「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

順番への思惑

2020年11月22日 | 独り言

さあ、いよいよ今日(22日)は初めてのお客様を迎える試聴会である。いつものYさんに加えて、同じフルート教室に通われる方が1名の計2名。

初めての方を迎えるとなるといささか緊張する。少しでも「ええカッコ」したいからね(笑)。

そこで気になるのが、我が家の4つのシステムをどういう順番に聴いていだだこうか。何しろ順番次第で印象が大きく変わりそうな気がしてならない。

今のところ考えている作戦だが、一番目の登場は我が家で唯一の大型システム「ウェストミンスター」(改)だ。

「鬼面人を驚かす」という言葉がある。「見せかけで人を脅しつける」という、あまり良くない意味だが、スケール感という「大味」で「オッ!」と最初に印象付けるのも悪くはあるまい。

二番目は、一気に翻って繊細極まりない再生が得意な「AXIOM80」で本命登場だ。あまりの落差に一気に引き込まれること間違いなし(笑)。

三番目は、気分転換の意味で軽い乗りの小味な再生が得意のJBLの「LE8T」(口径20センチのフルレンジ)といこう。ボーカルに関しての音像定位はなかなか見事で聴くべきものがあるはず。

そして最後に、締めくくりとして「すべての科目で80点を取ってくれる」グッドマンの「トライアクショム」(口径30センチ同軸3ウェイ)でこの上ない安心感を与えて「有終の美」を飾るとするかな。

とまあ、勝手に思い描いているわけだが、お客さんの意向も踏まえないといけないのでその場の「臨機応変」も脳裡の片隅に置いておくとしよう。

ここで、ふとずっと以前に投稿した「順番への思惑」を思い出した。ご参考のために以下再掲させていただこう。


「阿刀田 高」氏の「ミステリーのおきて102条」
は、ある新聞の日曜版に1996年から1998年まで週1回連載されたエッセイをまとめた本。

                               
 
著者によると「新しいミステリーを紹介するんじゃなく、ミステリーの本質を語るような軽いエッセイ」ということで、連載順に102編を列挙してある。

日ごろ、ミステリーは「座右の書」みたいな存在なのでこの本も気持ちよく読ませてもらったが、その中の18編目の「短編集の打順」
が特に面白かった。

内容は、いくつもの短編を編纂して1冊の本にするときにどういう順番で作品を並べると効果的かということにあった。

かいつまんでいえば次のとおり。

著者によると、40冊以上も短編集を出版しているがその都度、どういう順番にするか考え込んでしまうという。

たとえば、短編小説を10本並べて1冊の本を作るとして、10本全てが良い作品であればそれに越したことはないが、現実には困難でどうしても良作は4本程度に絞られてしまう。

どうしてもバラツキが出てくるのは世の中、万事がそうなので仕方がないところ。

たとえば自分のブログにしても記事によってかなり当たりハズレが多くバラツキがあるのは十分承知。中には「意欲作」が蓋を開けてみると意外にもアクセス数がサッパリというのは日常茶飯事。

また、日本で最高峰の難関〔文系)とされ、全国の選りぬきの秀才たちが集まる「東大文科一類」(法学部)でさえ入学してからバラツキが出るという。

真偽の程は不明だが550人の卒業生のうち”とびっきり”優秀なのは1割クラスで、後は”十把(じっぱ)ひとからげ”なんて話を、聞いたか、読んだか、したことがある。まあ極めてハイレベルでの話だが。

さて、話は戻って短編集の順番だが、良い方から順番にABCDの作品があるとすれば、冒頭にBを置く。2番目に置くのがAである。Cが3番目、そしてDがラスト、つまり10番目に置くとのこと。

もし5本良い作品があれば、さらに”いい”としてその場合はさしずめEとなるが、Eは6番目あたりに置く。

かくて10本の短編を編纂した本は普通の出来栄えの作品を☆とすると「BAC☆☆E☆☆☆D」の順番になる。

理由はお分かりのとおり、やはり最初が良くなくてはいけない。

読者は最初の1編を読んで期待を持つ。これが悪いと、その先を読んでもらえないおそれがある。小説というものは、読者に読まれて初めて存在理由が生ずる。

ただ、一番最初にAを置かないのは、Bで引き込み、さらに面白いAへとつないだ方が運動性が生ずる。

展望が開ける。BからAへと弾みをつけ、3番目もCで、そう悪くはない。ここらあたりで、「良い短編集だ」と読者は思ってくれる。

それ以後が少々劣っても「どれも”いい”ってワケにはいかんよな」
と許してくれる。

そして、最後も、それなりに悪くないDで全体の印象を整える、という寸法である。中だるみのあたりにEを置く理由もこれでお分かりだろう。

著者の作品で言えば直木賞をもらった短編集「ナポレオン狂」では、二番目に「来訪者」(推理作家協会短編賞受賞)を、三番目にちょっとユニークな「サン・ジェルマン伯爵考」、最後に「縄」とおおむね上記の方針に沿って編んでいる。

要約すると以上のとおりだが、これまで短編集を読むときに順番の並べ方などあまり意識したことがなかったのでまったく「目からウロコ」だった。

この並べ方の背景を知っておくとそれぞれの作品がどのように評価されているのかという作者なりの思惑が透けて見えるので興味深い。

これはいろんな方面に応用がききそう。

たとえば、真っ先に思い浮かぶのがCD盤の曲目の並べ方。

交響曲や協奏曲では楽章の順番がきまっているのでこの限りではないが、歌手や演奏家の名前でタイトルが銘打たれたCD盤はおおむね該当する。

たとえば、10曲以上収録されているCD盤の中で全てがいい曲かというと絶対にそういうことはない。どんなに気に入った歌手でも曲目によって当たり外れがある。

これまで何番目に気に入った曲が多いのか気にかけたことはないが、手持ちのCD盤を改めて確認してみると、これが以上の内容とかなり当てはまるのである。

取り分け2番目の曲が一番好きというCD盤がかなりあるのに本当に驚いてしまった。しかも、中ほどに1~2曲わりかし気に入ったのがあって、ラストにまあまあの曲が多いのもよく該当する。

たとえば、エンヤのCD盤「ベスト・オブ・エンヤ」。16曲の中で2番目の「カリビアン・ブルー」が一番好きだし、フラメンコの名曲ばかりを集めた「フラメンコ」も2曲目の「タラント~ソン・ソン・セラ」が一番良い。

ジャズ・ライブの名盤とされるビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビー」にしても1曲目と2曲目を抜きにしては語れない     
          


CD盤の曲順以外にも、演奏会などの当日の演目の順番あたりもこれに該当しそう。

世の中、すべての物事に順番はつきものだが、皆さまも、身近のいろんな順番付けされたものについて確認してみると意外とこの「順番への思惑」
に心当たりがあるのではあるまいか。



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