わら天神宮 [敷地神社] | 安産のご利益と藁の安産御守が有名

わら天神

わら天神宮は、安産のご利益で有名な神社。正式名は敷地神社(しきちじんじゃ)ですが、親しみを込めた愛称「わら天神」と呼ばれています。

特に戌の日は安産を願う人々で賑わいます。安産祈願は、わら天神宮本殿と六勝神社を自由に参拝し、必要な方はご祈祷済みの御守・授与品(有料)を拝受するというスタイルなので、予約の必要はありません。

わら天神宮という愛称の由来と歴史、アクセス方法をご紹介します。

基本情報

わら天神宮(正式名称:敷地神社)
所在地 京都市北区衣笠天神森町10
TEL.075-461-7676
受付時間 8:30~17:00

わら天神宮 公式サイト

【1】わら天神宮とは

わら天神宮は、安産・子授け・縁結び・子どもの成長守護のご利益で信仰されています。

わら天神宮参道
▲わら天神宮の参道
わら天神宮
▲天神宮の鳥居
わら天神宮 手水舎

・安産のご利益で有名

  • 主祭神:木花開耶姫命(コノハナノサクヤヒメノミコト)。

木花開耶姫命は、火を放った御殿の中で3柱の御子を無事に出産したエピソードから、安産の守り神として信仰されています。

その御子のひとり火遠理命(ホオリノミコト)の孫は初代天皇・神武天皇です。

わら天神宮
▲わら天神宮 本殿と、摂社 六勝神社(右奥)

・わら天神宮、名前の由来

天神宮では、古来より麦わらで編んだ籠に神饌を入れて神様に捧げていました。やがて籠から抜け落ちた”わら”を、妊婦さんが安産を願って持ち帰るようになりました。

そのため、後に”わら”を切り取り、安産の御守りとして妊婦さんに授与するようになったのです。拝受した”わら”の御守りに節があると男児、なければ女児を授かると伝えられています。

その”わら”の御守りの珍しさから、「わら天神宮」の名称が広まり定着しました。

・わら天神宮の歴史

  1. 平安遷都以前、山背国葛野郡衣笠村に降臨された*天神地祇(てんじんちぎ)が「北山の神」として祀られていました。
  2. 天長5年(828年)の大雨・大地震の際、淳和天皇が「北山の神」に奉幣を奉られた旨が「類聚国史」に記載されています。
  3. 天長8年(831年)この地に氷室が設けられることになり、夫役として加賀国の人々が移住。彼らは崇敬していた*菅生石部神の分霊を勧請、ご祭神をその母・木花開耶姫命と定め、北山の神の西隣に祀りました
  4. 応永4年(1397年)室町幕府3代将軍 足利義満が北山殿(後の金閣寺)を造営し、参拝が不便になったことから、両者を合祀して現在地へ遷座。「天神宮」と称しました。そして社号を菅生石部神の通称である敷地神社としました。
  5. 応仁の乱などで一時荒廃しましたが、仮社殿を設けて御神徳を受け継ぎ、弘化4年(1847年)の大補修、昭和10年(1935年)の改修を経て現在に至ります。

*天神地祇(てんじんちぎ)
天つ神と国つ神。すべての神々。一般に、天神は高天原(たかまがはら)に生まれた神、あるいは葦原の中つ国に天降った神、地祇はこの国土の神とされる。

出典:小学館デジタル大辞泉

*菅生石部神社(すごういそべ じんじゃ)
加賀国二宮とされた石川県にある神社で、通称は「敷地天神・菅生天神」。
用明天皇元年(585年)に宮中で祀っていた神々(現・菅生石部神)を勧請し、疫病退散や豊穣を祈願したのが始まりといわれます。古来より朝廷・武門から篤く崇敬されました。

