2018年10月12日金曜日

ミュシャ展・チェコの至宝をパリで鑑賞。

 現在、パリ・リュクサンブール公園の美術館で、
アルフォンス・ミュシャ展が開催されています。
先日、鑑賞してきましたので、その様子をご紹介します。

 まず簡単にアルフォンス・ミュシャのご紹介、恐らく多くの方が彼の作品を目にした事があり、彼の作風に好意を寄せていると思います。ですが、東欧チェコ語の名前「Alfons Mucha」が憶えにくくないですか。(これは私自身の経験ですが)、MUを”ミュ”と発音する事が不明、、??。よって「ムチャ」かな「ムシャ」「ミシャ」だったかなといつまで経っても正確に覚えられなかった、今でも時々あれ?て感じです。まぁMusic だってミュ だろと突っ込まれそうですが、、。原語のチェコ語では「ムハ」だそうです。フランス語も同様です。ではなぜ日本語では「ミュシャ」なんでしょうかねぇ、英語の影響でしょうか。

 さて話は本題に戻り、ミュシャの紹介を。
ミュシャは現在のチェコ東部(当時はオーストリア帝国)で生まれ、28歳でパリに出てきたらしい。数年間は印刷所で働き、陽の目を見ず、鳴かず飛ばずの状態であったが、あるきっかけを境に、当時大ブレークを果す。その出来事とは、女優サラ・ベルナール「Sarah Bernhardt」との出会いでした。サラは当時、既に女優としてある程度名声を得ていた。ミュシャが35歳の1895年暮れ、彼女は芝居のポスターを作成する事にしたが、多くのポスター画家がクリスマス休暇で不在で、急遽、印刷所で働くミュシャに依頼が舞い込んだ。この芝居が「ジスモンダ」で、ポスターは大注目、ミュシャは一躍当時流行していたアールヌーヴォーの寵児となった。また、サラもこの芝居のお陰で「フランス舞台女優の女王」に君臨した。


 その後、大女優サラ・ベルナールとのコラボは数年間にも及び、沢山のポスターを残した。(サラ・ベルナールについてはこのブログ後半部で少しご紹介したいと思います。)
 また、香水、石鹸、シャンパンメーカーなどの商品も多数手掛け、彼の(今でいう漫画的、寓意に富んだ)優しい作風が、当時流行の曲線などを多用したアールヌーヴォーと相まってミュシャは多くの女性関係の製品に大活躍であった。

 ただ、我々の多くは、彼のフェミニンな作品しか目にすることがなく、反面、民族主義的な芯の強さを持ち合わせていた事をあまり知らない。私も知りませんでした。
彼はスラブ(チェコ)民族を愛し、1910年チェコに帰国、1918年ハプスブルグ家のオーストリア帝国が崩壊、チェコスロバキア共和国が誕生すると、新国家の為に紙幣や切手などもデザインした。

 彼の大作として、「スラブ叙情詩」20作の大連作がある。もちろん壁画サイズの大作なので、現地プラハ以外ではなかなか鑑賞できない。2017年日本で全20作が披露されたが、現地では大批判が起こったらしい。国の宝を国外に持ち出すとは!と言う事らしい。日本人にしてみれば東京で鑑賞出来て素晴らしい出来事だが、チェコ人にとっては、天皇家の3種の神器を国外に持ち出すくらい、驚きの出来事であったらしい。そりゃ怒るのも無理ないかも、、。
 その後、ナチスによって国は占拠、彼は逮捕され、きつく尋問されたことが原因で祖国解放を見ずこの世を去った。
ナチス、その後のソ連傘下の共産党も彼の作品は、愛国心・民族主義を助長する事を懸念し統制されたが、民衆レベルでは常に敬愛を持って支持された。

 日本では明治時代の文芸雑誌の明星の挿絵や表紙によく使用されました。与謝野晶子などの詩歌がアールヌーヴォーの新風を吹き込むイメージと合致したのでしょうね。



紹介が長くなりました。
展示作品の一部を紹介します。尚、ライティングが暗く、写真も暗くなっております。お許し下さい。


開館前の行列、それほど多くなく10分ほどで入場できました。


「椿姫」ポスター


「サラ・ベルナールを讃える会」のポスター
今でいうファンの集い?


