スポーツの見方、味方

スポーツのあって欲しい姿・・・私見

100mのタイムを予測する

2021-04-20 20:28:36 | Weblog

「100mの世界記録は、ウサイン・ボルトの9秒58ですが、この先、どこまで伸びるのか?」との質問に出会いました。オモシロそうなので考えて見ました。  

さまざまな要素が関係しますので、あれこれ考えるより、過去100年くらいのデータから、推計で考えるのが合理的です。

まず、タイムをそのまま使うのでなく平均走速度に変換して、達成時の年度とタイムの関係をグラフ化し、両者の関係の回帰式を求めます。(Excelで簡単です。)回帰式(近似式)として、何を採用するかですが、こうした問題の場合は、指数関数とか、対数関数が適していると思います。今回は対数関数で近似式を作り、その関係が、今後も続くと想定して、10年後、100年後などの走速度を算出し、タイムに変換します。

その結果、10年後:9秒70,20年後:9秒67、100年後:9秒50、1000年後:8秒96、2000年後:8秒77になります。

 10年後、20年後が、現在の世界記録より遅いタイムですが、2008年北京五輪の前後は、現在よりも良い記録が出て、回帰式から外れています。この時期は、ドーピングで多くの選手が摘発された時代ですので、推計から除外して考えるのも意味があります。

そこで、その頃の記録を除き、最新の世界No1のタイムを採用して算出してみました。10年後:9秒74,20年後:9秒72、100年後:9秒56、1000年後:8秒96、2000年後:8秒77になります。


永久シード 出場枠

2019-11-26 16:19:32 | Weblog

男子ゴルフの尾崎将司さん、今季の最終戦も途中棄権し、途中棄権が5度、予選落ち2度で2019を終えました。記事に依れば、「今、スポーツ選手としての体力、10あるとしたら1くらい。」 持病の腰痛を抱え、常にケガとの闘い。思うような調整ができないことから「試合を絞って出る。春先のクラウンズ、秋口の全日空、フェニックス、の3試合は出ようかと・・・」 「モチベーションが曇っている。電撃発表で終わりもあり得る」

 ライターは、「電撃発表」を「衝撃発言」とし、「ゴルフ界に君臨し続けた巨星が、大きな岐路に立っている」としています。

https://news.goo.ne.jp/article/nikkansports/sports/f-sp-tp2-191121-201911210000579.html?fbclid=IwAR1aEwmgOk525c-qf5Mb5UNRZ12qOPX3EYGglhlnh14EXm5qQOkF_IafVIM

 尾崎さんが「ゴルフ界の巨星」であることは認めますが、もう、いつ辞めても「電撃発表」とは思わないし、「衝撃」も受けません。残念ながら、もう引退をいつ決断するかだけなのだから「岐路」に立たされているわけでもありません。

 尾崎さんと同じ永久シード選手である中嶋常幸さんは「フェニックスは大好きな試合だけに、戦えない自分がいつまでも出続けるわけにはいかないよ」と語っています。

 王貞治さんは、「王貞治としてのホームランが打てなくなった」として引退しています。尾崎さんも、早いところ身を引くべきです。これだけ長引かせると、どんどん光が失われていきます。

 「永久シード」とか「本人が決定すべき」とか言う意見もあるかも知れませんが、「出場枠」があることが決定的な問題です。 

各大会の参加選手数には、制限がありますので、彼が出ることで、ウェイティング(順番待ち)の選手1人が出られなくなるのです。将来を期待される若手かも知れないし、再浮上を掛けるベテランかも知れないし・・・いずれにしても、その選手にしてみれば、貴重な大会出場のチャンスを、全く予選通過の見込みのない永久シード選手に奪われることになるのです。

 多くの人が「抽選に当たらない」と嘆く東京マラソンに山中伸弥教授が特別枠で出場出来るとしても、誰か1人が除外されるわけではないので、文句を言う人はいないでしょう。

 「出場枠」で言えば、オリンピックでの総選手数の問題があります。2020もスケートボードとか、クライミングとかの新種目が採用されることになったので、総選手数の観点から、他の種目が影響を受けることになります。メイン種目とも言うべき陸上競技では、「参加標準記録」が、ドンドン引き上げられています。一例を挙げると、男子100mの参加標準記録は、10秒05です。最近でこそ、日本の短距離陣のレベルは上がっていますが、少し前なら、日本チャンピオンでも出場が危ぶまれる記録でした。

