若狭国の水神めぐり⑤ ~泉岡一言神社~ | NAVI彦 ~つつがなき神さまめぐり~

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神社めぐりをしています。
その土地ならではのお話も、
さくっとまとめてます。

小浜湾(おばまわん)へそそぐ
北川(きたがわ)水系のひとつに

一級河川の
野木川(のぎがわ)が

あります。

北川と野木川が
合流するあたりを
野木といい、

野木川にせまる山々を
野木ヶ岳(のぎがだけ)と
いうようですが、

そんな野木の
野木川と野木ヶ岳が
接する地にあるのが

泉岡一言
(いずみおかひとこと)神社です。



ご祭神は、
一言主大神(ひとことぬし)
だといいます。

奈良にある
葛城一言主(かつらぎひとことぬし)神社
神だといいますが、

詳しいことは
よくわかっていないようです。

 



一言主神は、


青毛の馬に乗って
この地にあらわれたことから
馬を神使としており、

この一帯では、人々は
馬を飼わないのだといいます。



また、

一言主神は降臨したさい


『宮祠(ぐうし)を好まず』
『野嶽(のたけ)を社とせよ』

 

といったことから、

ここには社殿がなく
野木ヶ岳をご神体に

しているといいます。

野木ヶ岳の東南に
野木小山という
峰があるそうですが

その山頂には
奥の院があり、

三角形の磐が
祀られているようです。

 



一言主神は


雖惡事而一言
(まがごともひとこと)

雖善事而一言
(よごともひとこと)

言離之神
(ことさかのかみ)


といわれ、

良いも悪いも
一言のうちに決めるような、

言葉によって
離す、境(契機)とする、
コトサカの神だといいます。



第21代・
雄略(ゆうりゃく)天皇が

 

奈良の葛城山(かつらぎさん)で

狩りをしているときに

 

一言主神はあらわれた

といいます。

 

古事記では

一言主に恐れをなした天皇は

官吏たちの衣服をささげたとあり

 

日本書紀では

天皇はともに狩りを楽しんだ

とあるようで、

 

史書によっても

違いがあるようです。

 


また、

のちの世では
 

修験道の開祖といわれる
役行者(えんのぎょうじゃ)に
使役されていたという話も

あるようですが、

 

これはおそらく

役行者が葛城出身であり

 

葛城山で

修行していたということが

関わっているのでしょう。

 


朝廷に贄をささげた
御食国(みけつくに)でもある
若狭ですから

大和朝廷と

若狭のむすびつきを
ここに見ることができる

ともいうようです。

 



たしかに、

泉岡一言主神社の西には
三宅(みやけ)神社があり

若狭には
屯倉(みやけ)があった
ともいわれているようですね。

 

境内でも、

三宅神社が

祀られていましたから

 

ふかい所縁が

あるのでしょう。

 

 

そのとなりには

宇美八幡宮(うみはちまんぐう)

がありました。

福岡にある神社で

第15代・

応神(おうじん)天皇

誕生の地だといわれていますが、

 

なぜここに祀られているのか

よくわかりません。

 

 

そしてこちらが、

本殿のない

泉岡一言神社です。

 

磐座のような

立石があり、

 

幣帛(へいはく)が

ささげられています。

 

台のうえには

一心祈願の黒石が

置かれていました。

 

 

この立石は、

 

山頂ちかくにある

奥の院の立石に

みたてたもののようです。

 

野木ヶ岳や野木小山に

似せているようでもあります。

 

社殿がなく、

磐だけが祀られているという

不思議で珍しい神社です。

 

さて、

ここで気になるのが

社務所の向かいにあった

こちらの絵です。

 

 

葛城山で

出会ったという

雄略天皇と一言主神の

シーンのようですが、、、

 

 

こちらは

狩りを楽しむ雄略天皇と
その従者でしょう。

 

するとこちらは、

葛城一言主でしょうか。

 

しかし、どうやら

子どもを抱いているようです。

 

このような記述は

記紀にもなかったように思います。

これではまるで、

応神天皇を抱えた

武内宿祢(たけうちのすくね)

のようです。

宇美八幡宮が

祀られていることと
関係があるのでしょうか?