「ロレンザッチオ」のポスター(男役)


悲劇「ハムレット」
男装でハムレットを演じて大好評、はまり役となった。


悲劇「メディア」のポスター


ビスケットのデザイン


ビスケットの箱

香水瓶


 香水瓶のセット


上記の香水のポスター


シャンパンのポスター


同じくシャンパンのポスター


 有名な「黄道十二宮」(左)とその下絵(右)


「夢想」
人気が高いので7つのヴァージョンができたそうです。


石鹸のデザイン

巻き煙草の紙「Job」のポスター


PLM(パリ・リヨン・モンテカルロ)鉄道のポスター


シャンパンのポスター


自身の展覧会「Salon des Cent」のポスター


「Salon des Cent」のポスター


  
     
連作・4芸術「ダンス」(左)、「詩」(右)
  
連作・4芸術「絵画」(左)、「音楽」(右)


  
4連作・四季めぐる季節「春」(左)、「夏」(右)


      
4連作・四季めぐる季節「秋」(左)、「冬」(右)




  
「ジャンヌダルクに扮するモード・アダムス」右は元の写真
演劇のポスター




    
4連作・4つの星「暁の明星」(左)、「北極星」(右)

  
4連作・4つの星「宵の明星」(左)、「月」(右)


「百合のマドンナ」
私が今回の展示で一番気に入った作品です。
ポスターの作風と少し違いますね。



ここからは、皆さんの想像する(知っている)ミュシャとちょっと違う作品をご紹介します。


ミュシャのデザインのジョルジュ・フーケ作製「孔雀の宝石」




「少女の頭像」
彫刻などもやっていたんですね。




シェイクスピア(作品名不明)の舞台衣装のデザイン

「アメリカのクリスマス」
象徴主義的な作風ですね。


作品名不明ですが、力強さを感じます。

「冬の夜」または「砂漠の女」

「モラヴィアの祈り~フランスはボヘミアに口づけす」
宗教的な絵画もあります。


「ロウソクの灯を見つめる婦人」


「ハーモニー」
エルサレム教会のステンドグラスのデザイン
残念ながら実現しなかった。


今回の展覧会作品ではないですが、プラハ城内の聖ヴィタ大聖堂内にミュシャのステンドグラスがあるそうです。是非プラハまで足を延ばしたいですね。(他のサイトより拝借)

ブティックにはこんな物も販売されておりました。
チェコのスパーリング、9€




  
 あくまで個人的雑感ですが、この2つ似ている様な、、、。
セーラームーンが真似したとは言いませんが、インスピレーションの段階で影響があったのではと、感じずにはいられません。
 実は、ミュシャも少なからず日本の影響を受けていたそうです。モネやゴッホほどではないですが(彼自身も認識していなかったらしい)、ミュシャが日本の影響を受けて、その後、セーラームーンがミュシャの影響を受けた、この様に芸術ってお互いに影響しあう、素晴らしい美のスパイラルですね。今後は、世界中のセーラームーンファンが漫画家を目指して頑張って欲しいです。



ここでミュシャのブレークのキッカケとなったサラ・ベルナールを簡単にご紹介します。

 19世紀末から20世紀初頭、Belle Epoqueベルエポックと呼ばれる新芸術様式”アール・ヌーヴォー”が輝き始めた頃、 演劇・芸術・ファッションで人々を魅了していたのが、大女優サラ・ベルナールである。

 人々から“黄金の声”と讃えられ、ジャン・コクトーには、“聖なる怪物”と呼ばれ、劇場の女帝の異名を持ち、広く名声を博していた。
ミュシャやルネ・ラリック(ガラス工芸・宝飾芸術家)の才能を見出し、開花させた。
この時代のフランス人女優としては珍しく、アメリカ・ハリウッドの名声の歩道に星型が埋め込まれている。
フランス政府はサラに対して国葬を執り行い、パリペール・ラシェーズ墓地に埋葬されている。

 なお、逆に生誕に関しては諸説ある。年月日、生誕地ともに複数の説があるが、5区のrue de l'Ecole de medecin には彼女の生誕を表す銘鈑が掲げられている。

 現在シャトレー広場にあるパリ市立劇場は、以前はサラ・ベルナール劇場と呼ばれていた。
オルセー美術館には彼女の胸像があるが、先日、訪問しインフォメーションで尋ねたが、現在は展示されていない。

 パリ17区に彼女の像があるという情報を見つけたので、現地に探しに行きましたが、残念ながらすぐ横でビル工事が行われており、像は保護の為、木製の板でに囲まれて見えませんでした。
本来ならこんな感じらしいです。

日本でもちょっとは知られていて、彼女の回顧展や演劇も催されているようです。

ミュシャやリリックの作品を観たら、彼女もちょっと思い出してみて下さい。




以下のサイトがミュシャ作品を関して詳しく解説しております。ミュシャ・ファンの方は是非ご覧下さい。
ウキペディアよりも一作品ごとの解説が詳しいです。

http://www.mucha.jp/


本日も長文ご覧いただきまして有難うございます。


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