Jeff Buckley/Grace ジェフ・バックリーは音楽を届けにやって来た天使なんだ

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出会いは突然に

Jeff Buckleyを知ったのは、たまたま仕事帰りに渋谷のWaveに立ち寄ったからだった。そういやWaveそのものがもう無くなっちゃったね。Waveとは10年ぐらい前まで存在していたセゾン系のCDショップの名前。その時店内に流れているBGMがあまりに素晴らしかった。か細い声ながら、熱気に溢れたパンク的(グランジ的かな)な曲が店内に鳴り響いていた。気になってレジを覗くと、今かかっているCDが展示してあった。Jeff Buckleyの1stアルバム「Grace」がそこに置いてあった。

その当時は(1990年代)、東京に住んでいると最新の音楽情報はCDショップで知ることが多かった。ロック雑誌なんか常に後追いだ。まだロック雑誌で騒がれる前にオレは、Jeffの事を知る事になった。店内でかかっていた曲は、Eternal life。このアルバムで1番激しいロックチューンだ。この1曲の激しさ、破れかぶれの熱情に激しく打たれてしまった。即座にそのCDを手に、レジに並ぶオレ。ジャケットを見ただけだったら、間違いなく買う事はなかっただろうと思う。Jeff Beckのまがい物か? ぐらいにしか思わなかっただろう。

家に帰ってそのCDを聞いた時に、更に驚きが待っていた。あんな激しい曲はこのEternal life1曲のみ。それ以外の曲はひたすら繊細で、叙情的な、まるでガラス細工のような耽美の世界がそのCDに納められていた。

Jeff Buckelyの1stアルバムGrace

Graceが発売されたのは1994年の8月だった。Jeffの最初にして、最後のスタジオレコーディングアルバムになってしまった。批評家の受けはとてもよかったようだが、売上にはたいして繋がらず、アメリカのチャートでは149位止まりだったと云う。だがその後じわじわと売れ続けて、2007年までに、世界中で200万枚売れたと云う。

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1曲目のMojo pinから、10曲目のDream brotherまで、飽きさせる事なく、Jeffの耽美の世界にどっぷりと浸れるこのアルバム。どの曲も素晴らしいのだが、カバーではあるものの、もうこれはJeffの代表曲の一つと云ってよいのがHallelujahだ。元はLeonard Cohenの曲なのだが、今じゃオリジナルよりもJeffのカバーの方が有名なんじゃないかと思う。それぐらい彼の声、ギター演奏にこの曲が合いすぎている。本当はJeffにこの曲が降りてくる予定だったのに、待ち切れなかった天は、Lenard Cohenにこの曲を降ろしてしまったんだろう。

かって楽器屋のギターコーナーに、「天国への階段禁止」と張り紙がしてあると云うギャグがあった。今じゃ「Hallelujah禁止」にすり替わっているらしい。オレは日本の楽器屋でそんな場面に遭遇した事はないのだが、きっとアメリカの楽器店に行けば、ギターの試奏をする人はJeff BuckleyのHallelujahを弾いてしまうんだろう。

あれこれ書くより、まずは聞け。そしてどっぷりと、その耽美の世界に浸れ。こんな文章を読むよりも、とにかく聞けと言いたいのがこのアルバムだ。1990年代に出た1番の作品だ! と言いたいのだが、オレは2番目にしておく。何故なら1990年代の最高のアルバムは「Mush」だからだ。Mushについては、いずれ書く。

Jeff Buckleyについて

Jeff Buckleyは1966年11月17に生まれた。オレの1歳上と云う事で、ほぼ同世代。彼のライブ演奏等を聞いていると、国は違えども同じような音楽を聴いて育ったんだって事がよく分かる。それがまた彼に対する親近感が増した要因だった。やはり同世代と云うのは、同じ時代を生きただけに、何か特別なつながりを感じるのだ。

彼は9歳の時に父を亡くす。父Tim Buckleyはやはりミュージシャンで、ドラッグ事故だったらしい。オレはTim Buckleyについては全く知らなかったのだが、Grace発売を告知する当時の広告には、「奇跡の声が再び」だとか書かれていたのを覚えている。そう彼の父Timも何とも繊細な、素晴らしい声を持っていたのを後で知る。父Tim Buckleyは28年の人生だった。

Jeffは1995年1月に来日している。会場は狭い新宿のLiquid room。あのアルバムを聞いたものなら、彼の声を直接体験しない訳には行かないだろう。デビューしてまもないロックミュージシャンだったが、会場は満員。熱気のライブになった。非常にきっちりとしたバンドサウンドで演奏される彼の曲の数々だったが、会場は彼の天上の声で満ちあふれた。

Jeffの才能はその素晴らしい声だけではなく、ギターの演奏も卓越していた事も忘れられない。彼の素晴らしい曲は、声、そしてギターの演奏が相まって作られているのだ。

そしてライブでEternal lifeは、まるでパンクバンドの演奏じゃないかと云うくらいに、アルバムよりも更に攻撃性を強めた音で演奏されていた。Jeffは躁鬱の氣があるという話を聞いたが、あの動静の落差の大きさを考えると、その説は正しいのではないかと思える。

Wikipediaの Jeff Buckleyの項

Jeff Buckleyの死

1998年5月29日、彼はテネシー州のメンフィスに滞在していた。その夜何を思ったのか、彼は着衣のままミシシッピー川で泳ごうとして行方不明になってしまった。そして6月4日溺死体として発見される。享年30歳。当時は情報が遅く、音楽誌にJeffが川で泳いでいて行方不明になった事が掲載されていた。生きて見つかってくれと願っていたのも虚しく、翌月号に死体で見つかった旨が書かれていた。オレは絶句した。

たった1度だったけれども、生のライブでJeffを見る事が出来たオレはとても幸運だと思う。あの激しい音の中で、熱唱し、髪を振り乱しながらギターを弾き慣らしていたJeffだった。だけども、彼は終始とても落ち着いていて、リラックスしてして、音楽を楽しんでいた。バンド形式なのにも関わらず、ステージに1人イスに座って、観客に語りかけながら歌っているかのように。

「Live At Sin-é」という彼のライブアルバムがある。メジャーデビュー前の、ギター1本で歌っていた頃のアルバムだ。その演奏はとても落ち着いて、リラックスしている。まるで観客なんかいないかのような落ち着きだ。時の流れが止まった、水晶の宮殿で歌っているような、そんな姿が捉えられているライブアルバムだ。いや彼は今もその水晶の宮殿で、陽気に歌を歌っているんだろう。

Live At Sin-éを聞いていると、ギター演奏を楽しみ、歌を楽しみ、そしてちょっとした悪戯をしかけては観客の反応を楽しむJeff Buckleyが目に浮かんでくる。彼はあの素晴らしい音楽をこの世界に届けるためにやって来た、天使なんだとオレは思う。

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Jeffの死後に沢山のアルバムが出されたが、その中でオレが1番好きなのは、この「Live at Sin-é」。とても繊細でいながら、奇妙なギャグ(The doorsのカバーなど)が入っていて、楽しめる。

同じ時代を生きて、彼の歌声を聞く事が出来た事は、とても幸運だったとオレは思う。僅かな短い活動期間なのにもかかわらず、こんなにも人の心を掴めるミュージシャンはそう居ない。彼は悪戯をしにやってきた天使なんだからだと思う。

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