御祭神は、菅生石部神(日子穂穂出見命・豊玉毘賣命・鵜葺草葺不含命)。
=コノハナノサクヤビメの御子である、ホオリノミコトとその妻子の三柱です。

出典:Wikipediaより抄録
ミィコ

自然発生的に”わら”のお守りが誕生したんですね。今よりもっと出産が大変だった時代の妊婦さんの切実な気持ちが伝わってきます。

【2】摂社

勝利祈願・難関試験合格の御利益で信仰される「六勝神社」が有名です。司法試験、公認会計士、税理士等の資格試験にもご利益あるといわれ、参拝者が数多く訪れます。

・必勝祈願「六勝神社」

  • 御祭神 倉稲魂命(ウカノミタマノミコト)ほか五柱
  • 御神徳 開運必勝、試験合格、商売繁盛

六勝神社(ろくしょうじんじゃ)は平安遷都の際、平野神社の地主神として勧請されました。現在は、わら天神宮本殿の右側に鎮座しています。

伊勢・石清水・賀茂・松尾・稲荷・春日の六柱神(二十二社、上七社のうち平野以外)をお祀りした神社で、貞観元年(859年)に初めて祭祀を行い、その後、公家の西園寺家の鎮守として崇敬されました。

当初は六所神社、六請明神社等と称しましたが、明治6年(1873年)に敷地神社境内に遷座された際、社号を「六勝神社」と改めました。

古くから勝利祈願、難関試験などを克服できるとの篤い信仰があります。六所明神であることから、「六つかしい(難しい)ことに勝つ」という信仰に結びついたようです。

江戸時代の文豪、近松門左衛門の作品「女殺油地獄(おんなころしあぶらのじごく)」に登場する白稲荷法印の台詞に「胴取の祈りは、四三五六社大明神」(勝負師、賭博打は六社大明神に祈願する)とあるように、古くから、必勝、成功、開運及び商売繁盛の守護神として崇敬を集めていました。

・大山祇神社、綾杉明神、八幡神社

  • 大山祇神社:わら天神宮の御祭神・木花開耶姫命の父神である大山祇神(オオヤマツミノカミ)がお祀りされています。
  • 綾杉明神:樹齢1500年の御神木。明治29年(1896年)の暴風で倒木。
  • 八幡神社:開運厄除け・必勝のご利益で有名な応神天皇が御祭神。明治40年(1907年)に勧請。
大山祇神社
▲大山祇神社
ミィコ

毎月9日と戌の日には、わら天神宮境内の休憩所に「うぶ餅茶店」が開設されます。※臨時休業あり。

「うぶ餅」は、わら天神宮前にある京菓子司 笹屋守栄の名物菓子。柔らかいお餅に、自家製あんと甘納豆を混ぜ込み、きな粉をたっぷりまぶしたお菓子です。

【3】わら天神 アクセス

最寄りバス停は、京都市バス「わら天神前」です。

・京都駅から

  • 京都駅前バスターミナルのりば案内
    [A2のりば] 市バス205 北大路バスターミナル行に乗車「わら天神前」下車。
    [B2のりば] 洛バス101、50 金閣寺、立命館大学行に乗車「わら天神前」下車。
    乗車時間:約35分~39分
  • TAXI 所要時間 約24分
    総距離 約8.5km タクシー料金検索
    ※料金・所要時間は実際とは異なる可能性があります。

・三条京阪から

  • [A1のりば] 市バス15 円町・立命館大学行に乗車「わら天神前」下車。乗車時間:約31分。
  • TAXI 所要時間 約20分
    総距離 約6.8km タクシー料金検索
    ※料金・所要時間は実際とは異なる可能性があります。
ミィコ

ちょっと足を延ばして、金閣寺に参拝するのもいいかも。市バスだと「金閣寺道」まで2~4分なので、10分程度あれば行けます。

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※この記事の史実に関する記載は、わら天神宮駒札、京都府神社庁公式サイト「京都の寺社505を歩く」、Wikipedia等を参考に作成しました。