 そうなると、陸上競技が盛んでない国からは、1人も選手が参加出来ないことになり、五輪の理念に合わないことになります。そこで、「標準記録に達しない場合でも、各国1人は出場可」という特別枠があるのです。こうしてカンボジアにも与えられた「特別枠」をお笑いタレントのNさん(マラソン)が、リオ五輪で使おうとしました。

 「参加総人数は制限したいが、五輪の理念を生かしたい」として生まれた特別枠ですから、カンボジアの若者が使うべきです。見過ごしてはならない問題です。 

 

 


スポーツで生計を立てる

2019-03-26 17:27:18 | Weblog

「大人になったらなりたいもの」アンケート(第一生命調査)で、男子のなりたいものとして「陸上選手」が7位に入ったとのこと。

「なりたい」と言っているのは、マラソンで日本新記録を出して「一億円」を取得した設楽選手、大迫選手に「1億円か! 凄いなあ! いいなあ!」と反応した親を持つ子供達でしょうね。

 親の価値観が子供の価値観に大きく影響するのは、最近の傾向のようです。クルマの話ですが、今の子供達の欲しいクルマは、「皆で乗れるワンボックス・カー」とか、「燃費のいい軽自動車」という調査結果があります。これは、親の価値観が子供の価値観に大きく影響している典型例ですね。以前から、若者のクルマ離れに危機感を抱いていたTOYOTAは、この調査結果に衝撃を受け、「若者なら、スポーツタイプのクルマで颯爽と走りたいと思って欲しい」ということで「Fun To Drive」を主張し始めたそうです。

 陸上競技に限らず、スポーツを職業としてやっていきたいと考えるアスリートは少なくないと思います。

 しかし、「職業」として考えるなら、「何歳まで稼げるのか」「生涯取得額はどのくらいか」が大事でしょう。野球やサッカーでプロになっても、30歳前に戦力外になるケースが少なくないですね。その間にお金貯められなかったら、その後の30年、50年、どうするんでしょう?

 50歳ぐらいまでは収入を得られるとか、あるいは、40歳くらいまでは稼げて、その間に一定の蓄えができるかが必要でしょう。

 アスリートとして稼げる期間が過ぎても、その後ある年齢(50歳過ぎ)までは、競技と何らかの関わりを持つ仕事に就けるなら、「それも良し」と考えられるのではないでしょうか? いわゆる「セカンド・キャリア」として別世界で生きるのでなく、「ポスト・アスリート・キャリア」として、競技に関わりつつ稼いでいける形です。

 そのためには、選手本人は、アスリートとしてトレーニングに励みつつ、「ポスト・キャリア」に向けて勉強し、資格を取得するとか、競技団体としては、その資格を反映出来る職場を用意するとかが求められると思います。

 本来、TOTO(サッカーくじ)の収入は、そうした事業に投入するはずだったのでは?

 陸上競技で言えば、「陸上選手」で稼げる人は少なく、稼げる期間も短いでしょう。「選手」としてある程度活躍した後、少しでも、陸上に関わりながら生計を立てられる人が増えて欲しいですね。フィットネスクラブに務めて、「ランニング指導」を担当するとか、会社の福利厚生で、社員の健康づくりに関わるとか・・・。


日本のマラソン

2019-03-25 21:11:26 | Weblog

日本のマラソンが低迷しているとは思いませんし、ケニア、エチオピア、周辺の東アフリカランナーを除けば、もっとも活躍しているのですが・・・。もう一歩、成績を高めるにはどんなことが考えられるか、整理してみました。
 まずは、小学校入学以前:適切な食事摂取、生活習慣を身につけ、教育・指導を受け入れ、自分で学ぶ姿勢を持つ。ここまでは、両親、祖父母などの躾が大事。
 小学校時代:神経系への発達刺激を与える。多くの身体的遊びやさまざまな動き=ダッシュ、ストップ、方向転換、走りながら跳ぶ、右足跳、左足跳、上り坂走、下り坂走、各種ステップ=を行う。また、さまざまなスポーツの動きを経験し、ボールの右投げ、左投げ、右打ち、左打ち、右足蹴り、左足蹴りが出来るように。左右のバランスだけでなく、上半身と下半身の連携を取れるようにしていく。
 中学生時代:さまざまなドリル、右回り走、左回り走、ハードル走、各種の走路面での走りなどを行い、好ましいランニングフォーム、スピードを出せる走り、効率の良い走りを身につけ、身体の発育、筋機能の向上に合わせ、常にチェックする。呼吸循環系の発達に留意する。
 高校生時代:発育発達状況、種目適性を見極めつつ、徐々に専門的トレーニングを導入。
身長の伸びが停滞するころから、筋力トレーニングも本格化させる。中距離タイプか長距離タイプかを見極めつつ、それぞれに必要な身体能力を高めていく。


