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世の中には、加害者のくせに被害者のふりをして弱者を装う不届き者がいる。

他者を散々殴りつけた挙句にDV被害者を装ったり、思想信条の異なる他者の言論を圧殺しておきながら自分たちが言論を奪われたかのように言い立てたりする馬鹿者が後を絶たない。

エセ同和や総会屋まがいのいかがわしい輩は、か弱い被害者のフリをしつつペシミスティックな言葉で国民を騙し、成長への熱意や活力を奪い取ろうとする。

『「増税反対論」は日本人を不幸にするだけだ~経済成長前提の社会モデルには限界』(1/28 東洋経済ONLINE)
https://toyokeizai.net/articles/-/261088

上記は、『幸福の増税論』を書いた慶応大学の井手英策教授へのインタビューをまとめたものだが、「成長モデルは幻想、増税が日本を救う」がモットーの井手氏らしく、支離滅裂な主張が満載だ。

まず、出だしの「実際は社会でリベラルの居場所がどんどんなくなっている。リベラルが自立した理論をつくらないといけない」という彼のセリフは嗤うべきポイントなのか?

TV・新聞・雑誌のみならず、ネットメディアまで見渡しても、リベラル以外の主張などゴミクズ程度の量しか見当たらない。
どこを見ても、構造改革だの、規制緩和だの、フリトレードだの、原発反対だの、国境や性差の撤廃だのとリベラルの大好物な話題が目白押しではないか。

リベラルの居場所は無くなるどころか、日々膨張し続けている。
彼は大学教授のくせに、新聞や雑誌にすら眼を通していないのか?

また、井手氏は、「各個人が銀行に預けた金で医療や教育、老後に備えるのではなく、税金を集め、それを社会保障に充てれば、貯蓄がなくても安心して生きていけます。そんな新しい社会モデルをつくりたい」、「成長を決める4つのファクターのうち、労働力人口、設備投資、労働生産性には期待できない。最後の希望は技術革新だが、これは起きるかどうか、誰にもわからない。わからないものに将来の安心を委ねるわけにはいかず、成長を前提としない社会モデルに変えなければならない」と述べ、消費税の大増税を財源とする高負担高福祉国家を理想とする、“弱者の救済ではなく、弱者を生まない社会”こそ理想だと騙っている。

彼が妄想する理想社会では、国民全員が消費増税に耐え、医療や介護、教育などのベーシックサービスを全員が享受する、つまり、「皆が受益者になる仕組み」さえ創れば、多数の国民から感涙を以って支持されるらしい。

井手氏の専門は財政社会学(何を研究してるのか意味不明)だそうだが、財政学者の連中は、得てして財政バランスを均衡させることに拘泥しすぎる。

彼らには、国富(生産力や供給能力、国民の労働スキル)や国民生活の向上のために財政を活用する発想がまったく欠如しており、ひたすら財政均衡を追い求め、供給力や需要力の養成を一段下に見る癖がある。

国家たるもの、通貨発行権という大権を有している以上、財政均衡なんてまったく気にする必要などないのだが、彼らの脳内はいまだに前近代的な金本位制に支配されており、徴税と歳出削減にばかり気を奪われている。

徴税も緊縮財政も、経済活動にとって負の影響しか与えぬから、彼らが口を開いても、景気の足を引っ張るネガティブワードしか出てこない。

井手氏は、福祉制度さえ充実させれば、国民が増税を呑むと思い込んでいるが、そうは問屋が卸さない。

高福祉を誇る理想社会のように語られるスウェーデンやデンマークですら、高すぎる税金や物価(移民厚遇も)を嫌う若者の海外流出が問題視されている。

また、福祉を構成する医療・介護・生活保護・教育といった分野は、日常生活に直結するものもあるが、特に医療や生活保護などは、利用する回数や頻度が低い“非日常的なイベントに関わるものだから、そうした費用を毎回の消費に上乗せされてペナルティーのごとく徴収されることに、国民は強い反発を抱くだろう。

国民が”もしもの時の備え“を重視するなら、生命保険への負担を厭わないはずだが、生命保険に関する長期データを確認すると、世帯加入率、保険金額、保険料年間支払い額のいずれも減少しており、「国民は高福祉社会のためなら増税や負担増を歓迎するはず」という彼の妄想には何の説得力もない。
【参照先】http://www.jili.or.jp/press/2018/pdf/h30_zenkoku.pdf

消費税の大増税を財源とする高福祉社会で、誰もが受益者になれるなんてのは、タチの悪い冗談でしかない。

大増税は消費の壊滅的減退をもたらし、生産活動には大ブレーキが掛かり、国民から富や雇用、所得を奪い去る。


失業率が街に溢れ、納税者が激減する社会では、福祉財源を捻出する消費活動が死滅を余儀なくされるから、高福祉社会の維持などできるはずがない。

大増税下の高負担社会がもたらすのは「皆が負担者にしかなれない不幸な仕組み」であり、その先に待つのは絶望と壊国でしかない。

福祉財源を賄うために国民に負担を課すなど、悲劇にヒロイズムを見いだしたがるシバキあげ論者特有の愚論であり、まともに取り合う必要はない。

誰もが受益者になる福祉分野をより充実させることは、国民生活向上に資する最重要課題だが、その財源を国民の負担に求めるのは愚策中の愚策と言える。

そんなものは、国民の共有財産である通貨の増刷で賄えばよい。

くだらぬ財源論に時間を費やすのではなく、充実させる福祉の中身をこそ論議すべきだ。

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