増税緊縮政策を推し進めた安倍政権が終わり、超緊縮派揃いのポスト安倍の面々を意識したのか、マスゴミの連中はコロナ給付金(特別定額給付金)にイチャモンをつけ、財政引き締めを図ろうとしている。

『給付金10万円使い道は?  医療支援など寄付急増 「もくろみ外れた」事業者も』
https://news.yahoo.co.jp/articles/a52b9186b5ee89b2dd1b12ffc172919244d1c3f8
「新型コロナウイルスの緊急経済対策で配られた特別定額給付金の申請が、大半の自治体で締め切られた。1人10万円の「臨時収入」はどう使われたのか。消費や寄付の受け皿となることをもくろんだ事業者らからは、悲喜こもごもの声が聞かれた。(略)
 「残念ながらもくろみは外れました」と話すのは、小田原箱根商工会議所の井上経・経営企画グループ課長。売り上げが減少した地元事業者の支援のためオンライン百貨店を立ち上げ、給付金を意識して10万円の商品を多数用意した。
 鮮魚や野菜など特産品のセットだけでなく、相模湾で魚を釣り、加工まで体験できる「世界に一つだけのかまぼこ」などアイデアを凝らした商品をそろえたが、「話題にはなっても、ほとんど売れなかった」という。開設の立ち遅れやネット決済不可などサイトの不備は認めつつ、「生活消費を超える盛り上がりは感じなかった」と落胆した。
給付金は投資にも回ったとみられる。楽天証券の取引口座の新規開設数は昨年を大きく上回り、今年1~6月は65万件と半期で過去最多となった。ただ、同社の窪田真之チーフ・ストラテジストは「内容は積み立て投資が大半。もうけようというより、将来の不安に備えた人が多かった」と分析。銀行預金残高が6月に最多を更新したことを挙げ、「使う気になれず、手を付けていない人が大半では」と指摘した。」

ヤフーのアンケート調査では、「10万円の現金給付、どう使う?」という問いに対して、
・生活費や趣味など積極的に使う…71%
・貯金する…18%
・まだ決めていないほか…11%
という結果。
その他のサイトを見ても、大体7-8割が「使う」と回答しており、この辺りが実態に近い数値だろう。
かくいう筆者も、給付金は半分消費し、残りは貯金したままだ。

似たような記事を他のサイトでも見たが、配信元のマスコミサイドは、どうも、”コロナ給付金は消費喚起に失敗した”、”コロナ給付金は筋の悪いバラマキだ”という方向に議論を誘導したいという意図がミエミエで見苦しい限りだ。

これに対してコメント欄には、
「確かに友人は貯蓄に回したけど、頼りになる身よりもなく、ワーキングプアである当人にとっては、この10万円は心強いお守りなんです。軽々に浪費に使えない層もいるということです。それでも「ありがたい」って言ってるよ。」
「給料は住民税、家賃、食費でほとんど消える。あるいは、過去の貯金の取り崩しを少しでも埋めないといけない。貯金と言うと経済が回らないという意見があるのも理解する。
でも、貯金は心のサプリメント。懐だけはじゃなくて、心にも余裕がないとお金は使えないよ。」
「不景気だから実感ないけど、これもらわなかったらもっと景気悪くなってるよねなんでこういったことは素直に評価されないんだろ?確かに二転三転した感はあるけど、やったことには一定の評価してもいいと思う」
といった具合に給付金に高評価を与える意見が目立つ。

庶民の懐具合に何の関心も示さぬオメデタ脳のマスコミ連中とは違って、コロナ禍による失職や減収、就職難という実害をモロに被った市井の人々にとっては、1人10万円の給付金は、干天の慈雨にも等しい良策だったのだろう。

筆者自身、今回の給付金はコロナショックに動揺する人心を抑えるのに相応の役割を果たしたと評価しているが、何と言っても不満なのは、
①給付額が少な過ぎること(筆者は30万円/人の給付を提言)
②給付金のお代わりが無かったこと
③継続型給付金(BI)の議論が盛り上がっていないこと
に尽きる。

