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病院でリハビリとして働いています。日常のことから趣味、医療や健康のことについて語っていきます

運動学習とは?

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運動学習とは?

運動学習って何ですか?と新人セラピストや学生に聞かれた際、どのように説明しますか?どの領域においても、運動学習はリハビリの基礎であり、原点です。普段何気なくやっていることも、運動学習に当てはまります。

さて、運動学習を説明する際どのように説明していますか?真っ先に思いつくのは小脳だと思われますが、運動学習は小脳だけではありません。今回は運動学習についてお話していきたいと思います。

まず、運動学習の定義を知っておきましょう。

運動学習とは「目的とする運動スキルを習得することによって得られる成果を認知し、感覚フィードバックに基づいた運動の反復による初期学習を経て、最終的には無意識でもその運動を正確に遂行できるようになることで完結する」とされています。

このように運動学習には動機づけと運動の反復、そして無意識化での正確な運動と段階があります。

大脳皮質と皮質下回路

運動学習には上記の回路が重要な役割を担っています。この回路は大脳皮質-基底核-視床-大脳皮質と小脳回路に分けられます。

大脳皮質-基底核-視床-大脳皮質:このループは皮質からのさまざまな運動指令を整理

               し目的とする行動に必要な運動を機能的に選択します

小脳:皮質からの情報と運動に関する感覚情報を統合し、運動の適正化に関与します

このように、皮質では目的とする運動の順序や切り替えしなどに関与し、出力や速さなどといった調節は小脳が担っています。そのため、先ほどお話した、運動学習における小脳の役割としては運動の適正化に関与していだけであって、脳内に記憶している運動の順序や運動プログラムの抽出に関しては別の回路となります。

時々、小脳が障害されたから学習による動作獲得は困難と言うセラピストがいますが、神経生理学的にみたら、そんなはずはないということがわかります。少しでも治療選択に幅をもたせることができるでしょう。

運動学習に関してはまだまだ話足りないですが、膨大な量となってしまいますので、今回は運動学習の定義だけでも知っていただけたら嬉しい限りです。