ホツマツタヱによると

カツラキヒトコトヌシは
ソサノヲとイナタ姫の
子だといいます。

伊雑宮(いざわのみや)
天照大神に仕えていたといい、

高官だったようです。

また、

カツラキヒトコトヌシには
カツラキヤスヒコという

子がいたといいます。

天照大神が
世継ぎの文(あや)を

宣るときには

ヒトコトヌシは
子・ヤスヒコとともに


カカンノンテンの
「テン」の太鼓を
打ち鳴らしたといいます。



カカンノンテンにも
深い意味があるのですが

それはまたいずれ
あらためて書くとして、

今回は
ヒトコトヌシの子である
『カツラキヤスヒコ』を

観てみたいと思います。

この方はのちに
カツテヒコともいわれ

神仏習合のときには
勝手(かつて)明神
として祀られたようで、

 

いまでは

勝手(かつて)神社に祀られる
勝手神だといいます。



このカツテも
代々の天神に仕えた
といいますが、

興味深いのは
産科医でもあったといい、

豊玉姫(とよたまひめ)
気比(けひ)松原

ウガヤフキアワセズを
出産されるさい
産湯を使ったというのです。

 



かつてはいすも
みゆもあく
うかやのゆとは
このはなの
しろきかにさく
こはうのめ
またあまかつら 


カツテは
出産用の腰掛椅子と

ウガヤの湯という
産湯を使わせたといいます。

このお湯は
「湯の花」や
「鵜の目硫黄」というような

硫黄を溶かした
硫黄泉の薬湯だったようです。

またここには、
コノハナサクヤ姫から生まれた
ウツキネ(山幸彦)の子である
ウガヤフキアワセズは

ウツキネの象徴である
空木(うつぎ)の種であり、

 

「卯(う)の芽(実)」が
「鵜(う)の目」に

似ているという

願掛けもあるようです。

 



さらにカツテは
天児(あまがつ)も
ささげたといいます。

幼児の厄除けとされる
人形(ひとがた)のこと
だといいますが、

「あまかつら」は
「かつてはいすも」にかかり

カツラキのカツテ
という意味も
あるのでしょう。

つまり、
この地に一言主が
祀られているのは

その子である
カツラキヤスヒコこと
カツテヒコが

ウガヤフキアワセズの
産湯を使わせたことに
由来するのではないでしょうか?

 

ですから、この絵は

カツラギヒトコトヌシと

子・カツテのことであり

 

カツテが産湯を使った

ウガヤフキアワセズのこと

かもしれません。

 

さらに、

ホツマツタヱには

 


をにふにまつる
かものかみ

 

とあり、

 

ウガヤフキアワセズが

幼少期をおくったという

遠敷(おにゅう)の地に

 

賀茂の神として

祀ったとあるようです。

 


野木ヶ岳の東には
加茂(かも)神社
があり

ここはかつて
京都の賀茂神社
荘園だったといわれ

若狭国では
若狭彦(わかさひこ)神社にならぶ


正一位という社格を
もっていたといいます。

賀茂神社のまえにひろがる
神苑の「森の宮」には

古代祭祀のあとも
あるといいますから、

 

ここがその地

だったのかもしれませんね。



一言主は

悪事も善事も
一言で決めてしまう
といいますが、

悪し(あし)も
良し(よし)も

葦(あし・よし)の
選別からきているともいいます。

葦の生産地として
大阪高槻市の
鵜殿(うどの)も有名なようです。

 

また、『鵜』ですね。

茅葺(かやぶき)の
茅にはこの
葦も含まれるといいますから、

これも
鵜葺草葺不合命
(うがやふきあわせず)と
通じそうです。

 

さらに

カツテが産湯を使ったさい

 

ウツキネ(山幸彦)の兄・

サクラギ(海幸彦)は、

 

薬湯を進めたことから

白髭(しらひげ)神

いわれたようですが、

この

サクラギ(海幸彦)がいた宮は

鵜川(うかわ)の宮だといいます。

 

これも『鵜』です。

小浜平野をはさんで
泉岡一言神社の

2キロ南には

 

白髭神社も

祀られているといいますから

関係のないことではないのでしょう。



泉岡というからには、
水が湧く岡であり

こちらもまた
水神を祀っていた
のかもしれませんね。

北川流域の
小浜平野が一望できる
岡でもありますから、

いつでも見える岡から
常見(いつみ)、になったのかも
しれません。

もし、これが

逸身だとすれば
 

世間から逃れた身(逸れた身)
気ままに暮らした身(逸楽の身)

尊い身分(逸品の身)

ということでもあり

幼少期を
この地で暮らしたという
ウガヤフキアワセズのこと
なのかもしれません。

 

想像はひろがりますねキラキラ爆  笑キラキラ

 

 

若狭国の水神めぐり⑥ へ つづく

 

 

 

 

 

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