麻生政権時代の定額給付金の時もそうだったが、給付金という制度は”少額型ワンショット”だけでは、その効果は半減してしまう。

高度成長期やバブル期みたいに国民全体の消費意欲が旺盛な時勢ならよいが、四半世紀もの間、散々不況に苛まれて所得がまったく伸びず、人々が消費や投資に意欲や自信を失っている状況下では、ほんの数万円~10万円程度のカネを一回こっきり貰ったところで、自分の好きなものを景気よく買えるはずがない。
現に冒頭のニュース記事のコメ欄を見ても、自動車税など税金支払いに充てざるを得なかったという意見が多く、せっかくの10万円を個人的な趣味や嗜好に使えなかった人も多いようだ。

マスゴミ連中は、「コロナ給付金は消費刺激には不十分だった=バラマキは無意味」という文脈で批判したいようだ。

しかし、筆者の意見は真逆で、「ワンショットの給付金だけで消費を刺激しようなんて甘過ぎる。消費刺激効果が十分に出るよう、年内に給付金の第二弾、第三弾を支給し、給付額も30万円/人という適正規模に増やすべき」と強く訴えたい。

さらに、来年以降の継続型給付金の支給(3-4万円/月/人)につなげて、低下する一方の国民の消費意欲を下支えする基盤を構築すべきだ。

”バラマキ”という言葉に反射神経で拒絶反応を起こす愚か者も多いが、4-6月期実質GDP が年率換算で▲27.8%という大惨敗を喫した現状に対して、どういった政策を以って挽回しようというのか?

ここでチマチマした政策で満足するような輩は、8回表10対0で大量リードを喰らっているチームが塁上を埋めることなくあっさり送りバントしてむざむざワンアウトを献上するような愚策を好むものだ。

しかし、消費の低迷期から大低迷期へと更なる深みに嵌っていく日本経済を劇的に回復させるためには、破壊され尽くした国民の消費に対する自信を早急に取り戻す超積極策が求められる。

経済政策に対する発想の転換、財出革命にも等しい爆発的な財政政策を打ち、消費低迷の主因である所得不足を1‐2年のうちに改善せねばならない。

441万円ほど(2018年)に止まっているサラリーマンの平均年収を800-900万円程度に思い切って引き上げるくらいの所得倍増計画をブチ上げ、誰もが”明日は今日より良い生活が待っている”と実感できるよう民心を鼓舞する政策が必要だ。

人々の消費意欲というのは単純明快で、「財布に十分なカネが入っている」、「またすぐにカネが入ってくる」と判っていれば、こちらが驚くほど積極的にカネを使うものだ。
昭和の成長期や平成初期のバブル期を経験した筆者には、そういった消費者心理を身を持って体験してきた。

社会経験に乏しい緊縮脳のド素人は、「日本人の需要は飽和した」云々とアホなことを抜かすが、経済社会が営まれる以上、需要が飽和することなどありえない。

需要(消費)ってのは、積極的消費(自分の趣味や嗜好を満たし娯楽を享受するための消費)のみならず、強制的消費(税・公共料金・生命を維持するための食事など)まで幅広く存在し、本人の意思に係らず日々行われているから、棺桶に両足を突っ込むまでそれが飽和するはずがなかろう。

嘘だと思うなら、外に出てそこいらの人に「もう、欲しいモノは何もないって人、手を挙げて!」と訊いてみればよい。
元気よくハイっと手を挙げる変わり者なんてほとんどいないことが即座に判明するだろう。

需要の飽和(停滞)は供給力(国富)の限界を意味しており、国家の衰亡や後進国化、引いては自分たちの生活困窮につながっていく。

”日本は成熟社会なんだから、もう需要は飽和したんだよ”と斜に構える青臭いバカは、経済の基本原理を何一つ理解できていない。