日本のマラソン

2019-03-25 20:08:38 | Weblog

日本のマラソンが低迷しているとは思いませんし、ケニア、エチオピア、周辺の東アフリカランナーを除けば、もっとも活躍しているのですが・・・。もう一歩、成績を高めるにはどんなことが考えられるか、整理してみました。
 まずは、小学校入学以前:適切な食事摂取、生活習慣を身につけ、教育・指導を受け入れ、自分で学ぶ姿勢を持つ。ここまでは、両親、祖父母などの躾が大事。
 小学校時代:神経系への発達刺激を与える。多くの身体的遊びやさまざまな動き=ダッシュ、ストップ、方向転換、走りながら跳ぶ、右足跳、左足跳、上り坂走、下り坂走、各種ステップ=を行う。また、さまざまなスポーツの動きを経験し、ボールの右投げ、左投げ、右打ち、左打ち、右足蹴り、左足蹴りが出来るように。左右のバランスだけでなく、上半身と下半身の連携を取れるようにしていく。
 中学生時代:さまざまなドリル、右回り走、左回り走、ハードル走、各種の走路面での走りなどを行い、好ましいランニングフォーム、スピードを出せる走り、効率の良い走りを身につけ、身体の発育、筋機能の向上に合わせ、常にチェックする。呼吸循環系の発達に留意する。
 高校生時代:発育発達状況、種目適性を見極めつつ、徐々に専門的トレーニングを導入。
身長の伸びが停滞するころから、筋力トレーニングも本格化させる。中距離タイプか長距離タイプかを見極めつつ、それぞれに必要な身体能力を高めていく。


ランニングと「走り込み」

2018-12-06 10:11:17 | Weblog

https://www.asahi.com/articles/ASLD23VDHLD2UTQP013.html?ref=msn

 福岡国際マラソンで優勝した服部選手のコメントは『月間走行距離は300キロアップの1000キロ超え。距離を踏むだけでなく、一定した走法を意識した。「ジョギングでもスピード練習でも、レースの時と同じ動き。ピッチを変えるだけでストライドは変えない」。「アクセルを踏まずに」1キロ3分ペースが余裕で体に浸透』とのことです。
 【1000km超え】が強調されそうですが、pointは【一定した走法】を実現するために【アクセルを踏まずに】を【体に浸透】させようとしたことでしょう。

「走り込めば走力が上がる」と考えていらっしゃる方が多いようですが・・・。
 練習・トレーニングで、「心・技・体」のどれかが変わることで走力は高まります。
 このうち、もっとも確かなのが「体」ですが、ただ走り込むだけでは変わりません。計画的に、適度なスピードで適量の距離(時間)を走れば良いのですが、強度的・量的に適量を超えれば逆効果です。

 「技」は、主にフォームの改善で、これは、「体」に無理を掛けない範囲で数多くやるのが効果的ですが、ランニングの場合は、十分に注意しないと「体」に余分な負担が掛かります。
 服部選手は、この「技」を意識してやったのではないでしょうか? 「距離を増やす」ことが狙いでなく、「良い動きを身に付ける」ことを狙って結果的に距離が増えた、と考えるのが良いと思います。
 「心」は、距離に対する不安感・負担感の払拭・軽減でしょうか。そのためには、実際に長い距離を走ることは意味があると思いますが、例えば、40km走で、終盤の10kmをフォームを崩して走ると、その悪影響の方が強く残ると考えられます。


