しばらくして、会社でオレに声がかかった。えっ、なんで?そりゃ、若い時には何度か声はかけられたことはあったが、この年になってからはとっても久しぶりだ。きっとからかわれているだけなんだろうと思ったが、どうやらマジだった。
「明日、合コンなんでお願いしますね。」
「オレなんかでいいのかよ。」
「だって、北山さん、独身でしょ?」
オレが独身だから誘っているのか。まあそうだよな、普通。彼女なんて作る気もないけど、たまにはそういう場にいってみるのもいいのかも知れない。
合コンは5人×5人だった。当然、オレが最年長。20代、30代、40代とバラエティに富んでいる。相手もまあそんな年代のメンバーなんだろう。だが、行ってみてびっくりした。全員20代。そりゃ、無理がある。ええとこ、男は30代までだろう。オレは早々に帰るつもりになっていたが、とりあえず、しばらく付き合うことにした。早速、自己紹介だ。20代のヤツから順に自己紹介を行って、最後のオレの番になった。
「オレは北山と言います。年齢は45歳、仕事はコンピュータのプログラマをしています。」
だが、そんなオレの自己紹介に意外な反応があった。誰が言ったのかわからなかったが、「ステキ」という声が聞こえた。まさかな、聞き違いだろう。
まずはそれぞれが座った近くの人同士が話をしていたが、一旦席を変えることになった。オレの横に来たのは、最年少の22歳の子だった。ちょっと年が離れ過ぎだよな。
「北山さんは、20代でもいいですか?」
何言ってんだ?
「どういうこと?」
「えっと、歳の差って、気にする方ですか?」
「まあ、普通そうじゃない?」
「私じゃ、若過ぎますか?」
「オレの感覚からするとそうだね。」
「でも、彼女作りにきたんでしょ?」
ここで、人数合わせだったなんて言えないな。
「まあ、そうだけど。」
「だったら、いいですよね。私、北山さんの隣でいろいろお話したかったんです。」
マジか!
「そうなんだ。オレのどこがいいの?」
「私、同年代より、北山さんくらいの方がいいんです。」
変わった子だな。
「そうなの?でも、話合わないと思うよ。」
「大丈夫です。初めて聞く話が新鮮なんです。」
そんなもんかな。でも、あんまり弾まないと思ったけど、結構、盛り上がった。オレも久しぶりに若い子との話を楽しんだ。
帰り際に、彼女は連絡先の交換を求めてきた。
「LINE交換して下さい。」
「オレ、LINEはやってないんだよ。」
「じゃ、メール?」
「だね。いいかな?」
「はい、大丈夫です。」
まあ、一応交換しても、それっきりというのもあるし、あまり気にしないとこ。でもほんと久しぶりによくしゃべった。あの子、ほんとにオレが気に入ったんだろうか。
翌日、昼休みは昨日の合コンの話で盛り上がった。
「北山さん。河合つばささんとよくしゃべってましたね。オレ、狙ってたのになあ。」
「なんや、そんなら、遠慮せんと、話すればよかったのに。」
「だって、せっかく、いい雰囲気になっているのに、お邪魔できないっすよ。」
「20以上も離れているのに、付き合うなんてないだろ。」
「そうですか?最近、そういうの多いっすよ。」
「ほんまか?」
「芸能人にもそんなのいるし、歳の差カップルというのも、いい感じっすよ。」
マジか。本当にそんなことになるなんてことはないだろう。
結局、5人中、オレをいれて3人がいい感じだったそうだ。なんとなく、ちょっと若返った気分だった。まあでも、自分から連絡なんか、よう取らんし、どうせ来んやろう。あの時だけの楽しい思い出だ。そう思っていたんだが、彼女からメールが来た。マジか。
長々と書いてあったが、要はこの前のお礼と、今度、会いませんか?ということだった。ふ~ん、そっか。って、会わないかってか?絶対、物好きなんだろう。こんなおっさんのどこがいいんだ。とは、思ったが、もう一度、会って話をすれば、やっぱりってこともあるだろうし、まあ、自然消滅するだろう。オレはそう思って、彼女に会うことにした。
続きはこちら↓↓↓
(つづく)