前回からの続き

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こんちは、絶學無憂です。

まず、やり方そのものよりも先に、ここでお話しているセルフ筋肉反射テストとは一体なんぞやということをはっきりさせておく必要があるでしょう。もし、セルフ筋肉反射テストというのはなんか美味いものだろうと思って最後まで読んでいたら、なんだ食べられないのか、ってがっかりすることになるでしょうから。

一言で言えば、一人でやる筋肉反射テストのことを、セルフ筋肉反射テスト self muscle testing と呼んでいます。人によっては、一人キネシオロジー、と呼びますし、一人Oリングテストと呼ばれるもののこれに含めていいでしょう。

では筋肉反射テストとはなんぞや?

ところが、これが難題でして、筋肉反射テストが何かっていうのを、筋肉反射テストを知らない人に説明するのは、プロのキネシオロジーの専門家ですら、額に汗して四苦八苦するような(想像)非常に厄介なものです。

何がそんなに厄介かというと、いわゆる学校教育で習うような常識と食い違うような感じがあるので、初めて聞く人は面食らいます。それでもっと説明しようとすればするほど相手は引いていく、ということがよく起こります。説明するより実演するほうがまだ分かりやすい。でも、実演を見ても引いてしまう人はいるでしょう。

簡単に言えば、あなたの筋肉の強さには「強い」「弱い」という「状態の区別」が実はありまして、実際に筋肉に負荷をかけてみることで、この状態がどちらかというのを区別するのが、筋肉反射テストです。

英語では単に、muscle testingと言います。ですから日本語訳も筋肉テスト、とすべきなのですが、これが日本へ入ってきた頃に国内で指導的な立場にあったのが、伊東聖鎬(せいこう)という方で、この方が筋肉テストを、ほとんど負荷をかけずにできるようにと改良したものを「筋肉反射テスト」と名付けられたようです(ご本人の文章によります)。つまり「反射」という用語は後から加わったもののようです。ところが今日では、オリジナルも、改良版も、猫も杓子も何でもかんでも十把一絡げに「筋肉反射テスト」と呼ばれるようになっています。日本語で、この概念を指すときに一番広く通じる言葉だと言っていいでしょう。

この筋肉反射テストを用いたセラピー(代替医療)のことをキネシオロジー kinesiology と言います。字義的には「運動学」と訳されます。が、このキネシオロジーという言葉もまた厄介で、意味が2つあります。それは大学で研究されるような身体運動学・スポーツ科学としての学問分野としてのキネシオロジーと、筋肉反射テストと用いるセラピーとしてのキネシオロジーです。両者は全然別物ですが、稀に混同されていることもあるので気をつけてください。

また、このセラピーとしてのキネシオロジーの元祖は、カイロプラクター医のジョージ・グッドハートと言う人が始めた、「応用キネシオロジー」Applied Kinesiology というものです。ですが、これは医師やカイロプラクター医の免許保有者に限定の奥義秘伝のようなものであり、一般には門戸が閉ざされていました。

後にグッドハートの仲間の一人であったジョン・シーという方が、この応用キネシオロジーを元にして、一般向けにまとめあげた体系をタッチ・フォー・ヘルス Touch for Healthと名付けて公開し、今日ではこの流派がキネシオロジーの最大流派となって、世界各国へ広まっているということです。世界各国でタッチ・フォー・ヘルスの公式クラスが開かれていますし、公式マニュアルが書店で購入できます(英語版は日本語版よりも遥かに安価ですが、英語版の電子書籍は誤植が多いです)。

それ以外にも、教育キネシオロジー・ブレインジムを始め、非常に多くの(100以上?200以上?)流派がキネシオロジーに乱立していますが、いずれも筋肉反射テストを用いるという点が共通項となっています。

さらにもうひとつ、付け加えておく必要があるのは、O-リングテストです。これは指で輪っかを作って、それを相手が指でこじ開けようとして、その輪っかの筋肉の強弱を判定するというテストになっていますが、筋肉反射テストの一種と考えることができます。

この説明で大体はよいのですが、このOリングテストという言葉もまた厄介でして、大きく考えて二種類存在すると思ったほうが良いです。ひとつは、医師向けの方法ということで中身が一般公開されていない、バイ・ディジタルO-リングテスト Bi-Digital O-Ring Test というもので、大村恵昭(よしあき)先生という医師が考案され、米国で特許まで取られたものです。こちらのほうが本家なのですが、これが日本に輸入されたときに、細かい部分をごっそり無視した形の、いわゆるO-リングテストというのが一般人の間にある程度普及しました。後者の方は、まとまった体系のようなものは無いと言って良い状況だと思います。

どちらのO-リングテストも、キネシオロジーの筋肉反射テストのひとつの型である、と思ってよいと思いますが、キネシオロジーのほうではしっかりと教えられている、失敗を防ぐための基本というものが、O-リングテストのほう(特に一般に広まっている方のO-リングテスト)には欠けているので、実は甚だ危険な状態にあると言えます。この点については大事なので別の記事でまた取り上げます。

 


私が筋肉反射テストを始めたとき、最初はキネシオロジーとO-リングテストの関係もよく分かりませんでしたし、タッチ・フォー・ヘルスとキネシオロジーの関係を把握するのにも1, 2ヶ月かかりました。ともかく名前がバラバラで、非常に紛らわしいので、全体像が分かりにくいのです。

 

 

ざっと図にまとめてみましたが、どうですか、ややこしいでしょう?

 

以上で、簡単にキネシオロジー、筋肉反射テストと言った言葉をご紹介しました。実はここで挙げたいずれの方法も、ほとんどが二人一組で行うのを基本としています。

これはセラピストが臨床で使うにはよいのですが、個人が自分の健康管理のために用いようとするときにはハードルとなります。これだけ誤解を招きやすい筋肉反射テストについて、簡単に理解してくれて、いつでも協力してくれるようなパートナーや友人がそうそういる人は少ないだろうと思うからです。またしょっちゅうプロのキネシオロジストにセッションを依頼するのは経済的ではありません。

ですから個人が筋肉反射テストについて伝え聞いて恩恵を受けようと思った場合、筋肉反射テストを自分一人でできないものか、という疑問に多くの方がぶち当たるのではないでしょうか。

次回に続く

 


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