走り込み・・・

2018-12-03 11:50:30 | Weblog

記事によれば、服部選手は『月間走行距離は300キロアップの1000キロ超え。距離を踏むだけでなく、一定した走法を意識した。「ジョギングでもスピード練習でも、レースの時と同じ動き。ピッチを変えるだけでストライドは変えない」。「アクセルを踏まずに」1キロ3分ペースが余裕で体に浸透』とのこと。
誰にもわかりやすい【月間1000km超え】=「走り込みの重要性」が強調されそうですが、pointは【一定した走法】を実現するために【アクセルを踏まずに】を【体に浸透】させようとしたことでしょう。

https://www.asahi.com/articles/ASLD23VDHLD2UTQP013.html?ref=msn

 


短距離と長距離

2018-11-19 21:10:22 | Weblog

先日、「池江璃花子さんが、800メートル自由形に出場した。9分14秒台のタイムで最下位」とのニュースがありました。

短距離選手が長距離では通用しないのは当然なんですが、意外と知られてないようです。あのウサイン・ボルトだって、800mを超えたら、まともに走れないでしょう。

競泳の場合、短距離といっても、50秒くらいの勝負。陸上競技で言えば400mくらい。ごく最近になって50mが行われていますが、それでも20数秒です。一方、長距離といっても、1500m止まりで、男子のトップなら14分台で、陸上競技なら5000mくらい。スピードスケートも競泳と似ていて、短距離というのは500mで35秒前後の競技です。一方、長距離は、男子10,000mで、12分台。

このように、同じ「短距離」「長距離」といっても、競技によって差があるのです。

競泳とスピードスケートに共通していて、陸上競技(走種目)と異なるのは、いわゆる「ピッチ」。陸上競技の走種目は、いわゆるピッチ(単位時間当たりの歩数)を上げれば、スピードも上がるのですが、競泳で腕を速く回したり、スケートでキック数を増やしたりしてもスピードは上がりません。競泳で、あまり速く腕を回すと水をとらえることが出来ず、スケートで、キック数を増やしても氷をとらえることができません。陸上競技の場合は、「脚を速く回し過ぎると地面をとらえることができない」ということはなさそうです。

 

 

 





泥臭い練習って何?

2018-10-11 13:47:16 | Weblog

 10月7日のシカゴマラソンで、2時間05分50秒の日本新記録を出した大迫傑選手に対し、瀬古利彦氏は「湿度も高く、ペースメーカーも安定しない中でさすが。もっと良いコンディションなら2時間4分台もある」と評価しています。また「20キロ付近で重そうに見えたけど、そこから粘って順位も上げた。泥臭く練習していないとあの走りはできない」と指摘したとのこと。

 確かに、2月の東京マラソンで設楽悠太選手が日本記録を更新した時にペースメーカーを務めた村山紘太選手は素晴らしかった。「5㎞14分50秒」といっても、1キロ2分58秒ペースでキッチリと走れるのか、2分40秒台とか3分10秒近いペースがあって結果的に14分50秒になるのでは、大きな違いがあります。上り坂・下り坂、追い風・向い風の影響を受けるのは当然ですが、村山選手は素晴らしい仕事をしました。その評価があっても良かったと思いました。今回のシカゴでは、そこまで安定感のあるペースメーカーではなかったし、風も強かったようで、条件が良ければ、もう少し良いタイムが出ていたでしょう。

 問題は、次のコメント「泥臭く練習していないと・・・」です。

 世界最先端、スポーツ科学に基づいたトレーニングを実施しているオレゴンプロジェクトで、いつの間に、「泥臭い」練習をしたのでしょう? 想像するに、瀬古さんが好む「粘り強い走り」をするには、「泥臭い練習」が不可欠で、瀬古さんが嫌う「科学的トレーニング」では身に着かないはずという固定観念があるので、「粘り強い走り」をしたからには、「泥臭い練習」をしたに違いない、ということなのでしょう。

 質問した記者も「泥臭い練習って、どんな練習でしょう?」と聞いてみるべきです。そして、機会があれば、大迫選手に確認してみるべきです。人が喋ったことを何も確認せずに、そのまま文字にして伝えるのでは、プロとは言えません。


