京丹後めぐり⑫~乙女神社と天女~ | NAVI彦 ~つつがなき神さまめぐり~

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神社めぐりをしています。
その土地ならではのお話も、
さくっとまとめてます。

日本最古の

天女伝説については、
藤社神社に書きましたが、

ここにはもうひとつ、
別バージョンの伝説が
あるそうです。



比治(ひぢ)山頂で
水浴びをしていた
8人の天女のうち、

ひとりが羽衣を
奪われるというのは
一緒なのですが、

こちらの伝説では、
老夫婦ではなく
サンネモという
若い猟師が奪います。

 



サンネモは
天女を妻として、

家に連れ帰り
3人の娘をもうけます。

天女は

農業・養蚕・機織り・酒造り

などの才によって、
村を潤しておきます。

 



しかし3年後、

サンネモの留守中に
羽衣を見つけた天女は、

 

そのまま
天へと帰ってしまいます。

悲しむサンネモに、

天女は書き置きを

残していました。

またわたしに逢いたかったら、

この種を植えてください



サンネモは、
すぐに種を植えました。

 

すると、

蔓がぐんぐん伸びて
天と地を繋ぎました。



何日もかけて
蔦をのぼったサンネモは

天人に迎えられ、
天女と幸せに暮らします。

ところが、です。

 

天上では、

瓜畑の番を使わっていた

サンネモですが、

 

絶対に食べてはいけない

といわれていたこの実を、

番のあいまに

食べてしまうのでした。

 

 

すると突然、
大洪水が巻き起こり、

サンネモは流されてしまいます。

それを見た天女は、
「7日、7日に逢おう」
と叫んだのですが、

天邪鬼によって
「7月7日に逢おう」
と伝えられてしまったそうです。

ですからふたりは、
年に1度、
七夕の夜にしか
会えなくなったといいます。



この天女とサンネモの
子孫はいまでも
この地に続いているといいます。

その天女とサンネモの
娘のうちのひとり、

トヨウケビメを祀るのが、

磯砂山(いさなごさん)の麓にある
乙女神社です。



古い祠を守るように、

社が3つ建ててあります。

 

中央は本殿で
祭神のトヨウケビメを
祀っているといいます。



右側は八柱神社といって、


豊受大神(とようけおおかみ)と

倭伴神(やまととものかみ)を
祀っているそうです。

これはもしかすると、
豊受大神と
それをお祀りする

八乙女(やおとめ)を

あらわしているのかもしれません。



左側は吉野神社で、
大山祇神(おおやまずみ)と

火産霊命(ほむすび)を
祀っているといいます。

この吉野神社は、
もしかすると、
京丹後の吉野神社
かもしれません。

だとすればこれは

竈神(かまどかみ)

かもしれません。



比治山は現在、
磯砂山といわれていますが、

その山頂の池は、
「女池」とか
「真名井の池」とか
言われていたようです。

「真名井」とは
とても清らかな湧き水だと
聞いていたのですが、

ここでは池ですし、
いまでは沼になっている
といいますから
気に掛かっていました。

すると、

とても興味深い話を

教えていただきました。



真名井と言うのは、
「神々が掘られた井」
という説もありますが、

ホツマツタヱを知ると、
「古代の指導者が

農地開拓のために掘った井」
という解釈になるそうです。

磯砂山の

真名井の池は、
 

露や雨水のみを蓄えた、
天から授かった穢れのない水
だそうで、

神聖な行事に
使われていたようです。

ですからそこは、
「ウケミズ(笠水)」ともいうらしく、

もしかすると、
『トヨウケの水』の略かもしれない、
ということでした。



やはり天女というのは、
豊受大神をお祀りするための
巫女だったのかもしれません。

そして

真名井の池が、
神聖であったとするなら、

水浴びというのは
穢れを落とす

禊だったかもしれません。

もしかすると羽衣を失うとは、

聖性を失うことで、

 

姦通であったり、

禁忌を犯したのかも

しれません。




残された3人の娘のうち、

ひとりは
乙女神社に

ひとりは
奈具神社に

ひとりは
多久神社に

それぞれ祀られている

という話しもあります。

 

面白いことに、

この3つの神社は

直線上に並んでいるようです。



さらに深読みをすると、


丹波道主(たんばみちぬし)には
8人の娘がいて
 

5人は都へでて

垂仁(すいにん)天皇にとつぎ、


3人は郷へのこって、
村に尽くした
ともとれる気がします。

さらに伝説の蔦の話は、
天橋立
イザナギイザナミにも
通じていますし、

 

瓜畑のくだりは、

聖書の楽園追放にも

似ている気がします。

海人族とつながりの深い
京丹後に、
大陸の七夕(しちせき)が
入って来ていてもおかしくないでしょう。

浦嶋神社にも
星に関する記述がありましたし、

吉野神社の裏や、

宮津市の日置には
妙見山があります。

妙見とは、
北極星や北斗七星のことを

いうそうです。

 

また北斗七星とはいうものの、

8つ星ありますから、

 

北極星を大神とした

八乙女とも

とれるかもしれません。

そういえば、

ここにも社日塔がありました。

 



比沼麻奈為神社

藤社神社にも

あったものだと思います。

 

「5」角形という数字も

気になるところです。

さらに気になったのは、
乙女神社の住所が、

京都府京丹後市峰山町鱒留蛭子堂433

だということです。

ヒルコさまがいらっしゃいました。

「蛭子」ということは、
西宮神社のエビスさま、
ホツマツタヱのワカヒメさまを
連想しますけれど、

ここでは
靈留巫女などと当て字をして、

神々の

御霊を留めて祀る巫女
ととらえてみると、

 

ここには

彼女らが暮らした家(堂)が
あったのかもしれませんね。

また、

これはぼくの

勝手な思いつきですが、


比沼麻奈為神社が

豊受大神の地ならば、
比治山(磯砂山)は

天照大神の地かもしれませんね。

もしくは、

久次岳が男性(陽)なら
磯砂山は女性(陰)かもしれません。

比治山にも
巨大な磐がたくさんあるといいます。

 

地震や風化などで

地形も変わってゆきますが、

 

かつてのこの地は、

どのような場所だったのでしょうね。

 

古代に思いを馳せると

胸がときめきます。

 

 

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