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「シドニー!」 村上春樹

2019-12-04 | 読書

2000年のシドニーオリンピックの観戦記。

村上春樹の本をまた読みたくなってアマゾンで見たら、一番安いのがこれだったので、内容もよく知らずに注文した。私も村上氏同様、オリンピックはどうでもいい人間なので、(そんなこと世間に向かっては言わないけれど)、その村上氏がオリンピックをどうさばくか、興味があって読み始めた。

元は単行本だけど、Numberという雑誌に連載したのが初めかも。何かそんな一文が出て来るし、取材は編集者や現地のコーディネーターらしい人と行動を共にしている。

そもそも、村上春樹は、共同体の行動様式や考え方から最も隔たった場所にいる人物を自分の小説に登場させる作家。

近代文学が、土地や家のしがらみとの葛藤を扱うとしたら、それが終わった時点での寄る辺なさ、が通底するテーマかと思う。

これは上巻で、下巻も読まないと全体の感想は言えないけれど、簡単に思ったことのいくつかを。

競技を見る目がニュートラル。熱くならない。人間の細かな部分を見ている。例えば100メートル走競技、前後に長い静かな時間があり、競技は一瞬で終わり(10秒だあ)、そのあとのアスリートが喜びを表す様子がしっかりと観察され、人間っていいものだなあと読者が(私が)思える書き方。

オリンピックを観察しながら、オーストラリアという国も同時に観察している。

先ずは広いこと。アラスカを除くアメリカ合衆国と同じ広さだそうです。知らんかった。四国に形が似ているので、四国の三十倍くらいかなと思っていた。

山火事が頻発。自然現象なので誰も驚かない。すぐ向こうで山火事、こちらのガソリンスタンドは普通に営業、ってこれにはびっくりした。

熱くならずに淡々と、人間を観察している。そこが読みどころ。下巻も期待したいところです。

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