山田ズーニー「おとなの進路教室」(河出書房新書)
あなたに、社会に出てきてほしいと思う。
ズーニーさんの文を読むと、この一言がズゴーンを響くんです。どういう形で社会に出よう。そんな気持ちになります。
牟田和恵「ここからセクハラ!アウトがわからない男、もう我慢しない女」(集英社)
119ページからの『「快」と「不快」-性の違い 』が、男女の性に対する認識の違いをよく表していると思います。男性にとって「性」=「快」であることが多く、性的に評価する(される)ことはポジティブな印象に繋がりやすい。一方、女性にとって「性」≠「快」であり、性は必ずしも快楽には結びつかず、特に見知らぬ男性や好意を持たない相手から性的な評価を受けることはネガティブな感情に繋がりやすい(=「恐怖」や「不安」と言う感情を抱きやすい)。大体そのような内容です。女性なら当然わかる話ですよね。世の男性の心にどこまで届くのか疑問ですが、これまでの女性の耐え方が異常だったと思うので、こういった本が徐々に出てくるのは当然だし、良いことだと思います。
牟田和恵「部長、その恋愛はセクハラです!」集英社
男と女は、性に対しての認識が全く違うので、特に中年以降の権力をそこそこ持ち合わせている男性こそ、これは読んだほうが良いと思います。定年後、会社などの権力的な後ろ盾がなくなり、ヒマを持て余し、公共の場でいろんな人に八つ当たりしているようなおっさんを街でよく見かけるようになりましたが、権力がなければ、ただの気持ち悪いおっさんでしかありませんから、周囲は冷ややかに見ています。これまで社会に守られていたが故にチヤホヤされていた人ほど、仕事第一で家庭を大事にし忘れた人も多い。そんな人は家族も誰も定年後には相手にしなくなるため、その不満からトラブルを起こしやすくなるのは仕方ないことだと思いますが、それにしても、イライラしてるおっさんが最近ホントに増えすぎて危険!そもそも、男女問わず、中年以降になったら、正しく枯れるよう尽力していくことが、より良い社会のためだと思うのですが、中年以降の男性向け広告(精力剤などの広告)を見ていてもわかる通り、どうも社会がそうなっていないのが、まだまだ残念なところ。そういう広告を目にしてしまうだけで、げんなりしている女性が多いと言うのに。男性の購買意欲をそそるように書かれている記事に乗せられ、努力する方向が完全に間違っているのに、中年以降の男性は何故それに気づかないのでしょうか。これでは、男女の溝は深まるばかり。セクハラするおっさんにこそ、この本から真摯に学んでほしいところですが、多分そういう人は、こういった本を読んでも「俺は違う」とか平気で言ってしまう人だと思うので、解決策は一体どこにあるんでしょうね。そして、女性のみなさんも、身近な中年男性を勘違いさせる行動を取りがちだと言うことを、この本を読んでよくよく念頭に入れて欲しいです。若ければ若い程、やはりガードは固すぎてちょうど良いぐらいだと思います。「自意識過剰」とか言い放ってくるおっさんは、大体が女性の立場やセクハラ被害者の気持ちを考えられない人なので、聞く耳を持たなくて良いです。
pha「知の整理術」(大和書房)
phaさんのゆるい空気感が滲み出ていて、とても心地良く読めました。勉強嫌いの私はこういうことを考えながら知を整理したことがそもそもありません。飽きっぽくても、疲れやすくても、知に触れることが好きだったからこそ、彼は京大にも行けたんだろうし、会社員にもなれたんだろうし、その会社をスッパリ辞めることもできたんだろうし、結果的に文筆家にもなれたんでしょう。本は読むだけ、自分の中に殆ど何も残らない私はこういったコメントを書くのが関の山なんですが、地道に行くしかないですねえ。やはり、頭の良い人は、そうなるだけの自分なりの戦略を持っているんだなーと感じました。自分を知り、自分なりの戦略を学生時代から既に練れている人は本当に凄いんだけれど、大人になっても、かなり長い間、そういうことに気づけなかった私のようなあんぽんたんなタイプは、うまいこと周囲がフォローして早めに気づかせたりしてあげないと、多分一生苦労すると思います。今の私がまさにそれなので。気づいても、もう遅いところまで来ちゃっているので、私の場合は、それなりに頑張るとしか・・・ねえ?
水野敬也「夢をかなえるゾウ 3 ブラックガネーシャの教え」飛鳥新社
夢をかなえるゾウシリーズを読んでしまおうと思い、2を読み、3も読んでみたところ、3は主人公が女性なこともあり、感情移入しまくり!でした。そして、ラストシーンでまた大号泣!教え自体は1でもう十分出尽くしたような感じがあるのですが、楽しく、かつ、泣ける小説として、特に独身女性にオススメ。