マシン、大切にしてください。

ブラバム BT49 (1980)

元F1界のドンであるバーニー・エクレストンが率いていた頃のブラバムは、parmalatのシンプルなカラーリングが非常に美しい。

このシャシーナンバーBT49-10は、主にテストカーとして使われたマシンらしい。

ウィリアムズ FW07B (1980)

このFW07Bは、パトリック・ヘッドがロータス79のグランドエフェクトを徹底的に研究したマシンだと何かの書籍で読んだことがある。

サウジアラビア航空のカラーリングが印象的な時代の名門ウィリアムズだ。

ウィリアムズ FW07C (1981)

カーボンモノコックが主流になりつつある中、旧来のアルミハニカムモノコックにこだわり続けていた頃のウィリアムズのマシン。

ロータス 91 (1982)

ロータス最後のウイングカーである91は2台が出走する。

こちらはカーボンモノコックで、上のFW07B・FW07Cのアルミハニカムモノコックと比べると、随分丸みを帯びているのがわかる。

マーチ 821 (1982)

セナが最後に乗ったウィリアムズFW16がF1初のロスマンズカラーだと思っていたが、このマーチ821が初めてらしい・・・ 知らなかった。

ティレル 012 (1985)

今回出走する中では一番新しく、唯一のフラットボトム規制後のマシン。

1万回転で唸るコスワースDFV・・・ ドライバーはテールスライドするマシンをカウンターを当てながらねじ伏せる・・・ 1秒でも速く走らせるためだけに生まれてきたF1マシンを当時の思想のまま本気で走らせる、このもう一つのF1グランプリは最高だった。

今回はここまで、次回はピットウォークと場所を変えての撮影の様子をお伝えします。



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大福
モータースポーツをこよなく愛す、セナプロ世代の四十代。 サーキット観戦デビューは、1996年フォーミュラニッポン第7戦の富士スピードウェイ。ど迫力のエキゾーストノートとタイヤの焼ける匂いを実感し、それまでテレビでしか観戦してこなかった事を悔やむ。以降、F1・WEC・スーパーGT・スーパーフォーミュラなどを富士スピードウェイ・鈴鹿サーキットを中心に多数観戦する。