新国立競技場問題 歴史的価値とお金

2018-09-24 17:07:34 | Weblog

 昨年、新国立競技場問題を、桐生クンの9.98を機に新国立競技場の大会後の改修に異論が出ました。私は「競技スポーツと生涯スポーツ(市民スポーツ)」「歴史的価値とお金」の視点から考えました。
 少し、長くなりますが、・・・・
 私は、基本的に、新国立競技場は、五輪の意義を後世に伝える象徴的施設として、競技スポーツと生涯スポーツのあり方のモデルとして、メインスタジアムは総合競技場のまま、サブトラックは常設として、存続させるべきと考えています。
 問題提起は、仮に、2020五輪で日本人選手が100m決勝に進出したとしても、そのトラック(走路)を撤去して良いのか、ということでした。
 それに対し、「陸上は認知されていない」「世論の後押しがなければ」「一般の人が使えるわけでない」「改修は決まっている」などの否定的なコメントが寄せられました。
 総合競技場のまま残す見通しが暗いのは、たぶん、その通りでしょう。
 しかしながら・・・マラソンで言えば、30㎞過ぎて、先頭から15分遅れみたいな状況だとして、勝算がないから途中棄権するのでしょうか?そうは思いません。
 そもそも、スポーツの素晴らしさ、相互理解・国際交流の重要性を広く伝えるのが、オリンピズム。それを後世に伝えるのには、象徴的施設があった方が良いと思います。その施設の維持に、国民1人当たり年間15~20円程度の税金が使われたっていいじゃないですか!サッカー場への改修は、「スポーツの素晴らしさ、相互理解・国際交流などと言った青臭い話より、金儲けが大事」というメッセージを次代の若者たちに残すことになるのです。歴史的建造物も観光収入が得られないなら潰せ!と言っているのに近いです。
 「トラックを残す」ことは、「陸上競技場として存続させる」ということでなく、「サッカー、ラグビー、アメリカン・フットボールも出来る総合競技場として残す」ということです。サッカーには、見易いとは言えませんが、トラックのある日産スタジアムで、マリノスのホームゲームやクラブW杯の決勝をやっているのです。トラックを残したままでも、十分にサッカー場として使えるのです。欲を言えば、専用スタジアムの方が・・・という程度でしょう。それなら、「さいたま2002」があります。
 新国立競技場を、そのままの形で遺すことは、陸上競技偏重ではなく、オリンピックの理念を後世に伝えることです。世界中からアスリートが集まった2020五輪の感動を伝え、サブトラックを残して、広く開放すれば一般の方々のスポーツ活動の場になります。この時、五輪のメインスタジアムがすぐそばにあったら楽しいじゃないですか! さらに、頻繁に講習会を開催して、健康的な自分に合ったスポーツへの取り組みを伝える場に出来たら素晴らしいと思います。
 メインスタジアムの真下、超一流アスリートがウォーミングアップに使ったサブトラックで、五輪に感動したオジサン、オバサンがジョギングをしたり、フィールドで、子供たちが走り回ることができたら素晴らしいじゃないですか!!!
 そこで、講習会ができれば、もっといいです。その時は、ランニング学会が協力します!講習を受けた方が東京マラソンに挑戦・・・という話にもなります。
 ところで、私は、9秒台を出したから、あるいは金メダルを獲ったから、トラックを残して欲しいという考え方には賛同しません。「強ければモノが言える」というのは、あまり好きではありません。
 立派な国立競技場が無い方が地方の競技場が活性化するのでは? その方が陸上競技の普及につながるかも知れない、との声もありますが、私は、新国立競技場を、「日本を代表する陸上競技場」とはとらえていません。五輪レガシーとして「競技スポーツと生涯スポーツのあり方」のモデルとして存続させるべきだと考えています。競技スポーツの象徴的施設であるメインスタジアムのすぐ近くに、一般の方が日常的なランニング、ジョギング、ウォーキング、あるいは子供の駆けっこ遊びに使えるサブトラックがあったら素晴らしいと思います。すぐ近くに、絵画館周回コースがあり、多くのジョガーが集まる皇居周回コースもさほど遠くありません。
 私は「競技スポーツと生涯スポーツ」は、別物ではないと思っています。メディカルチェック、体力チェックを元に、自分に合った形でスポーツに取り組み、生活を充実させるという点で、両者は同じです。長い競技生活を考えれば、「健康リスクを冒してでも競技力向上を目指す」考え方よりは、「健康に十分留意してブランクのない競技生活を送る」方が高い競技能力の獲得に有効だと思います。生涯スポーツにしても、長期に亘って充実したスポーツライフを楽しむには、健康状態、体力特性に配慮しつつ取り組むことが望まれます。