不発に終わった安倍首相に仕掛られた元「放火犯」の爆弾

　遡ること１８年前、２０００年６月から８月にかけて、山口県下関市にある安倍首相の自宅や事務所に火炎瓶が投げ込まれるという事件が発生した。

　火炎瓶の投げ込みは、計５回にも及んだ。昭恵夫人の車なども燃え、幸い、負傷者は出なかったものの、一歩間違えば大惨事になりかねない危険極まりない事件だったのだ。

　０３年１１月になって、福岡県警が逮捕したのは下関市内で不動産会社を経営する「会長」と、暴力団「工藤会」の「組長」らだった。

　しかし、裁判を通じても、犯人らの動機があまり解明されなかったため、安倍総理との間に何があったのか、マスコミは事件に至る背景を探ろうと取材を重ねた。

「反安倍」の急先鋒の朝日新聞の大物記者や安倍家研究の著書を出したことのあるフリーライターなどが、獄中の「会長」に真相を聞き出そうと接触を重ねた。

　獄中で、「会長」は冤罪を訴え続け、再審請求の準備を進めていた。

　火炎瓶を投げ込んだ「実行犯」である「組長」らと共謀していないと主張していたのだ。

「会長」の明かした話で徐々にわかってきた事件の背景は、以下のようなものだった。

　１９９９年、安倍総理にとって「国家老」と言える存在の江島潔下関市長（現・参院議員）が、三選に挑む選挙が行われた。対抗馬に立ったのは、新進党の古賀敬章元代議士だった。

　若手有望株の登場に、安倍・江島陣営は危機感を募らせた。

　そこで、安倍首相の秘書が、以前から付き合いのあった「会長」に選挙妨害を依頼したのだ。

　それが、放火へと至るきっかけとなるのだが、続きは次号で。

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